デザリアム星が消滅した事で帰る場所を失った暗黒星団帝国軍の地球占領軍はこの時に2万人前後の捕虜になって月に収容されていた。
防衛軍総司令本部に戻った正信が彼等にしたのは地球に帰化するか否かであった。
「帰る場所が無いんじゃ。どうせなら帰化するのがオススメじゃな。まぁ暫くは監視付きになるがの」
正信の言葉に彼等は迷った。帰化せずに奴等と再度戦おうという者もいたが宇宙船は地球軍に接収されているので非武装船の提供という事であったがどうせ白色銀河に戻る途中に何処ぞの勢力に攻撃されて撃沈されるのが目に見えていた。そこへ再度正信からの秘密裏の内約があった。
「もし帰化してくれるのなら……人造で多少はまだ機械を使用している肉体を与える事は出来るぞ?」
正信はスカリエッティが前にしていた仕事を知っていたのでそう揺さぶりを掛けてきたのだ。無論、この情報には捕虜の者達も心を揺さぶられた。だが、捕虜の中でも下級兵ーー(一般兵や下士官クラス)に人気者であったアルフォン少尉が受け入れると表明を出すと下級兵達は瞬く間に帰化する事を選んだのである。
そうなると後はプライドが妙に高い上官クラスしか残っていなかった。将官クラスがいれば統率もあっただろうが、残念ながら将官・佐官クラスは全て戦死しており残っているのは尉官クラスだけだったのだ。結局は尉官クラスも白色銀河に帰るのを諦めて全員が帰化するのは半年後の事であった。
決め手となったのは戦闘機人となった元尉官が収容所に面会に来た時に語った暖かい食事の事だったと言われている。なお、戦闘機人とするのにはやはりスカリエッティの協力が必須でありむしろスカリエッティもサーダを戦闘機人とするのに研究所は必要だったので渡りに船だったのだ。
それはさておき、地球の復興は始まったばかりである。特に地表に突き刺さったハイペロン爆弾をどう破棄するかが焦点だった。
「太陽に破棄しては?」
「むしろ変に爆発して地球は元より太陽系に異常を発生させないか?」
「有り得る」
「それか無害化させてモニュメントにしては?」
「確かに。運ぶコストも考えればそれが良いかもしれん」
結局、ハイペロン爆弾は殴り込み艦隊が帰還後にスカリエッティによって無害化されるのであった。そして殴り込み艦隊が地球に帰還したのは2ヶ月後の事であった。
「長官、研究所の方は?」
「ウム。御主から言われた材料、設営の仕方で研究所は既に完成しておるよ。後は御主が研究を開始すれば研究所は稼働するかの」
防衛軍総司令部に出頭した将和とスカリエッティは正信からそう説明されていた。
「しかし暗黒星団帝国人の戦闘機人化ですか……途方も無いですね」
「流石に全滅はのぅ……だからこそサーダ嬢の事も目を瞑る代わりに一仕事をしてほしいかの。無論その分の給料もこのくらいの倍額じゃな」
「成る程。妥当な金額ですね」
「交渉成立じゃな」
ニンマリと互いに笑う二人である。
「将和も今回はご苦労じゃったな」
「かもな」
「一先ずは二週間の休みをやるから家でゆっくりとするがよいわ」
「そうするわ」
そう話す二人であった。そしてスカリエッティは研究所に行くという事なので司令部で別れて将和は実家に帰るのである。(なお、「フハハハハハハ!! 待っててくれサーダちゃん!!」と奇声を発して研究所に行くのである)
「ただいまぁ」
そして実家に帰り玄関の引戸をガラガラと開けると将和が帰ってきた事に気付いたのか奥からドタドタと走る音が近づき、アリシアが嬉しそうに将和に飛び付くのである。
「お帰りお兄ちゃん!!」
「ただいまアリシア。元気だったかい?」
「うん、地下都市って凄いところだね!!」
「ハハハ、そうかそうか」
「お帰り将和」
「お帰りなさい将和さん」
「母さん、プレシアさん。ただいま」
夕食の仕込みをしていた友美とプレシアも奥から出てきて将和を労う。
「暫くはゆっくり出来るんでしょ?」
「一応二週間の休みは親父から貰ったな」
「そうかい、ならゆっくりしていきなさい」
友美はニッコリと笑い夕食の仕込みに戻るのである。
「プレシアさんも大丈夫でしたか?」
「え、えぇ。取り敢えずは……かな」
「??」
言葉を濁すプレシアに将和は首を傾げるのであった。その後、久しぶりに実家での夕食をし風呂も入った将和は自室のベッドに寝っ転がっていた。
「『永遠に』が終わったから次は……『3』か……」
暗黒星団帝国の物語は終わった。次に起こるのは復興し銀河系内で勢力を拡大しつつあるデスラー総統のガルマン・ガミラス帝国とお仕置きだべぇ事ベムラーゼ首相のボラー連邦が『3』でシャルバート教や銀河系大戦に『ヤマト』が巻き込まれる展開であった。
(プロトンミサイルは絶対に迎撃して太陽膨張を防がんとなぁ………『3』が始まるまでにガルマン・ガミラス帝国も地球と交流してるだろうから何らかの事はあると思うが……そういやゼニー合衆国とかあったらしいけど、あるんか?)
