「はい、第一回スカさんの惚れた女強奪計画開催~」
「パフパフ」
「……何これ?」
艦長室に集まったウーノ、ドゥーエ、トーレ、クアットロ、セッテは将和とスカリエッティに視線を向ける。向けられた将和は肩を竦めながら口を開いた。
「そのままの意味だ。どうやらスカさん、敵さんの側近にいる女性に惚の字なんだよなこれが」
『博士………』
「惚れて何が悪い!! 私も一応は男だぞ!!」
将和の言葉にウーノ達がスカリエッティに軽蔑の視線を向けるがスカリエッティはスカリエッティで娘達の軽蔑の視線は何のそのであった。
「まぁまぁ落ち着け………スカさん、一つ聞きたい」
「何だい将和?」
「………本当にサーダを救いたいんだな?」
「ッ……勿論だ!!」
「よし、ならいい。助ける方向にしよう。なぁに、助けた後はうちの親父が何とかするやろ」
ニカッと笑う将和である。
「将和……」
「んでまぁ……どのように接触してサーダを助けるかだが……やっぱ此処は原作通りにやるしかねぇわな」
「原作通りに……?」
「あぁ。多少のアレンジをしてな」
スカリエッティの呟きに将和はニヤリと笑う。そこへ呼び出し音が鳴る。
「どうした?」
『艦長、大村です』
「どうしました大村さん?」
『はい、白色銀河の一部に発光点を続ける星を発見しました。まだ距離が遠すぎて星は見えませんがどうしますか?』
「分かった。艦橋に向かう」
将和は直ちに艦橋に向かい、状況を確認する。
「状況は?」
「2時方向の星です」
映像を見るが確かに点滅をしていた。発光信号でもなかった。
「発光信号やモールス信号でもありません。一定時間での発光点滅をしています」
「ウム……」
「敵の本拠地でしょうか?」
「本拠地とは言い難いと思います。罠の可能性は十分有り得るかと……」
大村とチュンはそう将和に具申する。程なくして山南の『春藍』からも通信が入り、罠の可能性と敵の本拠地の可能性と伝えてくる。
しかし将和は前進する事を選択した。
「艦隊、無人艦を前衛にして前進する」
「司令ッ」
「虎穴に入らずんば何とやらだ。前に進まねば先に行けないしな」
「ですが……」
「だからこそ無人艦を先に前進させて様子を探らせる」
「無人艦だからこそ出来る運用ですな」
「そういう事だ」
チュンの言葉に将和は頷く。直ちに無人小型艦4隻が先行して様子を伺う事になる。しかし、4隻からは特に異常は無かった。
(……ほんとは行きたくないが……)
将和はそう思う。将和としては原作だと黒色銀河で遭遇するゴルバ型浮遊要塞と交戦していないのが気掛かりだった。そうなる意味もあって先に無人艦を先行したのだが無人艦からはそういった報告は無かった。
(となるとデザリアム本星での遭遇か……?)
判断状況が少なかった。だが、将和は前進を選択した。虎穴に入らずんば何とやらだ。
そして前進を開始した殴り込み艦隊、先行していた無人艦4隻と合流し更なる前進をするが宙域が段々と再びガス星雲のガスの密度が増してきたのだ。
「タキオンレーダー、索敵が著しく低下します」
「……目視での監視をしろ」
目視での監視が行われる中、事態が動いたのは11分後であった。
『此方右舷ウィング、敵艦らしきモノ見ゆ!!』
『3時の方向、距離15万宇宙キロ!!』
「メインパネルに切り替えろ!!」
直ちにメインパネルが作動して3時方向を映す。3時方向もガス星雲の密度が濃かった。しかし、何かがいるのは間違いなかった。
「先に仕掛ける。主砲用意」
「主砲発射用意!!」
『三笠』の51サンチ陽電子衝撃砲が右舷に旋回して照準する。
「準備宜し!!」
「主砲、斉射三連!!」
「撃ェ!!」
『三笠』の陽電子衝撃砲が斉射三連して吠える。弾道はガス星雲に消えるがパキィンパキィンと四方にエネルギーが散った。
「主砲を跳ね返しただと……ッ」
「呆けるな、連続斉射だ!!」
「りょ、了解!! 主砲連続斉射!!」
呆ける南部にトーレが叱咤して更に主砲が斉射する。しかし、エネルギー弾はガス星雲に入った瞬間に敵の装甲が貫通せずに四方に飛び散る。
(やっぱりか……)
「コイツは一体……」
「敵がガス星雲から抜けます!!」
そしてガス星雲からヌゥッと出てきたのは………ゴルバだった。しかも原作と同じく7基もいた。
「浮遊要塞か……ッ!?」
「全艦砲撃!! 砲撃しつつ後退せよ!!」
殴り込み艦隊は直ちに砲撃を開始する。だが、エネルギー弾は全てゴルバ型浮遊要塞の硬い装甲に阻まれて効果は無かった。
「ククク……この浮遊要塞にそんなチャチな主砲が効くか!!」
