最初に出会ったスター団のしたっぱがネモによく効く向上心の塊でものすごいアホだった   作:うみじゃけ

60 / 75
ちょっと加筆しました


23.来たぜキタカミ!リーグ部序列5位?

 

 

 

—キタカミの里 スイリョクタウン前バス停—

 

 

 

「俺っ、一番乗りぃ!」

 

 イレギアはハイテンションのままバスから飛び降りた。

 

「おおー……っ!」

 

 そしてすぐに目の前に広がる田園風景に心を奪われる……見たことの無いポケモンたちを眺めながら空気を肺いっぱいに吸い込んでから吐き出すのだった。

 

「わあっ、パルデアとは違う意味で自然ってかんじー!」

 

「だなっ、だなっ! 早速写真とろーぜ!」

 

「はーい!」

 

 写真を撮るのが上手いアオイがスマホロトムを取り出し、田園風景をバックにスター団ポーズを決めるイレギアに『キタカミでもそれですかー?』などと笑いながら写真をパシャリ。画角もバッチリのいい写真に仕上がった。

 

「どんな感じになった? ……おおっ、流石アオイ! ほれぼれする写真だぜ! 写真部とか入らないのかよ~!」

 

「写真部かあ。部活とかは興味なかったけど、パルデアに帰ったら試しに行ってみようかな?」

 

 イレギアとアオイが一足先に飛び足した一方、その後ろにブライア先生、プペー、ナモが続くも……ボダンの足取りがどうにも悪かった。

 

「うう……」

 

「おおおおおおいどうしたポダンっ、なんか具合悪そうだぜ……っ!?」

 

 それにいち早く気づいたイレギアが彼の元に駆け寄ると、ブライア先生が思案してから口を開く。

 

「大変だ。乗り物酔いだろうね。しばらくはここで休んでいこうか」

 

「それじゃあ俺、街で誰か呼んできます! 確かこの後、公民館に行くんですよね。そこに行ってきまスター!」

 

 イレギアは迫真のスター団ポーズを披露すると、すぐさまスイリョクタウンに向けて走って行ってしまった。

 

「あまり焦らなくても……行ってしまった」

 

「あはは……先輩、困ってる人はほっとけないタチなので……」

 

「ともかく彼に任せれば安心だね。私たちはここで待って……」

 

「うっひょー! 見たことないポケモンばかり! あいつなんて俺らの仲間に相応しいでスター!」

 

 ブライアが安心しかけたところでイレギアの声がそこまで届く。

 

「…………すまないがアオイくん、ついて行ってくれるかい?」

 

「……はい、わかりました」

 

 ブライアの言葉にアオイは頷くと、もう見えなくなったイレギアの後を追って走るのだった。

 

 

 

—スイリョクタウン前—

 

 

 

「んん? あいつらは……?」

 

 スイリョクタウンの入り口まで駆けて行ったイレギアだったが……その扉の前を藍色の制服の生徒が2人——黒髪と金の瞳から姉弟と見える——こちらに向けて歩いてくる。

 

「な、なんだ?」

 

「あんたがパルデア地方の……アカデミーの生徒ってやつ?」

 

「おう。そういうアンタはブルーベリー学園の生徒か?」

 

 自分と同年代、背はネモより少し低いくらいだろう……弟と違って緋色のインナーと艶めかしい唇が特徴的な女子生徒。

 

「凄いゴーグルだべ……」

 

「スグリ、黙って」

 

 もうひとりは女子生徒の後ろに隠れるように顔を出しており、アオイと同年代だろう……紫色のインナーと首にあるホクロが特徴的な男子生徒——名をスグリというらしい。

 

「おっ、このゴーグルの良さに気づくとは中々やるな! 俺はイレギア! 後ろのはスグリだろ? ……アンタは?」

 

「イレギア……ふぅん、見た目と違って名前はカッコイイじゃない。あたしはゼイユ。残念だけどよそ者はスイリョクタウンに入れてあげないの」

 

「なにぃ!? 何かしらの手続きが必要なのか……」

 

 ゼイユは両手を振って妖しげに微笑む。その姿は少女ながら大人の魅力のようなものが感じられたが、イレギアはそれに惹かれるような性質ではなかった。

 

