『三好inヤマト』改三リメイク   作:零戦

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今回のR・H氏の遭遇編はステルス兄貴様の草案による全面支援になります。
この場を借りましてステルス兄貴様、大変ありがとうございますm(_ _)m


第四十八話

 

 

 

 

 宇宙でも通常の空間でもない別次元に設置されている超巨大な円筒状の施設‥‥…それは時空管理局の本局と呼ばれる“海”の本部であり、管理局が保有する次元航行艦の母港でもあるこの施設にある一室にて、“海”の制服を纏った幾人かの男性局員らが集まっていた。

 

「どうにもあの女狐の存在は厄介ですなぁ~」

「確かに……これまでの幸運から増々増長している」

「このままでは我々の立場も危ういのではないか?」

 

 局員らの手の中や眼前に置かれているタブレット端末にはリンディの顔写真が表示されている。

 男尊女卑‥‥男性を重くみて、女性を軽んじることであるが、それは異世界、魔法世界でもソレはある様で、此処に集まった局員たちはリンディの地位向上に対して嫌悪感、危機感を覚え、嫉妬心を抱いていた。

 リンディ自身、高ランクの魔導師であるのは勿論、彼女自身の経歴と周りの環境が第三者には恵まれているように見えた。

 夫であるクライド・ハラオウンもリンディ同様、高ランクの魔導師であったが、闇の書を一時的に封印する為にその身を挺して封印する事に成功し、殉職するも管理局内で英雄視されている。

 息子のクロノ・ハラオウンも両親同様高ランクの魔導師であり、10代で執務官資格を取得する秀才であり、20代の若さで現役の提督職となっており、リンディ自身も本局の統括官と言う地位に居る。

 そもそもの彼女の幸運は十数年前、偶然発見した第97管理外世界にて、後の管理局のエースとなる高町なのはと言う原石を現地で起きたジュエルシードを巡る騒動にて発見し、その後も管理局では宿命とも言える闇の書事件を完全に解決し、それらを通じて若いながらも高ランクの魔導師を複数管理局へスカウトする事に成功し、その内PT事件の関係者であるフェイト・テスタロッサを自らの養女にしている。

 そんなスカウトをした若き高ランクの魔導師たちの中で、新暦75年に八神はやてが実験的に設立した機動六課の後見人となり、その起動六課は設立した年に闇の書同様、管理局が長い月日に渡って広域指名手配をしていたジェイル・スカリエッティの逮捕にも成功している。

 ただし、逮捕したスカリエッティと管理局との司法取引に応じなかった戦闘機人たちは収監されていた軌道刑務所から脱獄し、行方不明になっている。

 一部の男性局員たちはスカリエッティたちの脱獄に対して、彼の逮捕に関係したはやて、フェイト、そして六課の後見人であるリンディたちに対して責任問題を追及するも、逮捕とスカリエッティたちの脱獄との因果関係がなかった事から不問とされた。

 

「スカリエッティの脱獄に関して、あの女狐どもを失脚させる絶好のチャンスかと思われたが、『逮捕と脱獄は関係ない』などと生温い判断を下すとはフィルス顧問も老いたものだ」

「確かに。フィルス顧問だけではない、キール閣下もクローベル元帥も何かとあの女狐どもには甘い節がある」

「このままでは管理局があの女狐とそのシンパどもに牛耳られてしまう」

「……ここはやはり、あの女狐どもを始末する必要性があると思うが? 諸君はどう思う?」

「賛成です」

「私も……」

「小官も同意見です」

「一先ず一番地位が高いあの女狐を始末すれば、シンパたちは後ろ盾を一つ失う事になりますからね。後はじわじわと力を削いでいけば、瓦解するでしょう」

「肝心なのはどうやってあの女狐を始末するか……だ……」

「我々の関与がバレてはならない事は当然、前提となる」

「確かに。計画はより慎重にならなければならない」

 

 そして集まった局員たちがリンディの暗殺計画を練り始める。

 暗殺計画何てそう簡単に練ることが出来るのかと思われるが、此処に集まった局員たちも性格が歪んでいながらも管理局ではエリートの部類に属する者たち……。

 そのためリンディの暗殺計画は着実に計画され進められていったのである。

 事態が動いたのは一部の局員たちがリンディの暗殺計画を企ててから幾日が過ぎた頃……。

 

