陰の実力者にIFルート!   作:壱知

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昨日は過去編だけだったのでもう1本本編を出す予定だったのですが、寝落ちしました。
どこかでもう1本投下する日を作る予定です。



未来からの刺客

―――さらっと3年経ちました―――

 

クレア・カゲノーが誘拐された。

 

七陰が救出のために動いている中、私はディアボロス教団の一人を追っていた。

本来ここにいるはずがない、元ラウンズ第六席『ルスラン・バーネット』

 

過去の世界でミドガル魔剣士学園の副学長として、ディアボロス教団に協力していた人物だった。

この時期にはもうラウンズを引退しており、シェリーの母親を利用してアーティファクトの研究をしていたはず。

なのに、何故。何故ここにいる―――!?

 

過去の世界では副学長として協力はしつつも、表立って行動するような人間ではなかったはず。

だから、だから。

これはおかしい―――!

知り得る限り、最悪の展開だ。

引退したとはいえ、元はラウンズだ。

加えて学園占拠事件の時ほど弱体化もしていないだろう。

それでも。

 

追う。追う。追う。

こいつを、こいつを逃してはいけない。

こいつをもし見逃せば、こいつが何かするかを知らなければ―――。

 

こいつを逃すと、シャドウガーデンだけじゃない、多くの人が傷つく自体が起きてしまう―――!

 

焦っても何も進まない。

わかってはいても、シェリー・バーネットの末路を思い浮かべると、気が急いてしまう。

アーティファクト制作の天才。

現代にアーティファクトを蘇らせた天才。

最初はそう呼ばれていた。

 

けれど、彼女は大罪を犯した。

そう、魔人化のアーティファクトによって。

 


 

―――アルファ視点―――

七陰の零・『末席』・ヌル

彼女はシャドウガーデンでも特殊な立場にいる。

イレギュラーな出来事によりシャドウ―――シド・カゲノー側の人間になってしまっていること。

シャドウ様直々に叡智を授けられていること。

シャドウ様の身の回りをお世話するメイドとして働いていること。

シャドウ様によって、側にいることを許されていること。

 

そのせいである程度自由に動ける七陰の中でも私の指示を無視して動いている状態だ。

シャドウ様に許されている以上、私にはどうすることも出来ない。

本人も、末席でシャドウガーデンに参加出来ていればそれで良いと発言しているため、七陰の零番。『末席』として参加している。

 

だから、今回も七陰が揃う中―――単独行動でディアボロス教団を追っている。

 

本当に―――本当に嫉妬しちゃいそう。

シャドウ様のお側にいられることが羨ましくて。

 


 

―――ヌル視点―――

「出てきなさい。いるのはバレているんだよ」

 

過去の世界で聞いたことのある声で呼ばれる。

ルスラン・バーネット。彼の声だ。

出来るだけ離れて、出来るだけ自分だけが感知出来るギリギリの状態で追っていたつもりだったけれど、焦りでバレるような事をしてしまったらしい。

 

「わかりました、私は―――ヌル。あなたはルスラン・バーネット様……ですね?」

 

こちらが有利を取れるように、出来るだけ表情と動揺を隠して姿を現す。

名前を知られていることに驚いたのか、ルスランが動揺するのが見えた。

余裕のありそうな声、呼吸からガラリと変わっているのが見えて、有利は取れたと確信する。

ただ、万全を期すために、仕掛けだけはしておく。

 

魔力を、薄く、薄く、薄く――――――。

 

剣の術だけで、倒すつもりなんてことは考えない。

素性がバレることなんて無いとは思うけれど、それでも、今出せる本気を出さねば、自分は負ける可能性がある――――――。

私は―――弱い。

どんなに強くあろうとしても、準備を怠れば―――負ける。

感情に左右されて、相手に均衡を崩されれば―――負ける。

私は、私は―――それで、過去の世界では死んでしまったのだから。

 

薄く、薄く、薄く。

 

丁寧に呼吸をする。

鼓動を早めるな―――有利を―――勝つために―――選び続けろ―――!

 

瞬―――ルスランが消える。

 

シャドウ様に教えてもらった―――縮地だ。

相手との距離を、短い時間で詰めるための術。

糸が反応しているので、方向までわかった状態で、反応する。

シャドウ様の方が、速い。

あの人はこんな反応させてもらえるほど、わかりやすくない。

 

間―――向けられた剣を、糸と剣で相手から奪い取る。

 

 

はずだった。

 

 

剣と剣がぶつかり合う。

糸でも止められないほどの、膂力。

やはり、やはり事件の時ほど弱体が進んでいない―――!

 

何度か打ち合おうと挑んでくるけれど、相手に有利を取らせるような真似はしない。

今はまだ―――相手の方が能力だけで言えば格上だ。

本来なら勝てそうにはない。

 

―――本来なら、だ。

 

でも、こちらには―――陰の叡智がある。

シャドウ様の生み出した絶対的な強者の武術が。

 

見える―――糸の力で相手の筋肉の動きまで鮮明に。見える。

視える―――相手がどう動くか、先の先。未来が―――視える。

 

こちらは、静かに動く。

次の動作など、わからせない―――シャドウ様と、私だけの戦い方。

 

縮地など、ただ少し速いだけ。そう思えるほど速く、速く動く。

シャドウ様にはまだ追いつけないけれど、ルスランは反応出来ていない。

 

断ち切る――――――ッ!

 

手足の腱、腕の付け根、足の付け根。糸と剣で同時に斬る。

芋虫のように這いまわりながら、叫び声を上げるルスランを、油断せずに糸で拘束する。

 

そして―――。

 

「知っていること、全て喋ってもらいますよ」

 

笑顔を見せながら、頭に魔力を流し込んだ――――――。




解説にもならない解説
ラウンズ第六席
ルスランがラウンズだったのは公式設定だったと思いますが、第何席かまでは語られていなかったはず。

シェリー・バーネット関連の話
オリジナル設定です。
アニメ20話を見て、いずれシャドウに復讐するんだろうなという発想から。

七陰の零・『末席』
オリジナル設定
七人だから七陰なのに八人いるのはおかしい。
末席は本当にネーミングのダサさが気に入って採用しました。
ローズ救済を書き始めた理由なので、書けて良かったです。
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