さくらに同情していた生徒もスノウを褒め称えた生徒もスリザリンと聞いた瞬間、少女と一匹に全く興味を失い次の一年生を早く出せと言わんばかりの空気を醸し出した。
さくらの感情はまるでジェットコースターのように浮き沈みが激しかった。
帰れと言われ沈み、スノウのおかげで組み分けの儀に参加出来ると浮かれ、そして友達になれたかもしれない子があそこだけは大嫌いだと言った寮に入ったという現実に打ちひしがれた。
ミンティアの方をチラッと見ると、戸惑いと先程以上のショックが入り混じった複雑そうな表情をしており、さくらと目が合った瞬間、反射的にミンティアは目を逸らした。
トボトボとスリザリンのテーブルにさくらとスノウが向かうと、そのテーブルに座りたくない想いでいっぱいになった。
スリザリンになった1年生の大半は、ノック・ディペットを馬鹿にしていた者達ばかりであり、他人の悪口を平気で言う人間と自分は同種族だと言われているようで悲しくなった。
出来るだけその子達の近くに座りたくないさくらは、何故か詰めて座らずテーブルの端っこの席を確保しているリンダ・アーウェリンの隣に座る事にした。
「こんにちは、よろしくね」
さくらがリンダにそう話しかけると、リンダはさくらがまるで何もない壁に話しかけたおかしな人であるかのように驚き、自分の椅子をわざわざさくらから少し離し、テーブルの端のギリギリに座り直した。
これには流石のさくらも、心が折れてそれが顔に出そうになった。
他のスリザリン生の事を考えると憂鬱にしかならなかったので、さくらはまだ続いている組分けを見て気を紛わせようとした。
先程、さくらを帰国させようとしていたマクゴナガル校長は、意気消沈気味で自分の席に戻っていた。
頭の中でマクゴナガル校長のあの慌てふためいた態度や組分け帽子をかぶった時の絶望したかのような顔、組分け帽子の謎の言葉がグルグルと思い返され、集中したくてもちっとも組分けの内容が頭に入ってこなかった。
強引だが無事ホグワーツに入れたものの、「お前はここにいてはならない」と言われた気がしてならなかった。
マグルの世界でもこの変な目の力や身に覚えのない出来事で上手くやっていけないのに、魔法界に至っては初めから招かれざる客のようだった。
自分の本当の母親は、さくらに残した手紙でこの魔法学校がいかに素晴らしく楽しい思い出が作れる場所か書いていた。
だからこそ、さくらも期待し、早く学校に行きたいと思っていたのだ。
だが、現実はマグルの世界でも魔法界でも理想とは違い厳しいものである事に変わりは無かった。
最後の1年生でありさくらの最後の希望でもあった、「ソニック・ヤード」もスリザリンではなくグリフィンドールの寮に決まった。