閑話 ガミラス戦役(改訂)
ガミラスとの接触は第二次内惑星戦争が終結した西暦2183年から8年後の西暦2191年4月であった。4月1日、天王星の監視ステーションが太陽系に進入してくる未確認飛行物体ーーガミラス艦隊を捉えたのだ。
「火星自治政府軍の残党ではないのか!?」
「明らかに艦影が違います!! コイツは……ッ」
「……本当の異星文明……というわけじゃな」
「長官、直ちに艦隊の出撃をッ」
「ウム」
この動きに国連宇宙軍は直ちに内惑星艦隊の出撃を発令した。戦艦6、巡洋艦20、駆逐艦34隻の艦隊は司令官には第二次内惑星戦争で活躍した沖田大将が就任して冥王星沖にて先遣艦『村雨』を派遣してガミラス艦隊の動向を監視する事にした。
しかし、国連統合軍の軍務局は火星自治政府宇宙軍の残党と判断して攻撃を命令。攻撃命令に反抗した沖田大将は艦隊司令官を芹沢軍務局長の判断で解任し先遣艦『村雨』に攻撃命令を発令した。
『村雨』は攻撃するも『村雨』が搭載する高圧増幅光線砲はガミラス艦の装甲を貫通する事が出来ず『村雨』は瞬く間に撃沈されてしまう。その後、ガミラス艦隊は地球艦隊にも攻撃し生き残ったのは戦艦『霧島』、巡洋艦3、駆逐艦7隻という八割以上も喪失してしまうのである。
そしてガミラス艦隊は再度太陽系に侵攻してきたが、カ式次元宇宙エンジンを搭載した新規艦隊30隻(戦艦2、巡洋艦8、駆逐艦20)は海王星沖でガミラス艦隊と激突、地球艦隊は巡洋艦2、駆逐艦7隻を喪失もガミラス艦隊を壊滅させる事に成功するのである。(西暦2192年 『海王星沖海戦』)
「だが直ぐにガミラスは出てくるだろう。油断はしてはならないのぅ」
宇宙軍出身の正信は必ずガミラスは再度侵攻してくると踏んでいた。それは正しくガミラスは冥王星を占領し基地化していたのだ。
「冥王星からガミラス艦隊の出撃を確認しました!!」
「北米艦隊、欧州、ロシア、中国艦隊が出撃します!!」
「バカな、早すぎるッ!!」
「呼び戻せ!!」
「間に合いません!!」
この海戦ーー第二次天王星沖海戦は地球側が敗北した。というのも四個艦隊(約600隻)はまだカ式次元宇宙エンジンを搭載していない旧式艦艇で編成された艦隊を出していた。本来なら四ヶ国とも波動エンジン搭載艦就役まで出撃は控えるべきだったが中国は国民の感情、ロシアは北米を抑えて主導権を握るため、欧州も似たり寄ったり、北米は大統領選挙も控えていた事もあり此処で勝つ意味があったので日本の制止を振り切っての出撃だった。そして西暦2193年、第二次天王星沖海戦が勃発するのであった。
そして四個艦隊は各個撃破という形でほぼ全滅したのである。この海戦で国連宇宙軍の戦力は日本宇宙軍艦隊を残してほぼ壊滅する。
このため地球ーー日本はほぼ独力でガミラス艦隊に対処する事を迫られるのである。(カ式次元宇宙エンジン換装前の欧州連合軍艦隊も同様に壊滅しているため)
翌年の西暦2194年、ガミラスは冥王星を主力の基地化とし天王星、海王星にも派遣基地を置いているのを監視ステーションが確認した。国連宇宙軍は三星を攻撃する計画を企図するも正信が却下した事で基本的に迎撃に徹する方針となる。(この時に火星沖でも海戦があり国連宇宙軍は大敗している)
西暦2195年、日本宇宙軍は土星を絶対防衛圏に設定し波動エンジン搭載の二個艦隊ーー宇宙母艦を主力にした機動艦隊ーーで侵攻してきたガミラス艦隊を奇襲攻撃し壊滅させるのである。
この時、将和も少尉として改装空母『隼鷹』のパイロットとしてこの海戦に参加していたのだ。なお、この時に将和は敵機8機を撃墜し敵空母2、戦艦1、駆逐艦3を撃沈していた。
「今回は勝てても何れは数で押されるじゃろ。今のうちに土星宙域から撤退をも視野する」
「しかし、土星の衛星エンケラドゥスにはコスモナイト90が豊富にありますぞ。コスモナイト90はカ式の量産には必要不可欠です」
「ウム、じゃがエンケラドゥスでのコスモナイト90の採掘は中止じゃの。だが、撤退までに採掘を優先させて備蓄せねばなるまいのぅ」
「そうなると……」
「ウム……直ちに全宇宙艦艇を集結させるんじゃ」
「決戦場所はどうするのですか?」
「土星じゃな」
国連宇宙軍総司令長官に就任した三好正信宇宙軍元帥大将は土星宙域にて全宇宙艦艇の集結を発令。第二次内惑星戦争後に予備艦入りしていた艦艇や新造艦、訓練未成艦等も含めた総勢350隻を土星宙域に集めさせた。
正信も『金剛』改型の『金剛』に乗艦して参戦した。西暦2195年7月7日、両軍は土星沖にて激突したのである。
「全艦、ミサイルを連射しつつカッシーニの隙間まで後退じゃッ」
