血で真っ赤に染まった花が咲いた。
体が裏返るような、皮膚が剥がれるような。
急激な変化に体が追い付いていない。
着ていた服が、中から溢れるモノによって破られる。
骨か肉か、それ以外か。
苦しい―――痛い―――辛い―――。
生徒会長で、王女で、逃亡者で、未熟な魔剣士だった―――あの時は。
シャドウさま―――シド・カゲノー君が、私を助けてくれたけれど。
まだ出逢っていない私には、まだ助けは来ない。
痛みに耐えようとするけれど、まだまだ幼いこの体には、その苦しみは耐えられようはずもなくて。
666だった私なら、耐えられる痛みだったであろう痛みでも、この体には耐えることなど出来はしない。
「―――おとうさま―――たすけて―――ッ!」
視界の半分は真っ暗で、腐り落ちた何かが、腐臭を出しながらボロボロとこぼれ落ちていく。
声を出す器官すら、言葉を発した瞬間に崩れ落ちていく。
あまりにも急激な変化が、私が犯した罪を償えなかった罰かのように降り注いでいく。
拘束もいつの間にか解けており、シド君に助けてもらえないかと無理矢理にでも体を動かそうとする。
でも、動けたのは最初だけ。
指の肉が、皮が、ズルリと滑り落ちた。
白く見えるのは骨、だろうか。
動く度に何かが壊れていく。
あそこに見えるまるいなにかは、欠けてしまった視界の原因だろうか。
先ほどまで聞こえていた耳も、腐臭を感じていた鼻も、なにもかも腐り落ちていく。
たすけて―――
たすけて――――――シド君。
痛みに支配された思考では、彼のために何かしようなんて思いつかない。
でも、少しでも、あなたに近づきたくて。
―シド視点―
蠢く肉塊。
それは、僕が以前見たアルファの姿と重なって。
本来ならばここにいるのは、貴族や王族の子女だったはずだ。
盗賊たちも身代金の話で盛り上がっており、そいつらが今までに貯めこんだものを奪うことで、少しでも彼女たちの活動資金の足しになればと思ってここにきた。
「まあ、あとはアルファ任せればいっか」
アルファにしたように実験を加えていく、
魔力制御の実験にしたアルファとはまた違う実験だ。
もちろん悪い様にはしない。死んでしまっては元も子もないからね、あの制御からのアレンジだ。
「ん~?なんだろう、アルファとは何かが違うなぁ……でも何が違うかよくわからないな」
何かが混じっているような、ここにあってはいけないような不純物があるような感覚。
とりあえず実験自体は出来るから、死なないように気を付けつつ改造していく。
アルファに行った実験よりも、先に進んでいく。
より深く、より緻密に。
脳を、心臓を、肺を、眼球を。
ぐちゃぐちゃと弄繰り回す。
僕の魔力を植え付けたりもしてみた。
ホントはこういうことすると死ぬかもしれないんだけど、アルファの時よりなんか耐久性があるんだよね。腐ってるけど。
アルファの時より早く。
時間にして10分くらいだろうか、あの子の時は手探りだったこともあって結構時間がかかったけど、今回は1分で終わって残りの9分で新しい実験が出来た。
「はい、完成っと」
ぐちゃぐちゃの肉から女の子へ。
我ながら上手く制御できたね、新しい実験の成果も出たし僕は嬉しいよ。
「さぁ、目覚めよ。……うーん、名前は何だろう、アルファとは違ってよくわからないこともあったし、ちょっと変えておこう!ヌル!これでいこう。ヌル~~~!おきろ~~~!」