最初に出会ったスター団のしたっぱがネモによく効く向上心の塊でものすごいアホだった   作:うみじゃけ

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19.再戦の誓いを!俺も向かうぜエリアゼロ!

 

 

 

 

—ポケモンリーグ ポケモンセンター—

 

 

 

「あっ、もしもしネモか?」

 

〈イレギア? どうしたの?〉

 

「へっへっへっ……俺からネモに告げる言葉はただひとつ! ——俺もチャンピオンになったぜ!!

 

〈えっ……ホントに!!?〉

 

「あたぼうよ……これで正式に俺とネモはライバル同士ってこった! さっそくバトルと行きまスター!」

 

〈あ…………だけどごめんっ、今すぐはちょっと……!〉

 

「ん、そかそかそかそか。まあそっちにも都合があるだろうからな……いつぐらいに出来そうだ?」

 

〈うーん、どのくらいかかるか分かんないからなあー……また今度会えたらにしよっ!〉

 

「おう! 俺の積み上げた全部をぶつけてやるから精々覚悟しやがれッ!」

 

〈うんっ、楽しみにしてる! ——あっはーい。それじゃあまたねーっ!〉

 

「またな~っ!」

 

 ネモの通話の裏では何やら風切り音が鳴っていた……空飛ぶタクシーにでも乗っていたのだろう。

 

「お待たせしました! ポケモンたちはみんな元気になりましたよ!」

 

「こちらこそ電話で待たせちゃって、ありがとうございます! ——そんならさっそく出てこいみんな!」

 

 彼はモンスターボールを両手いっぱいに集めて、そのまま草原へと放り投げる!

 

「キィーッ!」「グゥーッ!」「ゴゴッ……!」「ボォ~ッ!」「シビビ……!」

 

 ポケモンたちが解き放たれ、歓声を上げていく。

 

「クレー!」

 

「おうっ、コレクレーも応援ありがとだったな! 今回のリーグ戦最初から最後までチーム戦だった……その中でもっ、一番のMVPは——みんな納得のシビルドンだ! 相手相手に技を切り替えるだけじゃなく、最もダメージが与えられる方法を常に探っていたことを讃えてな!」

 

「グーグー!!」

 

「ビビビィ……!」

 

 デカグースが自分のことのように嬉しがってシビルドンに抱き着くも、彼女は極めて冷静に対処しようとして……しかし顔にはありったけの喜びが表れていた。

 

「もちろんっ! デカグースは3種の牙技で四天王全員に安定して対処できてたし、イキリンコお得意のヒット&アウェイ戦法で場を引っ掻き回した。ギャラドスの『はねる』はいつだって最高だったし、ボーマンダはハッサク先生とのバトルで3匹も倒してくれたッ……みんなみんな超すごかったぜ!!」

 

「クレ、クレー!!」

 

 コレクレーがそんな彼らを羨望も眼差しで見つける……いつか自分も、イレギアのポケモンとして活躍したいと思うようになっていったのだ。

 

 始めはただコイン欲しさに同行していただけだったが、彼とその仲間たちとともに旅をしていくにつれて、彼らのことを心の底から尊敬するようになった。

 

 イキリンコはパーティに馴染めなかった自分を取り持ってくれた。デカグースは明るく話しかけてくれた。ギャラドスの『はねる』を極める姿勢に胸を打たれた。ボーマンダの勇猛果敢な戦闘には心を熱くしてもらった。シビルドンの掴みどころがないながらも冴えた戦術にはいつも驚かされた……

 

「っとと、忘れちゃいけねえ。オレらの冒険を今まで助けてくれたもう1匹の仲間——出てこいモトトカゲ!」

 

「アギャス!」

 

 そして……出会った頃こそ怖がってしまったが——その実、イレギアに対してどこまでも誠実で従順なモトトカゲ。その忠誠心には目を見張るものがあった。

 

 

 

