陰の実力者にIFルート!   作:壱知

1 / 30
※アニメ20話まで視聴済み、web版はアニメ範囲内まで読んでます。
小説の方にはまだ手を出していません。
呼び方など違和感ありましたら申し訳ありません。

ローズ王女の救済ルートみたいなのが欲しくて書きました。
本文短めでつらつらと書いていく予定です。


もしも

暗く、上下左右も、過去も未来もなにもかもが、今は無い。

自分の体も、魔力も、痛みも、なにも―――無い。

 

あるのは、思う、想うことだけ。

落ちていくのか上がっていくのかわからないけど、動いてるという感覚はあって。

まとわりつくような何かに、無くしたはずの体が反応する。

流れのようなもの。

 

 

流れの中に何かを感じる。

人の存在、記憶、感情。

自分だけのそれではなく、シド君や七陰の方々だけでもなく、敵も味方もすべてが入り混じっている。

 

ああ―――もしかしたら―――。

もしかしたら――――――これが死の世界か―――と。

あるのかもしれないと、シド君を知っていくうちに考えてはいた。

覗き込んだ深淵には、それがあったのだから。

 

だからこそ、私は後悔する。

だからこそ、もしもを、もしかしたらを思ってしまう。

 

もしも、もしもあの時何かが違っていれば。

もしも、あの時何かが変わっていれば。

私とシド君がこれ以上逢うことが叶わなくなることも、無かったのかもしれない。

 

―――それは、シャドウガーデンに入ると決めて、あの人の手を取った時?

違う。その時点で未来は決まっていた。

アレクサンドリアで、全てを奪われ―――捨てさせられたことは、間違いではなかった。

 

―――それは、お父様に剣を向けた時?

違う。お父様は解放されたのだ。それを間違いだと認めるのは、今の私には出来ない。

あの時の言葉は、本心からのお父様の言葉だった。

あれが無ければ、ディアボロス教団を暴くことは長く、遠い道のりになっていた。

 

―――それは、ドエムに剣を向けた時?

違う。あそこで違うことをしたとして、私に何かを変える力など……無かった。

ただ無力で、愚かで、知ることもせず、破滅へと進んでいた。

変えるよりも先に、自分の終わりを知ることにしかならないだろう。

 

 

だから―――違う。

 

チガウ――ー

 

ちがう……

 

ちがうんだッ!

 

―――シド君と出逢ったこと。

違う。あの出逢いがなければ、今の私は無かった。

自分の弱さを、自分の奢りを、自分の間違いを、知ることは出来なかった。

先に待つ未来に立ち向かうことも、出来なかった。

 

 

―――スタイリッシュ盗賊スレイヤー。今はシャドウと名乗る、主と、シド君と出会った―――出逢った瞬間?

ちが―――、いや―――もしかしたら。

 

 

もしかしたら、あの時に戻れるなら、この悲しい未来を、苦しい未来を、辛い未来を。

 

迎えることは無かったのかもしれない。

もしも、もしかしたら。

 

平和な未来でシド君と添い遂げる未来も、お父様にシド君を紹介する未来も、シド君と肩を並べて笑い合う未来も、あったのかも―――しれない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。