シャドウズルーラー~蘇りの石~   作:聖せろり

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ミンティアが勝手に喋ってくれるので楽です。割と好き。


32 死喰い人の子は死喰い人

「死喰い人?」

さくらはミンティアに初めて耳にするその単語を聞き返した。

ミンティアは自分が先にとっておいた座席にさくらを誘導しながら、思い出したかのように手をパンっと叩いた。

「マグルは知らないんだったわ! あのね、その昔……と言っても8年前までだけれど。ヴォルデモートって言うとてつもなく悪い闇の魔法使いがいたの。通称、「例のあの人」。未だにそっちの名で呼ぶ人が多いけれど私はハリー……ヴォルデモートを倒した英雄よ! 彼が呼んでいるように名で呼ぶの! でね、『死喰い人』っていうのはヴォルデモートの信者の総称よ」

「悪い人なんかに信者がいるの?」

「そう、うん。確かにおかしな話ね」

ミンティアは珍しく考え込み喋りが一旦途切れた。

が、ものの数十秒で再び明るく喋りだした。

ミンティアに続いて部屋のように区切られた座席のある一室に入ると、そこには他に黄色がかった茶髪の男の子がスース―と寝息をたて眠っていた。

さくらのトランクを部屋に入れた後、二人は彼の向かいに並んで座り、スノウはさくらの膝の上で羽を休めた。

「ホグワーツの初めての年に3人! まるでハリーみたいじゃない? 本当は女の子1人、男の子2人だけれどね。サクラやこの子の生まれも分からないし。私は二人とも魔法使いよ! 見た目はハリー……この眼鏡かなり彼を意識したの、出自はロン、頭脳は……ハーマイオニーだといいなぁ~」

うっとりとした目で自分の世界にふけっているミンティアだったが、

ロンやらハーマなんとかやら色んな名前の人の話をされてもさくらにはさっぱりついていけなかった。

「とにかくあそこにはね、死喰い人の子達が乗っているからダメなのよ。乗っていた子きっと1年生ね。上の学年の子は、発車ギリギリに乗るそうだもの。嫌だわ、同じ学年に2人も! しかも、1人はエイブリー家の子よ。最悪」

ミンティアは吐きそうな顔をわざとした。

ミンティアに好感を持っていたが、死喰い人の話をする時の彼女をさくらはあまり好きになれそうになかった。

「死喰い人の子ってあの子達も悪い人の信者なの? とてもそうは見えないけど……」

「親が、よ。でも、ほらよく言うじゃない。トロールの子はトロール、死喰い人の子は死喰い人、ってね」

「かえるの子はかえるって、魔法使いの世界ではそう言うんだね」

「何それ? かえるの子はおたまじゃくしでしょ?」

ミンティアは、ツボに入ったのかお腹を抱えて笑った。

あまりにも楽しそうに笑うので、さくらもつられて笑った。

「でもねミンティア、あの男の子は私、前に会ったことがあるの。私が落としたものを拾ってくれて……とても親切だった。だから悪い子たちって決めるのはまだ早いと思うな」

だが、ミンティアは鼻で笑った。

「盗もうとしたのよ、それ。サクラ、あなたは何も知らなすぎるの。クエート・エイブリー、エイブリー家の子よ。死喰い人だらけの一族。闇の魔術師しか知らない奴らよ。あいつらに親切の『し』の字も無いわ。特にあの子は」

「クエートっていうんだあの子」

ミンティアは忠告しているつもりだったが、さくらは一切聞き入れようとしなかった。

それよりも少年の名前を知れた事に嬉しくなっていた。

流石にミンティアも、さくらのその想いに気付いた。

「あのねサクラ。彼だけは本当にダメ。あの子ね……ヴォルデモートの子じゃないかって言われてるの」

さくらは驚き、ミンティアの顔を見た。

「噂はこうよ。あの子はニセモノのクエート・エイブリー、ホンモノのクエート・エイブリーはとっくの昔に死んだ」

「え、どういうこと?」

「ヴォルデモートがハリーに倒される少し前、ある魔女が色んな人に言ってまわってたらしいの。『クエート・エイブリーは死んだ。エイブリー家の息子は死んだ』って。それを裏付けるかのように、あの子は何年もの間一切誰の前にも姿を現さなかった。それが最近になってご覧のとおり。皆、言ってるわ。ホンモノが死んだから、逆転時計でも使って過去に戻りヴォルデモートとの子をもうけ、その子をクエート・エイブリーとして育てることにしたんだろう、って。あいつらならやりかねないもの」

さくらはミンティアの話が、にわかに信じがたかった。

と同時に、胸がぎゅっと痛くなった。

クエートというあの子が、もしこの噂を知っていたなら一体どんな想いで過ごしているのだろう。

そして……もしその噂が本当なら……どんな想いで過ごしてきたのだろう。

どちらにしてもクエートが不憫でならない。

家族に愛されていると頭で分かっていても、それでももっとと、家族以外からもと欲望で溢れかえる自分なら耐えられないと、さくらは思った。

殺人者と呼ばれる方がずっとマシかもしれないとも思った。

「んで、結局、そのクエートって奴のどこが悪人なわけ?」

向かいの席を見ると、さっきまで眠っていた筈の男の子が目を覚ましていた。

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