「どうだスカさん?」
「あぁ、多少は故障しているが直せないわけじゃない」
「なら……」
「あぁ。この通信器材を直して敵の母星と味方と偽ってコンタクト、敵母星の場所を突き止めてみよう」
「頼むよスカさん」
将和の言葉にスカリエッティは頷き将和と同行していたチェン参謀長は工作室を出る。敵暗黒星団帝国の中間補給基地を叩いた将和の殴り込み艦隊であるが、今は巡航速度で暗黒星団帝国の母星があると思われる白色銀河に向かっていた。本来であれば更なる連続ワープを行う予定だったが、中間補給基地を殲滅後に残骸と化した中間補給基地と破壊した敵艦艇を調査した時に敵艦艇から暗黒星団帝国の通信器材を発見したのである。故障はしていたが、スカリエッティの検分で修理は可能とされたので将和も修理を依頼して直るまでは巡航速度で向かう事になったのだ。
(しかし……補給基地を調査しようと言ったフォークも成長したもんだな)
調査を主張したのは第七艦隊首席参謀のフォークだった。フォークの主張も理に叶っていたので将和も受け入れたのだ。ちなみに残骸と化した補給基地の装甲を解体して自艦の修復材にする事を言い出したのは第七艦隊参謀長のキャゼルヌだったりする。
「参謀長、スカさんの作戦……いけると思うか?」
「難しいですなぁ……上手くやれたら御の字……というところですな」
「まぁスカさんもそこのところは理解してるからな。向こうから電波を出してくれたら後は特定可能だしな」
「そうですな。それでは私は艦橋に戻ります。艦長はこのまま休まれますか?」
「あぁ。二時間後に艦橋に向かうよ」
「分かりました。ではこれで」
チェン参謀長はそう言って将和に敬礼すると艦橋に向かうエレベーターに乗り込むのである。そして将和は艦長室に向かおうと歩いていると広場の長椅子に座るリンディを見つけた。リンディは広場の天井から見える宇宙の星々を見ていた。
「星の観察ですかな提督?」
「あ、三好提督……はい、私どもの世界の宇宙とは少し違うので……」
「成る程。まぁここいらは暗黒ガスが渦巻いている宙域ですからな……」
殴り込み艦隊は地球から約25万光年も離れた暗黒ガス宙域を航行していた。星は見えるが暗黒ガスも漂っているので見るのも多少の見えずらさはあった。
「……………」
「……ハラオウン提督、今思っているのは星の観察だけでは無かろう?」
「……先の戦闘について考えていました」
「……………」
「貴方方の世界での戦争である事は理解しています。私も陸に降りる前は三好提督と同じく船に乗って星の宙(そら)を航海していました」
「……………」
「無論、私の世界でも戦闘はありました……が、ここまでとは思っていませんでした……」
「我々に恐怖を抱いたかな?」
「そ、そんな事は……」
「いや……ハラオウン提督は精神は正常だよ……我々は長きに渡る戦争が多すぎた……」
そう言って将和はリンディに隣に座る。
「俺は今でこそ提督だが、元はただの一戦闘機パイロットに過ぎなかった」
「まぁ、パイロットでしたの?」
「あぁ。宙(そら)を飛行するのが好きでな……」
「………………」
リンディは宙(そら)を見上げる将和を見る。その表情は懐かしいと思われる表情であった。
「部下のパイロットに言った事あるが……死は結局、運命でもあるんだ……」
「運命……」
「あぁ……不思議なもんでな。宇宙での空戦中、何千発のレーザーや機銃弾、対空ミサイルのど真ん中を飛んでいても当たらない時は掠りもしない。けど、当たる時は一発の流れ弾でも当たってしまうんだ」
「…………………」
将和の言葉をリンディは黙って聞く。それは歴戦パイロットから語られる言葉であった。
「そう言いながら俺は腕を磨き、生き残るための必死の努力をする……大いなる矛盾なんですよ。その矛盾を生きるのがパイロット達なんです」
「大いなる矛盾……ですか……」
「えぇ。でも生き残るために細心の注意を払い完璧に近づこうとしなければ、自分の運命にも出会えないまま……あっという間に死んでしまうんです」
「………………」
「俺はガミラス戦役の時はパイロットでした。無線から流れる上司、同期、後輩達の最期の叫びは未だに記憶に残っている……彼等達の死を無駄にしないが為に俺は此処にいると思っているかな」
「………………」
「いや、ややこしてくすみません」
「いえ……大変勉強になりますよ」
頭をかく将和にリンディは苦笑する。
「どうです? 御詫びっちゃ何ですが食堂で甘いモノでも?」
「あら、宜しいのですか?」
「えぇ構いません。美人と御同伴出来るのは名誉な事ですから」
「まぁお上手ね」
将和の言葉にリンディは微笑むのである。そして工作室ではスカリエッティが通信器材の修復を完了させたのである。
「フム……思っていたより部品の損耗が無くて良かったモノだな」
スカリエッティは通信器材のスイッチを入れる。ジジッと画面が立ち上がり文字が大量に出てくるが翻訳機(スカリエッティお手製)を差し込んでいるのでスカリエッティでも分かる文字に翻訳されていた。
「やはり立ち上がりか……さて中身のデータは……」
スカリエッティがキーボードをカタカタと操作し画面が次々と代わっていく。
「フム……護衛艦『ボローニャ』か……ほぅ、エンジンのデータもあるか……」
スカリエッティはデータを見つけた。どうやら護衛艦のデータであった。
「成る程……二重エネルギーか。だからこそイスカンダルとガミラスを狙っていたのか……ん?」
データを見ていたスカリエッティはとある画面を見て手が止まる。
「魔女サーダ……?」
その日、工作室からスカリエッティが出てくる事はなかったのである。そして翌日、スカリエッティは将和に状況報告をするのである。
「上手くいった? マジで?」
「あぁ。サウンドオンリーでの会話で上手く向こうと接触が出来てな。敵艦のデータがあって本当に良かった」
スカリエッティから貰った書類を見つつ将和は眼を見開く。
「やはり地球から40万光年の二重銀河……しかも白色銀河か……」
「あぁ」
「それで向こうには何と報告したんだ?」
「単純さ。中間補給基地が破壊され地球までの燃料補給が困難になり通信器材の故障で航路設定が出来なくなったから帰還したい、母星まで誘導してほしいと言ったら帰還許可を出してくれたよ」
「成る程……分かったよスカさん。その誘導に従って行こう。但し、警戒はしつつな」
「無論だね」
「しかし……看破されて待ち伏せをされていそうな気も否定は出来ませんな……」
チェン参謀長は賛成しつつも待ち伏せの可能性も捨てきれなかったのだ。その指摘に将和は頷く。
「それは十分承知な上だ参謀長。でもスカさんが此処までやってくれているんだ。なら俺達もスカさんに報いる事をしなければならない」
「ですな……やりましょう司令」
将和の言葉にチェン参謀長は笑みを浮かべるのである。そして殴り込み艦隊は誘導に従い航行を開始するのであった。
「しかし、小惑星の数が多いな……」
「それにガスもだな……」
「レーダーは?」
「駄目です。どうやら小惑星が多すぎるあまり反射波が効かないようです」
「有視界か……」
その時、殴り込み艦隊の前衛に位置していた無人巡洋艦が爆発したのである。
「無人巡洋艦『C-22』爆発!! 誘爆を繰り返しています!!」
「全艦戦闘配置!!」
「全艦戦闘配置!!」
(さぁて……この宙域は原作でもあったが……どうなるやら……)
そう思う将和であった。
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