無限に広がる大宇宙、静寂と光りに満ちた世界。生まれてくる星もあれば死んでゆく星もある。輝く星もあれば輝かない星もある。
今まさに、太陽系第三惑星『地球』は輝こうとしていた星であったのである。
「タキオンレーダーに反応。右舷30度、敵ガミラス艦隊接近!!」
「……………」
国連宇宙軍第一艦隊旗艦『霧島』の艦橋でレーダーオペレーターが敵ガミラス艦隊接近を伝え、それを第一艦隊司令長官沖田大将は頷いた。彼等の第一艦隊は1930年に惑星として発見されるも2006年には準惑星の部類に分かれてしまった『冥王星』沖に展開していた。
「……右30度返針、砲雷撃戦用意!!」
「砲雷撃戦用意!!」
「おもぉーかぁーじ!!」
旗艦『霧島』に続く形で二番艦『日向』三番艦『扶桑』四番艦『比叡』も同行し『霧島』が転舵した同宙域にて面舵をしていた。
なお、第一艦隊は以下の艦艇で構成されていた。
国連宇宙軍第一艦隊
司令長官 沖田十三大将
旗艦『霧島』
第一戦隊
『霧島』『比叡』
第二戦隊
『扶桑』『日向』
第三戦隊
『夕霧』『阿武隈』『春日』『叢雲』
第四戦隊
『八雲』『愛宕』『羽黒』『足柄』
第五戦隊
『剣』『鞍馬』『伊吹』『那智』
第一宙雷戦隊
『天龍』『龍田』
第六駆逐隊
『暁』『響』『雷』『電』
第二一駆逐隊
『初春』『初霜』『若葉』『子日』
第二十五駆逐隊
『初島』『綾瀬』『太刀風』『水無月』
第二七駆逐隊
『白露』『時雨』『有明』『夕暮』
第二宙雷戦隊
『神通』『那珂』
第十五駆逐隊
『黒潮』『親潮』『夏潮』『早潮』
第十六駆逐隊
『天津風』『時津風』『初風』『雪風』
第十八駆逐隊
『陽炎』『不知火』『霞』『霰』
第三十一駆逐隊
『長波』『高波』『巻波』『大波』
別動隊 第一機動部隊
第一航空戦隊
宇宙母艦
『鳳翔』
【97式空間戦闘攻撃機45機】
『祥鳳』
【同上】
『瑞鳳』
【同上】
『龍鳳』
【同上】
第七戦隊
『高千穂』『長良』『新高』『日進』
第六宙雷戦隊
『夕張』
第二十三駆逐隊
『卯月』『菊月』『三日月』『夕風』
第二十九駆逐隊
『追風』『疾風』『朝凪』『夕凪』
第三十駆逐隊
『睦月』『如月』『弥生』『望月』
「照準合わせッ」
「照準用意……」
測定員と砲雷員が測定をする。その間にもガミラス艦隊は砲撃を開始し赤色で構成されたエネルギー弾が第一艦隊を襲う。
「長官ッ」
「案ずる事はあるまい……『電磁防壁』展開ッ」
「ハッ『電磁防壁』を展開します」
『霧島』艦長の山南大佐の言葉に沖田は電磁防壁の展開を指示する。緑色の電磁防壁は『霧島』の周囲に展開、その直後にエネルギー弾が飛来し狙われた『夕霧』の電磁防壁と接触した。
しかし、エネルギー弾は電磁防壁によって弾かれる事になり『夕霧』自体は健在だった。
「『夕霧』損傷無し!!」
「照準良ろし!!」
砲雷員の測定が完了したのを確認した沖田は頷き、命令を発するのである。
「全砲門開け!! 撃ェ!!」
その瞬間、第一艦隊に搭載された陽電子衝撃砲ーー通称ショックカノンーーは砲撃を開始した。
『金剛』級宇宙戦艦の四番艦である『霧島』は無砲身ではあるが西暦2190年代前半のカ式宇宙エンジン搭載による近代化改装によって第一世代型の『金剛』級よりも遥かに強力な35.6サンチ三連装陽電子衝撃砲を4基搭載していた。
その為、『霧島』が狙った戦艦ーー『デストリア』級の側面装甲を貫く事は容易であり装甲を貫かれた『デストリア』級は一瞬の間を置いて爆発四散した。それは戦場となった冥王星沖の何処にでも起きている光景だった。
「敵戦艦3隻、敵巡洋艦6隻、敵駆逐艦多数撃沈!!」
「ウム、このまま砲撃を続行せよッ」
「第四戦隊旗艦『八雲』より電文!! 『我、突撃ス』」
「予定通り……ですな」
「あぁ……」
山南大佐の言葉に沖田は苦笑した。第四戦隊を率いるのは若いながらも歴戦の指揮官だったからだ。
「『霧島』から『突撃セヨ』の電文です!!」
「ヨッシャァァァァァ!! 四戦隊は『八雲』を先頭に突撃するぞ!!」
第四戦隊旗艦『八雲』の艦橋では第四戦隊司令官の三好将和大佐がそう叫ぶ。『八雲』はそれに答えるかのように一気に加速する。その後方には第四戦隊に所属する『愛宕』『羽黒』『足柄』が続いていた。