 ——当然、そんな彼らを率いるイレギアのことはそれ以上の感情を抱いていた。

 

 

 

「……おっ? おおっ! 見つけたぜコイン! これで999枚……ようやく全部揃ったぜっ!」

 

「クレー!?」

 

 ポケモンセンターのテーブル下……キラリと光るものを捉えたイレギアはそれを拾い上げた。

 

「へっへっへっ……! これでどうなるのかさっぱりだが……なんかどうだコレクレー!」

 

「クレ、クレー……!」

 

 思わず袋から飛び出してしまい、テーブルの上になんとか降り立つ。そしてイレギアから渡されたコインを抱きしめて……肉体がコインを欲しがっているのに気づく。

 

「クレ……ッ!」

 

「うおっ……!? 袋が……!」

 

 イレギアが肩から下げていた麻袋が自ずから口を開き、その中から998枚のコインが飛び出していく……!

 

「ゴゴ……!?」

 

「ボォォォ~~~~ッッ!」

 

 ポケモンたちから騒めきと応援が飛び交う。コレクレーの周囲をコインが浮かび上がって旋回していた。

 

「クレー……!!」

 

 喜びに身震いしながらも、コレクレーは意を決してコインの1枚に触れ——

 

 

 

 

 

「コインヲ……モットコインヲ寄越セェ……ッ!!」

「欲シイ————————欲シイ————————!!」

 

「コノガキィ……私ノ金貨ヲ飲ミ込ンダノカッ……!」

 

「助ケテクレ! 嫌ダッ……モウ探シタクナイ……!!」

 

「許サナイッ——殺セ!! 全テ……命ゴト奪イ取レッ!!」

 

「金貨ヲ壊セッ!! ソレデ終ワラセロ————————!!」

「コレハ……コノコインハ…………——モット集メナイト……!!」

 

 

 

 

「コレデッ……世界ハ私ノモノダァァァ————————ッッ!!!」

 

 

 

 

 

「クレッ……!」

 

 しかしコレクレーがコインから手を離すと、浮遊していたコインが一斉に地面に叩きつけられてしまう。

 

「ど、どうしたコレクレー……!?」

 

 一転して怯えた様子のコレクレーに話しかけてみるも……身体を抱えて震えるのみだった。

 

「……そっか。まっ、身体が変わっちまうって思ったら怖いよな。何も珍しいことじゃあない!」

 

 ポケモン特有の病気——進化拒絶症候群……いやもっとそれらしい名前だった気がするが——にそういうのがあるらしいのを母親から聞いたことがあった。

 

「クレェ……?」

 

「何も焦る必要も無けりゃ進化する必要もねえ……コレクレーが自分が自分でいるために大切なことを優先するんだ」

 

「…………クレ」

 

「アギャア」

 

 モトトカゲがいつもの調子でコレクレーに話しかける。二足歩行となった彼の両手には大量のコインが拾われていた。

 

「さてまっ、みんなでコイン集めるぞー。そんな遠くには転がってないだろうし、草で隠れてるかもしれねえ……デカグースは噛んだり飲んだりすんなよ~?」

 

「クレ…………」

 

 彼らがコインを探していく。自分は動けない。みんなが自分から離れているようだった。

 

「…………」

 

 テーブルに落ちたコインの1枚を恐る恐る拾い上げる……触れていると幸せな気持ちになる、いつもの綺麗な金貨だった。

 

 それでも——あの感覚は、消えない。

 

 たった一瞬だけの感覚だった。

 

 コインを集めていた者たちの欲望と怨嗟が籠っていて、身体に取り込もうとすると——自我が大量の手に引っ張られ、それらと一緒にかき混ぜられてぐずぐずに溶けていってしまいそうな……思い出したくもない感覚が脳裏にへばりついてしまった。

 

 

 

 

 

彼の役に立ちたい…………なのに——

 

 

 

 

 

—テーブルシティ 上空—

 