浮遊要塞司令官のグロータス准将は殴り込み艦隊からの砲撃にニヤリと笑う。
「全く……魔女が後退というからこの宙域で待機していたが……今度は此方の番だ。包囲陣形に移行しつつ速射ビーム砲で牽制せよ。包囲したら空間重魚雷を連続発射ァ!!」
浮遊要塞7基は包囲陣形に移行しつつ速射ビームで包囲した。そして包囲させたら腹部分に設置していた空間重魚雷を連続発射したのだ。
「敵超大型魚雷接近!!」
「波動防壁展開!! 対空防御ォ!!」
『三笠』は波動防壁の展開で重魚雷からの攻撃を逃れていたが他艦は展開が一歩遅かった。
「巡洋艦『ハーゲン』『ウィチタ』轟沈!!」
「更に無人大型戦艦『フィランギ』『ロンパイア』『クシポス』も轟沈!!」
「戦艦『ローマ』通信途絶!!」
「全艦分散しろ!!」
「駄目です!! 包囲が厚すぎます!!」
「波動防壁46%まで低下!! このままでは……」
「将和!!」
「どうしたスカさん!?」
「波動カートリッジ弾を使おうッ」
「何?」
「まだ、テストもしていなかったら具申しなかったが……この状況だ。一か八かやってみよう」
「分かった。主砲に波動カートリッジ弾を装填!! 『春藍』以下に連絡、『三笠』は波動カートリッジ弾を使用する。無人艦を盾にしつつ砲撃して時間を稼ぐんだ!!」
「了解!!」
「自分は作業に向かいます!!」
「行け南部!!」
直ちに南部が主砲塔に向かう。その間にも浮遊要塞群からの攻撃は続いていた。
「早くしろ!!」
揚弾機から波動カートリッジ弾が主砲塔に押し揚げられ、砲員達が波動カートリッジ弾が砲に装填する。
『装填完了!!』
「トーレ、主砲発射用意!! 手前の浮遊要塞の魚雷発射口を狙え!!」
「了解した!!」
主砲4基に波動カートリッジ弾が装填完了し主砲が接近しつつある手前の浮遊要塞ーーグロータス准将の乗艦ーーに照準を合わせた。
「撃ェ!!」
4基12発の波動カートリッジ弾が連絡発射され、空間重魚雷発射口に次々と突き刺さって内部に潜り込んだ先で爆発、内部に装填されていた波動エネルギーを解放したのである。
「ヌッ!?」
誘爆により浮遊要塞の艦橋にも爆風が舞い込む。そして爆発がグロータス准将を包み込んだのであった。
「ヌアアァァァァァァァァァァァァァ!?」
轟沈したグロータス准将のゴルバ型浮遊要塞、しかし左舷にいた浮遊要塞も誘爆してこれも爆沈した。だが、面白い事に次々と他の浮遊要塞群も爆発していき爆沈したのである。
「やったぞ!!」
「流石はスカさんだ!!」
「……………………」
太田や相原達が喜ぶ中、スカリエッティだけは喜ぶ表情ではなかった。
「どうしたスカさん?」
「おかしい……波動カートリッジ弾にあんな連続して誘爆するような機能は無い」
「そうなんですか?」
「あぁ。あの波動カートリッジ弾の内部には波動砲の規定エネルギー量の1/100の波動エネルギーしか入っていないんだ……恐らく、敵のエネルギーと何らかの共鳴反応を起こして爆発連鎖したのかもしれないな……」
そう呟くスカリエッティである。
「取り敢えずは確認しておいてくれスカさん」
「分かった、任せてくれ」
「相原、全艦に被害状況を伝達してくれ」
「分かりました」
そして20分後に被害状況が纏められて将和の下に届いたのである。
「無人大型戦艦7隻、自動駆逐艦10隻、パトロール艦5隻が撃沈されたか……」
「それに損傷艦も戦艦『ローマ』『アイアース』『リシュリュー』、巡洋艦5隻、無人大型戦艦3隻になります」
「補給艦の『サクラメント』と『ブルー・リッジ』を置いて修理に専念させよう」
「分かりました」
将和の言葉にチュン参謀長が頷き、チュンはそれを各艦に伝える為に退出する。
「……誘爆どうすっかな……」
「今良いかい将和?」
「どうしたスカさん?」
そこへスカリエッティが艦長室に入ってくる。
「例の件だが……」
「あぁ、サーダ救出? 一応案はあるぞ」
「ほ、ほんとかい!?」
「あぁ、耳貸せ」
「み、耳を貸すのかい!?」
「比喩表現だから心配すんなっての。良いか? ーーーーーーーーーーーーーーー」
そして殴り込み艦隊は損傷艦を置いて前進を開始した。目指す場所は発光点滅を続ける星である。殴り込み艦隊は距離の測定をしたので一気にワープをして近づく事にした。
「……ワープ終了……ッ」
「か、艦長!? ぜ、前方の星……」
「………地球……………だな」
殴り込み艦隊の目の前には飛び立った筈の地球があったのであった。
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次回は殴り込みの時間だ