救済ではなく救済がなかった世界です。
注)現段階での原作の話よりも後の話になるので一部オリジナル名称使ってます。
―――アレクシア視点―――
辿り着いた頂。
ここに来るまでに―――ローズ先輩が犠牲になった。
シャドウ――――――シド君の腕に抱かれて、彼女は逝った。
七陰と、愛したシドに抱かれて、彼女は幸せに逝けたのだろうか。
「なんでッ!なんでよッ!なんであの人が死ななきゃならなかったの……ッ!」
一時は、シドと幸せに生きていたはずなのに。
自分の王国のこと、シャドウの正体とシドへの想い。
全部が解決して、笑って過ごせるくらいには落ち着いた日々を過ごせていたのに。
シェリー・バーネット。
彼女の制作したアーティファクトで全てが変わった。
人を魔人へと進化させるアーティファクト。
今まで人として戦ってきた者たちと、シャドウガーデンで力を得た魔女との戦いだったものが、魔人と魔女との戦いへと様変わりした。
力ある人が、力ある魔人へ。
その過程で、先輩は逝った。
先輩は私の姉に拷問され、そして命を失った。
四肢をもがれ、体に穴は開けられ、生きているのが信じられないほど、蹂躙され尽くした。
シャドウですら助けられないほど、その命を潰しつくされ、逝った。
「姉さま……!いえ。ただの―――アイリス……!」
ディアボロス教団が誇る要塞ダモクレス。
その頂点で、私とアイリスは対峙した。
ディアボロス教団に洗脳され、傀儡と化し、教団のためなら情報漏洩も隠蔽もなにもかもを行っていた。
自身の立場を利用し、様々な事を起こしてきたアイリスは、シャドウガーデンによってその全ての悪事を暴かれた結果、父である王によってミドガルという名を奪われ、ただのアイリスへと堕とされた。
「―――いらっしゃいアレクシア。待っていました。ようこそダモクレスへ」
暗い―――いや、光に魅せられた目が―――私を見る。
その目に、私の体は震える。
子供の頃から、アイリスには勝てなかった。
魔剣士を目指し学園に入っても、まるで勝てるとは思えなかった。
シャドウと出会い、シャドウと関わり、そして、知った。
強くなるための方法を、強くなるために必要なものを。
そして―――今。
「フフッ、アイリスなんて呼ばないでください。前みたいに姉さまって呼んで欲しいです。愛しい愛しいアレクシア」
血を浴びて真っ赤に染まった騎士服のアイリス。
ローズ先輩から受け継いだスライムスーツの私。
いつの間にか降り出した雨。すぐにでも落ちてきそうなほど響く雷鳴。
不気味なほど、楽しそうに笑顔を浮かべるアイリス。
勝負の終わりは大して時間はかからないだろう。
だって、私はもうアイリスを、姉さまを見限っているのだから。
どうしたって、どうしたって―――もう戻れないのだから。
「姉さま、あなたと過ごせた時間はとても、とても大切な思い出でした」
強い姉さまに憧れた子供の頃。
劣等感に苛まれたシャドウに合うまでの時間。
姉さまが離れていくのを止めようと、抗った日々。
雨に流れて相手にはわからないだろうけど、私の頬に涙が伝う。
溢れそうになって、落ち着くために一つ息を吐く。
「だから、お願い。姉さま―――」
「「これで終わりにしましょう」」
私とアイリスの声が重なる。
重なって、雷鳴が大きく響き。
ダモクレスに雷が二つ落ちたのだった。
「さようなら。姉さま」
勝負は一瞬で終わった。
一、アーティファクトであろう剣を持った腕を落とした。
最小限の動作で、腕を落とす分だけの押す動作で落とした。
二、そのまま手元に剣を戻すための動作だけで足を切り落とした。
引く動作で足元を狙い、こちらも最小限の動作で落とした。
三、自分がまだ優勢だと思いこんでいる表情を見ながら首を切り落とした。
腕が落ち、足ももう無いはずなのに余裕のある表情だな、なんて思いながら。切った。
それで終わり。
もう、何があっても姉さまが戻ってくることはない。
再生能力があろうが、死を無効化する能力があろうが、もう終わり。
剣の技術の深淵。
凡人の剣と言われた私の剣を、努力して、努力して、努力して、何かを得て、何かを失って、やっと届いた技術の深淵。
魔力を剣に込めて、アーティファクトの能力すら切断し尽くした。
足りなかったものは、ローズ先輩に埋めてもらった。
魔力が維持出来なかったわけでもないけど、スライムスーツと、それをまとっていた剣がボロボロと崩れていく。
ローズ先輩が助けてくれていたのが、姉さまの死をもって終わったかのように。
―――報告―――
ダモクレス破壊作戦
ディアボロス教団・死者・ラウンズ第十三席『アイリス・■■■■』他多数。全滅を確認。
シャドウガーデン・死者・『元666番/現ナンバーズ・フィーア/オリアナ王国女王ローズ・オリアナ』一名。
用語解説
ダモクレス
捏造
原作にそんなものはないハズ
ラウンズ十三席
捏造
そんなものはない。確か十二席まで
ナンバーズ・フィーア
捏造
そんなものはない。