 

 

「大丈夫かコレクレー」

 

「クレ……」

 

 イレギアがボーマンダに乗って空を駆ける中、コインの敷き詰まった麻袋の中に引きこもってしまったコレクレーに向かって彼が話しかけるも返ってくるのは落ち込んだ声。

 

「何も今じゃなかったってことだ。そんな悲観することはねえ。むしろ進化……するのか知らねえけど、したくないならしなくてもいいんじゃねえか? したくなったらすればいいんだし」

 

 彼はいつでもポジティブで、励ましてくれる。それに対して自分は……それに応えることが出来ていない。

 

 不甲斐ない——

 

「……いやいやいやいや! こんな暗い気持ちじゃあいつかのネモとのバトルにも支障が出ちまうぜ! こうなりゃそうだな…………うっし! ボーマンダ、行先はチャンプルタウン! 旨いモンひたすら食い歩くぞッ!」

 

「ボォォォ~~~~!!」

 

 喜びに翼を一層はためかせたボーマンダがチャンプルタウンへと真っすぐ向かっていく。

 

「さーて何食おうかな~全部の店で一品ずつ食べるなんてめちゃくちゃ悪いことしちゃおっかな~……いやそれは流石に迷惑そうだな——……ん?」

 

 あれこれ妄想していたイレギアが少し遠くに空飛ぶタクシーを見つける——そしてトンデモ視力からそれに乗っていた人物が見知ったものだと理解する。

 

「父ちゃん!? ボーマンダっ、出来るだけゆっくり近づいてくれ!」

 

「ボォォッ!」

 

「父ちゃ~~~~んっ!!」

 

「んぉ? ……おおっ、まさかこんなところで会うなんてなっ!」

 

 快活で屈託のない笑顔……イレギアの父親らしいものであった。

 

「俺はこれからチャンプルタウンに行くんだ。そっちはどこに?」

 

「ホントに? 俺もだぜ! せっかくだし一緒に行こうぜ~!」

 

「……ま、それもいいか。そういうことだお客さんたちっ、ちょいと騒がしくなるぜ」

 

「お気に無さ……あれっ!?」

 

「アオイ!? 確か『たち』って言ってたからもうひとりは……」

 

「オレだ」

 

 ペパーがどこか不機嫌そうに窓から顔を出した。

 

「へえ、デートかよ」

 

……!?」

 

「ちげえよ。オレらはオレらで行くべきとこがあんだ……ついてくんなよ」

 

 ペパーの突き放すような言葉……しかしイレギアはそれをこちらを気遣ってのものだと理解していた。

 

「へっへっへっ……そんなら俺は先に行くぜ。じゃあな2人とも、そんで父ちゃん!」

 

 イレギアはボーマンダに指示を出し、一足早くチャンプルタウンへと急いでいった。

 

「……気、使わせちゃったかな」

 

「アイツならそうだろうな」

 

「お客さんたち、うちの息子と仲良いんです?」

 

「良いっていうか……良くされてるっていうか……?」

 

「勝手にこっちのことを助けようとしてくる困ったちゃんだぜ」

 

「わははははは!! 実にアイツらしい! ——今後とも、息子を頼みましたよ」

 

「え?」

 

「あの子は……あまり悩み事を人に話したがらない。話すより先に自己解決できてしまうからね」

 

「…………」

 

「それでも何か……——私どもも気を配ってはいますが——それでも何か悩んでいるようであれば相談に乗ってやってください。人の親切には応えてやるように再三言ってますので」

 

「運転手さん……はい、わかりました」

 

「そういってもらえると、安心します」

 

「…………」

 

 ペパーは空に消えていくイレギアを静かに目で追っていた。

 

 

 

—チャンプルタウン 東ポケモンセンター—

 

 

 

 

「到着したぞチャンプルタウン」

 

 ポケモンセンターに着陸した空飛ぶタクシーからペパー、そして彼がアオイの手を引いて彼女を下ろした。

 

