聯合艦隊は超長距離連続ワープを8回行って20万光年を短縮する予定だった。しかし、最終的にワープしたのは17万光年だった。
「駄目です艦長。何度確認しても航路記録は17万光年しか来ていません」
「そうか。トチロー、機関の故障か?」
「馬鹿野郎。『三笠』だけならまだしも全艦の機関が一斉に故障なんてするかよッ」
「それもそうか」
トチローの反論に将和は椅子に深く座り込む。どうせ敵の仕業なのだろう。
「取り敢えず警戒はするように」
「了解」
(ふぅ……これだと地球も大変そうだが……大丈夫か……?)
そう思う将和であった。そしてその心配させられていた地球であるが……。
「コノマ、爆弾のセット完了したぞ」
「了解だメルダの嬢ちゃん。それじゃあ逃げるぞッ」
地球の北米にある砂漠地域、そこに空間騎兵隊の古野間と大ガミラス帝星駐在武官のメルダ・ディッツが建物ーー暗黒星団帝国に接収された兵器工場ーーから離れて起爆スイッチを押す。
その瞬間、兵器工場は中から爆発をして次々と誘爆していくのである。
「たーまやーっと」
「何だそれは?」
「日本の花火を上げる掛け声みたいなもんよ」
「成る程。日本は奥が深いものだな」
そんな事を言いながら帰還する二人である。数時間後、極東管区の日本にある富士旧地下都市にあるパルチザン司令部に戻ると司令官の三好正信に報告をする。
「兵器工場の爆破には成功しました。恐らく三脚戦車も暫くは出てこんでしょう」
「それは何よりじゃの」
報告を受けて正信も笑みを浮かべる。
「今日はゆっくり休んでくれ」
「反転攻勢はまだやらないので?」
「ウム。少なくとも将和らからの通信が来るまでは……といきたいところじゃがのぅ」
「まぁ40万光年先の本拠地に行ってますからなぁ」
「それにケンタウルス座のカールセンらも頑張っておるようじゃ」
暗黒星団帝国の地球攻略軍は艦隊を二つに分けていた。一つは『三笠』らを追う艦隊、これはラインハルト……じゃなくてミヨーズ大佐の艦隊でありもう一つの艦隊はケンタウルス座に向かった。これは残存地球艦隊を撃破するためであった。しかし、ケンタウルス座方面には猛将カールセン少将の艦隊でありカールセンの策(隕石等利用)がハマった事で最後は拡散波動砲で殲滅したのである。なお、ミヨーズ大佐の艦隊も結局は将和の艦隊に殲滅したので地球攻略軍に残ったのは数隻の艦艇しかなかった。だが、カールセンもまだ艦隊は残っていると思案していたので地球の方には来なかったのでそれが地球攻略軍には救いだった。
「まぁ攻勢は思案しておくわい」
「了解です」
そう言う正信であった。
「はぁ……」
パルチザン司令部の近くにある技術研究室でプレシアは今日何度目かの溜め息を吐いた。最近は溜め息も多い傾向である。というのもやはり暗黒星団帝国の侵攻直後の出来事が原因だろう。
あの時、プレシアが放ったレーザーは暗黒星団帝国兵士の胸を貫通させ昏倒させた。そして無我夢中でアリシアと友美を地下都市へ繋がる入口に入り込んだのであり、地下都市へ到着するとそのまま失神したのだ。
それ以降、プレシアはその時の出来事を夢の中で思い出すのが多くなり不眠症になりかける程だった。だが、プレシアにはアリシアがいたのでそこまで重傷になる事はなかった。
しかしながら敵兵士を射殺したのはプレシアの中でも少なからずの影響を残す事になる。
(友美さんは気にする必要は無いと言っていたけど……)
友美にそう言われはしたがやはり気になるモノは気になるのだ。
(誰かに相談……)
その時、プレシアの中に浮かんだのは将和だった。だが将和は敵本拠地を目指しているので此処にはいない。
「………はぁ…………」
取り敢えずは我慢する事にしたプレシアであった。
「何、リンディ・ハラオウンが目を覚ました?」
「あぁ、先程の戦闘でな。やはり会うかね?」
「まぁ俺は当然として……スカさんはどうする?」
「私が出れば彼女は魔法を行使するかもしれんぞ?」
「いや、ウーノに回収してもらってるから問題は無いぞ」
「まぁそれなら……」
「スカさんは後から登場してもらう」
「その方が良いだろうねぇ」
艦長室でそう話す将和とスカリエッティである。話す議題は目を覚ましたリンディ・ハラオウンの話である。リンディは先程ーーミヨーズ艦隊との戦闘で『三笠』が被弾した時に揺れで目を覚ましたのだ。
「しかし、大分眠っていたな」
「まぁ睡眠薬を服用していた形跡があるから盛られた可能性もあるな」
「……管理局が彼女を消そうと?」
「十分に有り得る話だな」
「めんどくせぇ話だな……」
「推測だぞ?」
「スカさん、あんたは誰に依頼されて闇の仕事してたっけ?」
「……うわ、脳ミソどもだった……」
「あんたの原点はそこだぞ」
「この世界の研究が楽しくて永住する気満々だからな。仕方ない事だな」
「仕方ないで済ませるなよ」
思わずそうツッコミを入れる将和である。それはさておき、将和は時間の猶予を作ってから医務室に脚を運んだのである。
「あっ……」
「目を覚まされたようで安心したよ。寝たままで構わん構わん」
将和は起きようとするリンディにそう言って椅子に座る。
「さて、自己紹介といこうか。俺は地球防衛軍所属宇宙戦艦『三笠』艦長の三好将和だ。階級は少将」
「時空管理局統括官のリンディ・ハラオウンです。しかし、地球防衛軍とは……地球にそのような軍は……」
「……ハラオウン氏が驚くのも無理はありません。ですがハラオウン氏の地球は西暦何年ですかな?」
「西暦ですか? 確か西暦はーー」
「成る程。ならば仕方ありません、我々の地球防衛軍が存在するのは西暦2203年だからです」
「西暦……2203年……?」
「えぇそうです」
そして将和はリンディに対して地球の現状を説明するのであるが途中で薫特製のガミラス戦役、ガトランティス戦役の映像を見せて西暦2203年だと納得させるのである。なお、ガミラス戦役は三時間、ガトランティス戦役は六時間の映像である。
流石に連続はキツかったようであるがリンディも是非にとお願いしたのでほぼ1日で視聴した。
「………………」
「気分は……悪いようだな」
「すみません……」
「いやなに、これを見せられたら誰だって気分は悪いに決まっている」
将和はそう言って緑茶を出して角砂糖の容器をリンディに渡す。
「ほらっ」
「あ、ありがとうございます……そう言えば何故私が緑茶に角砂糖を入れるのが好きと分かったのですか?」
「あぁ……取り敢えず何となくだな」
リンディの問いにそう答える将和であった。
「それでガトランティス戦役に大いに活躍した人がいる」
「活躍した人ですか……?」
「入っていいぞスカさん」
「やれやれ……やっとの出番かい?」
「なッ!?」
リンディは入ってきた男ーージェイル・スカリエッティに目を見開いた。
「ジェイル・スカリエッティ!? な、何故此処に!?」
「簡単な事だよ。娘達と脱獄した後に君達から逃れるためにランダムのジャンプをしたらこの世界にジャンプしたからだよ」
「なッ!?」
(さーて……話は長くなるぞぉ……)
そう思う将和であった。なお、話が長くなったのは言うまでもない。
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次回、中間補給基地攻撃