地球を出港した移民船団を将和の第十三艦隊が護衛する事になった。船団は火星沖で太陽系外縁部(オールトの雲手前)までのワープを行う事にした。
「ワープ終了」
「各艦の異常の有無報告をしろ」
「各艦、異常無しです」
「ん。相原、30分後に会議室でブリーフィングを行うから各担当者は来てくれと各艦に伝えてくれ」
「分かりました」
それから30分後に各担当者が会議室に勢揃いした。
「揃ったようだな。なら俺から自己紹介かな、艦隊司令長官兼『三笠』艦長の三好将和な。好きな定食は炒飯定食な」
「ハハハ、それ良いですな。私は副司令長官のエドウィン・フィッシャー少将です。趣味はカメラでの撮影ですかな」
将和が挨拶をすると右隣にいた副司令長官のエドウィン・フィッシャー少将がニコニコと挨拶をする。そして左隣のチェンが立ち上がる。
「参謀長のチュン・ウー・チェン少将です。まぁ全般的にパンが好きですかな」
「『三笠』副長の大村です。最近彼女が出来ました」
『えッ!?』
そんな大村の急な告白はさておき、島や南部達も挨拶をしていく中で女性が立ち上がる。
「副技術長に就任したプレシア・テスタロッサ特務大尉です。経緯は大体スカリエッティ技術長と同じです」
まさかのプレシアも『三笠』へ配置換えで副技術長となっていた。これも正信の差し金である。そして最後に一人の空間騎兵隊の隊長が立ち上がる。
「第13空間騎兵隊隊長のワルター・シェーンコップ准将だ。『三笠』で世話になる。好きなのは女と過ごす事だ。宜しくッ」
そう言ってシェーンコップ准将は出席しているウーノやクアットロ達にウインクをするがウーノ達は顔を引きつるのであった。
「おや、思ったり受けなかったかな?」
「准将、一応クアットロらは彼氏いるからな。やるならいない人にしておけ」
「おや、それは失礼致しました」
将和の言葉にシェーンコップは笑みを浮かべつつ盛大に頭を下げるのである。なお、各担当者等は以下の通りであった。
第十三艦隊司令長官兼戦艦『三笠』艦長 三好将和中将
同副司令長官 エドウィン・フィッシャー少将
同参謀長 チュン・ウー・チェン少将
戦艦『三笠』副長 大村耕作中佐
同技術長 ジェイル・スカリエッティ少佐
同工作長 大山俊朗大尉
同機関長 山崎奨大尉
同情報長 新見薫大尉
同船務長 ウーノ・スカリエッティ大尉
同戦術長 トーレ・スカリエッティ大尉
同航海長 島大介少佐
同砲雷長 南部康雄大尉
同気象長 太田健二郎大尉
同通信長 相原義一大尉
同航空隊隊長 山本玲大尉
同衛生長 リニス・テスタロッサ大尉
同保安部長 ドゥーエ・スカリエッティ大尉
第13空間騎兵隊隊長 ワルター・シェーンコップ准将(『三笠』乗組)
同ゲスト・アドミラル リンディ・ハラオウン
「そして最後にガルマン・ガミラス星までの道案内をしてくれる同行者を紹介する」
「……ガルマン・ガミラス帝国地球派遣武官のメルダ・ディッツ大尉です。改めて宜しくお願いします」
将和からの紹介にメルダは全員にペコリと頭を下げるのである。
「さて、移民船団の準備出来次第ワープに移行する。それでは解散ッ」
将和の言葉に皆がバラバラと出ていくのである。将和は時計を見ると針は1300頃を指していた。
「……メシでも食いにいくかな」
その足で将和は食堂に行く。食堂には数人の者が食べていたが将和は食券を購入し窓口で炒飯定食を受け取って端っこのテーブルに座る。胡椒とラー油を大量に振り、炒飯にもラー油を振ってから食べるのである。
「隣……良いかしら?」
そう言ってきたのは正信の計らいによってゲスト・アドミラルの待遇で『三笠』に乗艦する事が出来たリンディ・ハラオウンである。
「どうぞハラオウン提督」
将和の言葉を聞いてからリンディが将和の隣にマゼランパフェを載せたお盆を置く。無論、リンディ茶は健在だ。
「今の生活には慣れてきましたかな?」
「えぇ、一先ずは……」
暗黒星団帝国戦役後、リンディは正信の会談をし取り敢えずは仮の住居として将和の実家が選ばれ厄介になっている。当初、家に赴いた時に出迎えたプレシアとアリシアには流石のリンディも驚愕するしかなかったが幸せに暮らしている二人を見て何も言わなかった。
これがプレシアがアルハザードにまで行こうとした結末ならプレシアも何も言えなかったのだ。そしてこれを自身ーークロノとフェイトがアリシアと同じような境遇になったら親としてはそれを進もうとするかもしれないと思っていたりする。
(これが人の性……というやつなのかしらね……)
そう思うリンディであり、仮に戻れたとしてもフェイトには二人は幸せだと告げる予定である。それはさておき、正信もリンディの待遇は幾分か悩んだがゲスト・アドミラルとして将和に押し付けてしまえば安上がりと認識したのである。(憐れ)
なので暇と言えば暇なのであるが基本的に第一艦橋に常駐する事になっている。なお、将和としてはリンディを常駐させてデスラー等の他宇宙人と会わせる事でこの世界は危険と判断させて管理局の影響下に置かせないように狙っていたりする。
「……というよりハラオウン提督、朝もそれを食べていませんでしたか?」
「オホホホ……美味しいのでつい……」
「……トレーニングをしてから食する事をお勧めしますよ」
「………はい……」
そう言いながらもパフェを食べるリンディである。そこへ食堂の入口が騒がしくなり入ってきたのはウーノ、トーレ、玲の3人だった。3人とも表情はイラついた様子であり、マゼランパフェを注文しテーブルを探していると将和とリンディを見つけたので二人のテーブルに座るのである。
「せめて隣宜しいですかとか一言言えよ……」
「ひょはりぃひょろしぃ?」(隣宜しい?)