「ありがとうございます」

 

「あっちの方に、大穴への入り口が……」

 

「……ペパーっつったか兄ちゃん」

 

「はい……なんですか?」

 

「——頑張んな

 

「え————」

 

 イレギアの父親から告げられた言葉にペパーは絶句する……その言葉の意味を理解していた。

 

今度こそ、な」

 

「——覚えてて……くれたんですか……?」

 

「ったりめえよ。むしろあんな冒険して客の顔も覚えてないなんてパルデアタクシーの名が廃るってモンだぜ」

 

「はは…………——あのときはっ、…………本当にっ……お世話になりましたっ……!!」

 

 声を震わせて、ペパーは深々と頭を下げた。

 

「よせやい。だがそうだな……ケガには気を付けてな!」

 

 それだけ言い残すと、タクシー運転手はイキリンコたちを飛ばす。ゆっくりと浮上し……そしてまたどこかへと飛び去ってしまった。

 

「ペパー……?」

 

「いや…………このことはまた後で話す。待たせてるからな。行こう」

 

「う、ん……」

 

 アオイはペパーがマフィティフ以外のことで涙を流す姿を見たことがなかった。あるいはこれもそれに関連しているのだろうか……

 

親の温かみっていうのかな……こういうのは」

 

 

 

 

 

 ……一方のイレギア御一行

 

「いや~っ! まさかアイス屋で焼きおにぎりが食えるなんてな! やっぱこの街に来てよかったぜ!」

 

「あれお客さん、ジムチャレンジしてなかったですか? 本来はヒントとして忍ばせてるのと、アイスの口直しにメニューに載せてるんですけど……」

 

「グゥ! グー!」

 

「ゴゴゴ……!」

 

「ボォォ~~~~!」

 

 店員の言った通り、イレギアたちは各々の好きな味のアイスとこだわりの焼きおにぎりを交互に食べ進めていた。大食いの3匹に関しては既に食べ終えてごねられたので、隣の店のクレープを食べてもらっている。

 

「ヒント? ……あー、俺ってば天才すぎてノーヒントでクリアしちゃったんですよねー」

 

「清々しいくらいの自画自賛ですね。焼きおにぎりもう1個サービスしましょう」

 

「よっしゃついて——」

 

「グー!!」「ゴゴッ!」「ボォ!!」

 

 イレギアが手にした焼きおにぎり目指して3匹の食いしん坊が一斉に激突! 彼は全方位からの体当たりをまともに喰らってしまう……!

 

「ぐえっ————————!!?」

 

 しかし当の焼きおにぎりは彼の手から離されて遥か上空へ——そこへイキリンコが真っ先に飛びついた!

 

「キキィ!」

 

 アツアツの焼きおにぎりを嘴で貫——

 

「キキ————————!?」

 

 ——こうとしたのだが、その焼きおにぎりは帯電していた。

 

「ビビ……!」

 

 痺れるイキリンコの隣を悠々と泳ぐシビルドンがついに焼きおにぎりをゲットしたのだった!

 

「ビビビビビッ~!」

 

 焼きおにぎりを片手に、勝ち誇ったように笑うシビルドンだったが……そこへモトトカゲが焼きおにぎりを一口で喰らいつくしてしまう。

 

「ビ……」

 

「アギャ~……!」

 

 電撃で更に香ばしくなったそれはもう絶品だったらしい……

 

「ビ、ビビ……」

 

「ク、クレー!」

 

 見るからにうなだれるシビルドンにコレクレーが慌てながらも寄り添う。コレクレーが食べかけの焼きおにぎりの半分を渡そうとするも……彼女に断られてしまった。

 

「クレ……」

 

キッ!

