前回のあらすじ
四面楚歌の将和である。(何)
「三好中将……君は娘をどう思うかね……?」
「……………………」
ディッツ大将の言葉に将和は黙ってしまう。進むも地獄、戻るも地獄とは正にこの事であろう。また、メルダに視線を向けると顔を俯かせていた。
「……多少無茶なところはありますが……良い人だと思いますね。まだそれ程しか会話をしていないので一歩踏み込んだ会話はしていませんがね」
「………成る程、三好中将は素直で宜しい」
「素直でならもう1つ、私は関係を持っている者が複数いますが?」
将和は諦めさせようと薫や玲達を例に挙げて言ったがディッツ大将はニヤリと笑みを浮かべる。
「それを言うならテロンで例えると『英雄、色を好む』ではないかね? まぁ総統にもある程度はそうしてほしいがね」
将和の回答がディッツ大将には満足すべき回答だったのか笑みを浮かべつつ食後のデザートに手を付けるのである。
「三好中将……次の食事までに更に満足する回答を期待する」
「………はっ………」
「………………………」
ディッツ大将の言葉に将和はそうとしか言えず、メルダは顔を赤らめつつ視線を逸らすのであった。その足で『三笠』に戻ると妙にニヤニヤするチェン参謀長がいたのである。
「……知っていたな参謀長?」
「三好元帥からの依頼でしたので。どうするかは本人ら次第と言われました」
「全く親父め………」
チェン参謀長の言葉に頭を抱える将和である。
「それで観艦式の参加だったな」
「はい。何隻出しますか?」
「……『三笠』級全部出すか」
「『ネルソン』らもですか?」
「あぁ。存在感を出すには良いだろ?」
『ネルソン』らは『三笠』級ではあるものの準同型艦に部類される。というのも各国で主砲の増設等微妙な改修をされていたりするからであり素直に『三笠』級を建造しているのは日本だけだったりする。
それはさておき、将和の艦隊ーー『三笠』級5隻も2日後に控えた観艦式に参加するのである。
観艦式当日、将和は地球代表として式典への出席なので式典会場にいた。そこへデスラーがタランと赤の礼服に身を包んだメルダを伴ってやってきた。
「三好」
「デスラー。今日の式典、楽しみにしているよ」
「ありがとう三好」
そう言ってデスラーは指揮官の定位置に付いて始まりまで待った。ちなみにメルダは将和の警護という形で隣にいる。
「……三好司令、父上にはどうしてあのような……?」
「ん……素直で言うと共に後ろめたさもあったからな」
「後ろめたさ……?」
「ガルマン・ガミラス星がどのような婚姻政策をしているかは知らないが、俺は薫や玲達と関係を持っている。白黒ハッキリさせてディッツ大将には諦めさせてもらおうと思っていたが……あぁなるとはな……」
「……父上は武人であるから真っ直ぐな者には印象を良くするだろう」
「そうか……それと君は良かったのか? あぁいう事になっているが? 俺は君の気持ちを知りたい」
「私とて思う事はある……が、地球とガルマン・ガミラスの仲を保つためなら……貴方と夫婦になっても構わない。それに……玲を負かせるパイロットの腕を私が負かせたい気持ちもあるがな」
「……………クハハハハハッ。成る程な……」
顔を赤らめつつもそう告げるメルダに将和は苦笑するのであった。そして観艦式は開催される。
(ほぅ……二連三段空母をも就役させたか……流石はディッツ大将か……)
原作と同じく赤を基調とするカラーリングを艦体に施した『ノイ・ガイペロン』級二連三段空母が2隻、式典の上空を通過していく。その後方をデスラー砲艦こと『ノイ・デウスーラ』級砲艦が続いていく。
(着実に『3』の物語に移行している……か……)
過ぎ去っていく艦艇群を見つつ将和はそう思う。
(ま、取り敢えずは観艦式を楽しむとしますか……)
そう思いながら続々と航行してくる艦艇群を見学するのである。この観艦式はガルマン・ガミラス軍が占領する地域に放送されたが、この観艦式の映像はボラー連邦も入手していた。
「何? ガルマン・ガミラス軍が観艦式を行ったと?」
「はっ。映像を入手しております」
「フム……見せろ」
「はっ」
ボラー連邦宇宙軍総参謀長のゲオルギー・ゴルサコフ元帥宇宙大将はそう言って部下に視線に向け部下が映像を流す。
「ほぅ……デスラーめ、士気向上のためか……」
「恐らくは……」
「……ん? この艦艇は何だ? 他のガルマン・ガミラス艦艇より色が違うが? もしや新型艦艇かね?」
