最初に出会ったスター団のしたっぱがネモによく効く向上心の塊でものすごいアホだった   作:うみじゃけ

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27.暗い森に火灯し!暴けアカツキの謎!

 

 

 

—スイリョクタウン—

 

 

 

「オリエンテーリングを進める前にワタシから言わなきゃならないことがひとつ」

 

 サザレはそう言いながら1枚の写真をみんなに見せた。

 

 写っていたのは霧の深い森の中で輝く紅い満月のような光と、それを額に宿している巨体だった。

 

「これは……ポケモン?」

 

「うん。ガチグマっていう、ワタシの故郷にかつていたポケモンなんだけど、海を渡ってかこのキタカミの地にあるとこしえの森に住み着いてるみたいなんだ。額の模様からついた個体名はアカツキ……写真を撮ってみたくって林間学校のカメラマンに立候補したんだけど、全然調査してなくて危ないから、みんなは近づかないようにしてね」

 

「「「はーい!」」」

 

 ナモ、プペー、ポダンの3人が元気よく返事をする横でキンシバイは写真を見ながら思案顔を浮かべていた。

 

「ガチグマ……聞いたことないポケモンですね」

 

「俺もだぜ! うっひょー! 捕まえれば一躍有名人でスター!」

 

「バカね。そんな理由で危険なことすんじゃないわよ」

 

「あはは……」

 

 その時はただの注意喚起にすぎなかった。

 

 

 

—とこしえの森—

 

 

 

「——とは言いつつ、来ちゃったわーとこしえの森」

 

「自然いっぱい! まさに森って感じだな!」

 

 時間を持て余したゼイユとイレギアはボーマンダを飛ばしてとこしえの森の入り口から少し入ったところに立っていた。

 

 鬱蒼とした森の中には様々なポケモンが群生しており、イレギアはそれに嬉しそうに眺めていた。

 

「さーて、俺たちに相応しい新たな仲間を探すとするかあ!」

 

「あんま深いとこ行って迷子にならないでよ、あたしが困るんだから……とは言っても、あたしもちょっとポケモン鍛えようかしら」

 

 そんなこんなで2人は付かず離れずの距離を保ち、互いに情報を交換しながら森を探索していった。

 

「あれ……これポケモンか?」

 

 するとイレギアは妖しく炎の灯った浮遊するシャンデリアを見つける。

 

「……モシモシ」

 

「電話か?」

 

「ポケモンよ。あんまり近づかない方がいいわ。シャンデラって言って、近づいた奴の生命力を吸い取っちゃうのよ」

 

「へえー」

 

 イレギアは適当な相槌をしながらもシャンデラへと手を伸ばす——すると、シャンデラの頭の灯が勢いよく燃え始めた!

 

「うおーっ、スゲェ! キャンプファイヤーだっ!」

 

「バカ! あんたの生命力が吸われてんのよ! ……てかあんたの生命力ありすぎでしょ!」

 

「いやあそれほどでも〜!」

 

「照れてんじゃないわよ!」

 

 火柱となって聳え立つシャンデラの灯はバーナーのように枝葉を焼き切って森の外からでも見えるほどに燃えていった。

 

「ワギ————……ィ」

 

 そして深い森の中、その異変を感じ取った何者かが、煌々とひとつ目を光らせてその場所へと巨体を進ませるのであった。

 

「モシモシ〜〜〜〜ッ!」

 

 一方のシャンデラは暴走状態にあった。生命力のみを燃やす炎のため山火事にはなりそうにもないが、それでも活性化した炎の力で目の前のイレギアを襲わんと『オーバーヒート』を放つ!

 

「ちょっ、避けないと……!」

 

「いんや! その見てるだけで力をもらえる炎……決めたぜ俺たちの新たな仲間! とっ捕まえまスター!」

 

 目の前の迫る焔撃にゼイユがイレギアの服の裾を掴んで逃がそうとするも、彼は臆することなくそう宣言しながら『オーバーヒート』に向けて2つのモンスターボールを投げる……解放されたポケモンたちは——

 

「シビルドンっ、『いわなだれ』! ギャラドスっ、『ハイドロポンプ』!」

 

「シビビッ!」

 

「ゴゴゴッ——!!」

 

 目の前の煉獄を消し去ろうと岩雪崩と濁流が放たれ、3つの衝突によって水蒸気が爆発する!

