最初に出会ったスター団のしたっぱがネモによく効く向上心の塊でものすごいアホだった 作:うみじゃけ
「戻ったかネモにボタン……——イレギアも!? なんでこんなとこに……!」
残りを片付けたペパーが戻ってきた彼らを認め……イレギアを見つけるとぎょっとした。
「ペパーとアオイが大穴に向かってるって思ってな……行ってみたらなんとっ、ネモとマジボスがいたんでスター!」
「うんっ! それにボーマンダにも乗せてもらっちゃって~!」
「うちはモトトカゲに……羽根飾りがもふもふしてて結構いいかも……?」
「……で。イレギアはイキリンコと」
「おう」
イキリンコの足がイレギアの制服の裾を引っ張って飛んでいる姿はすごくシュールだと感じた。
「よっと……で、ここが最深部ってことでいいのか? うひゃーなんだこれ、建物まで《テラスタル》してんのか?」
道すがらネモとボタンの2人から色々と聞き出していた。4人が来た目的、エリアゼロについてなど……ともかく沢山。ネモには彼がチャンピオンになったことをそれはもう喜ばれ、エリアゼロから脱したらバトルしようと申し込まれた。
「これもエリアゼロの影響だろうな……てか、いくら心配ちゃんだからって一人でここまで来るか? ……ケガとかなかったのか?」
「まだペパーには言ってなかったが俺もチャンピオンになったんだぜ? まあ初めて見るポケモンもどきたちにゃそりゃあ驚いた。でもポケモンたちには戦ってもらってるし、もうだいぶ慣れた」
「チャンピオンに……そりゃおめでとちゃんだな」
「あんがと~、そういやペパーがいるってんならアオイもここに来てるはずだよな? どーこいってんだー?」
「アオイなら……この中で戦ってるだろうさ」
ペパーがゼロラボを悲しそうに眺める。イレギアはそんな彼の背中を勢いよく叩いた。
「いてっ! ……何すんだ」
「なら、さっさと行くんだな! 近くで応援してやれよ!」
「ああ、そうさせてもらう……確かめたいこともあるしな」
「イレギアはどうするの?」
「俺はここで待ってる。せっかく4人でここまで来たんなら、ラストは4人で一緒にいるべきだスター?」
「ええ~……わたしはイレギアと一緒が……」
「まっ、コイツがそうしたいって言ってんだ。無理に誘う必要はないだろ」
「そだね。それよりアオイの方が気になる……!」
「ちょっと2人とも待ってっ! ……——また後でねーっ!」
先を行ってしまったペパーとボタンを追うように、ネモはイレギアに手を振りながら駆けていった。
「おーう! …………さて」
ネモを最後に扉が閉じ、イレギアの周囲には洞窟本来の静けさが占めていた。
「出てこいデカグース、ギャラドス、シビルドン。戻れモトトカゲ」
しかしそこでイレギアは何を思ったか残りの手持ちを繰り出し、非戦闘員であるモトトカゲをモンスターボールに戻した。その目は遥か遠くの闇を見通しているかのようだった。
「クレー……?」
「コレクレーはそのまま袋の中に居ろ。いいな?」
彼は極めて優しく声をかけたが、その言葉には緊張がにじみ出ていた。
「……………………——ギャラドスっ、俺の右側で『はねる』!」
「ゴゴッ!」
『何故か』は問わない。理由がなんであれギャラドスは彼に従う……彼を信じているが故だ。
そうしてギャラドスが背ビレをくねらせた直後——斬撃が彼の元に飛んでくる!
「ゴゴォ!!」
それを理解したギャラドスは彼を庇った状態で『はねる』……斬撃を全身で受け流して離れた位置の結晶に傷を押し付けた!
「なあんか嫌な雰囲気だったんだよ。どうりで……って感じだな」
斬撃の飛んできた方角から——さらに今度は巨体が突撃してくる!