正信はそう指令し国連宇宙軍聯合艦隊150隻はミサイルを連射しつつカッシーニの隙間まで後退する。約250隻のガミラス艦隊は遠距離からの砲撃をしつつ少しずつ距離を詰めていく。カッシーニの隙間に到着するまでに10隻近くを喪失した聯合艦隊であるが、カッシーニの隙間には土方大将率いる別動隊200隻(各国のカ式次元宇宙エンジン未搭載である『金剛』級15隻、『村雨』級50隻、『磯風』級135隻)が待機しており、各巡洋艦と戦艦は艦首に搭載した20.3サンチ陽電子衝撃砲と36サンチ陽電子衝撃砲をガミラス艦隊が射程距離に入り次第、一射撃5隻単位で砲撃を開始したのである。
「な、何だと!?」
瞬く間に撃沈されていく味方艦艇に驚愕するガミラス軍指揮官を他所に正信の主力艦隊が反転してきてガミラス艦隊に突撃する。
「今だ!! 全艦、ありったけの主砲とミサイルを敵に叩きつけろォ!!」
勝敗は決した。
ガミラス艦隊は82隻の残存艦を纏めて土星宙域から撤退を開始した。国連宇宙軍も15隻近くを喪失したが完勝に近い勝利であった。この勝利後、国連宇宙軍の主導権はほぼ日本が手中に納める事になる。
しかし、この戦い以後に国連宇宙軍はコスモナイト90を大量に残存艦艇に載せまくって土星宙域からの撤退をも開始するのである。また、木星宙域からも撤退し新たな絶対防衛線を火星宙域に設定するのであった。だが、ガミラス軍も只では起きなかった。
西暦2196年4月2日、10数発の遊星爆弾が国連宇宙軍の迎撃を掻い潜り5発が地球に着弾した。そのうちの二発は日本の神奈川県と香川県に着弾したのだ。更に残りの三発は北大西洋、北米の五大湖、地中海に着弾した。北大西洋と地中海に着弾した遊星爆弾は大規模な津波を引き起こし、北大西洋に着弾した遊星爆弾の津波は北米の東海岸、アフリカ大陸の西海岸、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガルの各海岸を襲い人々を海に引きずり込んだ。それは地中海に着弾した遊星爆弾も同じでありイタリアを筆頭に欧州の各国に大量の難民を引き起こしたのである。
また、五大湖に着弾した遊星爆弾は北米の工業地帯であるデトロイト等を吹き飛ばし生産力を著しく低下させられたのである。
この落着を切っ掛けに遊星爆弾が地球に降り注ぐ事になる。無論、国連宇宙軍も迎撃を行い遊星爆弾を宇宙空間で破壊する事に成功したりするがガミラス艦隊の妨害もあったりと徐々に影響が出始めたのである。
「ガミラス軍を火星沖で撃滅するしかあるまいのぅ」
正信は復帰した沖田大将に下駄を預けた。沖田艦隊は全てカ式次元宇宙エンジン搭載艦に改装又は更新されておりその戦力は旗艦『霧島』を含む戦艦7、巡洋艦25、駆逐艦42、宇宙母艦6隻の再編成された日本宇宙軍の第一艦隊であった。
対してガミラス艦隊ーーこの頃に惑星ザルツで編成されたザルツ空間機甲旅団が派遣ーーは超弩級戦艦1、戦艦18、巡洋艦38、駆逐艦54、宇宙母艦4が火星沖に進出したのだ。
数ではガミラス艦隊のが圧倒的に上であったが地の利は日本側が上回っていた。また、火星の衛星フォボス周辺には航空隊用のグラディウスステーションが展開しており日本宇宙軍の第202航空団、第251航空団、第352航空団の計180機が応援可能としていた。
先手を取ったのはガミラス艦隊であった。
「ガミラスの宙雷戦隊が来ます!!」
「落ち着いて砲撃せよ。航空隊にも応援を出すんだ」
ガミラスの駆逐艦隊が突撃してくるがこれは航空隊と『磯風』改型駆逐艦の迎撃によって阻止された。そして両艦隊は同航戦による砲撃戦を開始した。
ガミラス艦隊は陽電子ビームを第一艦隊に叩き込むが第一艦隊は新防御兵器である電磁防壁もあってか無傷であった。
「何故だ……何故奴等はシールドを持っているんだ!?」
旗艦『シュバリエル』でシュルツ大佐は映像を見ながらそう吠える。開戦初期は圧倒していた筈のガミラス軍だった。しかし、今では地球側に圧倒されつつあったのだ。
結局、ガミラス艦隊は火星沖でも敗北した。シュルツの空間機甲旅団は戦艦11、巡洋艦16、駆逐艦34隻を喪失し火星宙域から撤退したのである。
以後、シュルツは艦隊保全主義を取り遊星爆弾の攻撃をより一層強めるのである。しかし、遊星爆弾の攻撃を行おうにも国連宇宙軍の艦隊はカ式次元宇宙エンジン搭載艦に全て完了しており、更には火星~月宙域での迎撃態勢が完了していた事もあり西暦2198年以降の遊星爆弾が地球に落着する事は無くなったのである。
その一方で第二次火星沖海戦の勝利で沖田大将は正信と同じく英雄に祭り上げられる事になる。
それから数日後、イスカンダルからの使者が密かに地球に訪れた。国連宇宙軍はイスカンダルからの使者の言葉を信じて陽動作戦でもメ号作戦の艦隊編成に移行する。そして翌年の西暦2199年1月10日、再編成した第一艦隊、第一航空艦隊の2個艦隊は地球を出撃し一路、冥王星に向かうのであった。
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