シャドウズルーラー~蘇りの石~   作:聖せろり

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蛙チョコのカードのデザイン可愛いですよね。


34 見たくないもの

十二時半を過ぎお腹が軽く空き始めた頃、車内販売のおばあさんが何かいりませんかとニコニコと聞きに来てくれた。

何かと言われてもスノウがくれた金貨は杖に全部使ってしまったので、さくらは大丈夫ですと断った。

ソニックも断ったが、本当は欲しいのか売っているものが珍しいからかワゴンの売り物を凝視していた。

バーティ―ボッツの百味、ドルーブルの風船ガム、蛙チョコレート、かぼちゃパイ、大鍋ケーキ、杖型甘草あめ……見たことも聞いたこともない色とりどりのお菓子が並べられていて、さくらも興味が湧いた。

ただ、食べてみたいとは思わなかった。

前に送られてきたゲージの言語キャンディーはそこに無かったが、あのキャンディーは美味しい物は美味しいがケーキ味のような変わった味のキャンディーにあたるとかなり苦痛だった。

海外のお菓子は甘いと言うし、中々挑戦してみようという気にはなれなかった。

強いて言うなら、かぼちゃパイはちょっと食べてみたかった。

ミンティアは蛙チョコレートを2つ買うと、早速チョコの包みを開けた。

包みの中には、まるで本物の蛙のようにピョンと飛び跳ねたり動き回ったりしている蛙型のチョコレートが一つ入っていた。

小さな悲鳴をあげるさくらや凄いと感心するソニックには目もくれず、再びジャンプしそうな蛙チョコをミンティアは鷲掴みし、頭から一口食べた。

その様子を見ていた、さくらとソニックは石のように固まってしまった。

頭を食べられてもまだ蛙チョコはジタバタと手足を動かしていた。

これが魔法使いの世界……と2人は少し引いていた。

ミンティアは蛙チョコを食べながら包みの中にまだあったカードのようなものを取り出し、さくら達に見せた。

「あー私、これ持ってるわ。いる?」

カードには、ドルイド教女祭司クリオドナと書かれており、女の人の写真が映像のように動いていた。

ミンティアはハリーポッターのカードを既に4枚持っているにも関わらず、あと6枚は欲しいらしい。

もう1つの蛙チョコからは腐ったハーポのカードが出たので、ミンティアは不服そうだった。

2枚のカードは、ソニックがもらう事になった。

お腹が空きに空いて車内販売で何も買えなかったのを恨む頃になると、窓の外は暗くなっていた。

そろそろ制服に着替えなきゃと、ミンティアは2人を外に追い出した。

ミンティアが着替え終わる間に、汽車は徐々に速度を落としていた。

ソニックの着替える時間が無いのではないかとさくらは心配したが、ソニックは笑って大丈夫だと答えた。

何が大丈夫なのか、その後もソニックは着替えようとはせず私服のまま汽車が目的地に到達した。

生徒達が皆、一斉に外へ出ようと押し合いへし合いしている中、さくらは緊張を誤魔化すかのように肩の上にとまっていたスノウをぬいぐるみみたいに抱きしめた。

隣にいるミンティアを見ると、彼女も緊張をしているようだったがそれ以上に期待に胸を膨らませ目がキラキラと輝いていた。

ソニックは通常運転だ。

3人は生徒達がほとんど降りきった後にゆっくりと降りた。

一度、混雑している時にミンティアが降りようとしたが、体格のでかい上級生達の波に飲まれて息が苦しくなったのでおとなしく混雑が緩和されるのを待った。

さくらがスノウと共に列車から降りると、最後尾の列車近くにはまだ降りたばかりの生徒達が多くいた。

その中にクエート・エイブリーの姿もあった。

彼を見てさくらは、ふと思い出した。

「助けてくれた時、一緒にちっちゃい子がいたけど、あの子ってあのクエートって子の妹だったのかな」

「クエート・エイブリーに兄弟はいない筈よ。いとこか他人とかじゃないかしら? というか、サクラ! あいつらの方は見ちゃダメ!」

ミンティアはさくらの手を掴むと、グイグイと強引に前方の方へ連れて行った。

「イッチ年生! イッチ年生はこっち!」

汽車の前方では、ランプを持ったボウボウと長い髪に荒々しいひげの大男が1年生の生徒達を呼んでいた。

「彼はハグリッド。ホグワーツの鍵と禁じられた森の番人よ」

ミンティアはヒソヒソとさくらに教えてくれた。

ミンティアの興奮ぶりから見ると、ハグリッドというあの大きな男の人もまたハリーポッターに何か関係のある人物なのだろう。

「さぁ、ちょいと着いて来いよ。足元に気ぃつけろ。いいか! イッチ年生、こっちだ、ついてこい!」

足元を、と言われたそばから誰かが勢いよくこけていた。

「おい大丈夫か? 気ぃつけろと言っちょるのに……」

ハグリッドは、こけて半泣きになりかけている前髪がやたらと短い黒髪の男の子を立たせてあげていた。

さくらの近くでバカにしたようなクスクス笑いが聞こえた。

笑い声の方を見ると、金髪のツインテールの女の子がこけた男の子の鳴き真似をして男女の友人数人と彼をバカにしていた。

気分悪いものを見てしまったと、さくらは別の方へ視線をズラした。

視線の先には、クエート・エイブリーと最後尾の列車に乗っていた女の子が黙々と歩いていた。

――ミンティアはあぁ言うけど、さっきの子達の方がずーっと私は嫌だし見たくないな。

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