休日。
虎杖と伏黒は五条をつけてメイドカフェまで来ていた。
パンケーキを楽しそうに頬張る五条をよそに、好きな漫画シーンをタイトル言わずにエモさを感じさせるゲームに興じる虎杖。
「じゃあさじゃあさ! 大義のために虐殺までしたのに、いざ理想の世界にトリップしたらこんなはずじゃなかったってめっちゃ後悔して、死後に使い魔ばら撒かれたら大変なことになるからって使い魔殺せる力を持った最悪の敵に従うことになって、決別した親友に二度目の死という救いを求めるなんちゃって僧侶は!?」
「友と呼ばせてください……!! 見てます! すごく推しです!! ラスボスその後って感じでいいですよね! 天国は地獄で、天国に居場所はなくて、死にたい死ねないって苦しむキャラにヒーローが救いの手を差し伸べると、私のヒーローは1人だけでいいからって振り払っちゃうところとか!」
「そのシーン大好き!! 親友に殺される瞬間を思い出して癒される所とか、悪役だから仕方ないんだけど凄く不憫なんだけどよな! 大義も救いも置いてきた。残ってるのは呪いだけ。って一言が好き!」
「エモいですねー! よーし、じゃあエモ芋追加しちゃいますよー!」
「やったー! 夏油様ありがとー!」
ガシャン!
テーブルに手が叩きつけられる。先ほどまでパンケーキを食べていたはずの五条だ。
「悠仁。その漫画、教えてくれないかな」
「俺も知りたい」
「お、おお……」
五条と伏黒になんだかピリピリした空気で見つめられ、虎杖は漫画の名前を教えた。
その場で本屋まで連行され大人買いで全巻を買う。
しかも、五条用と伏黒用で二セットだ。虎杖は目を丸くした。
「傑出てくるの、どこ?」
「えーと、ギガントマキアが出た回だから……18巻です……」
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『ギガントマキア……!』
黒霧が叫んだ瞬間、ギガントマキアが飛んだ。
透明な何かに吹き飛ばされたのだ。グラントリノは咄嗟に構える。
『ごめん、きみ、術師だったのかい? 呪霊かと思って攻撃してしまったよ』
片腕の僧侶の青年がよろめきながら告げる。
この男は一体……!?
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夏油傑が、確かにそこにいたのだった。
それを読んだ五条悟と伏黒恵は宇宙猫とかした。
「……どういうこと?」
「何が?」
「いや、こいつ僕の親友なんだよ」
「二次元が親友ってこと? 意外」
「じゃなくてさ! 夏油傑って呪霊操術の術師がいたんだよ! しかも僕が殺してんの!」
「えっ 先生が救世主様なの!?」
「なにそれ」
「これスピンアウトが出ててさ」
「スピンアウト」
「夏油傑関係、全部買ってきてくれるか、虎杖」
「え、限定販売の付録もあるから全部は……」
「いい。金に糸目はつけない。伊地知呼ぶから、協力してあげて、悠仁」
「お、おお、ちょっと前の付録だからそんなかかんねーと思うぜ。後は電子書籍で大体売ってるから」
「これの端末に……いや。個人の端末の方がいいか。こんだけ大々的に売られてるのに、騒ぎになってないってことは奇跡的に気づかれてないって事だし」
「忙しいからな、呪術師……」
ということで、早速ダウンロード。
「スピンアウトの『拝啓、私の救世主様』、これが夏油様のスピンアウトな」
「ありがと」
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ーー拝啓、私の親友へ。
私は今、とんでもない所へ来てしまっている。呪霊がいなくて、術者が八割の世界だ。
まだわからないけれど、呪霊をこっちでまだ一度も見ていないし、本当なんだと思う。
といっても、その二割もお年寄りばかりで、子供達からは無個性、非術師は消えつつあるそうだ。
ということは、ここは私の理想の世界という事になる。
確かに殺されたはずなのにここにいて、右腕は吹き飛ばされたのに、乙骨との戦いで吹き飛ばされた呪霊は無事とか、若返っているとか、ほんと不思議だよね。
神様って、本当にいるのかな?
あんな事をしでかした私なのに、天国で暮らしても、いいのかな。
「傑くん。とりあえず、君の保護が決まった。異世界人かどうかはわからないが、君が常識についてあまりに無知な上に子供なのは確かだしね。ひとまず、今日は外を散歩してみようか」
「はい」
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「傑。なんで漫画に出てるのかは全然わかんないけど、呑気そうだな」
「今だけだよそれ。夏油様ふぇぇ枠のラスボスだから」
「なにそれ」
先を読み進める。
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「十回連続で呪詛師に会うなんてどういう事なんですか!?」
「おお、強いね夏油くん。個性は霊能力と聞いていたが、それを使わず筋力と体術のみで防ぐとは」
「個性ではなく、術式で、呪霊操術です。呪霊を操る力です。……非術師相手に使っていいものか、決めかねてしまって」
今更なのに、と自重する夏油傑。
「よくわからんが、個性の使用は基本的に禁止だよ。ヒーローでもない限りね」
「はぁ。ヒーロー、ですか? 彼らは思いっきり術式、違う。個性を使ってましたが」
「それはヴィランだからね」
「ヴィラン……? ヒーローとかヴィランが本当にいるんですか?」
「いるんだよ」
「なにそれ漫画? 私は漫画の世界にでも転移したとでも言うのか? そんなバカな。バカな」
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「それがその通りなんだよねぇ」
笑っていいのか、憐んでいいのかわからないまま、五条悟は困惑していた。
「で、今、夏油さんどうなってんだ」
「最新話? ネタバレしていいの?」
「しろ」
伏黒恵に促され、虎杖悠仁は語る。
「んーと、呪霊を術師である自分も生み出すと知って、しかもヒロアカ世界で自分ただ1人が呪霊を生み出すって帰って死ぬ事を目指してる」
「は?」
「生きてる限り呪霊を増やしちゃうからそれは残らず取り込まないといけない、自分の醜さを直視するのは辛い、取り込んだ呪霊は自分が死んだ後、暴れるかもしれない、だから呪霊もひっくるめて消滅させられる個性を探すし、その為にヴィランに協力したりもするんだけど、土壇場で親友以外に殺されたくないって。やっぱりここに居場所はないから、自分の世界に帰りたい、今更自分を騙す事も出来ないからもう一度親友に殺してもらうって」
「あれをもう一回しろと? っていうか、なんでそんな状態になってたわけ」
「召喚の個性の暴走がどうとか」
「なんでもできるんだね? 個性」
「次の巻の発売が来週」
「伊地知予約して」
「はっはいっ しかし、任務が」
「わかってる。作者のこと、遠目で見れない? 術式持ってないかこっそり見たい」
「調べてみます」
「バレないようにね」
この後、夏油傑の過去編が始まり、学校や呪霊関係の事が名指しで出てしまうトラブルが発生仕掛けるのだが、五条のファインプレーで無事東京都立呪術高等専門学校は、霊能者育成高等学校へと名前を変えて事実の露呈は防がれるのだった。
呪霊の仕組み? そのまんま出てます。その時にはもう既に夏油の説明回、出しちゃってたから……。