「だったら今すぐにでも止めないと! 僕はあの学校の先生なんだ! 生徒を守らなくちゃ!」
慌ててリビングから飛び出そうとするネビルをハリーは、急いで腕をつかみ止めた。
大人になりホグワーツの教師になり、落ち着いてしっかりものになったかに見えたネビルが 久しぶりに慌てふためく一面を見せてくれて、ハリーは少しホッとし口元が緩んでしまった。
犯人を特定する前に動いたら取り逃してしまうし下手したら大惨事になるかもしれないと説明すると、ネビルは恥ずかしそうに頭をかいた。
「なんとなく分かってきたよ、君が僕を呼んだ理由。君達は外から、僕は中からその犯人を探せば良いんだね? そしてこの事を他の教師に絶対に漏らさない、そうだね?」
ハーマイオニーはコクンと頷く。
「ホグワーツでは誰がどこで聞き耳を立てているか分からないもの。マクゴナガルに言うのもやめておいた方が良いと思うわ。校長ですもの、死の教徒がマークしていない筈ないわ。ネビルも十分気を付けて」
ネビルはゴクリと唾を飲むと、分かったと返事した。
「問題は」
ハーマイオニーは、何やら長めの羊皮紙を足元にあった鞄から取り出すと、皆が見えるよう机の上に広げて置いた。
「犯人は、マクゴナガル、ハグリッド、当然ネビルあなたもね、を抜いたホグワーツの教師の誰かで、生徒は1年生の魔法界にあまり詳しくない、マグル生まれの子の中にいるという事しか手掛かりが無いという事よ」
ハーマイオニーはお手上げと言うかのように溜息をついた。
「それ『しか』? 『しか』ってなんなんだろうな、全く」
ロンがハリーとネビルの顔を見て言うと、2人もうんうんとロンの意見に同調した。
「どうして1年生だと思ったの? それもマグル生まれの」
ハリーの質問に待っていましたとばかりに、ハーマイオニーが答える。
「私の経験からよ。私、ホグワーツに通う始めての年、入学の日まで何度も何時にここを通って何時に9と4分の3番線に着けるのかシュミレーションをしたわ。頭の中でも実際でもね。前日は特によ」
それを聞いて3人はハーマイオニーらしいやと妙に納得してしまった。
「不安だったのよ。魔法界に触れずにそれまで生きて来たんですもの、本当に9と4分の3番線なんて存在するのかしら、そもそも全て夢だったのかしら、って。だから、私と同じマグル生まれの、そして一度も学校に通った事がない1年生の子ならそれもあり得るのかしらって」
「確か間違えて触れた子は、魔法族の生まれじゃなかったっけ」
「あ、うん、あのソフィー・ブレンダの子供なら……うん、例外だと思うよ。ハーマイオニーの言う通りだと思う」
ハリーは、彼女達が自分の熱烈なファンであるという事は言わずに話した。
わざわざ言うような話でも無いからだ。
「それで私、1年生の名簿を昨日のうちに入手して……ネビルに頼んで送ってもらったの」
「こんなのバレたら僕、クビになるよ……」
「ありがとう、ネビル。それで、名簿と魔法省にあるデータベースを照合させて、狙われている可能性のある生徒を数人絞り出してみたの。一応、片方は魔法族でもう片方はマグルという子の名前も書き出しておいたわ。 念の為ね」
ハーマイオニーが狙われていると思わしき名前のリストを皆に提示した。
「ノックディペット」、「サンジェリカ・ジルマン」他数名は、片方がマグルの欄に書かれていた。
両方マグルの欄には、一つだけ大きな丸で何重にも囲まれた名前があった。
そこには「ソニック・ヤード」と書かれていた。
「最有力候補はこの子」
ハーマイオニーは、「ソニックヤード」の文字を指した。
「この子は特別……そう、ある意味特別な子。その力が見つけ出せる力とイコールになるとは思えない。けれど……」
ハーマイオニーの表情はどこか曇っていた。
「この子は、オブスキュリアルになりかけて一度保護された子なの」