「各部、警戒は怠るなよ!!」
南極から突入した『三笠』と『雪風』は人工都市へ続く通路を全速力で航行していた。そして出口が見えて駆け抜けた。
「……あれは……ッ」
2隻の先の先……………煌びやかに輝く水晶のような建物が多数あった。あれが人工都市なのだろう。その人工都市からミサイルが発射された。
「敵ミサイル発射!! 大型です!!」
「対空防御!! 主砲発射用意!! 目標、敵人工都市!!」
「準備完了!!」
「一斉射のみだ、撃ェェェ!!」
『三笠』が一斉射で砲撃する。着弾すると人工都市が爆発していく。
「今だ!! トチロー、『雪風』を突入させろ!!」
「合点承知の助だ!!」
トチローが操作をして『雪風』を最大速度で人工都市に突入させる。波動防壁を展開していたので『雪風』に損傷は無かった。将和は直ぐにスカリエッティに連絡を入れた。
「スカさん聞こえるか!? 『雪風』をくっつけさせたぞ!!」
『此方スカだ。直ちに『雪風』に向かう!! それとトチローに『C-02』を発令させてくれ!!』
「何だ?」
『ウイルスだよコンピューターウイルス!! 奴等のメインコンピューターに侵入してウイルスをばら蒔くんだ!! 制御室で全各所に振り撒くよう仕掛けている!! 無論、奴等にも効くようにな!!』
「奴等に効く? どうやって?」
『コンピューターウイルスだと言ったろ? 人間で例えたら風邪を引かせるんだ!!』
「大丈夫だスカさん、既に『C-02』は『雪風』を通して流している!!」
そこへ操作を終えたトチローがニカッと笑う。
『流石はトチロー。此方も直ぐに向かう!!』
そう言うスカリエッティだった。その頃、スカルダートも漸く警備隊が銃撃して来ないのを見て制御室に突入するともぬけの殻でありコントロール装置が完全に破壊されていた。
「修理にどれくらいの時間が掛かるのだ!?」
「少なくとも数時間は……」
「30分以内に終わらせろ!! これは命令だ!!」
「聖総統!?」
「今度は何だ!?」
「サ、サーダ様が……」
「サーダがどうした? 見つけたのか?」
「は、はい。見つかったのは見つかったのですが……」
「なんだ、ハッキリと申せ!!」
言い淀む部下にスカルダートがそう言うと部下も意を決して口を開いた。
「それが……敵と一緒に行動を共にしているのです」
「何!? 人質か!!」
「いえ……人質では無い様子でした」
「………おのれサーダめ!! 裏切ったなァ!!」
部下からの報告に全てを理解したスカルダートは激怒した。
「構わん、サーダごと殺せ!! 植民地惑星の奴隷だからと言って侮ったのが仇となったわ!!」
「は、はい!!(そらそうだろうな……)」
部下は頭を下げながらそう思い、仕事に取り掛かるのであった。その一方でスカリエッティ達は暗黒星団帝国軍の追跡から逃げつつ『雪風』が突き刺さっているエリアを目指していた。
「わんさかわんさか出てきてキリが無いな!!」
「文句を言う暇があるなら撃ちなさいトーレ!!」
「分かっている!!」
ドゥーエの文句にトーレはそう言って迫り来る敵兵士達に向けて射撃をして倒していく。
「博士、奴等はまだ風邪を引かないのですか!?」
「もうちょっとで流行してくる。何せ流行を長引かせるように9999通りのコンピューターウイルスを送り込んだからな!!」
ドゥーエの問いに走りながら答えるスカリエッティである。そして数度の銃撃をする中、不意に銃撃が止んだのである。
「銃撃が……」
「効いてきたな」
スカリエッティはニヤリと笑みを浮かべて急に倒れて身体からオーバーヒートの煙が出ている敵兵士達を見る。
「これで暫くは時間を稼げる。さぁ行くぞ!!」
そして4人は再び走り出す。スカリエッティが仕掛けたコンピューターウイルスは巧妙かつ大胆なモノであった。というのも将和から敵はサイボーグと聞かされていたので敵の本星は元より艦艇等にもメンテナンス用の回路はあると踏んでいた。それを鹵獲した護衛艦『ボローニャ』のメインコンピューターから探っては見つけていたのだ。
そして制御室からコンピューターウイルスを流した時、メンテナンス用のコンピューター回路にウイルスを流し込んで回路をウイルスに感染させた。メンテナンス回路は赤外線や有線等を通して敵兵士達のメンテナンスをしていたので後は感染を待つだけだった。
ウイルスに感染した敵兵士の身体は感染対策が地球人がかつて天然痘を撲滅したように対策はサイボーグにインプットされていなかった。その為兵士達の身体は次々とオーバーヒートを起こして機能を停止していたのだ。
「何!? オーバーヒートだと!? 馬鹿な、メンテナンスは済んだばかりだぞ!!」
勿論、それはスカルダート本人も機能を一時停止をせざるを得なかった。ちなみにサーダは対策を施したディスクをスカリエッティが渡してインプットしていたので問題は無かった。
そして4人は『雪風』が突き刺さったエリアに到達した。
「中に入るぞ!!」