 

「すごい勢いっ……てか何も見えないじゃない!」

 

「問題ねえっ、頼んだぜ相棒!」

 

「マカセロー!」

 

 立ち込める水蒸気の中、イレギアは相棒であるイキリンコを繰り出した。

 

「『ぼうふう』でシャンデラを捕らえろ!」

 

「アイヨー!」

 

 イレギアの言葉に人まねで答えたイキリンコは小さな翼からでは考えられないほどのパワーで羽ばたいて水蒸気の煙を風で操り、竜巻を起こしてシャンデラをその中に閉じ込めるのだった。

 

「モシモシ、モシ————ッ!!」

 

 しかしシャンデラはそれに臆さず、滾る生命力で竜巻とは逆方向の『ほのおのうず』を巻き起こして風をかき消した。

 

 ……だが竜巻の先には既にイキリンコ、ルカリオ、そしてイレギアの新たな仲間であるとうじんポケモンのキリキザンがそれぞれのわざを構えながら突撃しているところだった。

 

「モシ?!」

 

「クヌヌワ!」

 

 シャンデラがその光景に驚いている隙にルカリオの『あくのはどう』がイキリンコの翼とキリキザンの両手に纏わされる……!

 

「キリ……!」

 

 それに合わせるようにキリキザンが『つじぎり』を放つことであくエネルギーの刃が展開され、『あくのはどう』とエネルギーが同調してより鋭く強く研ぎ澄まされた!

 

「キィ……!」

 

 さらにイキリンコの『ものまね』——キリキザンの『つじぎり』をコピーして彼と同様の刃を手に入れる!

 

「ぶっ放せ2匹ともォ!!」

 

「「ザンッ!!」」

 

 4つの漆黒の斬撃が交差! シャンデラは滾る生命力をそぎ落とされて怯んでしまう。

 

「よっしゃ! いけっ、モンスターボール!」

 

 その奥、シャンデラの怯みを確認したイレギアが強肩でもってモンスターボールを投げつける——シャンデラがボールに入ってブルリと揺れ……一度の点滅からゲットに成功するのだった。

 

「うっひょー! シャンデラゲットでスター!」

 

「え…………あ、あんたあんなにポケモン持ってたの……?」

 

 戦闘が終わり、緊張の解けたゼイユが絶句しながらそんなことを呟く。イレギアはそれぞれのポケモンとハイタッチしながら労っているところだった。

 

「ゴゴッ!」

 

「シビィ……」

 

「ヨクヤッター!」

 

「クヌヌワン!」

 

「キザン!」

 

 ポケモンたちも相互に労っており、ギャラドスは辺りを嬉しそうに跳ね回り、シビルドンは当然とばかりに胸を張る。新人の2匹には一番先輩のイキリンコが直接言葉を授けており、ルカリオは尻尾を揺らして大喜び、キリキザンは真面目なのか丁寧に礼をして受け取っていた。

 

「まあな! こう見えてパルデアではチャンピオンランクなんだぜー!」

 

「……ボーマンダを持ってるって思ったらなんか説得力あるわね」

 

 ゼイユは肩をすくめながら、『それなりに面白い奴』と心の奥で評価を改めた。

 

「ひとバトルしたらちょっと疲れたな。ゼイユ! 一緒に休憩しようぜー!」

 

「はいはい。あたしもレベル上げに疲れたところだしちょうどいいわね」

 

 そこでイレギアとゼイユの2人はピクニックを開き、ポケモンウォッシュやサンドイッチを作るなどで各々身体を休めていくことにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドシン……

 

 

 

 

 

 

          ドシン……

 

 

 

 

 

 

                   ドシン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワギィ……」

 

 そこへ不穏な足音が近づいていくのに気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……おいしい! なにこの紅茶……すごいおいしいじゃない!」

 

 一方のイレギアたちはのんきに食後のティータイムとしゃれこんでいた。

 

「ああそれな。俺のライバルであるネモってやつの贈り物でさー。めちゃめちゃ高い茶葉なんだぜー!」

 

 イレギアはそう言いながらポケモンの分もカップに注いでいく……しかも空気を含ませながら淹れる、本職のやり方でだ。

 