そう思いながら将和は机に置かれたグラスに注がれたラム酒をチビチビ飲む。
「まぁ……なるようにしかならんか……」
そう思い、残りを飲んで寝ようとしたが扉をノックする音が聞こえた。
「はい?」
『プレシアです』
「プレシアさん? どうぞどうぞ」
『失礼します』
そう言ってプレシアが部屋に入ってくる。服装は薄ピンク色のパジャマであった。どうやらアリシアを寝かしつけた後だったようだ。
「どうしましたプレシアさん?」
「……以前に将和さんが言っていた『覚悟を示せ』の事なの……」
「……取り敢えずは腰かけて下さいな」
そう言ってプレシアを座らせ、新しいグラスに氷とラム酒を注いでプレシアに渡す。将和自身もさっき空になったグラスに氷とラム酒を注いで乾杯する。プレシアがチビチビ飲んでいるとポツリポツリと語りだした。
「……暗黒星団帝国が地球に降下してきた時、地下都市に避難していました。でも入口に入る手前で敵の兵士の攻撃で友美さんが負傷して三人とも命が危なかったわ」
「……………………」
「敵の兵士が近づく時、倒れていた武装機動隊の隊員が落としたコスモガンがあった。その時に貴方の言葉を思い出したの。『プレシア・テスタロッサ、覚悟を示せ』をね」
「……………………」
「覚悟って全然分からないわ……でも、アリシアを守りたい。友美さんを守りたい。そして……将和さん、貴方と共に歩みたいという気持ちは覚悟になると思う。だから私はコスモガンを取って敵の兵士に向けて引き金を引いたの」
「………そうか……覚悟はどんな事でもいい。決めた事が覚悟にだってなる。だからそれがプレシア・テスタロッサの覚悟だと俺は思うよ」
「……ありがとう将和さん……」
そう言ってプレシアは一筋の涙を流す。あの実験で此方に飛んでプレシアは人生が変わった。誰かに強要されるわけでもなく、娘と過ごせる日々が幸せだった。だからこそこの日々を守りたい。そう思ったプレシアであった。
「将和さん……」
「ちょ、プレシアさんッ」
感極まって思わず将和の胸元に飛び付くプレシア、将和は驚きながらも両の腕をプレシアの背中に回す。将和の鼻付近にプレシアの髪がフワリと舞いシャンプーの匂いが鼻腔を擽る。
「…………………………」
涙を流すプレシアは将和に視線を合わすと眼を閉じて唇をソッと出す。将和は一瞬、どうするか葛藤するもえぇいままよとプレシアの唇を合わせた。
最初は合わせるだけのキスだったのがいつしか舌と舌を交ぜ合わせるディープキスに代わるのであった。
「………良いのか?」
「………来て……」
将和の問いにプレシアはそう答えて将和を抱きしめる。その答えに将和はプレシアをお姫様抱っこで抱えてベッドに降ろして部屋の電気を消すのであった。
(フホホホホホ、これはこれは面白くなってきたわねぇ♪)
プレシアを焚き付けた友美は将和の部屋から聞こえるプレシアの喘ぎ声にニヤニヤしつつススッと去るのである。そして翌日、艶々しているプレシアと疲れた表情をする将和が朝食を共にするのであった。
「お兄ちゃん、寝不足? 夜更かしでもしたの?」
「ちょっとな……」
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