「パフェ食いながら言うなよトーレ」
お盆に載せたマゼランパフェの一つ目(三つある)をパクパクと食べるトーレだが表情はまだイラついている。
「何があったんだ?」
「……シェーンコップ准将です」
「あっ(察し)」
玲の言葉に将和は何があったか察した。どうやら3人は解散後にシェーンコップ准将に言い寄られていたようである。
「しつこく言い寄られたのでトーレが思わず准将を巴投げでブン投げたまでは良かったのですが……」
「むしろ「男勝りな女、それも良い」とか抜かして更に言い寄ってきたからな。男の勲章を蹴ってきてやったッ」
「本気出すなよ」
「出したかったがなッ」
「そうなると航空隊にも少々問題が……」
「問題?」
「今度異動してきたポプラン大尉、女癖が酷いですね。後、坂本とよくつるんでます」
(ポプランまでいんのかよ………てかそれは中の人だからか……?)
玲の言葉に溜め息を吐く。思っていた以上に艦隊ーー『三笠』は問題児が多いらしい。
「まぁ程々に対処しとけよ」
将和もそう言うしかなかったのであった。なお、戻ってきたリニスに炒飯定食を食べていたのがバレたので晩飯は鯖味噌定食になっていた将和である。それはさておき、移民船団もワープ準備が完了となったので2100に再度ワープを行いガルマン・ガミラス星まで約1万2000光年となっていた。
「レーダーに反応あり。前方約180宇宙キロ」
「ディッツ大尉、予定だとここいらで艦隊と合流だったよな?」
「あぁ、その通りだ」
「ん。ウーノ、メインパネルに切り替えてくれ」
「分かりました」
メインパネルに切り替わると映像にはそこには30数隻のガルマン・ガミラス艦隊が布陣しており程なくして相手から通信が入った。
『此方、ガルマン・ガミラス帝国軍第24機甲艦隊司令官のフォムト・バーガー大佐です。地球艦隊及び移民船団の護衛のために参りました』
「(まさかのバーガーやん)此方、地球連邦防衛軍第十三艦隊司令長官の三好中将です。護衛、真に感謝します」
メインパネルに現れたフォムト・バーガーに驚きを何とか隠しつつも冷静に対処するのであった。そしてバーガー艦隊と合流しつつ第十三艦隊と移民船団は2日後にガルマン・ガミラス星へ到着するのであった。
将和はメルダを伴いその足でデスラー・パレスに向かった。デスラーから招待されたのだ。
応接室らしきところで待っているとデスラーがタランを連れて入室してきた。
「デスラーッ」
「三好、久しぶりだな」
そう言って将和は両手でデスラーの手を会えた喜びをデスラーに伝える。
「バレル大使やディッツ大尉から話は聞いていたが……建国おめでとう」
「ありがとう三好。君から労いの言葉を貰えただけでも私は嬉しいよ」
将和の言葉にデスラーはニヤリと笑みを浮かべる。デスラーは座るように促すと将和も頷いてソファーに座る。なお、メルダはデスラーが入ってきてガチガチに緊張していたがタランが座るよう促したのでメルダも漸く座った。
「ハハハ、ディッツ嬢も緊張する事はあるのだな」
「お、お戯れを……」
それを見ていたデスラーは笑みを浮かべつつグラスに注がれた酒を将和と飲む。
「あの別れた後も三好と地球は大変だったと聞いている」
「暗黒星団帝国はなぁ……ディッツ大尉も陸戦に奮闘していたらしいしな」
「それは頼もしい。何れは勲章を授けよう」
「は、は、ありがとうございます……」
「三好、今日は夕食をご馳走したいのだが?」
「無論、出席させてもらうよ」
「感謝するよ」
その日、将和はチュンやフィッシャーらをも含めて夕食会に参加するのである。
「やはり目下の相手はボラー連邦だろう」
「やっぱり?」
「あぁ。この画面を見てくれ」
幾分程、頬を赤らめ酔いが回っているデスラーは画面を開いて将和に銀河系を見せる。緑の地域はガルマン・ガミラスの占領地域、赤の地域はボラー連邦の占領地域、黄の地域はゼニー合衆国の占領地域、青の地域は地球の占領地域である。
「我々はゼニー合衆国への攻勢を強めているがゼニー合衆国も抵抗が激しい。ボラー連邦ともやり合ってはいるが一進一退の攻防だ」
