陰の実力者にIFルート!   作:壱知

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更新通知だけでなく、裏話や設定なども書いていきたかったりします。



王女と魔女

王女であること、才能のある魔剣士であること。

それが私の誇りだった。

それが―――それが、私のプライドだった。

 

「勝者――――――ローズ・カゲノーッ!!!!!!」

 

カゲノー男爵領で行われた剣術大会の試合会場が、シンと静まり返る。

わたしが、負けた――――――!?

 

幼い頃から、周りの騎士たちにも負けず劣らずと言われ、実際にまだ魔剣士学園に通う年齢でなくても騎士達と並ぶ強さだった、はず。

なのに、なのに、なのに……負けた。

 

年齢は妹と同じくらい。

まだまだ幼いと言って良い年齢だ。

 

白い髪、銀ではなく。白い髪。

真っ白な、染めているわけでもなく、白い髪。

目の色は、宝石のように鮮やかな赤。

 

カゲノー家のメイドだという彼女は、まだ幼いながらも才能の片鱗を見せるクレア・カゲノー、その弟、シド・カゲノーと一緒に鍛錬しているというが……これは……。

私の妹と年が同じだという弟のシドは、平凡。

クレアはまだ才能の片鱗を見せているだけ。

 

その中で彼女は私に勝てるほど、強い……とは。

 

今まで、勝った経験しかない私が―――負けた。

 

悔しい。当然だ。

汗だと思っていたものは、自然に溢れた涙で。

それを認識すると、私は泣いた。

私を心配してきてくれた妹を抱き、声を上げて泣いた。

 

悔しい、悔しい、悔しい――――――!

 

自分に勝てるものなど、同年代にはいないと思っていた。

妹に憧れられる姉となって、皆を率いる王女になる―――そう思っていた。

 

そう思っていたはずなのに。

 


 

―――ヌル(ローズ・カゲノー)視点―――

 

最初はそこまで勝つつもりはなかった。

ミドガル王国第一王女、アイリス・ミドガル。

過去の世界で私たちと敵対した者。

表の世界ではそれなりに強い者だったはずが、形は違えど何度もシャドウ様に負け続け、プライドをボロボロにされ、ディアボロス教団の傀儡と化し、最期には王にも見限られ、最愛のはずだった妹に倒されてしまった憐れな人。

ここで勝ったところで、彼女にとっては何の意味も為さないはずだけど、シャドウガーデンを憎み、ディアボロス教団に対して様々な助けを加えた。私たちの怨敵。

そう思うと、力が入り、使うはずのなかった糸の補助を使ってしまった。

 

私はまだまだ―――弱い――――――。

 

そんなことをせずとも。

 

――――――実力で倒せるはずなのに。

 


 

―――アレクシア視点―――

ねーさまが、負けた。

強くて、綺麗で、かっこいいねーさまが、負けた。

私では追いつけないくらい、強いねーさまが。

 

―――良い気味だ。

 

心の暗い場所から、そんな声がする。

私と姉を分ける強さが、敵わない人がいる。

誰も姉に勝てるような人がいるなんて思ってなかったから、私に向けられた比較の目は甘んじて受けていた。

弱いのが悪い、自分の才能の無さが悪いと。

でも、そんなことなんてなかった。

 

目の前でねーさまを倒したのは、私と同じくらいの子。

身長だって私と同じくらい。なのに。

 

ねーさまに勝ってしまった。

最初は圧倒的だったわけじゃない。防御一辺倒だったわけではないけど、勝ちに繋がる決定打はなかったはず。

ただ、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、基本的な戦い方を繰り返した動き。

それくらいでねーさまに勝てるわけがない。

年齢だって私と5歳違うんだから、経験が違うはず。

最初はもしかしたら、遠慮していたのかもしれない。

私たちの剣の教師や、周りのものたちがそうだから。

 

拮抗した戦い、この時点で観客はザワついていた。

だって、子供で5歳差がありながら、拮抗するのだから。

それなのに剣舞や、剣の型でも見せるかのように、遊ぶ。私にはそう見えた。

基本に忠実な動きだから、鏡と戦っているように感じたのは私だけではないと思う。

 

ただ、途中から動きが変わった。

今までの動きが無駄な動きをわざわざしていたかのように、同じ動きのはずなのに動きが変わった。

一つ一つの動作の無駄を削ぎ落していく作業。

打ち合うごとに。打ち合わなくても。

動作の無駄になっていたものが、無駄な何かが改善されていくのが私には理解出来た。

ねーさまとの戦いで成長しているわけじゃない。これは―――。

これは―――底を見せないように、手を抜いていた―――?

 

ああ―――と、ふと理解した。

 

私には―――努力が足りなかった。

戦い続ける努力、努力を諦めない努力。

戦って、抗って、負けても良い、ただ。ただ。ただ、諦めないこと。

 

どこかで私は諦めていたから。

前をひた走る姉と比較され、同じ年齢だった頃はもっと出来たなんてことも言われていた。

 

諦めていただけだった。

どうせ勝てないからと、どうせ追いつけないからと。

 

ありがとう。

あなたのおかげで私は気づいた。

諦めなければ、いつか勝てるって。

 

こんな美しい剣を見せてもらわないと、私は気づけなかった。

 




勘の良い方はお分かりかと思いますが、メッセージ等もらったのを活かしたいと思って以下の救済ルートを書いていく予定です。

・アイリス救済ルート
・アレクシア救済ルート
・シェリー救済ルート

メインはローズ救済ルートになりますが、こうやって少しずつ様々なシャドウ被害者の会に入ってそうな方を救済していく予定です。
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