「イキリンコ! さっきの斬撃を『ものまね』!」
「『モノマネ』!」
心得たとばかりにイキリンコが翼をはためかせ……先ほどの斬撃を再現して巨体に向けて飛ばした!
するとその巨体は急激に旋回して近くの建物に張り付き、さっきの方角からは何者かが歩み寄ってくる……
「サナ————エル————」
「ボォォォ…………ッ!」
斬撃を放ったのはサーナイトとエルレイドを合体させたような機械のポケモン、突撃してきたのはボーマンダに似た巨大なポケモン。
——テツノブジン、トドロクツキ。
「なんつーか、見た目も嫌なヤツらだぜ……!」
その2種とも関係のあるイレギアは苦虫を嚙み潰したような苦悶を浮かべる。
この2匹もポケモンもどき——パラドックスポケモンなのだろうとは分かるが、それでも別格のオーラを纏っていた……!
「ともかくだ……こいつらを片付けるぞみんな! アオイを、ネモを、ペパーを、マジボスを……守ってやろ——!」
果たして、それだけではなかった。
イレギアの近くに地響きとともに巨体が頭上から現れた。
「ズゥー…………ッ!!」
その牙の隙間からは蒸気のようなものが溢れている……!
——見たことがある……ジョウト地方おける、ホウオウが蘇らせたとされるポケモンの1匹——スイクンに似た、古代の姿をしている。
——ウネルミナモ。
「こいつはっ……!? いや——こいつらはッ!?」
もう1匹、振り返れば結晶の上に鎮座していたのだ。
「ビリ————」
音もなく、いつの間にかそこに立っていた。
——これも見たことがある……イッシュ地方における、災害からポケモンたちを救い導いたとされるポケモンの1匹——ビリジオンに似た、未来の姿をしている。
——テツノイサハ。
「ふぅ…………!」
全身から冷や汗が噴き出す……しかし彼は不敵な笑みを顔に貼り付けて、星型ゴーグルを慎重に装着する。顔を痛めることはなかった。
「上等だぜエリアゼロ……ただし俺も全力で対抗するからな——!」
イレギアの右手には《テラスタルオーブ》が握られている……彼がそれを起動して、光が収束したオーブをデカグースへと放り投げる!
「俺もこの場で学んだんだよ……この場所は《テラスタル》のエネルギーで満ちてるってな!」
彼は手元に戻ってきた《テラスタルオーブ》を再び起動! なんとまたもや光が収束していったのだ!
「——まさか、こんなことができるなんて思わなかった……5匹全員《テラスタル》だぜ!!」
《テラスタル》のエネルギーを受け取った5匹のポケモンたちがその身に眠るテラスタイプを覚醒させるッ!
「《テラスタル》————————ッ!!」
「グルル~~~~ッ!!」
「ゴゴゴッ……!!」
「ボォォォ————————ッッ!!!」
「シッ、ビビィ……!」
「ひこう、あく、くさ、はがね、でんきに《テラスタル》だぜ!」
「クレー……!!」
「おっととコレクレー、顔引っ込めてな——お前らも覚悟を決めろ……死に物狂いで戦ってもらうぜッ!!」
「「「「「オオ————————ッ!!!!!」」」」」
「今だイキリンコ!っ、もう一度『ものまね』だ!」
「『ソウルクラッシュ』!」
「ズッ……!?」
ウネルミナモは急加速したイキリンコに『ハイドロスチーム』を避けられるだけでなく、すれ違いざまにフェアリーエネルギーの斬撃をもろに浴びせされてしまう!
「シビルドンっ、『ボルトチェンジ』でウネルミナモの前に!」
「ビビビッ!」
シビルドンが抑え込んでいたテツノブジンに電気を纏った体当たりをぶつけ……掴んだその身体を思い切り突き放して高速に後退し、怯んだウネルミナモの前まで躍り出る!
「喰らわせろ……『げきりん』!!」
その勢いをドラゴンエネルギーを呼び起こして更に加速させ、シビルドンは両腕で激しくラッシュを仕掛ける!