「前線の視察?」

「はい。統括官はつい最近、管理世界に入りました『アマリア』についてのご報告は受けたでしょうか?」

「確か、鉱物資源が豊富な世界だったわね」

「ええ、ですが、原住民たちが我々管理局の受け入れに対して難色を示しており、現地では抗議活動やテロ活動が横行しており、現場の方でも色々と難航しているみたいです」

 

 “海”の高官の一人がリンディに対して新たに管理世界入りした世界での近況を報告する。

 

「被害もかなり出ているみたいね‥‥」

 

 報告書には原住民たちによるテロやゲリラ活動により管理局側に被害が出ている事が記されている。

 

「そこで、統括官自らが視察に赴いて頂ければ、現場の局員たちも士気軒昂となりましょう」

 

 “海”に所属し、統括官という立場であるリンディも新たに管理世界入りした世界については知っていたが、こうして詳細な報告を受けると、どうもその世界の管理下は上手くいっていない様子だ。

 報告を伝えに来た海”の高官はリンディに対してかの世界へ視察をして、前線の局員たちを鼓舞してもらいたいと具申した。

 

「……………………」

 

 リンディは引き続き報告書に目を通すと管理局側の被害の中には自分の息子や義娘と変わらない年齢の局員も犠牲になっていた。それを見てリンディは決断をする。

 

「分かりました。早速準備を進めて貰えますか?」

「承知しました」

 

 リンディが視察を受け入れた事に対して“海”の高官は深々と一礼する。

 ただこの時、“海”の高官が薄ら笑いを浮かべていた事にリンディは気付かなかった。

 それからリンディの視察への準備が進められた。リンディの『アマリア』への視察は息子のクロノの耳にも入った。

 

「母さん、『アマリア』へ視察に赴くって聞いたけど、何故あの世界に視察を!? あの世界はまだ完全に管理下に置かれていないし、周辺の海も放射能嵐が強く、航海計器にも支障をきたす事があるらしいと聞きます!!」

「だからこそ、私は統括官としての立場として現地で苦戦をしている皆の様子を知る必要があるのよ」

 

 リンディが『アマリア』への視察を決めたのは自分の息子や義娘と同じ年齢の局員たちが劣悪な環境下で必死に頑張っているからこそ、現地に赴こうと決めたのだ。

 

「でも、そんな危険な場所へXV級ではなく、L級で行くなんて……せめて僕自身が一緒に行ければよかったのに……」

 

 今回リンディが視察に赴く際に使用される艦は現在管理局で主流となっているXV級次元航行艦ではなく、L級次元巡航艦を使用する。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 L級次元巡航艦はリンディがまだ統括官になる前‥艦長職に就いている頃に艦長として乗艦していた艦と同型の艦であったが、現在の管理局ではL級次元巡航艦の多くは廃艦となっており、順次XV級に成り代わっている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 実際にリンディが艦長を務めていたL級次元巡航艦のアースラも廃艦処分となり除籍されていたが、JS事件の際に戦闘機人とガジェットの襲撃を受けた機動六課隊舎の代わりにはやてが臨時の司令部兼隊舎として使用され、解体処分される前にJS事件終息の一手を担っていた。

 

「私としては乗り慣れたL級で十分だし、少しでも早く現地に行きたいから……それに貴方の艦は今、整備中でしょう?」

「………………」

「大丈夫よクロノ。現地に着けば他の管理局の艦も居るのだから」

 

 息子としては何だかモヤモヤとした思いを抱きつつ、リンディの言う通り自分が艦長を務めている艦が整備中では動かせない。

 かと言って艦長たる自分がリンディと共に視察へ行き、艦を留守にすることも出来ない。

 整備中と有給は異なり、艦長としてやる仕事はあるのだから………。

 不安を抱きつつもクロノはリンディを見送るしか出来なかった。

 リンディが『アマリア』への視察に使用するL級次元巡航艦『マジェスタ』は予定通り本局を出航して行った。

 

「また艦長と一緒の艦に乗れるとは思ってもみませんでした。光栄です」

 『マジェスタ』に乗艦したリンディに大柄ながらも温厚そうな男性局員が話しかけてきた。

 

「こちらこそ、パトリチェフ艦長。それに今、艦長なのは貴方の方よ」

「ハハ、確かに……まぁ、年季の入ったボロ船ですが、必ず目的地へ貴女を届けます」

「ええ、貴方の操艦技術を信じているわ」

 