「魚雷用意完了!!」
「魚雷連続発射!! 撃ェ!!」
連続発射は三回続いた。12本の魚雷ーー97式空間魚雷ーーはガミラス艦隊の対空砲火をくぐり抜けて着弾、12発の火球が宇宙に花を咲かせたのである。
「突撃!! 突撃!! 突撃ィィィィィ!!」
第一艦隊の第四戦隊は『村雨』改型で編成されている。改型とは『カ式次元エンジン搭載と無砲身の主砲から長砲身の主砲に換装した型』であり今回が初陣だった。
「右傾斜45度!!」
「ヨーソロー!!」
「撃ェ!!」
右舷に展開した長砲身が砲撃を開始し陽電子のエネルギー弾が戦艦級ーー『デストリア』級ーーの装甲を貫通、瞬く間に爆発四散をする。後続艦も次々と砲撃し撃沈していた。
「後方より航空機多数。味方機です!!」
「おぅ来たか」
第一艦隊後方に待機していた別動隊の空母部隊から発艦した97式空間戦闘攻撃機『コスモファルコン』120機が到着、混乱するガミラス艦隊に航空攻撃を仕掛けたのである。
ガミラス艦隊は対宙機銃やレーザー砲等で応戦するがその対空砲火を潜り抜けた攻撃隊は次々と対艦ミサイルを発射して離脱していく。
ガミラス艦隊はミサイルから回避しようとするが数が多く大半が撃沈破したのである。
「敵艦多数撃沈!! 残存艦艇が冥王星方面に撤退していきます!!」
「味方の被害は?」
「巡洋艦『阿武隈』が航行不能に陥った駆逐艦『島風』と衝突、二隻とも撃沈しました。更にガミラス艦隊を追いすぎた駆逐艦『雪風』が撃沈。他にも『不知火』『初風』『綾瀬』が大破しました」
「何!? 古代の『雪風』が!?」
「は、はい。深追いしていくのを『磯風』が確認しています」
「……そうか……」
オペレーターからの報告に将和は溜め息を吐きながら艦長席のシートに深く座り込むのである。
(あの馬鹿野郎……変に突撃しやがって……歴史が改変しているから死にに行く必要は無いだろうが……)
そう思う将和だが今は残存艦艇の収容であった。旗艦『霧島』からも戦場撤退の発光信号が送られていた。そんな時、『八雲』のタキオンレーダーが反応を示した。
「外宇宙方面から超高速船が接近しています!!」
「何?(馬鹿な……まさかイスカンダル……? という事はリメイクの2199か……)」
オペレーターの報告に将和は目を見開いた。そしてメインパネルに切り替えると海王星方面から侵入してくる1隻の宇宙船があった。
「あれは明らかに外宇宙速度に達している。あのままだと数分で火星に到着するぞ」
「国連宇宙軍司令部が火星にも防空警戒を出すようです」
「だろうな」
そうしているうちに宇宙船は火星方面に消え去ったのである。しかし、旗艦『霧島』から司令部に向けての暗号電文が発信されていた。
『天岩戸開ク』
それはさておき、第一艦隊は乱れた艦艇を整えて冥王星宙域から離脱するのであった。そして5日後には火星沖に到達し更に2日後には月軌道に到着するのである。
「司令、地球に到着です」
「おぅ」
少しだけ地形が変わってしまった地球。日本では四国地方の4分の1が大きくクレーターに成り変わっていたのだ。その原因は勿論、ガミラスが初期に投下した遊星爆弾であった。
開戦時から西暦2193年頃まで地球は遊星爆弾の脅威にあった。しかし、火星で回収されていた異星文明の宇宙艦のリバースエンジニアリングを八割も成功していた事でカ式次元宇宙エンジンが完成、以降はカ式次元宇宙エンジン搭載艦艇の配備が進み遊星爆弾への迎撃態勢が整い迎撃に成功した事で西暦2199年の今では遊星爆弾の脅威は無くなっていたのだ。
だが、失ったモノは帰っては来ない。遊星爆弾の迎撃が成功するまでに国連宇宙軍は実に無辜の市民13億8000万の尊い人命を失っていたのである。
そして遊星爆弾は原作と同じく地上に放射能を撒き散らしていた。迎撃には成功しているものの、93年頃までは地表に着弾していたのでその衝撃波による津波は元より誘発される地震等も頻発していたのだ。そして極めつけは放射能である。地表で放射能が蔓延る事で地球市民は内惑星戦争で建設していた地下都市への移住を行っていた。
また科学者達の見解により放射能を完全に除去するには数100年の単位を必要とする事が成されていた。
