「…………………」
ジリリリリとケータイにセットした目覚ましの音が聞こえる。将和はゆっくりと目蓋を開けると見知った天井がそこにあった。暫くの後、頭が覚醒してくると将和は身体を右横に向けた。そこには裸でスゥスゥと小さな寝息を建て寝ている玲の姿があった。なお、左横には薫が高イビキをかいて寝ている。
(あー……そういや昨日入港したんだったな……)
将和の艦隊はイスカンダルから約二月かけて帰還した。連続ワープもしていたがやはり暗黒星団帝国艦隊が奇襲をかけてくるかもしれないと用心をしての二月だったのだ。そして昨日、漸く地球に帰還し『伊勢』は呉宇宙軍港に入港したのである。
(時間は……もう7時か。10時には司令部に到着しとかないとな……)
将和はごそごそとベッドから抜け出して艦長服に着替えてソッと艦長室を出るのである。
「おはようございます司令」
「おはようですチュン参謀長」
「食事はどうされますか?」
「移動中に食べるよ。サンドイッチが良いかな?」
「サンドイッチが良いですね。私のオススメはタマゴサンドです」
「成る程。ならそれにするか」
司令部への出頭には将和とチュン参謀長だった。その為チュン参謀長も朝食用のパンを用意していた。
その後、将和とチュン参謀長は電車で横須賀の司令部まで移動する。
「モグモグッ……たまにはパンも良いな」
「でしょう? 時間が経ったパンもちょっと湯気に当てれば美味しくなりますからな……モグモグッ……」
サンドイッチを食べながらそう話す二人であった。そして司令部に到着すると二人は長官室に案内された。
「おぉ来たか。まぁ座れ」
「失礼します」
正信の言葉に二人はそう言ってソファに座る。
「二人に来てもらったのは他でもない。例の新たな敵の事についてじゃな」
「……長官は敵と認定しますか」
「まぁ話し合えば別じゃがな。それに大統領は話し合えばと言っているが……あやつは白色彗星の時にどうなったか忘れとる」
正信は皿に盛られた煎餅をバリバリと食べながら茶を啜る。
「相変わらずの大統領嫌いですな」
「フン。たかが運が良い男なだけじゃな」
バリバリと煎餅を食べ終えると正信は将和に視線を向ける。
「そこでお前を呼んだわけじゃ」
「……皆目見当もつきませんが?」
「何を抜かすんじゃ……ホレ」
そう言って正信は一枚の辞令書を机に投げる。それを将和が拾い中身を見る。
「ケンタウルス座方面艦隊司令長官に任命する……宇宙開拓をすると?」
「表向きはな……じゃが裏は暗黒星団帝国への備えじゃな」
「幾らコンペで新型艦艇が採用されたかと言ってもまだ配備されてはないからな」
正信の言葉を補足するように芹沢がそう言う。
「ですがケンタウルス座は……」
「いや当てはあるのじゃよ……まぁ接収したに近いかの」
正信の言葉に将和はピンと来た。隣に座るチュン参謀長も何かに気付いたようで先に口を開いたのはチュン参謀長だった。
「成る程。ガトランティスの置き土産ですか」
「その通り。パトロール艦等の艦艇でケンタウルス座を調べた時にガトランティスがとある惑星に基地を構えておってな。もぬけの殻じゃったがそのまま再利用しようとな」
「既に軍も一個大隊規模の空間騎兵隊や警備隊を派遣しているが……やはり守備方面艦隊を編成した方が良いと判断されたのだよ」
「成る程……」
「艦隊と言っても現時点で出せるのは数が限られておるがの……ホレ」
正信はそう言って艦隊編成表を将和に渡す。
ケンタウルス座方面艦隊
司令長官 三好将和少将
参謀長 チュン・ウー・チャン准将
旗艦『伊勢』(後に新型戦艦に変更)
戦艦
『伊勢』『メリーランド』『ナッサウ』『タイガー』
空母(鹵獲空母)
『ホワイトスカウト』『神鷹』『ヴィラート』『ハーミース』
巡洋艦