「手続きとかどうとかは知らないけど……どうしても入りたいならあたしと勝負しなきゃダメ」

 

「勝負だって!? うっひょー! ここで勝てば他校の生徒にも人気間違いなしでスターっ!」

 

「凄い意欲的だべ……」

 

「へぇ、いいじゃない。そうこなくっちゃ」

 

 そう言ってゼイユがモンスターボールを取り出そうとしたのだが……イレギアはそれを手で制しながら2人の隣を通っていった。

 

「でもすまねえな。勝負なら後にしてくれ! こっちは体調を崩してるやつがいるんでな!」

 

「あっ、ちょっ——! 止まりなさいよっ!!」

 

 イレギアはゼイユの横を全力疾走して公民館へと急ぐ。ゼイユはそんな彼に怒号を飛ばすものの彼はまったく脚を止めることはなかった。

 

「何よあいつ……! あたしの魅力が効かないわけ……っ!」

 

(上級生でも委縮しちまうねーちゃんに全然怯まんかった……あの人、結構強いんだべな……)

 

「きぃっ……! ムカつくわねあの星型ゴーグルっ、ぶっ壊してやろうかしら……!」

 

「あ、れ……先輩がいたかと思ったのに……?」

 

 するとそこへ、田園からアオイが2人の元に到着するのだが……腹の虫が収まらないゼイユが勢いよく振り返って彼女の眼光を飛ばす。

 

「うわっ……! え、どうしたの……?」

 

「っ————! ……あんたもアカデミーの生徒ね」

 

「え、あ、はい……その、星型ゴーグルとヘルメットした人を——」

 

「なにあんたっ、あいつとグルなの……!? それならちょうどいいわ……あいつにイライラしてたのよ、あんたでこのストレスを解消させてやるわ!」

 

「なにしたの先輩っ!?」

 

(なんだか申し訳ねえべ……)

 

 スグリは心の中でアオイに謝って、彼女のバトルを応援することにした。

 

 

 

—スイリョクタウン 公民館—

 

 

 

「——なるほど。あい分かりました」

 

 アオイとゼイユが外でバトルをしている間、イレギアは公民館の管理人に諸々の事情を説明していたのだった。

 

「それじゃ薬と一緒にバス停まで行ってきますんで。あんたさんはこのまま公民館でゆっくりしとってください」

 

「了解でスター!」

 

 イレギアが元気にスター団ポーズを披露すると、管理人は面白そうに笑っていた。

 

「良い挨拶ですねえ。都会ではああいうのが流行ってるのかな?」

 

 管理人がなにやらぶつぶつ言いながら公民館の奥へと姿を消していくと、イレギアは一仕事終えたことにひと息ついた。

 

(さーてと。ゆっくりしていけと言われたけど、ゼイユとの約束があるし、とっとと行かないと……)

 

「こんにちは」

 

 扉に向かっていたイレギアだったが、後ろから聞こえてきた青年の低い声に足を止めて振り返る……音も気配もなくそこに居たのは、ゼイユと同じ制服を着た極彩色をした短髪の青年……女?

 

(あれコイツ……いつから居たんだ?)

 

「……」

 

 そして彼の足元にはキラーメが表情の無い顔のまま青年の側を浮かんでいた。

 

「おう! 俺はイレギア! ちょっと事情があって一足先に公民館に来たんだ。アンタはゼイユと同じくブルーベリー学園の生徒なのか?」

 

「ええ。そうですよ。ゼイユさん……確か街の前で追い返してくるって仰ってましたっけ」

 

 イレギアが純粋に尋ねると、その青年は不敵に微笑んで彼の元に歩み出す……その歩き方はゼイユとはまた違う意味で妖しげな雰囲気を纏っていた。キラーメもまた彼の後をついていく。

 

(おおっ、ゼイユとはまた違った意味でカッケェぜ!)