「司令、横須賀に到着しました」
そうこうしているうちに第一艦隊は母港である横須賀宇宙軍港に到着する。到着し雑務整理をしていると将和は宇宙軍司令部に出頭要請が掛かったので残りの処理を副官に任せて司令部に出頭したのである。
「よく来たな、まぁかけたまえ」
「どうも」
相手は国連宇宙軍の軍務局長である芹沢中将だった。普段は威厳そうな表情をしているが将和の前ではそのような表情はせず、むしろ出されたコーヒーを二人で味わっていた。
「今回のメ号作戦……御苦労だったな。完勝ではないか」
「ですが……それでも『雪風』ら若干の被害は出ました」
「それはそうだ……だが作戦に完全勝利は無い。それは君の家系がよく知っている筈だ」
(……その張本人なんですけどな)
将和は内心そう思うもそれは言わない約束である。
「だが、これでイスカンダルからの放射能除去装置の提供とガミラスへの本格的な攻撃が可能となった」
芹沢はそう言う。『ヤマト』やイスカンダルの事は出撃前に聞いていた。だが将和としては無印かリメイクが気になるところではあるが将和が知っている知人達は無印やリメイクで登場する者もいるので判断しにくいモノであり将和の頭を悩ます要因でもあった。
「喜ばしい事ですな。では『ヤマト』は両方の任務になると?」
「いや、『ヤマト』は放射能除去装置の受領が最優先となる。派遣は『ヤマト計画』の人員で動かされるだろう………………………だが地球も座して待つわけではない」
「……と言いますと?」
「『新地球艦隊構想計画』……漸く第一次建造計画のが就役する」
「あぁ……あの例の『五ヵ年計画』のですな」
国連宇宙軍がカ式次元宇宙エンジン搭載艦船開発の見通しが経った2195年にスタートとした計画であった。一個艦隊に戦艦4隻を主力にしたのを九個艦隊も揃えたのが第一次計画、第二次計画は更に艦船を増やし外惑星艦隊(司令部は土星の衛星タイタン)と内惑星艦隊(司令部は月)の創設、第三次計画は長距離航海を可能とした遠征型の九個艦隊の創設を狙ったものであった。
「第一次建造計画は戦艦37隻、巡洋艦102隻、駆逐艦180隻、宇宙母艦12隻。現時点ではまさに虎の子の艦隊になるだろう」
「数だけは……という形ですな(旧作の艦隊数と同じだわな)」
芹沢の言葉にそう取り繕う将和である。
「だが、波動エンジンが本格的に開発が開始される事になり一時凍結となった。……エンジン関連だがな」
「まぁ……そうなりますわな」
イスカンダルからもたらされた波動エンジンと火星で回収して八割のリバースエンジニアリングに成功したカ式次元宇宙エンジンはカ式のが小さくどうしても設計図の改良が必要だったからだ。
「で、一先ずは今の艦艇で凌げという事ですな」
「あぁ。何れ貴様には……一個艦隊を何れ率いてもらいたい」
「……芹沢中将、それは少し買い被り過ぎでは?」
「この戦役で多数の戦果を挙げているクセによく言うものだな」
芹沢は苦笑しながらもそう言ってコーヒーを啜る。
「艦隊司令になると沖田はヤマト計画のために外れている。そうなると地球艦隊総司令官には同期の土方が有力だな」
「まぁ土方校長なら……」
現在は空間防衛総隊司令官に就任している土方中将だがその前は宇宙戦士訓練学校の校長をしていたのだ。将和らにとっては鬼教官としての記憶が多かった。
「まぁヤマトが発進した後の話だ。今は心のうちに秘めておけ」
「はぁ……」
芹沢の言葉に将和はそう言うのである。そして部屋を退出すると廊下には新見が立っていた。
「ゲッ、薫……」
「ゲッとは何よ三好君」
将和はまた悪い時に遭遇したと思い新見は新見で不機嫌そうにメガネをクイッとあげるが直ぐに表情を暗くする。
「それと三好君……『雪風』……古代君は……」
「……深追いしていたのを『磯風』が見ていた。そしてビーム砲で……」
「嘘よッ!! 古代君が……古代君が死ぬ筈は……ッ」
将和の言葉に新見は思わず叫ぶも眼には大量の涙を浮かべていた。そして静かに泣き出す。
「……………………………」
その様子に将和はいたたまれなくなりその場を後にするのであった。
御意見や御感想等お待ちしていますm(_ _)m