その言葉の通り、さくらが花を枯らせたのは、今回が初めてではない。
自分が当番の時、誰かの代わりに当番になった時、当番の人が忘れていたのでこっそりとやってあげた時、さくらが花の世話をすると必ず花は枯れてしまった。
花だけでは無かった。2年の頃、クラスで飼っていた金魚達の世話をさくらがすると、次の日金魚達はプカプカと浮いたまま動かなくなった。昨日まで元気に泳いでいたのに一匹残らず死んでしまったのだ。
その時は、死んだ原因が分からず誰もさくらを疑ったりしなかった。
3年になると、新しいクラスになりまた金魚を飼う事になった。
そして、さくらの番になり後はもう言わなくても分かるだろう。
さくら自身は何が起きているのか分からなかった。
自分は先生に言われた通りに、皆がやっているのと同じように世話をしただけだった。
ただ2回とも、自分が世話をした時なのだ。
クラスメートはさくらに疑いの目を向け彼女を責めた。
何もしていないと何度も訴えたが、誰も信じる者はおらず、気付くと独りになっていた。
担任にも言ったが「怒らないから、本当の事を話してごらん?」の一点張りだった。
しばらくして、花の世話もダメだと分かった。
こういった事が縦続きに起きたので、とうとう親を呼び出されるハメにもなった。
その頃にはさくらはもう無実と信じてくれる者はいないと諦めきっていた。
母親の杏樹は担任からことの詳細を聞き、驚きそして呆れた。さくらに呆れたわけではない。
さくらが、金魚を殺したり花を数時間で枯らしたと思い込んでいる担任に呆れていた。
「何をどうすればそんな事を皆の目の前で、しかもこんな小さな子が出来ると思いで? 他の子はどうか知りませんが、さくらですよ? 小さな虫でも殺せない子が、そんな事出来る筈ないんですよ」
そう言って、杏樹はさくらを連れて帰った。
帰り道、母親に手を引かれたさくらは今まで我慢してきた感情を爆発させたかのようにわんわんと泣き、家についても涙は止まらなかった。
後にも先にも、さくらが無実だと信じてくれたのは母親だけで、クラスメートや担任からは、嘘つきの殺人者として憎まれ無視されるようになった。
さくらの噂は、クラスを越え学年を越え更には近所の人達にも知られる事になった。
総とあまり話さないようになったのもその頃からである。
そんなこんながあって、今またさくらが当番の時に花が枯れてしまったのだ。
さくらは、未だに自分が枯らしているという自覚が無かった。何故こうなるのか本当に分からないのだ。
ただ、一つ言えるのは自分は他の人とは明らかに違うという事。
その違いは正に今、目の前で起きていた。
花を持ってきた子も、他のクラスメートも誰も見えないものがさくらには見えた。
さくらには――枯れた花の周りにぼんやりとした緑色の光が漂っているのが見えるのだ。
神白 さくらは、花を枯らしたり金魚を殺したりする力がある?
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はい、そしてわざと力を使いました
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はい、しかし無意識です
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いいえ、これは偶然です
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いいえ、さくらではないです