 

「自己紹介がまだでしたね——ボクの名はキンシバイ。リーグ部序列5位の四天王……あんまり通じない話題でした?」

 

「ほえーっ、四天王! リーグ部ってのは聞いたことあるぜ。ダチがブルーベリー学園に転校してっから大体は分かる……つーことは学校で5番目に強いんだな! スゲェ!」

 

 イレギアが素直に賞賛すると、キンシバイは愉快そうに、しかし優雅に口元に手をやって笑った……イレギアはその仕草を呆けるように見ていた。

 

「つかぬことを聞くけどさ……キンシバイって、男? おん――むぐっ」

 

 イレギアが質問を言い終えるよりも先にキンシバイが彼の唇を人差し指で噤ませる。そしてそれを自分の唇へと持っていった。

 

「しぃー……ボクは秘密主義なんです。秘匿させてもらいますね」

 

「…………分かったぜ! なんだかわかんねえけどこれからよろしくなあ!」

 

 イレギアの裏の無い言葉にキンシバイは一瞬面食らったように目を見開くも、すぐに不敵な微笑みに戻ってイレギアの後ろ、公民館の扉へと視線を移した。

 

「そういえばさっき扉の方を見ていましたね。誰か待たせているのですか?」

 

「そうだった! ゼイユとバトルの約束してるんだった! よっしゃ急ぐぜ! キンシバイとも後でバトルやろーぜー!」

 

 イレギアが手を振りながら去っていき、キンシバイもまた『気が向きましたら』と手を振り返すのだった。

 

 

 

—舞出山道—

 

 

 

「——ここまでくればいいわね」

 

「ねーちゃん待ってぇ……」

 

 アオイと勝負し終えたゼイユは管理人に叱られそうになったためスイリョクタウンの隣、舞出山道まで走っていたのだった。

 

「あんたトレーナーでしょ? このくらい走れないでどうすんのよ」

 

「トレーナーは育てるのにも戦うのにもまずは体力だからな、その辺りはちゃんとしなくちゃダメでスター」

 

「あんたもいいこと言うじゃない……——オラァ!」

 

 ゼイユは振り向きざまに隣に立っていたイレギアに向かって『アイアンクロー』を放つ!

 

「ぐえー! かくとうタイプの技だーっ!!」

 

「なんなのよあんた!! いつからそこに!?」

 

 イレギアはゴーグルが食い込んだことで顔を抑えて蹲っていたが、高台から降りてきたルカリオが彼の肩に触れて見ていて安心するようなオーラを彼に浴びせた

 

「クヌヌ……?」

 

「いでで……——おっ、『いやしのはどう』! 助かったぜルカリオ!」

 

 痛みを取り除かれたイレギアはすぐさま立ち上がってからルカリオの頭を撫でる。その後、『道案内ありがとさん』とモンスターボールに彼女を戻すのだった。

 

「ルカリオ持ってる……もしかして凄いトレーナーだべ?」

 

「なるほどね。そいつの波導使ってうちらを追ってきたってことね……それにしても速すぎるけど」

 

 イレギアの諸々について整理した2人に対し、イレギアは不敵な笑みを浮かべて腕を組み……その態度が気に食わないのかゼイユは眉を顰める。

 

「で、あんたはなんでここに来たわけ? ここまでしてきたってことはそれ相応の用がないとねぇ?」

 

「決まってんだろ? ゼイユ……アンタと勝負するためでスター!」

 

「…………へえ」

 

 挑戦状をたたきつけられたゼイユは蛇のように恐ろしくも妖しく笑った。

 

「さっきは火急的な用事があったからバトルできなかったからな……それにここなら周りに人がいないから本気でやり合えまスター!」

 

「スターってのがわかんないけど——良いわよ。本気でって言うならあたしもこの辺で捕まえた子じゃなくて前から持ってる本気の子で戦ってあげるわ!」

 

「ええっ!? ねーちゃんそれは流石に……!」

 

「それで構わねえぜ。なんたって俺はパルデアのチャンピオンのライバルだからな!」

 

 なお、一度も勝てたことは無い。

 

「言うじゃない。それなら地べたに這いずらせてあげる!」

 

 話もそこそこ……両者ともにモンスターボールを構える。

 

「おっ……? そうか、お前が戦いたいのか……!」

 

「作戦会議は終わった? それならとっとと始めるわよっ!」

 

「よっしゃっ! いっちょぶちかましてやりまスターっ!」

 

 イレギアは沸き上がる向上心からテンション爆上げでスター団ポーズを披露した。




突然生えるオリキャラ……誰なんだいったい()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。