「『C-22』はどうか?」
「駄目です。通信機器がやられたようで此方からの命令を受け付けません」
「駄目か……仕方ない。それで敵艦隊の位置は?」
「我が艦隊から十時の方向です。数は約19ッ」
「砲雷撃戦用意!!」
「砲雷撃戦用意!!」
「各艦準備出来次第砲撃開始!!」
「了解!!」
殴り込み艦隊は準備出来次第砲撃を開始する。三斉射で5隻を沈めたがそれでも暗黒星団帝国艦隊は砲撃してくる。
「無人艦隊を前進させろ。『高雄』の三木司令に連絡。『高雄』は巡洋艦隊を率いて側面から攻撃せよとな」
「了解です!!」
「こ、後方から新たな艦隊です!!」
「何?」
「将和、データ照合だと地球攻略軍の艦隊らしい」
「何? という事は地球からわざわざ此処まで追っ掛けてきたのか」
そして将和は思案し直ぐに判断する。
「『春藍』に連絡。『春藍』は第七艦隊配下艦を従えて後方の敵艦隊に当たれ。残りはこのまま前方の艦隊を片付けるッ」
「了解ッ」
相原が直ぐに『春藍』に連絡を入れる。連絡を受けた山南司令はニヤリと笑う。
「宜しい。第七艦隊全艦は反転、後方の敵艦隊を殲滅するぞ」
「司令、此処は逆鶴翼の陣を取りましょう」
「ほぅ、『春藍』を先頭にしてかね?」
「バカデカイですので砲撃が集中するでしょう。その間に他の艦で叩いてもらいます」
「宜しい。フォーク准将の案でいこう」
斯くして第七艦隊の艦艇は反転、『春藍』を中心の先頭にした逆鶴翼の陣に移行して敵艦隊に砲撃を開始するのである。そして砲撃は殴り込み艦隊が制したのである。。
「敵艦艇、遁走します!!」
「逃がしてやれ。但し追跡艦を出してな」
「了解です」
「成る程。奴等に道案内をさせるわけですね」
「そういうこったな」
その後殴り込み艦隊は敵艦艇が遁走したルートを絞り暗黒ガスと岩石が浮遊する宙域を航行する。
(敵艦艇は逃げ切ったが……ルート的には合ってる。ただ問題は見えない程の暗黒ガスが吹き荒れての岩石群の衝突を回避だが……原作はサーシャの超能力で回避出来たがはてさて……)
見えなくなりつつある宙域に将和は腕を組んで代案を考えるが代案らしい代案は出てこない。そこへ『春藍』から通信が来た。出てきたのは山南司令とフォーク准将であった。
「どうされましたか山南司令?」
『ウム。フォーク准将からの具申があってな』
「具申? フォーク、何かあるのか?」
『はい。このガス雲と岩石群から無傷で乗り切る方法です』
「ほぅ………何か案があるのか?」
『はい。岩盤を纏うのです』
「ッ……そういう事か……」
フォークの言葉に将和はニヤリと笑う。
「よし、フォークの案を採用してこのガス雲と岩石を抜けるぞ!!」
『ありがとうございます司令』
「なに、お前の案が一番の適合だからな。相原、直ちに全艦に通達、反重力感応機の準備を急がせろッ」
「分かりましたッ」
直ちに全艦が反重力感応機を主砲から発射して周囲の岩石に打ち込み艦体に装着させていく。
「岩石はけちるなよ。特に艦橋は重視しておけ」
「まぁ艦橋は不意を突かれて当たりそうだな……」
(不意じゃなくて本当に当たりそうになるんだよ)
トーレの呟きに将和は内心、そうツッコミを入れるのである。そして殴り込み艦隊は無人艦数隻(岩盤装着付)を先頭に航行を開始するのである。
「スカさん、今のうちに休憩しとけ」
「分かった。なら一時間程休憩してこよう」
将和の言葉にスカリエッティは頷き、スカリエッティは薫に任せて休憩に入った。小腹も空いていたので食堂で軽く摘まめるモノをと思い食堂に向かうと御茶と御茶菓子をプレートに置いて持つリンディがいた。
「おやおや、珍しいものだね」
「スカリエッティ……ッ」
リンディはスカリエッティを見つけると険しい目つきになる。が、スカリエッティは気にせずコーヒー(カフェインレス)を注文する。
「まぁなんだ、話でもするかい?」
「……そうね」