「地球の占領地域の上の地域もボラー連邦か。だから長距離ワープをしろという事か」
「そうだ。地球とガルマン・ガミラス星の中間星がバース星だ。このバース星はボラー連邦の支配下にあるから無闇な接触を避けるべきと判断したのだ」
「成る程な……」
「出来れば地球にも軍事支援は頼みたい……が、先の戦役もあるしそちらの国民感情もあるだろう」
「まぁな……移民を引き受けるだけでも良しとしてほしい」
「かもしれん……だが三好、シャルバート教には気を付けてほしい」
「シャルバート教か……」
「知っているのか?」
「バレル大使からの資料にあってな……まぁ昔の地球にも似たような宗教は数多くあるからな」
「ほぅ、地球にもかね?」
「あぁ。場合によっては生き埋めにされたり火炙りにされたりしてたな」
「ほぅ……」
(もしかして興味持った……?)
そう違うと思う将和であった。なお、その後は泥酔したデスラーから謎の人生相談(血筋残したいけど、どうしたらいい?である。結婚しろよと回答してた)を受けたりタランと飲み勝負をしたりして気付いた時は朝だった。朝であったが将和が目が覚めた場所は全く知らないところであった。
「えと……此処は……」
「おや、目が覚めたかね?」
「ディッツ長官!?」
部屋に入ってきたのはガルマン・ガミラス軍航宙艦隊司令長官のガル・ディッツ大将であった。
「何だ、昨日の事は覚えていないのかね?」
「タラン中将と飲み勝負をしていたまでは覚えているのですが……」
「その後、何人かと飲んだ後に泥酔したからワシの屋敷まで運んだのだ。『三笠』に戻るより屋敷のが近いからな。向こうの参謀長達には言ってあるから心配せずとも良い」
「すみません……ご迷惑をおかけします」
「なに、あれ程深酒をした総統を見れたのだから満足だよ」
ディッツ長官はそう言ってニヤリと笑う。
「食事を用意してある。共にせぬか?」
「頂きます。着替えてからいきましょう」
「分かった。案内はガミロイドに任せよう」
将和はそう言って洗面所で顔を洗い本格的に目を覚まさせてから礼服に着替えてディッツ長官が待つ食堂へガミロイドに案内させてもらい入室するとそこにはディッツの他に娘のメルダもいた。
しかもメルダには珍しくドレス風の服を着ている。
「み、三好長官!? な、何で此処に!?」
「いや……昨日泥酔して『三笠』に帰れんかったから泊めてもらったらしい」
「父上!! 私は聞いていません!!」
「屋敷に戻った時にはお前は寝ていたからな」
「むッ………」
娘の文句にディッツ大将はシレッとそう返す。メルダもそう言われては文句も返せなかった。
「取り敢えずは食事にしよう」
そう言って三人は朝食を取る。
(やべ、緊張して味が分かんねぇや……)
「時に三好中将、娘は地球では大暴れしていると聞いたが?」
「父上!?」
「あぁ、暗黒星団帝国戦役時ですか? どうやら小銃を持って大暴れしてたらしいですよ」
「三好長官も言わないで下さい!!」
アッサリと言う将和にメルダは顔を真っ赤にして反論する。
「そこは母親の血を受け継いだものだな」
「……母上もそのような事が……?」
「サファイア戦線で派手にやらかしていたがな。それで三好中将」
「何ですか?」
「娘は地球で暴れたらしいが……娘は好みの対象に入るかな?」
(やべ………)
ディッツ大将の表情は明らかに父親の顔をしていた。多分擬音があればディッツ大将の後方からは「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ」という擬音があっただろう。
「どうやら……バレルと貴官の父君が何やら………貴官と娘を娶らせようと計画しているとか?」
「んなッ!?」
(……あのクソ親父がァァァァァァァァァァァァァァァァ!!)
顔を真っ赤にするメルダを尻目に正信に嵌められた事を知った将和であった。
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