「ビビビビィィィ————————ッッ!!!」
「ズズズゥ————————!」
ウネルミナモもまた『げきりん』で応戦するも……シビルドンは『ボルトチェンジ』によって両腕の動きがさらに俊敏になっていた!
「ビビィッ————!!」
「ズ……ズゥ…………!」
シビルドンの渾身の一撃を最後に、ウネルミナモは気絶してしまった……!
「ギャラドスは『じしん』! デカグースは『がんせきふうじ』!」
「ゴゴゴ…………!」
「グゥー!!」
そしてイレギアは素早く2匹へと攻撃に指示を飛ばす!
「ビリ————————」
しかしテツノイサハはそれを嘲笑うがごとく、軽い身のこなしで地震から逃れるだけでなく、落下する岩石に乗り移って彼らへと迫る…………がしかし——!
「ギャラドスッ! 『アクアテール』でデカグースを岩まで打ち上げろ!」
それこそが彼の狙いだった。
デカグースがギャラドスの尻尾に抱きつき……ギャラドスがみずエネルギーの満ちた渾身の薙ぎ払いでデカグースを移動先の絞られたテツノイサハの元に飛ばす!
「リリリ————」
しかしそれもまたあしらわれるように別の岩石に飛び移ることでやり過ごされ——
「『とんぼがえり』!」
「グルッ!!」
——ることはなく、岩石に身体をぶち当てるより先に足を付けたデカグースが跳ね飛んで、飛び移っている最中のテツノイサハにまで肉薄するッ……そこまで近くにいけば、デカグースがやるべきことは指示が無くとも理解していた!
「リ————————」
「グォォォ~~~~ッッ!!!」
鍛え上げられた【がんじょうあご】から放たれる渾身の『かみくだく』!!
無防備な身体にそれを受けたテツノイサハは抵抗することなく地面に叩きつけられてしまい……それに対してデカグースはギャラドスが受け止めていた。
「ボォォォ————————ッッ!!!」
「ボォォォ…………ッッ!!!」
一方でボーマンダとトドロクツキは空中での一騎打ち! ボーマンダは『ドラゴンクロー』を、トドロクツキは『つじぎり』で何度も火花を散らしてぶつかり合う!!
「ボォォ…………!!」
このままでは相打ちになってしまう……絶対的な勝利を望んだトドロクツキが『かえんほうしゃ』で牽制して距離をおこうとした——しかしボーマンダは果敢にも『アイアンヘッド』で灼熱の中を突っ切っていった!
「ボォッ!!? ——ボオッ!!」
はがねタイプに《テラスタル》したことでほのおタイプが弱点になったことを知っていたし——先ほどは避けていたために——トドロクツキは一瞬硬直する……その隙を穿つように『アイアンヘッド』が顔面をブチ抜いた!
「ボォォ————————…………ッ!!」
しかしそれだけでは終わらない……! ボーマンダの口内ではドラゴンエネルギーが限界以上にまで膨れ上がっている——!!
「ボォォォォォォォォ~~~~ッ!!!」
ゼロ距離での『りゅうせいぐん』を喰らわせる!!
「ボ————————」
放たれた流星の勢いには逆らえず、トドロクツキは地面へと思い切り叩きつけられた!!
「ォォ…………」
「ボォォォォォ————————ッッッ!!」
ボーマンダの雄叫びが天高く轟く————!
「サ————エ————————!」
地上では同刻、テツノブジンが『インファイト』にて他の4匹を一斉に吹き飛ばした!
「イキリンコ! 俺に向かって『ブレイブバード』!!」
「キィッ…………『ブレイブバード』ッ!!」
なんとか空中に逃れたイキリンコに向けてイレギアが指示を飛ばす——イキリンコは一瞬だけ躊躇うも、イレギアへとひこうエネルギーが纏った雄々しい翼をぶつけ——る前にイレギアが回避し、イキリンコの両足を掴んだ!