 リンディに話しかけてきたのはこの『マジェスタ』の艦長であるフョドール・パトリチェフであり、彼はリンディが『アースラ』の艦長時代からの付き合いがあり、リンディも彼の船乗りとしての腕を信じていた。

 『マジェスタ』が本局を出発して三日の夜、不測の事態が起きた。

 今回、リンディは乗員としてではなく、随員……いうなればゲストとして乗艦していたので、艦の運航には携わっていなかった。

 リンディは用意されていた士官室にて本を読んでいたのだが、明日に備えて寝ようとしたのだが、中々寝付けなかった。

 

(久しぶりの長距離航海のせいかしら?)

 

 そこでリンディは寝つきをよくするために睡眠薬を服用しベッドの中に入った。

 リンディがベッドに入ってからしばらくして、マジェスタのレーダーがこちらに接近してくる艦影を捉えた。

 

「艦長、此方に向かって接近してくる艦影があります」

 

 オペレーターがパトリチェフに報告を入れる。

 

「管理局の艦か?」

 

 管理局の艦である『マジェスタ』に接近してくるのだから、当然接近してくる艦影も管理局の次元航行艦かと思うのは当然の事だった。

 しかし、『マジェスタ』の艦橋にあるモニターに表示されたのは管理局の次元航行艦ではなく、民間企業の次元航行船だった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「民間船のようです」

「……何故、民間船が……向こうの船に通信を送れ、船名、目的を尋ねるのだ」

「了解」

 

 通信士が接近してくる民間船に通信を送る。しかし……。

 

「接近中の民間船、応答がありません」

「発光信号を使え!!」

 

 通信にも答えずに接近してくる民間船に対してパトリチェフは不信感を高める。

 『マジェスタ』は通信の他に発光信号を送るもやはり民間船からの応答はない。

 

「通信内容を停船命令に変えろ!! 応答なき場合は撃沈する旨も伝えるのだ!!」

「は、はい!!」

 

 パトリチェフは等々撃沈命令を含む停船命令を民間船に送る。

 すると、民間船は船頭の左右上下に備えてある護身用のビーム砲塔をマジェスタへと向けて発砲してきた。

 

「敵艦、発砲!!」

「フィールド出力全開!! こちらも砲塔を不審船に向けろ!!」

 

 発砲してきことからパトリチェフは接近してくる民間船を民間船から不審船に切り替えた。

 『マジェスタ』は不審船に発砲するが、不審船は被弾しても接近を止めない。

 

「不審船、尚も接近してきます!!」

「このままでは衝突します!!」

「回避ッ!! 面舵一杯!!」

「面舵一杯!!」

 

 アルカンシェルを撃とうにしては相手との距離が近すぎてエネルギーを充填する時間がなかったので、『マジェスタ』は回避行動をとるが、それも間に合わず……不審船は『マジェスタ』の左舷中央部に突き刺さったのである。

 

「不審船、本艦の左舷に接舷!!」

「不審船より、侵入者を確認!!」

「総員、艦内戦闘用意!!」

 

 パトリチェフはマジェスタの乗員たちに戦闘準備をさせる。

 

「私は統括官に知らせてくる!!」

 

 そして、部屋に居るリンディに事態を知らせに行く。

 

「統括官!! 統括官!!」

 

 パトリチェフがリンディの部屋の扉をノックして声をかけるが、部屋の中からは返事がない。

 

「失礼しますッ!!」

 

 緊急事態なので、パトリチェフはマスターキーを使い部屋に入るとリンディはベッドで眠っていた。

 

「統括官!! 起きて下さい!! 統括官!!」

 

 パトリチェフがリンディの身体を揺すりながら彼女を起こす。

 

「‥‥ん? パトリチェフ艦長? ……どうしたの?」

「緊急事態です!! 何者かが本艦に侵入してきました!!」

「………えっ?」

 

 事態を説明するもリンディの様子が何かおかしい。

 

「統括官?」

「あっ、ごめんなさい……寝付けなかったから睡眠薬を飲んだの。それで意識がぼやけていて……」

「あっ……では、失礼します」

 

 睡眠薬を飲んだせいで眠気が強く足腰に力が入らないリンディをパトリチェフはお姫様抱っこで部屋から連れ出す。

 その頃、不審船と『マジェスタ』の接舷区画では……。

 

「行くぞ、情報では管理局の統括官がこの艦に乗っているとの事だ」

「ですが誰が管理局の統括官か顔写真や画像がないので、分かりません」

「だったら、この艦に居る管理局の奴らを皆殺しにすればいいだけだ!! 俺たちの世界を滅茶苦茶にした管理局の奴らを許すな!!」

『おう!!』

 

 『マジェスタ』に強行接舷してきたのはリンディが視察に向かっている『アマリア』の反管理局勢力の過激派たちであった。

 なぜ、過激派たちが武装した次元航行船を持ち、この日、この時間にリンディが乗った次元巡航艦が通るのを知っていたのか?

