ジャギィがドスジャギィになる話 作:ドスジャギィ
ドトドドドド
森に足音が響く。土煙が舞い、竜達の鳴き声が木霊する。
一匹のジャギィAがイャンクックの前に飛び出した。
瞬間、鼓膜が破れかねない程の咆哮がAを貫いた。
奴の畳まれた耳が大きく開かれ、Aに死を予告する。
誰もが怯み、足を止める中、あるジャギィ、Bが動く。
ジャギィBは事前に彼によって鼓膜を破られた特殊個体だ。
聞こえないのだから、咆哮など関系ない。
大口を開いた間抜け面目掛けて飛び付いた。
そのまま片目を鋭利な爪で抉り取った。
あまりの激痛に咆哮を止め、イャンクックはBを振り払おうと暴れ出す。
Bは呆気なく吹き飛ばされるも、空中で身を翻し、華麗な着地を魅せた。
だが、それは隙となる。
着地を狙い、ジャギィBを噛み殺そうと襲い掛かった。
だが、それは失敗に終わった。
茂みから飛び出したジャギィCと、咆哮の束縛から解き放たれたAの体当たりが、顔面にぶち当たり、狙いを外される。
瞬間、奴がブチギレた。
風圧すら感じるほどの咆哮が響き渡る。
ABC共に吹き飛ばされ、距離を取らされる。
咆哮が止んだ。鋭い眼光に貫かれた3頭が死を覚悟する中、イャンクックの頭上に巨大な影が降り注いだ。
彼だ。
木の上からイャンクックの首めがけて飛びついた彼だが、敵の超反応によって直撃を躱される。
だが、落下の勢いを利用して大きな耳を噛みちぎった。
悲痛な叫び声を上げ、怯むイャンクックに、お馴染みのバク転攻撃で下から尾を叩きつける。いわゆるサマーソルトキックだ。
脳が揺れ、他に倒れたイャンクック目掛けて、3頭のジャギィがここぞとばかりに襲いかかる。
立ち上がろうとするも、彼に首を踏みつけられ、上手く立つことができない。
苦し紛れの火炎ブレスも、他に伏せていては悪足掻きに過ぎなかった。
格下のジャギィに、関節から食い破られる。
血を流し、抵抗力を失ったイャンクックは、彼に頭蓋を噛み砕かれ、命を落とした。
その場で彼が解体し、巣へとジャギィ達が持ち帰った。
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「なんだ、この依頼?ジャギィ一頭の狩猟…ハッ冗談だろ?
報奨金もしょっぺえし、誰も受けねぇだろ、コレ。
…なるほど、そういう理由か。なら、受け無ぇ訳には行かねぇな」
ある男、ダンが酒場で依頼を手にして、呟いた。
「おいダン。何一人でブツブツ言ってるんだ?
顔キショいぞ?」
「黙れキャロル!兜越しで顔見えねえだろが!」
「お前はいっつもキモいから分かるんだよ。あと兜ごとキモいし。」
「殺すぞクソ女ァ!」
女が男に声を掛け、男が怒鳴り、女が楽しげに笑う。この酒場お馴染みの光景だった。
「なになに、ジャギィ一頭の狩猟?…ハッ!何それ?余裕じゃん。
あぁ、そういう…ッ!待って、その依頼、案外ヤバいかも。」
女が血相を変えて言った。
「は? 何がヤバいんだよ。そりゃ、依頼文は重いけどよ、ジャギィなんて今更敵じゃねぇだろ。まさかジャギィなんぞにビビッてんのか?」
「黙って聞いてフルフル君。私たちの同期にカリンっていたでしょ?あの背が低くて大剣狂いの。
あいつが最近死んだらしいんだけど、その傷跡がどうもジャギィにやられたっぽい傷してるらしいの。」
「お前そりゃ死体にジャギィが食い付いたんだろうよ。
あいつがジャギィなんかに殺られるもんか。お前は心配性なんだよ。(フルフル君?)」
「確かに、考えすぎか…。でもなんか嫌な予感がする。
十分気をつけなよ、ギィギ君。」
「おう。任せとけ。(ギィギ君?)」
そう言って狩猟に出かけるギィギ君の背を、女は見えなくなるまで見送った。
「大丈夫だよね…?ダン…」
皆さんは大丈夫だと思いますか?
今回も、面白かったと思っていただけたら幸いです!
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