「いえ、違います。情報では地球連邦と称する国です」
「地球連邦? 何処かで聞いた名だな」
「はっ、オリオン腕方向にある文明です。過去にはガミラス、ガトランティス、暗黒星団帝国をも撃ち破っています」
「何? ガミラスは元よりガトランティスと暗黒星団帝国をもだと?」
「はい。ガルマン・ガミラスとは技術同盟を締結しているようでありますが……如何なさいますかベムラーゼ首相?」
「フム………」
ゴルサコフ元帥宇宙大将の言葉にボラー連邦最高評議会議長兼第五次ベムラーゼ内閣総理大臣のミハイロ・ベムラーゼは日課であるアルコール度数が45度もあるカォッウトを飲みながら思案する。
(厄介だったガトランティスと暗黒星団帝国を撃ち破った文明か……接触する必要があるやもしれんな……)
ベムラーゼはグラスに残っていたカォッウトを全て飲み干すとゴルサコフに視線を向ける。
「暫くは動向を監視しよう。技術同盟という事は軍事同盟ではあるまい。我々もガルマン・ガミラス帝国の他にもゼニー合衆国、中堅国家のアマールやエトス等の戦争も多く抱えている」
「ハッ。首相閣下の御慧眼には恐れ入ります」
「そう褒めずとも良い。しかし地球連邦をも考えるとなると一番地球連邦に近い有人惑星は何処かね?」
「我がボラー連邦から3万5000光年に位置するバース星になります。彼処からだと地球連邦の太陽系は1500光年になります故……」
「バジウド星系第4惑星だな……彼処のバース星軍人の軍人精神には我がボラー連邦よりも上だったな」
「ハッ。しかし我がボラー連邦宇宙軍も連邦に対する忠誠心はバース星軍人には負けてはおりません」
「フハハハ、そう嘆くであるまい。そうなればバース星は重要になるな」
「守備艦隊を増強させますか?」
「そうするように手配しろ。減らす戦線についてはアマール戦線で良いだろう」
「ハッ、早速手配致します」
ゴルサコフはそう言って退出する。ベムラーゼは窓に視線を向ける。首都惑星の『ラスコー』は極寒の惑星であり各都市はドーム状態の建物と各張ったビルから成り立っており建物には氷が張り付いている程である。
ベムラーゼがいる建物はベムラーゼパレスという宮殿でありこの宮殿は最高評議会議長の公邸として代々受け継がれていた。
「地球連邦か………(味方であれば良いが……ガルマン・ガミラスと共にするならば……)」
ベムラーゼはクククと笑うのであった。そして観艦式を終えた将和の第十三艦隊は移民団を満杯に積めた移民船団と上空で合流すべく発進準備を整えていた。
「三好長官、全艦発進準備完了です」
「ん……全艦発進ッ。帰ろうや地球へ」
第十三艦隊は『三笠』を先頭に次々とガルマン・ガミラス星から出港していく。それを見送りに来たのはデスラー、タラン、そしてディッツ大将であった。
「娘が心配かねディッツ大将?」
「いえ……娘も大人ですので娘に任せようと思います」
デスラーの言葉にディッツ大将はそう答えるのであった。
「ところで総統、『三笠』でマゼランパフェとやらを食したと聞いておりますが?」
「………美味だったと言っておこう」
(おかわりを要求したとは言わないでおこう)
そう思うタランであった。そして地球では正信らが安堵の息を吐いていた。
「やれやれ。将和も思ってたよりもディッツ大将に気に入られたようじゃが、何かあったのかの?」
「単なる自棄でしょう(さもありなん……)」
首を傾げる正信に芹沢はシレッとそう答える。
「しかしまぁ……思っていたよりも移民が多いのぅ」
「我々の予想よりも0が一桁多いですからな」
藤堂管区長官らの予想では一桁万くらいとしていたが、バレル大使から提出された再度の移民団報告書には11万と記載されていたのだ。
「暗黒星団人が約2万人、地球からの移民が1万人、地球在住で元火星人の移民が5万人、そして今回ので11万かの」
「11万と言いつつも半数近くを占めているのがザルツ人ですから」
「それで……シャルバート教信者はどれくらいじゃ?」
「凡そ三割です」
「まぁかつての地球もキリスト教の迫害を筆頭に色々あったから気にするまではいかんと思うが……やはり警戒は必要じゃな」
「何も無い事を願うばかりですな」
「本当にのぅ」
そう話す正信らであった。
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