『三好inヤマト』改三リメイク   作:零戦

4 / 93
第一次内惑星戦争~戦間期

 

 

 

 

 

 

 

 その船がいつから火星にあったのか、何故火星にあったのかは西暦2210年を過ぎた今でも分かっていない。ただ、分かっている事はその船がボラー連邦の艦船であり火星で回収されその回収データを元に火星自治政府宇宙海軍が創設され、地球国連宇宙海軍艦艇の基礎になったのは言うまでもない。

 

 火星が地球からの独立を望むようになったのは西暦2150年代からと言われている。火星への植民が始まった西暦2110年代はそうは言ってられなかった。テラフォーミングも全ては完了しておらず、完全に完了するのも西暦2180年頃と予測されていた。

 転機が訪れたのは西暦2148年だった。火星への植民をしていた火星自治政府は北極冠の開発に乗り出した時に雪に閉ざされ半壊されながらも威容を保っていた1隻の宇宙艦を発見した。それは火星は元より地球の宇宙艦艇ではなく、しかも明らかに異星文明の宇宙戦闘艦艇であった。

 この発見に火星自治政府は二つの反応を示した。一つは地球からの独立派がこの宇宙艦艇の分析・解析を行い量産し宇宙海軍の創設を主張したのである。

 もう一つは同じく分析・解析を行い地球・火星と共に宇宙艦艇を増設し外敵からの敵に備える派閥であった。

 

「地球から独立。これが火星の往く道である」

「独立を言っている場合でない。異星文明がいたのだ、もしもに備えて地球と連携を取るべきだ」

 

 両者は互いにそう主張し妥協点を見出だせず、独立派の中に部類する強硬派が連携派閥を闇で暗殺したりテロ活動をして連携派閥はその規模を縮小し西暦2151年に火星自治政府は地球からの独立する事を基本方針となったのである。

 火星自治政府が独立を訴える事に地球国連政府は当初は一蹴していた。しかし、極東管区の日本ーー当時の内閣総理大臣の三好正盛(将和の祖父)ーーは国連政府に警告を発していた。

 

「火星自治政府は密かに異星文明の宇宙艦艇の回収を実施して分析・解析中である。これらが量産すれば地球の脅威になる事は間違いない」

 

 日本政府は西暦2157年、独自に火星自治政府の役人からのルートを使って火星自治政府が異星文明の宇宙艦艇を回収して分析・解析中との情報を入手したのだ。

 だからこそ正盛はその情報を国連政府に流して警告を発したのだ。しかし国連政府はその情報を単なるデマとし相手にしなかったのだ。

 

「奴等は火星を甘くみている。杞憂で終われば良いが終わらないだろうな……」

 

 一蹴されたとの報告を受けた正盛は溜め息を吐いて自国だけでも何とか乗り切る事にして日本国宇宙海軍の増設を図るのである。

 そして正盛の杞憂は現実となってしまう。西暦2160年、地球からの独立を望む火星の独立運動は火星全土を覆い尽くしてしまい、火星に進出していた地球の各企業は軒並み撤退を余儀なくされてしまうのである。

 この行為に国連政府は火星への輸出禁止等を決定、更には各国の宇宙艦隊を火星方面に派遣して砲艦外交を行うようになる。この挑発行為に火星自治政府も地球国連政府に抗議をするが両者の主張は妥協点を見出だせなかった。

 正盛は日本国として国連政府と火星自治政府の仲介をしようとするが互いに互いの主張を認めない両者に匙を投げてしまう程であり西暦2164年3月3日、その日は桃の節句であった。

 火星自治政府は地球国連政府に対し宣戦を布告して火星の衛星『ダイモス』宙域で挑発行為を行っていた国連政府の宇宙艦隊ーー中国艦隊ーーに火星自治政府宇宙海軍の第二艦隊が砲撃を開始したのである。

 

「薙ぎ払え!!」

 

 火星自治政府宇宙海軍の『マーズ』級宇宙巡洋艦を主力に編成された火星艦隊は中国艦隊を圧倒し生還出来た艦艇は僅か4隻という有り様であった。対して第二艦隊の損害は小破3隻の快挙である。

 同年5月5日、国連政府は各国の宇宙艦隊を火星に差し向けた。北米、ユーラシア、欧州が主力となった3個宇宙艦隊であった。その編成は戦艦級28、巡洋艦級49、駆逐艦級66という火星への攻撃をどれ程までに重要視していたかが分かるようであった。

 火星自治政府宇宙海軍も精鋭の第一艦隊の他にも第二、第三艦隊を投入、第一次内惑星戦争でも最大の艦隊決戦となった。

 結果、国連政府の宇宙艦隊は大敗北した。各艦隊は主導権争いをして合同艦隊としての統制が取れずに各個撃破されたのだ。

 焦った国連政府は慌てて月を中心とした防衛ラインの構築に勤しむがその前に火星は行動を開始した。

 

『月の兎撃ち作戦』

 

 火星自治政府宇宙海軍は現時点で動員出来る宇宙艦艇の全てを使用して月を攻略しようとしたのである。非武装船をも動員したこの作戦には351隻という火星自治政府宇宙海軍も初めての運用という代物であった。

 火星側も月を攻略すれば地球政府も根を上げて火星の独立を認めるだろう。そのような楽観視さえあった。

 しかし、月沖まで進出してきた時に各艦艇の対艦レーダーが大規模な宇宙艦艇を探知したのである。

 

「日の丸……あれは日本宇宙海軍です!!」

 