 その理由は簡単で、リンディの暗殺をもくろんだ管理局の高官らがいくつものブローカーを通じて武装次元航行船と情報を過激派たちに教えていたのだ。

 過激派たちは手にした武器でマジェスタの通路を走り、迎撃にあたる局員らを排除しながらリンディを捜している。

 

「畜生!! 奴等、質量兵器を保有しているぞ!!」

「怯むな!! 奴等を逃してはならん!!」

 

 過激派たちは質量兵器……自動小銃に手榴弾、果ては対戦車投擲発射器で武装しており、艦内のあちこちから銃声と手榴弾、投擲発射器の爆発音がする。

『マジェスタ』の乗員たちも必死に抵抗するが、過激派たちの人数の方が多く、武器も相手側の方が優勢みたいで『マジェスタ』の乗員たちはバタバタと斃れていく。

 

(くっ、このまままでは‥‥)

 

 リンディを抱きかかえながらパトリチェフは味方が不利な状況を察する。

 パトリチェフはリンディを逃がす為、脱出艇の格納庫へと向かう。

 そして、リンディを脱出艇に乗せた時、数発の銃声が響いた。

 

「うッ!?」

 

 追い付いた過激派たちがパトリチェフの背中を撃ったのだ。

 

「ッ……」

 

 パトリチェフは最期の力を振り絞り、脱出艇の射出レバーを下ろす。すると、脱出艇は『マジェスタ』から射出される。

 射出されたのを見たパトリチェフは過激派に正対する。足下に大量の血が池を形成していた。

 

「ふっ……よせよ、痛いじゃないかね……」

 

 パトリチェフは過激派たちに向けて不敵な笑みを浮かべる。

 

「このッ」

 

 過激派たちはパトリチェフに対して銃撃を加え、パトリチェフの大きな体はたちまち蜂の巣になり斃れた。

 

「誰かが脱出艇で逃げたぞ!!」

「こいつ、余計な真似を……」

 

 過激派たちもパトリチェフが誰かを逃がした事を確認していた。

 

「もしかしてあの脱出艇に管理局の統括官が‥‥」

 

 『マジェスタ』から射出された脱出艇に統括官が乗っているのだと判断する。

 

「砲撃をして脱出艇を撃破しろ!!」

 

 不審船から脱出艇を攻撃しようとするが、不審船は『マジェスタ』に接舷したままだったので、射角がとれずに攻撃出来なかった。

 

「‥‥この角度からでは脱出艇を砲撃出来ない様です!!」

「くそっ、急いで後を追うぞ!!」

 

 過激派たちは急ぎ、接舷した船に戻るが不審船から連絡が入った。

 

「ん? 船に残った同志から連絡です!!」

「なんだ?」

「この海域の近くにホワイトホールが出現し、脱出艇が呑み込まれたみたいです」

「そうか……ならば追わなくて良い……引き上げるぞ」

 

 『マジェスタ』から射出された脱出艇がホワイトホールに飲み込まれた事実を聞き過激派たちは早々にこの現場から立ち去って行った。

 

「……………………」

 

 パトリチェフから強引に脱出艇に乗せられたリンディであったが、睡眠薬の効果で眠気が強く意識が朦朧としていたので、脱出艇を操縦することが出来ず、突然出現したホワイトホールへと飲み込まれてしまった。

 そして、ホワイトホールがホールアウトしたのは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「艦長、右舷2時方向に漂流物です」

「漂流物?」

「はい。大きさからして小型艇です」

「……もしかしたら暗黒星団の艦隊から脱出した船かもしれんな。一番近いのは?」

「大山少佐の駆逐艦『雪風』です」

「ん。ならトチローに連絡を入れてくれ」

「分かりました。三好艦長」

 

 物語は更に混沌に入ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 




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