第六十六話
「臨時の出向……なのかしら?」
「あぁ。防衛軍の宇宙戦士訓練学校に格闘の臨時教官としてだ」
将和に呼ばれたドゥーエが何なのか入り将和と会うと将和から辞令書を渡された。辞令書の中身は宇宙戦士訓練学校の教官への臨時出向であった。
「それは今どうしてなのかしら?」
「それがなぁ……格闘教官している者が怪我で休職したんだ。そこでうちの親父がドゥーエに目を付けてな……まぁ臨時出向だから短期間で終わるから心配はするな。休みと思えばいいさ」
「ま、それもそうね。なら休みを楽しませてもらおうかしら」
将和の言葉にドゥーエは苦笑し宇宙戦士訓練学校に臨時出向するのである。
「はぁ……退屈ね……」
教官室でドゥーエは溜め息を吐く。学校に着任してからの三週間が過ぎてはいたがドゥーエには退屈だった。ドゥーエが格闘教官だからと言って腕試しをしようと訓練生達がドゥーエに挑むも全て返り討ちをされてしまい今では生きる伝説になっていた。最初は負けじと果敢に挑戦する者達はいたが日が経つにつれ一人、また一人と挑戦を諦めてドゥーエに挑む者はいなくなってしまった……………が、まだ一人だけいた。
「スカリエッティ教官!!」
そこへドカドカと廊下を走ってきて扉をノックしてから部屋に入ってきた訓練生がいた。
「土門訓練生、スカリエッティ教官に挑戦に来ました!! 今日こそ教官に勝ちます!!」
「………………フフッ。まだ10年は早いわね土門(今では土門が来るのを待ち遠しいなんてね……)」
土門竜介訓練生、彼だけは元来の性格故なのか負けず嫌いであり何度負けてもドゥーエに格闘を挑んできたのだ。その為ドゥーエも何度も格闘を施してあげる程である。ちなみに倒れた土門の回収は同期生の揚羽が担当していたりする。
「さて、今日も地に伏せさせてあげるわ」
「負けません!!」
結局、土門の連敗記録は更新され揚羽に回収されるのであった。そして防衛軍宇宙艦隊総司令部では正信らが盛大な溜め息を吐いていた。
「……マズイのぅ……」
「……確かにマズイですな」
「しかし……いやはやこれはマズイですな………」
この時、正信ら三人はガミラス側からの報告に頭を悩ませていた。この情報をどうするべきか、公表すべきか否か?
「……仕方あるまい。艦隊司令長官達には話すとするかの」
「ですな。何せ場合によってはカールセン中将が危ういかもしれませんからな」
「そうじゃな」
そして正信は各艦隊旗艦に通信して総司令部に集まれる各艦隊司令長官は総司令部に集合せよと命じるのであった。
「おや、三好の小僧じゃないか」
「お、ホウメイさんじゃないですか。また焼飯食いたいです」
「調子に乗るんじゃないっての」
総司令部の廊下を歩いているとホウメイ准将に出会した将和はそう言いながら作戦室に入る。作戦室にはほぼ艦隊司令長官達が勢揃いしていた。
「どうやら最後のようで……」
「そのようじゃな、あぁカールセンは超タキオン通信での参加じゃな」
『遅いぞ三好!!』
「すみません」
カールセンに怒鳴られ将和はカールセンに頭を下げつつ席に座るのである。
「さて、全員揃ったところで今日の緊急な集まりを話す事になる。ついてはこれを見てほしい」
正信はそう言ってある一枚の画像を出した。それは地表に漂着する破壊された艦であった。
「これって………当時の火星共和国宇宙海軍が火星の地表で回収したとされる艦じゃないですか」
「これが何を………?」
「フム」
ボロディン少将の問いに正信は頷き口を開いた。
「コイツの正体が分かったのじゃよ」
『ッ!?』
正信の言葉に全員が目を見開いた。この艦は所謂、二次に渡る内惑星戦争の火種でもあった。
「して……どのような事が……?」
「フム………コイツはボラー連邦の戦艦と類似しているのが見受けられた」
「ボラー連邦ですと?」
「ちょっと待ってくれ三好の旦那。じゃああれかい? ボラー連邦は以前……地球が宇宙に上がる前に火星に来ていたのかい?」
「可能性は……否定出来んのぅ」
「それは……由々しき事態ではありませんか? もしかしたらボラー連邦は地球への航路を知っている可能性が大いにある……という事になりませんか?」
「そういう事じゃの」
「なればこそ防御はしっかりと固めませんと……」
正信の言葉にパエッタはそう具申する。
「そういう事じゃな。特に一場危ういのは……カールセン、お主の方じゃからな」
『ですな。その為には是非とも増強を願います』
「分かっておる。パエッタ、暫くはカールセンの指揮下でケンタウルスに向かってほしい。頼めるか?」
「無論ですアドミラル・ミヨシ。むしろ私は志願する程です」
「ハハハ、そいつは有難いが油断は禁物じゃよパエッタ」
「しかし長官、どうしてボラー連邦と判明したのですか?」
三木准将は疑問をぶつけるがそれは将和も同じであった。
「ウム、コイツの艦内で見つかった文字はたまたまガミラスにも伝えたのじゃよ」
「そうしたらガミラスが解読してな。何処の国の文字か尋ねたらボラー連邦だった……というわけだ」
「何と……そういうわけだったのですな」
「しかし……そうなるとボラーは敵……という認識ですかい三好の旦那?」
「ギリギリまで待ってほしい。ワシらも確信は持てんからのぅ。じゃが向こうから攻撃してきたのなら話は別じゃよ」
「ハハハ、それだけで十分だよ」
正信の回答にホウメイは満足そうに頷く。
「それにバレル大使からの情報ではボラー連邦も守勢から攻勢に転じたようじゃ」
ボラー連邦もこれまではガルマン・ガミラスの攻勢には守勢をしていたが兵力の再編成が完了した事でベムラーゼ首相は2個主力艦隊を以てガルマン・ガミラスの占領地域に攻勢を開始したのである。
「それで戦況は?」
「未だ五分と五分のようじゃ。均衡がいつ破れるかは分からんがの」
「そうなると警戒はやはり必要ですな」
「そういう事じゃな」
斯くして会議は進むのであった。
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