記憶とは不確か……。
「あの、それでなんで僕も集められたのかな? 君が僕にふくろう便を寄越すまで、僕はその死の? 秘宝? について知らなかったんだけど……」
突然、ロンとハーマイオニーの家に呼び出しをくらい、その家のリビングで落ち着かなさそう 様子のネビルはそう尋ねた。
「それにさ、なんでうちなんだよ。君、魔法省のお偉いさんからでっかい仕事部屋貰ってるだろ? 僕、あそこが良かったよ。そしたらネビルに、僕魔法省ではVIP扱いなんだって冗談言えたのにさ」
ネビル相手に冗談を言うのは100%冗談にする気がないな、とハリーは思った。
闇祓いとして3人で活動していた頃、ネビルはよくハリー達が学校にいなかった間の話を聞きたがったし、逆にその間のホグワーツの生徒達の活躍を教えてくれたりもした。
死の秘宝やダンブルドアの真実など、全ての出来事を教えたくても教える事は出来なかった。 ネビルは、ホグワーツの戦いでとても勇敢だったし、彼がナギニを倒してくれていなかったら、もしかしたらあの戦いに負けていたかもしれない。
勿論、それまでもなんなら1年生の頃からネビルは誰よりも勇敢だった。
だからこそ、本当の話を出来ないのは心苦しかった
ハリーが嘘を思いつかずたまに言葉に詰まると、ロンは巧みな話術で架室の冒険談を作り出してネビルに話した。
一体、いつからそんな才能を開花させたのだろうと思ったが、ハーマイオニー曰く子育てを始めてかららしい。
確かに元からロンと話すのは楽しかったし、良い方にも悪い方にも創造力が豊かな方だった。
だが、ユーモアのセンスがピカイチかと言われるとそうでもない。
ユーモアやセンスと言えば、ロンの兄である双子のフレッドとジョージに勝るものはいなかっただろう。
ハーマイオニーは子育てを始めてからだと言うが、ハリーはホグワーツの戦い後からウィーズリー家の構図自体かなり変化した気がしていた。
双子の片割れフレッドを失ったジョージは、落ち着きのある大人びた印象に変わった。
いたずら心やユーモアなどを決して失ったわけではないし今でもたまにいたずらを仕掛けたりしているが、以前のような明るくはっちゃけた笑顔は見せず静かに微笑む程度だ。
彼の心は未だ傷つき、癒されていないのだろう。
最も心を閉ざしてしまったのは、意外にもパーシーだった。
元通りどころか、更によりよい機関となった魔法省で働く機会があったにも関わらず断り、今はウィーズリー家で自分の部屋に籠りっきりだ。
どうやら、部屋で何かを必死に調べているらしいが、何かはよく分からないとウィーズリーおばさんが言っていた。
一方でロンはと言えば、勿論兄の死を悲しみ傷ついていた事に変わりは無いが、ホグワーツの戦い以降ハリーと共に英雄視され、今まで以上に自分に自信を持てるようになり、本来秘めていた才能を開花させていた。
ロンとジョージは今ではすっかり以前と正反対の性格になっていた。
「ネビル、何故あなたを呼んだかは後で話すわ。それより、ロン?」
ハーマイオニーは、ネビルには優しく話しロンには厳しめの口調で彼の名を呼んだ。
「あなたがテディに死の秘宝についてあれこれ話したからこうなってるのよ! そんな事、言える立場かしら?」
「僕のせいだって言うのかよ! まさか、ちっちゃなテディ坊やにビードルの物語を読み聞かせてやったら、あのハエババアに盗み聞きされているって思わないだろ!」
ハエバハアという言葉に一瞬ハーマイオニーが少し笑ったのをハリーは見逃さなかった。
「盗み聞きされたのかテディに聞きだしたのかはともかく、秘宝の話は私達だけの秘密にするって言ったじゃない」
「あぁ、でも物語をそのまんま読んだらそんなの面白くないじゃないか! 3人兄弟の話なら尚更ね」
「もうロンったら……」
ハーマイオニーは呆れながらもしょうがないわねというかのように笑った。
彼女はそういうロンが好きなのだ。
どうやら、すっかりロンへの怒りはおさまっていたようだった。