 

 すかさず痺れた舌でイキリンコがフォローを入れて……イレギアたちの方を見るように促す……

 

「バカ野郎テメエら! アレは俺が貰ったモンだぞコラ————ッ!」

 

「グルルルル!!」「ゴゴッ!!」「ボォォォ————ッッ!」

 

 1人と3匹はそれに構わずじゃれ合っている。しかしかなり本気の——わざすら使っていた。

 

「ちょっと!? 店の前で暴れないでくださいっ!!」

 

「はーい」

 

「「「ハーイ」」」

 

「うわあ聞き分けが良すぎる!」

 

 そんなひと悶着もありつつ、彼らの腹ごしらえは終わった。

 

「クレー!」

 

 たらふく旨いものを食べられたコレクレーは幸せそうに腹をさすっている。

 

「おっ、良かったコレクレー! 元気になってくれたようで嬉しいぜ……!」

 

「ク……! クレー……」

 

 ——やっぱり優しい人だな、そう思った。

 

「それにしてもアオイとペパーはどこにいるんだ? チャンプルタウンで降りるって言ってたけど全然姿が見えん……この近くに降りたってだけで街の外に出て行っちまったんかな…………」

 

 どこか物憂げに、彼はふと、そちらの方角を見つめる——パルデアの大穴だ。

 

「いやいやいやいや、まさかな……」

 

 ……ペパーの両親は研究員として穴を探索し、《テラスタル》の実用化に成功したという……まさか、それと関係が?

 

「…………」

 

 ふと、あの日のことを……父親がエリアゼロから子どもを救ったという知らせが届く。弟やイキリンコ、ラルトスたちと一緒に口を開けたまま数時間硬直してしまうほどには驚いた。

 

 帰ってきた父親を母親は涙ながらに抱きしめた。誠実で誇らしく思っていた母がそれほどまで取り乱す場所——父親はなんでもないように振舞っていたが……イレギアの頭を撫でるその手は震えていた。

 

 エリアゼロとはそれほどまでに危険なのだと肝に銘じた瞬間だった。

 

(——もしもアオイが、ペパーが……あの場所に行っているのだとしたら……俺はどうするべきだ?)

 

 いや、ただの思い込みの可能性は大いにあり得る。それほどの危険を冒す理由など……さっき述べた通りだ。

 

「アギャ————…………」

 

「モトトカゲ? どうしたんだ……?」

 

 彼が思考を巡らせていると、モトトカゲが虚ろな瞳で大穴を睨み……そっちへと歩いていく。

 

「アギャア! アギャ————————!!」

 

 そして甲高い声で叫び始める。

 

「あのっ、今度は何ですか……!」

 

「俺にも……いや——」

 

 コライドンに何かあって…………それでモトトカゲにも共鳴? 理解はできねえ……でもエリアゼロに行ってるのだとしたら何が起こるか分からねえ——……

 

 

 

 

 

 ネモとの約束は……俺からもちょっと待ってもらうか。

 

 

 

 

 

「すぅ…………ふぅ————————」

 

 大きく息を吸って……吐き出す——

 

「ボーマンダ、背中借りるぞ」

 

 彼に意見するポケモンは1匹たりともいなかった。

 

「行く前に……アレを取っていかないとな——」

 

 ぶつぶつと呟きながらボーマンダを残してポケモンたちをボールに戻していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—エリアゼロ 第2観測ユニット近く—

 

 

 

「はあ……はあ……なんとかっ、倒せたね……」

 

「いや、フラフラ過ぎない……?」

 

 ネモとボタンは研究所から逃げ出した全てのパラドックスポケモンを退けていた。

 

「ごめんっ……ちょっとはしゃぎすぎちゃったかなあ…………!」

 

「さすがに興奮しすぎだったしね……」

 

 倒したポケモンは大穴の奥に引っ込んでいった。首尾は上々——

 

「とにかく戻ろっ、アオイとペパーが心配——」

 

 ——かに思えた。

 

 

 

「ウルル……!」

 

 

 

「コイイイ……レアッ」

 

 

 

