ジャギィがドスジャギィになる話 作:ドスジャギィ
戦いの火蓋は、切って落とされた。
ダンは双剣を抜き、相手に向けて構える。
全く隙のない構えに、彼は攻めあぐねている様だった。
一閃、ダンの薙ぎ払いが彼の鱗を掠めた。
首をのけぞらせ躱した彼は、何を考えたか、上体をさらにのけぞらせる。
(まさかッ…ブレスを吐けるってのか‼︎)
ダンは焦った様に距離を詰め、首の下に回り込む。ブレスを吐き出した後、首が降りた瞬間に喉笛を掻っ切るつもりだった。
だが、それは悪手だった。
彼の足の筋肉が膨れ上がり、地面が抉れるほどの力で地を蹴った。彼の体がバク転の要領で一回転し、遠心力を得た尾がダンを吹き飛ばした。
お馴染み、サマーソルトキックだ。
(クソが、体が動かねぇ。洞窟用に、軽装備にしたのが悪かったか…足の骨が折れてやがる。装備も使い物になんねぇ。
こいつは…ちっと不味いな。)
ダンは拳を握りしめ、ポケットを叩いた。
瞬間、閃光がほとばしった。
不意を突かれた彼は、少しの間視界を失った。
(これ高いんだぞッ!)
目の痛みに暴れる彼を尻目に、ダンは秘薬を丸呑みした。
瞬間、彼の体が急速に癒される。
まるで何も無かったかのように、彼の体は元に戻った。
(クソが…もう回復のアテは無ぇ。急いで逃げねぇとッ!)
ガクンッ
(あァ?なんだ、右脚に力が…)
右脚を見ると、黒紫の棘が深々と突き刺さり、赤黒く染まっていた。
「テメェッ!」
凄んで見るも、神経がズタズタになった様で、右脚は使い物にならない。
思わず膝をついたダンの背中に、巨大な嘴が突き刺さった。
もう助かる術はない。毒が回り、視界が狭まりだした男を、ガルルガはそれはもう苛烈に攻撃する。
嘴を突き刺し、炙る。男はとうの昔に事切れていた。
全身穴だらけになった亡骸を咥えたガルルガは、とっくに視界を取り戻し、目の前の惨状にドン引きしていた彼の元に駆け寄った。
ほめてほめて!と言わんばかりのガルルガを、彼は抱きしめた。
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グルァア゛ア゛ア゛
森の強者、アオアシラの咆哮が、森に木霊する。
木をもへし折らんばかりのその圧力に、蜂蜜を貪るジャギィはたちまち吹き飛ばされた。
止めを指さんとばかりに、アオアシラはジャギィに飛びかかった。
瞬間、気温が上昇する。
火球が発射された。
茂みから飛び出したその火球は、ジャギィの頭上を通過し、アオアシラの堅牢な甲殻を焦がす。
身を焦がす灼熱感に、のたうち回るアオアシラに、茂みから飛び出たイャンクックが襲いかかった。
だが、森の強者の名は伊達ではない。
即座に体勢を立て直し、強靭な前足をイャンクックにたたきつけた。
まだ幼いイャンクックは、呆気なく吹き飛ばされ、木に叩きつけられた。
もう動けない。そう判断したアオアシラは、ふと力を抜いた。
だが、悪手だ。イャンクックは、一匹では無いのだから。
空から、火の玉の雨が降った。
全てを焼き尽くす火の弾丸は、辺りを煙幕で覆った。
煙幕が晴れたとき、アオアシラは姿を消していた。
空を飛ぶイャンクック達は、あれ?と首をかしげた。
あと、何故か隣にいた筈のイャンガルルガが居なくなっていた。
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アオアシラが、森を這う。
そこには、森の強者はもう居なかった。
必死にたどり着いた先は、巣だった。
取り敢えず、体力の回復だ。
そう考え、寝床に目をやると、何かがいた。
瞬間、鼓膜が震えた。
その何かの咆哮は、ボロボロの青熊を怯ませる。
蹲った熊の背に、禍々しく曲がった、黒紫色の嘴が突き刺さった。
主を失った巣には、鮮やかな青色の卵がポツンと1つ遺されていた。
更新おくれてごめんなさい!
引っ越しの準備とかで、色々手間取ってました…。
これからバンバン更新していくので、良ければ、感想、評価、お気に入り登録してください!!!