次にさくらは、キャンディーの瓶を手に取った。
紫と白、水色と白、黒と白などと白と組み合わせた様々な色の縞模様型キャンディーはカラフルでどんな味か予想出来ず、食べてみたいとは思わなかったが興味が湧いた。
キャンディーの瓶の上部にはタグがかけられており、そこには大きく"Gage's language CANdy"という文字と共に小さな英語の文字が数行にわたって書かれていた。
やはりキャンディーだという確証は得れたが、どんな味なのかそもそも一体この数行に何が書かれているのかと気になって、さくらは食べるのを躊躇った。
さくらはチラッとふくろうの方を見て「食べた方がいい……?」とちょっと嫌そうなオーラを出しながら尋ねた。
ふくろうはコクンと頷く。
さくらはキャンディーの瓶の蓋を開け、中から出来るだけ無難そうな色のキャンディーを一つ選んだ。
選んだキャンディーは黄色と白の縞模様で、さくらはレモン味でありますようにと祈った。
さくらはそのキャンディーを恐る恐る口に運び、口の中でコロコロと転がした。
舐めるうちに段々とさくらの眉間の皺が深く刻み込まれていった。
――レモン……じゃない。何の味? 玉子っぽいような、でもすっごく甘い、甘すぎる。食べたことあるような……あ、もしかしてケーキ? ショートケーキの味……かな、多分。
ショートケーキ味のキャンディーは、不味くは無かったがキャンディーでは食べたくないような何とも言えない味だった。
さくらは早くこの味とおさらばしたいと思い、途中から嚙み砕いて食べ始めた。
苦々しい表情で瓶を再び見たさくらは、明らかに先程とは違う現象に驚いた。
キャンディー瓶のタグには大きく「ゲージの言語キャンディー」という文字と共に小さな日本語の文字が数行にわたって書かれていた。
さくらは、急いでトランクの中に直した本や他の分厚い本をもう一度手に取った。
「吟遊詩人ビードルの物語」「変身術入門」「幻の動物とその生息地」……など、さっきまで英語で読めなかったタイトルや本の中身までも全て日本語に変換されていた。
これは魔法のキャンディーだったんだと、さくらはキラキラした目でキャンディー瓶を眺めた。
ゲージの言語キャンディー
フランス老舗の魔法キャンディーショップ「スィートボンボン」の長年愛された看板商品「ゲージの言語キャンディー」が、更に改良され新商品として発売!
従来の言語キャンディーとは違い、文字では誤訳が大幅に減少し会話では訛りがほぼ出ない仕様になり、より他国の魔法使いや魔女達と交流しやすくなりました。
各国の魔法省間での交流などにもご愛用して頂いております。
一粒で約3日の持続効果。
求めていた味の情報は一切書かれていなかったが、魔法使い達の世界にはこんな便利で面白いものがあると知り、さくらはますます魔法界という場所に早く行きたくて仕方なくなった。