「ガガガ ガ————」

 

 

 

「ギ————ラ————」

 

 

 

 ところが2人を取り囲むようにパラドックスポケモンがどこからか現れたのだ。

 

 ウルガモスに似た個体が2匹——古代と未来の姿の両方がいるようだ——と古代のレアコイル、そして未来のバンギラスのようなポケモンだった。

 

「いつの間にっ……!」

 

「ぜえっ、ぜえっ……! よおし……わたしが、相手にっ……!」

 

「満身創痍じゃん! うちが4匹を相手に……!」

 

 ボタンが震える唇を噛み締めて、しかし意を決してモンスターボールを構えようとし……

 

「うおっ……!?」

 

「わっ…………!」

 

 何者かに腕を掴まれた2人はポケモンたちの間から包囲網を脱出する!

 

「シビルドン! 『ほうでん』だ!」

 

 加えて叫ばれるのはいつか聞いたその声——

 

「ビビビィ————————ッッ!」

 

 彼らの頭上を泳ぐようなシビルドンが全身を発光させ……シビシラス時代には不完全だった『ほうでん』を4匹に食らわせる!!

 

「イレギア……!?」

 

「ネモにマジボス!? まさかこんなとこで会うなんてな!!」

 

「ボォォォ~~~~ッ!!」

 

 ボーマンダに乗っていたイレギアが彼女らの近くに飛び降りた。

 

「ってことはこの掴んでるのは——いでっ!」

 

 突如として腕を引っ張る力が失われてボタンは盛大にずっこけるも、ネモは突っ立ったまま彼を見つめていた。

 

「イデ、イデーッ!」

 

「マネするなー!」

 

 イキリンコが2人からイレギアの頭に留まる。

 

「助けてもらっちゃったかな?」

 

「だぜ! 俺を崇めるんだなっ!」

 

「こんな状況でもウザいのなんなん……」

 

「ヒーローは遅れてきて軽口叩くだろ? そういうことだぜ!」

 

「なにこいつ無敵?」

 

「レアコイルもどきにはダメージ無し……じめんタイプか特性か。バンギラスもどきは半減って感じだな。このポケモンもどきたちはタイプも違うらしい」

 

「しかも冷静な解析」

 

「よっし! 体力も戻ってきたし……他のポケモンが寄ってきちゃったけど、わたしたちなら大丈夫っ!」

 

「そうだぜ——俺たちは無敵でスター!!」

 

「……間に入るのは嫌だけど、うちも戦うから——!」

 

 

 

 

 

 彼の頭にはいつだって戸惑いと怖れが渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 しかしそれではダメだと——変わらなければならないと、いつの日か理解していた。

 

 

 

 

 

 自分が変わらなければ…………何も変わらないのだと————

 

 

 

 

 




・没になったシーン

エリアゼロにてペパーが自分の過去について語り始める——

ボタン
「急な自分語りどうした?」

イレギア
「隙を見せるのが悪いんだぜ」

ボタン
「それはそう……誰なん?!」

イレギア
「オレだ!」

ボタン
「誰だ!!」

イレギア
「ぐわーイキリンコー!」

ペパー
「なんだったんだ……」

 没理由:アオイ目線では4人と1匹の物語であってほしいのとダレそうだから。



いやーエリアゼロ前はすごーく幸せそうだったねーだからバランス取ってすごーく不幸な目に遭ってもらうぞー

——そういえばイレギアのポケモンたちの性別とか決めてなかったなと思い、適当に決めときました。

デカグース ♂ 最初のバトルのヤングースが♂だったので。
イキリンコ ♂ まあ残当かな。
ギャラドス ♂ コイキング世代から髭が金色だったので。
ボーマンダ ♂ 雄大……♂やな!
シビルドン ♀ 紅一点が欲しいなって。
コレクレー なし 仕方ないね。
モトトカゲ ♂ 迷ったけどコインで決めたらこうなった。
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