「うおおおおおおおおおおお!!!」
「キィィィ…………ッ!!」
そのままイレギアの足を軸に超回転! イキリンコは既に目をつぶってひたすらに加速して身を委ねていた。
「————————!」
そしてテツノブジンは得物を構えてそれを待つ……!
「真っ直ぐだ……ひたすら直進だイキリンコッ!!」
「キィ~~~~ッッ!!!」
そして————放つ!!
「エル————————!」
超速度のイキリンコを薙刀にて切り裂く——!
「————————ナ」
……しかし、イキリンコが刹那の差でそれを潜り抜ける! 反動を受けながら《テラスタル》の光を散らすイキリンコの後ろ、糸が切れたようにテツノブジンが倒れるのだった……
「よくやったぜぇイキリンコ……! 流石は俺の、相棒……」
「シビビ……」
倒れかかったイレギアをシビルドンが背後から抱き受ける。彼女自身もふらついていた。
「クレー……」
彼が肩から下げていた麻袋からコレクレーが心配そうに顔を出す。
「すまねえシビルドン、ありがとう。問題ねえぜコレクレー……と言いたいとこだが、攻撃の余波だのを避け廻っては指示飛ばして——へっへっへっ……天才のオレでもかなり堪えたみたいだぜ……!」
尻もちをついてゴーグルを外した疲れ眼のイレギアの元に、千鳥足ながらもポケモンたちが集まってくる。《テラスタル》の冠は光となって霧散していった。
「ググ……」
「心配すんなってみんなっ、すぐに……ほれっ、もう立てるくらいには休めたさ!」
「ボォォ! ボォォ!」
「ワハハハハハハ!! これにて一件落着! 後はアオイたちが上手くやってることを祈りながら待つだけ……!」
「ゴゴッ~……!」
「おいおいおいおい……ギャラドスの勝利の『はねる』ってかあ~っ!? こいつは縁起がいいぜ!」
「クレッ、クレー!!」
彼も、ポケモンたちも、皆それを見て大口を開いて笑い合った。勝利の喜びと多大なる達成感にその身を浸らせながら——
「ゴゴッ……! ゴ————」
ギャラドスの巨体が遥か先の洞窟の壁にまで叩きつけられる。
——そして、衝撃にあんぐりと口を開けた。
「…………え?」
「ビ————」
そして次にシビルドンもまた謎の圧力によって建物へと吹き飛ばされる。
「ググ……————」
それを目で追っていたデカグースもまた、結晶に身体をぶち当てることとなる。
「キィ————!」
イキリンコはイレギアの元に向かう最中、地面に思い切り撃ち落される。
「ボォォッ————————!」
未だ姿を現わさない謎の敵に威嚇せんとボーマンダが吠えるも、為す術なく下からの殴りつけるような圧力に打ち上げられ……そして放心状態のイレギアの足元に落ちて地響きを立てる。
「あ……え…………」
一瞬のうちに、彼の手持ちが全滅した。
元々戦いの終わりで弱っていたのもあったろう。しかしこうまで突然、そしてあっさりと鍛え上げた自分のポケモンをきぜつに追い込まれたことに、彼はこれ以上にないくらい呆けていた。
やがて……それは姿を現した。
「そういえばさ、ペパーが襲われたポケモン? って、結局どのポケモンだったの?」
「ずかずか聞くな生徒会長……」
「エレベーターに乗ってる時間は確かに暇だけど、ネモってばそれ普通聞く?」
「…………いや、オレも言いたかった」
「お、やった」
「え……良いん?」
「それがな……どいつもこいつも違かったんだ」
「違う?」
「ああ……言ったろ? 凶暴で荒々しくて、でも鉄っぽくって機械みたいなって」
「ってことは……複数に襲われたとかじゃないん?」
「それが——1匹なんだ」
「1匹? つまり……古代で、未来?」
「そんなんありえんし……だって博士はそれぞれの時代から連れてきたんでしょ? だったら……」
「そうなんだよ……ありえないはずなんだ……でも確かに、あれは——!」
「濶ッ縺?オカ譛帙r隕九○縺ヲ縺上l繧」
「あ…………」
「縺励°縺、縺雁燕縺ョ闍ヲ謔カ縺梧怙繧らオカ譛帙r逕溘∩蜃コ縺」
聞いているだけで気が狂いそうなその鳴き声。クロガネノメはその口に何かを——ゴーストエネルギーに似たものが収束して禍々しい巨大な針を形成する。
「『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』」
「————————!!」
その刹那、イレギアはクロガネノメへと弾けるように接近する! 撃ち出された針は、瞬きの間で彼がさきほど居た場所に突き刺さり——霧散した。
(ポケモンたちは起きないッ——俺がやるしかねえ!!)
