「過ぎたことはどうしようもないとして」
ハリーは、2人の間に流れるラブラブな雰囲気をぶち壊したくて仕方なかった。
「知られてしまった以上、秘宝を彼らに渡すわけにはいかない。その為に僕達は集まった。だろ?」
ハーマイオニーはハッと我に返り「ええ」と頷いた。
ハリーは、昨日起きた9と4分の3番線の事件を帰宅後すぐさま、ロンとハーマイオニーに知らせた。
するとすぐさま返信が来、ネビルも加えて今日作戦会議を2人の家で開く事になったのだ。
「死の教徒は、元々ひっそりと活動していてその存在を知る者はほぼいなかった。彼らの思想や行動が過激になったのは、ホグワーツの戦い前後辺りで入れ変わった幹部のせいらしいわ。その幹部の1人が……」
「モントってわけか。例の変わった目の男っていうのは?」
「さぁ、私が伝手で手に入れたのは、名前が載っている名簿だけ。顔までは定かじゃないわ」
「おい、ハリー見てみろよ! 君がこの前とっ捕まえた死喰い人の名前もあるぜ。こり相当厄介だな……」
3人がワイワイと盛り上がる中、ネビルはあまりついていけず置いてけぼりをくらった。
元々、3人の絆は強く深く、3人と仲が良いとか悪いとか友達だとか友達ではないとか関係なく、他の誰かがそこに入る際など無かった。
多分、ホグワーツの誰もが彼らの関係を羨ましいと思っていたに違いない。
それゆえに妬まれる事もあったのかもしれない。
ナギニを倒し一時期闇祓いとして活動し、そして念願の薬草学の教授となったネビル。
英雄視され慕われ、祖母には「自慢の孫」と何度も褒められた。
それまでのどんくさい自分がハリーのように英雄扱いされるなんて想像も出来なかった、とネビルは思う。
うんと小さい頃、誰だったか小さ過ぎて覚えていないがネビルはこう言われた。
「選ばれなかった男の子」
ハリーに誕生日も境遇も誰よりも近かったのに、ハリーは「選ばれた男の子」で自分は「選ばれなかった男の子」。
ハリーは称えられ、自分は馬鹿にされ。
でもネビルはそれに関しては仕方が無い事だと思っていたし、彼自身もハリーを純粋に凄いと憧れていた。
ただ、彼がどうしても嫌でどうしても悲しかった事がある。
それは、両親について。
「ハリーの両親は命と引き換えにハリーを守って死んだ。彼らの愛のおかげで彼は選ばれた子になったんだ」
その話を聞くのだけは、悲しくて悲しくて耳を塞ぎたくなった。
ハリーもハリーの両親も勿論悪くない。悪い筈がない。
それ自体は凄く素敵な事だった。
けれど……では選ばれなかった子は?
選ばれなかった子と言われた子の両親は?
死んだ方がマシだと言われる程の拷問を受けた両親。
最早、自分の息子を覚えていなかったとしても。
それでも、二人は最後まで……なのに。
その話をホグワーツの生徒の誰かが言う度、
「両親が、そんなんだから選ばれなかったんだ」そう言われている気がした。
いや、実際にそんな最低な事を言った生徒がいた気がする。
必死で忘れようとしたから、もう忘れてしまったが。
今、あの頃と周りの状況が全て良い方に変わっているのに、ネビルは時々こう思う。
――僕がハリーのようだったら。最初から僕がハリーだったら。
そしたら、ママもパパも僕のせいで侮辱されなかったし、二人の自慢の息子になれたかもしれないのに。
今となってもネビルの話をする時、多くの者は「ハリーの次に英雄」と余計な一言を付け足すのだ。
ネビルはきっとこれからも一生ハリーと比べられ僕だけを見てくれる人なんかいないに決まっている、 とすっかり諦めていた。