暗証番号を入力して『雪風』の中に入り艦橋に入る。
「此方スカリエッティだ!! 将和、聞こえるか!!」
「『雪風』から通信です!!」
『此方スカリエッティだ!! 将和、聞こえるか!!』
「聞こえるぞスカさん!!」
『荷物を含めて全員無事だ!!』
「了解した!! トチロー!!」
「任せろ!! ……………よし、『雪風』コントロール復帰!!」
「よし!! 『雪風』はそのままワープして離脱させろ!! 波動砲発射用意!! 波動砲発射後はワープして現宙域を離脱!! 相原、山南さんにもワープでの退避を伝えろ!!」
「了解!!」
「エネルギー弁閉鎖。 エネルギー充填開始!!」
「セイフティーロック、解除。ターゲットスコープ、オープン。電影クロスゲージ明度20。発射モード集束モード!!」
先程と同じく艦長席に拳銃型の波動砲の発射スイッチが出てくる。
「エネルギー充填120%!!」
「発射10秒前、対ショック、 対閃光防御。最終セイフティー、解除!!」
『三笠』の艦首波動砲口に青白いエネルギーが徐々に集まり出してくる。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1!!」
「波動砲、撃ェェェェェェェェェェッ!!」
『三笠』は人工都市に向けて波動砲を発射した。波動砲が直撃した人工都市は建物を吹き飛ばしながら消滅していく。
「ヌウワァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
聖総統スカルダートも波動砲の青白いエネルギーに包み込まれ原子まで分解されたのである。急速に崩壊していくデザリアム星、『三笠』は北極への通路を最大速度で航行しながらワープ準備していた。
「ワープ準備!!」
「ワープ5秒前!! 4、3、2、1」
「ワープ!!」
そして『三笠』がワープする。『三笠』がワープした直後に爆風が『三笠』がいた宙域を襲うも『三笠』はワープしたので無事であった。
『三笠』はデザリアム星からワープし白色銀河の入口まで来た。
「……何とかなったな」
「どうやら……そのようですな」
将和の呟きにチュン参謀長がそう答える。
「相原、山南さんとスカさんに連絡を入れろ。全艦、白色銀河入口に集結せよ!!」
「了解ですッ」
そして全艦が集結したのは五時間後の事であった。『雪風』も集結し『三笠』からシーガルが発艦してスカリエッティら4人を収容した。
「スカさん、その人は……」
映像を見ていた島達はサーダがいる事に驚くがスカリエッティは頷く。
「大丈夫だ。この人は元々から味方の人だったんだ」
「味方ですか?」
「ん。奴等が占領した惑星の住人でスカルダートの奴隷だったんだ」
「そうだったんですね……」
スカリエッティが言ったのは真実七割嘘三割であるが島達は真実と捉えたようである。
「後、地球に帰ったらこの人と結婚するから」
『ハァッ!?』
「カッカッカ!! 面白いなぁ……さて、積もる話は後にして帰ろうや、故郷へ!!」
『オオォォォォォォ!!』
そして殴り込み艦隊は地球に向けて帰還するのである。その後ろの白色銀河はデザリアム星が消えた事で崩壊しつつあった。それは支配者が消えた星々達の歓喜なのか、それとも新たなる戦乱の幕開けなのかは分からない。
「そうか、勝ったようじゃな」
地下都市の野戦病院で頭に包帯を巻いた正信は芹沢からの報告に満足そうに頷いた。そして隣のベッドに収容され横になっていたギルバート・アルフォン少尉に視線を向ける。
「これも少尉のおかげじゃな」
「………私がしたのは未来にヒントを与えただけ……私は裏切り者だ」
「そう言って西条君を突き放すのかね?」
「………………………」
正信の言葉にアルフォン少尉は口ごもる。地球占領中、アルフォン少尉は負傷気絶していた西条未来を自身の屋敷に収容して保護していた。敵である西条に惹かれていたのだ。だからこそ西条を逃がして重核子爆弾の情報を与え自身を撃たせようとした。
それこそアルフォン少尉自身の償いであるとしたからだ。そして、爆弾の破壊に来た西条は撃った。但し、それは急所を外してだ。
「何で外したかですって? 私も貴方を愛しているからよ!! しっかりと責任を取ってもらうわ!!」
涙を流す西条にアルフォンは何も言えなかった。なお、視界の端では北野が振られたショックで泣き、それを古野間が北野の肩にポンと置いて慰めていたりする。
「まぁ捕虜でも地球に帰化すれば国籍、戸籍は与えるから心配せんでも良いわい」
「……しかし……」
「まぁ他の者がどうするかは自身で決めてもらうがの」
「……部下の配慮に感謝する」
「なに、一度戦争が終わればそこには敵味方は無いからの」
フォッフォッフォッと笑う正信であった。
アルフォン少尉は生き残りました。
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m