魔法界でどんな活躍をしてくれるんだろうかと私もドキドキしながら書いています。
母から手紙を受け取ったさくらは、封筒の裏面に書かれた文字に言葉を失った。
私達の愛する娘とその子を育ててくれるまだ見ぬ親切なお方へ
――これって……私の本当の両親からの……。
さくらは、急いで封筒を開け中の手紙を取り出した。
手紙はクチャクチャに皺が寄っており、かなりの回数読まれたと伺えた。
一枚だけ他の黄色みがかった便箋とは違う白い便箋が混じっている事に気付いた。
見ると、その便箋だけ母の筆跡だった。
「英語が得意だったら良かったのだけれど当時は訳すのにとても時間をかけてしまったの」と母は肩をすくめた。
さくらは、早朝に食べたキャンディーのおかげで手紙を読めたが、母の訳してくれた文章も一緒に読んだ。
以前から、実の両親の話は度々聞かされていた。
父は日本人で神白 陸、母はイギリス人でエテルナ・メルティという名である事、自分はイギリスで生まれた事、2人はどうしても言えない事情があって誰か別の人に娘を育ててもらおうとした事、遠くに離れていても愛しているという事、それら全て手紙に書かれており母はさくらに一切嘘偽りなく話していたと証明された。
一方でそれ以上に知らなかった話の方が多かった。手紙には両親に関する話も沢山書かれていた。
実の母は魔女だった。
しかも、スノウが届けたあの手紙に書かれていたホグワーツという学校に通っていた。
父とは学校を卒業してしばらく経った後に出会ったらしい。父はマグルだったらしい。
――マグル……マグカップ……ではないよね。
そして、さくら自身も魔女であると書かれていた。
「私、やっぱり魔女だったんだ」
さくらは、無意識に声を出してそう言った。
母はそんなさくらの頭を撫でながら、ぎゅっと抱きしめた。
さくらは手紙を握りしめ、こうも言った。
「私……ホグワーツに通いたい」
母は一瞬悲し気な表情を浮かべた気がしたが、すぐに優し気な微笑みに戻った。
スノウは、さくらの言葉に喜ぶかのようにホーと鳴いた。
その日からしばらくは、ホグワーツに通うための手続きに追われた。
要はイギリスの学校に留学するのだから、魔法学校といえどパスポートやらビザやら面倒な事は何から何まで魔法で何とかなるわけではなかった。
学校の担任に留学の件を話すと、担任はまるでさくらがいなくなって清々するかのような態度をとった。
今までならさくらは落ち込んでいたし嫌われたくないと思っただろうが、もう通わなくなる学校のきっと二度と会わない教師に好かれなくても最早どうでも良かった。
家では、今回の留学を相談もなく勝手に決めた件について流石に父と母は少し揉めてしまった。
が、結局さくらのやりたい事をさせてあげたいという意見で決着がついた。
総といえば、留学が決まってからさくらに会うたびに少しぎこちなく口をパクパク動かしすぐにその場を立ち去るという奇妙な行動を取り始めた。
もしかして自分がいなくなる前に何か少しでも話そうとしてくれているのだろうか、とさくらはちょっと嬉しくなった。
そんなこんなで、等々、イギリスに旅立つ日になった。