「諢壹°縺?縺娯?ヲ窶ヲ縺昴l繧り憶縺」
全速力で駆け抜けるイレギアに向けて、クロガネノメの6つの眼球衛星が鉤爪を広げ——『あくのはどう』を放った!
「うおっ————————!?」
強力な重力波となったその波動を受けて、イレギアはゼロラボの操作機器に背中をぶつけてから壁に衝突してしまった……!
「ってえ…………なあっ……! うおおおおおおおおお~~~~ッ」
しかし彼は再び立ち上がり、クロガネノメへと駆けていく。
「雜ウ謗サ縺上?繧ゅ∪縺溯憶縺」
クロガネノメはまたも眼球衛星から『あくのはどう』を放つ……しかしイレギアはそれらを避けて進む!
「波動は範囲が限定されてる……その間を縫っていけば問題ねえ!」
彼はクロガネノメを鬼の形相で睨み、歯を食いしばって全身を前へと押し上げていく。クロガネノメは空中に静止したまま眼球衛星の攻撃を続けている。
(約束したんだ、ネモと…………決めたんだ——!)
走馬灯のように脳裏に過ぎるのは——ネモとのポケモンバトル。
今まで見たどの笑顔よりも煌めていて……眩しかった。
(この想いを伝えずにッ……倒れてたまるかァァァ————————————————ッッ!!!」
『あくのはどう』を避け切り、ついにクロガネノメの眼前に迫った彼は——大きく飛び跳ねてその巨体を殴りつける!
「縺サ縺」
蚊ほどにも効いていない——だが彼の目的は別であった。
「お前もポケモンならよォ…………ゲットできるはずだろ…………!!」
彼の殴りつけたその手にはマスターボールが握られている——スイッチを押された紫色のボディがぱかりと開かれ、クロガネノメの巨体と6つの眼球衛星を吸い込んでいく……!
彼の家に飾られていた物で——パルデアにもしものことがあった時のために母が取っておいたものだ。
それを彼は持ち出し、愚かにも使ってしまったのだ。
「ぅわ……っ!」
空中でなんとかして受け身を取って地面に激突。腹から空気が押し出される。
「ってえ……けど、これでっ…………!」
イレギアは痛む身体を無理やり起こして立ち上がる……一刻も早く家に帰るのだ。
ゲットしてしまったこのポケモンを母を通じてポケモンつかいに処理を任せる——そしてアオイたちの身の安全を保障してもらって……それで…………
(とにかく……早く……っ!)
「……!?」
薄氷を踏むような、鈍く高い音が——彼の手元で鳴り響く。
……マスターボールにヒビが入っていたのだ。
(な、にィ…………ッ!!?)
どうすればッ…………! 彼が必死に脳を回転させて解決策を練——
「雋エ讒倥?邨カ譛帙r隕九○縺ヲ繧ゅi縺」縺」
暴風と衝撃に吹き飛ばされるイレギアに向けて、ボール内で構えていたクロガネノメが再び禍々しい巨大な針を生み出しており————!!