二人はそう言って席に着く。席に着くなりリンディは御茶に角砂糖をボタボタと入れていく。1個ではない、複数である。
「……茶に対する冒涜かな?」
「え、何が?」
「……いや、何でもない」
触れてはいけない闇の部分なんだろうとスカリエッティはそう自身を納得させコーヒーを啜る。リンディも御茶を啜るがその様子は警戒心がマシマシであった。
「フッ安心したらいい。私の手元にはデバイスは無いからね」
「……でも娘達には装備しているでしょう?」
「彼女達はあくまでも自衛の為だ。何ならデバイスの記録を見ても構わないが?」
「抹消されている可能性も否定出来ないわ」
「おやおや……」
「……スカリエッティ」
「何かな?」
「組織に縛られるのが嫌だった貴方がどうして地球連邦軍に入ったの?」
当初は志願の特務枠だったスカリエッティ一行、だが白色彗星戦役後は正規に任官して地球連邦軍入りしていた。かつてのスカリエッティなら脳みそ達の指揮下に入って闇の事をしていたがそれを裏切ってスカリエッティ達は事を起こし鎮圧された。そのスカリエッティが何故任官したのか、リンディはそれが気になったのだ。
そして問われたスカリエッティはというとニヤリと笑みを浮かべた。
「なに、簡単な事だ。波動エンジンに夢があるからだ」
「夢……?」
「そうだ。波動エンジンはかつて、星と星を渡るために古代イスカンダル人が作り上げた恒星間エンジンだ。今でこそ波動砲という究極の武器はあるもののそもそもの論点に代わりは無い。だからこそ私は波動エンジンに夢があると思っているからだ」
「……貴方がロマンチストとは知らなかったわ」
「おや、魔法が存在する世界に住んでいた者の発言ではないな」
「……フフッ、確かにそうね……」
スカリエッティの言葉にリンディも思わず苦笑してしまう。そしてスカリエッティの腕時計がピピッと鳴る。終了10分前のアラームだった。
「さて、休憩の終了だ。貴女のお役に立てたかな?」
「えぇ、勿論」
「それは何より」
スカリエッティはそう言って残っていたコーヒーを飲み干して食堂を後にするのである。そして残ったリンディは一人、リンディ茶を啜る。
「……この世界は管理局から見れば異常……でも……(この世界から管理局を見れば異常……というわけね。何とも……両方とも度し難い世界ね……)」
そう思うリンディであった。途中、幾度も巨大な岩石に当たるも咄嗟の波動防壁の展開と反重力感応機を装着して纏った分厚い岩盤により切り抜けたのである。殴り込み艦隊は暗黒ガスと岩石群の宙域を抜けたのである。
「あぁ……ッ」
「これは……」
「何とも綺麗な……」
暗黒ガス等が大量にあった黒色銀河を抜けるとそこはただただ、綺麗な世界とも言える白色銀河であった。宇宙は黒をイメージする世界であるが白色銀河は宇宙空間が非常に明るかったのだ。将和達が思わず感動してしまうのも無理はなかった。
「スカさん、航路は?」
「うん。針路は0-8-0だ」
「分かった。島、針路0-8-0だ」
「了解。針路0-8-0、ヨォーソロォー」
そして殴り込み艦隊は示された針路を航行するのであるが、将和はスカリエッティに呼ばれた。
「どうしたスカさん? 大事な話だから艦長室と言われたけども……」
「そうなんだ将和。とても大事な話だ」
「??」
いつになく、真剣な表情をするスカリエッティに将和は首を傾げるがスカリエッティは意を決して口を開いた。
「敵の本星に到着したら俺達は一旦、地球を裏切るつもりだ」
「何……?」
スカリエッティの言葉に将和は目を見開く。そして次の言葉に更に目を見開くのである。
「将和、俺は敵の側近に惚れてしまった!!」
「………………………………それ、サーダやんけェェェェェェ!!」
スカリエッティの決意に思わずそう突っ込んでしまう将和であった。
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