『高雄』『愛宕』『摩耶』『鳥海』
『妙高』『那智』『足柄』『羽黒』
『ウィチタ』『エメラルド』『五十鈴』『長良』
駆逐艦
『朝潮』以下24隻
パトロール艦『手塩』以下8隻
自動戦艦
『エクスカリバー』以下18隻
自動駆逐艦
『A-1』以下48隻
「……大盤振る舞いでは?」
「今回の艦隊編成には無人艦艇の実験も兼ねておるからの。何々、ワシらの予想範囲内じゃよ」
「成る程……この新型戦艦に変更とは?」
「そのままの意味じゃ。新型戦艦に変更するからの。まだ建造中じゃが近いうちにはな……」
「どれくらいの建造率で?」
「お主達がイスカンダルに行っている時に決定しての建造じゃから……約40%程じゃな。牧野君が己の誇りと自信をかけてやっとるわい」
「そうか、牧野がな……」
正信の言葉に将和は納得するように頷いた。将和の同期でもある牧野は『ヤマト』の設計や『雪風』の改装にも手を出していたりする。
「一週間程の休暇をやる。それまでは地球を堪能しておくようにの。暫くは帰れんからな」
「……ガトランティス艦隊の襲来も視野に入ってますか?」
「シリウスとプロキオンにはまだ残留しているらしいからの。ひょっとするとひょっとするかもしれんからのぅ」
「了解です。上手く艦隊を運用します」
「フハッハッハッハッハ。お主がそういう玉かね」
「モートン少将やカールセンの親父に比べたらまだまだですよ」
「ファハッハッハッハッハ。二人には言っておこうかの。あぁそれと参謀達も変わらんからな」
「おいそれと変えれませんわな」
そして出頭は終わり呉宇宙軍港に戻るのである。なお、一週間の休暇を聞かされた乗員達は喜びつつも次の任地に驚きつつ休暇を楽しむのである。
「さて……」
「あ、司令」
久しぶりに将和も休暇を楽しむ事にした。なお、薫は一度実家に帰る事でありもう帰っていた。将和も準備して艦内の廊下を歩いている時に玲、ウーノ、トーレと出会したのである。なお、ドゥーエは防衛軍学校に入校する事が決まったので江田島にある防衛軍学校に行っていたのである。
「司令も休暇を?」
「休暇というか……戦場に行くんだけどな」
「戦場? 宇宙にでも行くのか?」
将和の言葉にトーレが首を傾げる。
「いやぁ……そうじゃないんだけど……それなら皆で来るか?」
めんどくさくなった将和は冗談半分でそう言うがまさかの三人は首を縦に振ったのである。
「えっ……来るの……?」
「誘ったのは貴様じゃないか」
「まぁそうなんだが……」
「ちなみにドクターも暇だから行くと言っていたぞ」
「暇なんかい」
とまぁ……将和も入れて5人は呉宇宙軍港から電車で広島まで向かいそのままリニア新幹線で大阪まで向かうのである。
「戦争するんは明日だから今日はホテルに泊まるか」
「司令はこの辺りを御存じで?」
「地元やぞ」
『えっ?』
何故か全員に驚かれる将和である。そしてその日はホテル泊後の翌朝0600、4人は将和に急かされる形でホテルをチェックアウトをする。
「何で朝早くから移動なんて……」
「早くしないと並ぶ可能性はあるからな」
「並ぶ……?」
「あぁ」
そして一行は電車を乗り継いで海沿いの埋め立て地のところに降り立つ。
「目的地は彼処だ」
「……何か大きい建物だな」
そして目的地に着くとそこには大量の人が並んでいたのである。
「あちゃー、少し遅かったか……」
「将和、これは何の集まりなんだ?」
「直に分かるよスカさん」
そして数分後、放送が流れた。
『御待たせしました。只今より第334回同人誌即売会を開催します』
「同人誌……」
「即売会……?」
「そうだぞ」
そして5人は建物の中に入るのであった。
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