「『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』——縺輔i縺ー縺?」
空中に放り投げ出され、何もできない状態のイレギアへと針が襲い掛かる!
「クレ————————!」
しかしイレギアがずっと肩から下げて守っていた麻袋の内側から、コレクレーが彼に『たいあたり』して針から逃れる!
「うっ————! ぁ…………」
だがイレギアは受け身も取れずに結晶に衝突——短く唸ると意識を失ってしまった。
「クレー……ッ! クレ~!! クレ~~~~ッ!!」
麻袋の口が開いて、大量の金貨に流されながらコレクレーが出てくる……コレクレーがいくら呼びかけても返事はおろか反応もない。
「縺セ縺?谿九j縺悟ア?◆縺」
「ク…………レッ……」
コレクレーが怯えて震えながらもクロガネノメに振り向く……その姿を見た瞬間、恐怖に歪んだ顔で座り込んでしまう。
「蜒・蛟悶□。蝟ー繧峨≧邨カ譛帙′繧ゅ≧縺イ縺ィ縺、」
それをまるで気にも留めず、クロガネノメは再び針を生み出す……イレギアに死を宣告するように——
「ク……レェ…………!」
コレクレーは足腰を震えさせながらも立ち上がる。引けた腰で、ブレる両腕を広げ——最初に出会った時のイレギアのように『とうせんぼう』をするように。
ただしイレギアが自分を逃がさないようにしたのと違い、後ろにいる彼を守るために行なっていた。
「雜ウ謗サ縺阪?縺?▽隕九※繧らエ?譎エ繧峨@縺?b縺ョ縺?」
クロガネノメから見ればそれは取るに足らない存在——矮小で、脆弱で、無意味なものだった。
「クレッ——…………!」
ふと視線が彷徨い、倒れた仲間たちへと漂う。
あんなに尊敬していた彼らが無残にも倒れ伏している。一番頼れる存在は——自分の後ろで呻いてすらいない。
誰にも助けを求められない。
誰も助けられない。
目の前にあるのは……強大で、冷徹で、残酷な——『死』そのものだ。
——それでも、助けたい。
「縺ェ繧薙□」
地面に撒き散らされたコインが次々と空中に浮かび上がっていき……コレクレーの周りを旋回していく。
……思い出すのは、あの恐怖。
だけど……それでも…………!
みんなを失う恐怖なんかよりはずっと良い————————!!
「『繧キ繝弱そ繝ウ繧ウ繧ッ』」
イレギアに向けて黒針が放たれる——それと同時に999枚のコインがコレクレーへと集まった!
「クレ————————ッ!!!」
黄金の輝きがクロガネノメの闇を照らす……!
眩いそれが晴れたそこには——
「…………クレ」
「クレッ!」
大きく伸びたその手で受け止めた針を掴んで霧散させる!
「クレ……!」
イレギアへと振り返り……ほっと一息撫でおろす。そして彼の近くに転がっていた、自分が入っていた麻袋を拾い上げて腰に掛ける——これでもう大丈夫。
「クレッ!!」
「邨カ譛帙?邨ゅo繧峨↑縺」
駆けるサーフゴーに向けて眼球衛星が『あくのはどう』を放つ!
「クレ————————!」
そこで思い出すのは……あの日見た、白い世界を自由に駆けるあの姿——!
「ぼくに勝てるやつがいたら、いつでも挑戦受けてたつぜ!」
その願望がサーフゴーの足元に黄金のスノーボードを出現させる!
「クレッ、クレ~~~~ッ!!」
自身からあふれ出るゴーストエネルギーが推進力となり、空までも駆け抜けて『あくのはどう』を避けて前へと進んでいく!
そう……イキリンコのようにすばしっこく!
「縺ェ縺九↑縺九d繧」
クロガネノメは6本の歪な翼を一点に集めて闇の波動を生み出し——サーフゴーへと撃ち込む!!