「……色々多芸なのやっぱムカつくわね」

 

「理不尽でスター」

 

 ピクニックスペースにはイレギアのポケモンとゼイユのポケモンが交流しており、グラエナとキリキザンが交流したり、新しく加わったシャンデラがルカリオ、シビルドン、ロコンが話をしているなど様々な世界を見せていた。

 

「ガールズトークも弾んでるみたいだな」

 

「そのネモって奴ももしかしてチャンピオンランクってのなの?」

 

「おう。ついでに言うならアオイもだぜ」

 

「多すぎでしょチャンピオン……」

 

「でも他にはたぶんいないんじゃねえかな。2人とも俺の大切なライバルでな。特にネモは最強に強くってなあ……いつか本気のネモに勝つことが俺の目標なんだ!」

 

「ふぅん……まっ、良い目標なんじゃない? 強くなりたいってのはトレーナーなら共感できるし。ただし! 強くなんならとことん強くなんなさいよ! じゃないとあんたに勝ったあたしまで弱く見られるんだからね!」

 

「もちろんだぜ! そうときたらもっとポケモン増やしてみんなみんな強くしてやりまスター! ……ん?」

 

 イレギアがそう呟くと、森の奥深くから霧のようなモノが漂い始めてくる。

 

「もう夕方ね……さっさと帰りましょ。霧も深くなったら迷って帰れないわよ」

 

「そうだな。おーしお前ら、片付けんの手伝ってくれー」

 

 イレギアのその一言に彼のポケモンたちがそれぞれ手分けしながらピクニック用品を片付けていく。ゼイユは何もせずそれを眺めていたのだが……それゆえにその感覚にいち早く気づいた。

 

「……ねえ、なんか揺れてない?」

 

「そうか? ……いや、確かになんか揺れてるな」

 

 イレギアがバッグに諸々を詰めたところでその感覚に気づき、思えば霧が更に深くなってきていた。

 

「だんだん揺れが強く……」

 

「何か……近づいてきてる……?」

 

 自然と警戒して身を寄せ合う2人。そんな2人の前の大きな影が現れる……

 

「————」

 

 ……見上げるほどの泥を被ったような巨体、煌々と輝く1つの眼、そしてなにより額に輝く紅い月のような模様。

 

「もしかして……これって……」

 

「ああ、間違いない……!」

 

 サザレの語っていたポケモン——ガチグマ(アカツキ)

 

「ワギィ……」

 

 アカツキはイレギアとゼイユをその瞳に映してじっと見ていた。

 

 まるで敵かどうか判断するように……

 

「こんちはー」

 

 イレギアは彼に向けて一礼。

 

「ワギ」

 

 アカツキは彼に一礼して、踵を返して森の奥に戻っていった。

 

 それに続くように霧もうっすらと消えていっていく……。

 

「いやなに普通に挨拶してんのよ!」

 

「ぐえーっ!」

 

「ワギ?」

 

 ゼイユが感情を爆発させて叫びながらイレギアにアーボックツイストを仕掛けると、アカツキが不思議そうに振り返って再び近づいてきた。

 

「いてててて……なんだよー。別になんでもないならそこで終わっていいだろ?」

 

「いやいやっ、そんなふうに終わるなんてむしろ考えられないわよ! てかあんた捕まえたいんじゃなかったの!?」

 

「はっ……! そうだったぜ! うっひょー! そうとくりゃ早速ゲットしてやりまスター!」

 

「ワギ……!」

 

 イレギアがモンスターボールをアカツキに突きつけると……アカツキは自分からモンスターボールのボタンを鼻に押し付けて入っていった。

 

「「え?」」

 

 1、2、3……点滅を繰り返し、ゲットを知らせる光が現れた。

 

「「ええええええぇぇぇぇぇ~~~~っっっ!!!!???」

 

 霧の晴れた森の中、イレギアとゼイユの咆哮が轟くのだった。




暴けといいつつ即ゲット
ルカリオに続いてキタカミでの新規ポケモンはキリキザン、続いてシャンデラです
キリキザンは分かるけどシャンデラはあまり似合わなそう……?
まあアホも命燃やしてるしその辺は合うのかしら?
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