 主要各国の宇宙艦隊を喪失した国連政府は遂に日本にも救援を要請、正盛は虎の子とも言える日本宇宙海軍5個艦隊172隻と3個航空戦隊を投入したのである。

 当初は火星側が有利に動いていた。火星側は遠距離砲撃にて日本宇宙艦隊を圧倒していたのだ。

 だが、日本宇宙海軍も負けてはいなかった。

 

「全機突撃!!」

 

 採用されたばかりの空間戦闘攻撃機『飛燕』は月航空基地から発進してきて攻撃を仕掛ける。その数は約200機余りであり火星側も対空戦闘を行うが数の暴力に負けて護衛艦艇等は次々と沈められていった。

 

「今だ!! 全艦、ありったけのビームとミサイルを敵に叩きつけろォ!!」

 

 第五艦隊司令長官に就任したばかりの三好正信准将はやられっぱなしだった戦況を引っくり返す為に突撃を開始する。場合によって敵艦の側面に艦首を突撃させ衝突、更に白兵戦をして船を奪取したりする艦もあったりするのであった。

 戦闘は僅か1時間で終了した。日本宇宙海軍は98隻の艦艇と52機の空間戦闘攻撃機を喪失するも火星自治政府宇宙海軍は186隻の艦艇を喪失し月攻略は失敗するのであった。

 同年8月15日、地球と火星は和平して停戦という形で落ち着いた。落ち着いたというのは火星側が地球へ隕石落としを敢行したからだ。

 7月に西シベリア平原、ゴビ砂漠にそれぞれ1発ずつの隕石が落とされた。被害は大規模地震に代わり大陸方面に多数の死傷者が出たのである。そこで国連政府は漸く火星側に停戦を申し入れたのであった。

 無論、火星側もこれを受け入れた。なお、これを受け入れなかった場合、国連政府も日本宇宙海軍を主力にした艦隊を火星に派遣する予定であったので両者の主張がある意味一致した結果であった。

 痛み分けに近い形の戦争であったが国連政府は日本宇宙海軍が月沖海戦で捕獲した火星自治政府宇宙海軍の艦艇を分析・解析する事になる。失敗を次に活かそうとする姿勢を見せる地球であったが火星はその反対だった。

 独立はまだ出来なかったものの、主導権を握ったと判断した強硬派は増長する事になる。それに伴い火星は新たに火星共和国準備委員会を創設し独立への前進を開始するのであった。

 また軍も名称を変えて火星軍(陸海空宇宙)となるのである。

 

 

 

 

 一般的に第一次内惑星戦争と第二次内惑星の間は戦間期と呼ばれる。この戦間期で地球国連政府は宇宙艦隊の大規模な増設と新型艦艇の就役を行うのである。その一番最初に行われたのが西暦2166年の試験艦『飛鳥』の就役であった。

 『飛鳥』は後に巡洋艦級で採用される20サンチ連装高圧増幅光線砲が搭載されその威力は火星軍の艦艇を十分に破壊出来るモノであった。

 国連政府もこの報告を受けて西暦2168年に宇宙海軍を創設し艦艇増強を開始する。その翌年の西暦2169年に国連宇宙海軍初の巡洋艦『シャノン』が進宙し以後、各国の宇宙海軍は『シャノン』級主力宇宙巡洋艦を建造配備する事となる。日本宇宙海軍も『シャノン』級を建造配備しネームシップは『村雨』と名付けられ以後は『村雨』級宇宙巡洋艦となるのであった。

 そして西暦2170年、国連宇宙海軍は標準規格艦として策定した巡洋戦艦『AU艦』をベースにし建造配備されていく事となり日本宇宙海軍もネームシップに『金剛』とした『金剛』級宇宙戦艦が西暦2171年に次々と就役を果たし第二次内惑星戦争時の西暦2179年まで日本宇宙海軍は『金剛』級宇宙戦艦を19隻建造配備するのである。

 また、それと平行して地球の各地下に避難用の地下都市が建設されていた。

 これは先の隕石落としの影響でもあった。火星側がトチ狂って隕石を大量に地球へ落下させて市民を殺戮するのは国連政府も容認する筈がなかった。だからこその地下都市の建設だった。

 その一方で火星共和国独立準備委員会は地球の宇宙艦隊増設を容認する筈がなかった。

 

「地球は直ちに宇宙艦隊の解体せよ」

 

 準備委員会はそう地球に警告を発したが国連政府はその警告を無視し艦隊の増強を繰り返した。その数、戦艦134隻、巡洋艦257隻と火星宇宙軍の艦艇を軽く超えており火星宇宙軍も慌てて新造艦の建造ペースを早める程であった。そのような軍拡には両者共に限界がある、妥協点を探るしかない。

 そう主張したのは日本国内閣総理大臣の三好正盛であった。これ以上、両者が争えば更なる悲劇を生むと主張しそれは両者も受け入れつつあった。だが火星独立を望む強硬派が動いた。

 そして西暦2179年2月、火星との会談をするために正盛は火星へと向かい、火星軌道上までに来た時にそれが発生した。

 

 『バレンタインの悲劇』

 

 西暦2179年2月14日、火星軌道上まで来ていた正盛を載せた日本の使節団の宇宙船が突如火星宇宙軍に包囲・攻撃され使節団は正盛以下全員が死亡したのである。そしてそれと同時に火星でも強硬派による軍事クーデターが発生、強硬派が政権を握り声明文を発表した。

 

「我が火星共和国は地球への戦争を開始する」

 

 西暦2179年2月18日、第二次内惑星戦争が勃発するのであった。

 

 

 

 

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。