「クレ…………ッ!」
しかしサーフゴーは真っ直ぐ波動へと進む……決して怯まず相手に食らいつくデカグースのように!
そして脳裏に過ぎるのは彼——
「じゃーん! 見てみろコレクレー、これがわざマシンだ!」
「クレー?」
「へっへーん! コレクレーだって何かしら戦える手段は持つ方がいいとは考えた……でもまっ、それなら自分を守る手段を確保した方がいいからな! それを見越して2枚もくれてやる——!」
「クレクレー!」
右手に『リフレクター』、左手に『ひかりのかべ』を展開し、目の前に構える! それもより前方へと進むために壁で眼前に鋭角を形取ったのだ!
——ギャラドスの『はねる』のような柔軟さがそこにはあった。
「クレ~~~~ッ!!」
闇の波動がそれらに阻まれて散らされる——そしてサーフゴーはボーマンダのような力強い突進力で翼の先へ……クロガネノメの身体にまで迫った!
「クレレ…………!」
サーフゴーの身体が再び黄金に光り——新たに得たはがねエネルギーがコインとなって止めどなく形成されていく……後はシビルドンの電撃のように放つだけ————!
「クレェェェ————————ッッ!!!」
「————————!」
大量のコインをその身に受け、クロガネノメは少しだけ呻く……!
「クレ……ェッ……!」
サーフゴーがしてやったり顔になる……しかし脱力感が急に襲い掛かり、スノーボードの形状を維持できずに消してしまった。
このままでは地面に衝突してしまう——それこそ初めて空を飛んで落ちているので、慌て切ってしまっていた。
「ク…………レェ?」
しかし、サーフゴーが硬い地面にブチ当たることはなかった……というより、何者かに落ちる途中でかっさらわれて空を飛んでいるような——
——いや、突風がふきすさぶこの感覚は……!
「ボォォォ————————ッッ!!!」
ボーマンダだ! サーフゴーを鼓舞するように彼が雄叫びを上げる!
「…………クレ!?」
でもどうして——サーフゴーが眼球衛星の『あくのはどう』から避けていくボーマンダにしがみつきながら問いかけた。
「ボォォッ!」
彼は地上を見るように促す。
するとどうだろう——何者かがみんなを回復させていたのだ!
誰が……いや、そんな疑問が浮かぶよりも先にサーフゴーはその姿を目に収めていた。
誰よりもイレギアに忠実で、みんなを陰から支えていた彼もまたこちらに向かって叫ぶ——!
「アギャ————————!!」
イレギアが冒険の途中で傷ついてポケモンを治療するのをモトトカゲはずっと見てきた。道具の使い方も、治し方も……彼の器用な手があればそれが可能だった。
「グーグー!!」「ゴゴゴ……!!」「キィーッ!!」「シビビィッ!!」
デカグースが『がんせきふうじ』でクロガネノメを攻撃!
岩石を闇の波動で阻んだそこへギャラドスが『こおりのキバ』で噛みつく!
そちらに気を取られたところでイキリンコがコピーした『ソウルクラッシュ』を喰らわせる!
両者が離れた隙にシビルドンが『ほうでん』を浴びせる!
「クレ、クレー!」
「ボォッ!」
「クレ~ッ!」
ボーマンダに鼓舞され、サーフゴーは全身から『きんぞくおん』を鳴り響かせる——眼球衛星たちが怯んだところでボーマンダが『りゅうせいぐん』を放って6つ全てを吹き飛ばした!
「クレー!!」
「アギャス!」
地上に戻ったボーマンダから飛び降り、サーフゴーがモトトカゲに抱き着いた。コレクレーの時には絶対に為し得なかったことだ。
「縺薙l縺ッ……諠ウ螳壻サ・荳翫□」
驚いたように、しかし興奮するように……クロガネノメは咆哮をエリアゼロに轟かせる——!
「クレ!」
サーフゴーが仲間たちに『リフレクター』と『ひかりのかべ』を展開する——もちろん、眠りこけているイレギアにもだ。
「アギャ……!」
モトトカゲはそんなイレギアを背負って安全なところに避難する。
「クレ——クレ~~~~!!」
「「「「「オオ————————ッ!!!!!」」」」」
各々の意思で考え、わざを繰り出していく——イレギアならばこうする、彼ならきっと諦めずに突破口を見つける……そう考えて戦い続けていくのだった————
「ふう……静か、だね……」
「アギャ……」
最終決戦を終え、ゼロラボから歩いていくアオイは溜め息をひとつ零した。その隣には3人の仲間と1匹の相棒がいる。
「あれで……ペパーは良かったの?」
「…………良くはないけど、あれで良い」
「ペパーが言うなら……そっか」
「あれ……イレギアは?」
「イレギア? まさかこんなところにまで……」
「そんな嫌な顔すんなよ。心配してきたんだと」
「でもいない……まさか、もう帰ったとか?」
「ええー……帰ったらすぐに戦いたかったのにっ、チャンピオン同士の大決戦!」
「えっ!? ……まあ、イレギアさんならチャンピオンにもなるか」
その言葉にペパーとボタンは向かい合って笑い、ネモはどこか誇らしそうに頷いている。
「——ん?」
故にこそ、アオイしか見なかったのだろう。
黄金色で長身の……ポケモン? ゼロラボの影からこちらを覗いていた。
「あっ、隠れちゃった……」
「アオイどうしたん?」
「なんかポケモンっぽい何かが……」
「ここはエリアゼロだからな。そんなのいくらでもいるだろ」
「それより早く帰ろっ! イレギアとのバトルが今から楽しみだな~っ!」
「生徒会長はいつでもバトルばっかだな……落ち込む気にもなれねえや」
「せっかくだしどっか寄ってく?」
「確かにこのまま帰るのも味気ない気がして——コライドン?」
ふとコライドンが立ち上がり、結晶に飛び乗っては高く高く跳んでいく。
辺りが見渡せる位置にまで登り切ると——近くにいるはずの『同胞』に向けて——叫ぶ。
「アギャ————————ッッ!!!」
「コライドン……!」
「元に戻れて大喜びちゃんだな!」
「勝利の凱旋って感じだね」
笑みを浮かべる3人に対し、ネモは何やら不安気な顔になる。
「…………イレギア」
誰何の声はコライドンの雄叫びに消えていった。
タイトルの文字化け前は『ゼロラボ防衛戦!コインは君に託された!』となってます。
なんでわざわざって? ……かっけーじゃん。
クロガネノメ ゴースト/あく
とある探検記にも あらゆるオカルト雑誌にも 一切の記事がない 未発見の 存在で 語られていないのは 目撃者が皆 行方不明に なっている ためだろう
ギラティナのような姿をしたパラドックスポケモンだが、『こだいのすがた』と『みらいのすがた』の入り混じった矛盾だらけのものとなっている。その風貌は大昔の巨大なムカデ、鉤爪の生えた眼を模った6つの人工衛星とともに浮遊させたようである。
名前の由来——イレギアが名付けたワケではないが——は『黒鉄の眼』とある意味では仮称に近い。
ギラティナを選んだ理由としては、スカーレット(Scarlet)とヴァイオレット(Violet)の中間……つまり緑(Green)の頭文字を持つ伝説のポケモンであるギラティナ(Giratina)となりました。他にもゲノセクトがいたけど、化石枠やし違うかなって。
シノセンコク ゴースト 変化技 命中率90
相手をのろい状態にする。
喰らった者は徐々に衰弱し、やがて心の方から消えて死に至る。しかしクロガネノメは相手が複数で互いに信頼関係のある存在にしかこれを使わない。死にゆく者に対して何もできずにいる者たちの絶望を喰らうためだ。
そういうわけで正式にサーフゴーをお出迎えとなりました。最後の最後でモトトカゲも大活躍! いや~めでたしめでたし!