泥沼の騎士 〜TSルディ子を救いたい〜   作:つばゆき

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渡航と代価(前)

 

 

 気がつけば、窓から差し込む月明かりが大きく角度を変えていた。

 情報を整理するうちに、いつの間にかうとうとと微睡んでいたらしい。隣を見れば、エリオットが机に突っ伏している。

 見慣れた宿屋の一室を見回しても、ルイジェルドの姿は見当たらなかった。ルイジェルドとは一年間の付き合いだが、彼が横になって眠っている姿を見たことがない。不寝の番をしていないときでさえ、槍を抱えたまま膝を立て座り込むだけだ。

 部屋にいないのは気になるが、スペルド族の成人男性は人族の子供と比べ、そこまで睡眠を必要としないのだろうか。

 

 エリオットを起こさないように小さく伸びをすると、机の上の羊皮紙に向かい合う。乱雑に書き殴った渡航案の一部が、僅かに濡れたように滲んでいるのを発見して、ルディアは口の端の涎を慌てて拭った。

 

「やば……」

 

 幸いにして読めなくなるということはなかった。

 その内容に改めて目を通しながら問題点を洗い出していく。

 正直進捗は芳しくない。金が絡む都合上、そうそう妙案も思い当たらない。

 だが正攻法で金を貯めようと思っても、緑鉱銭二〇〇枚など高ランクの依頼を優先して受けても一年以上かかるだろう。

 迷宮で一攫千金を狙うのは論外だ。三人で挑むには頭数が足りな過ぎる上、全員迷宮攻略の経験はない。ルイジェルドでさえ見抜けないような罠が多数ある迷宮に挑むのは、リターンに対して余りにもリスクが釣り合っていないように思えた。

 密輸人を探し出し、それを頼るのは──ルイジェルドの悪を赦さないという主義に反する。首尾よく大陸を渡れたとしても、それでパーティ内の結束に亀裂が入ったなら本末転倒だ。

 エリオットは意外にも頭を捻ってくれていた。

 だが、視点そのものは悪くないがやはりどれも正確性に欠ける。ルディアが思いつかないのだから無理もないが。

 船に忍び込み、ミリス大陸に着くまで船倉で息を潜めてもらうというのは現実的ではないだろう。他の密輸品もあることを考えれば客室よりもなお厳重だ。

 種族そのものを誤魔化すのは不可能に近い。詳しく調べる手段があるのかはわからないが、髪を剃り額の宝石を隠しただけで十分とは限らない。

 ただ、役人そのものを買収するという案は目から鱗だった。人族でなくともルイジェルドを他の適当な魔族であると言い繕えるなら、それに越したことはない。だが、手持ちの金で役人が転んでくれるのかは未知数だ。もし無理だったとしたら、その時点で『デッドエンド』自体がお尋ね者となったとしてもおかしくはない。

 

(あーくそ、こんなときこそ助言じゃないのか? 魔眼なんぞ寄越しやがって)

 

 内心で毒づきながら思い出すのは、一週間ほど前に夢に出てきたヒトガミである。

 一週間前のルディアはヒトガミの恩着せがましく垂れてきた助言に、訝って警戒し従うか否か葛藤する様を面白おかしく眺められるなら、今回は素直に従ってやろうと動いたのである。

 結果的に手のひらで踊らされているのでは? と首を傾げながら従った結果、ルディアは欠食児童もかくやといった風情の魔界大帝から魔眼を下賜されたのだ。

 感謝するつもりはないが、確かに魔眼は有用だ。

 水神流中級程度の腕前のルディアが、剣神流上級剣士のエリオットに対し近接戦で勝利を収めるほどと言えば、その有用性がわかるだろう。

 手合わせをしているときは気が回らなかったが、エリオットを下してしまって本当に良かったのか、という懸念もあった。

 エリオットは自分が知るそれよりも、ずっと強くなっていた。それこそこの一年、ずっとルディアの前で戦っていたのだ。同時にいつの間にかルイジェルドに師事するようになり、剣神流という括りではなく戦士としてひと回り強くなっているように感じたのだ。

 ルディアとてエリオットと立ち合っている間、加減をする余裕があったわけではない。むしろ逆だ。予見眼を駆使して終始優勢に立ち回ったが、気を抜けばすぐに一撃を喰らっていたはずだ。

 そんなエリオットを、降って湧いたような力で下してしまったのである。エリオットはいつも通りに振る舞っているが、内心では忸怩たる思いをしているのではないか?

 

 粗末な机に突っ伏したまま、ゆるやかに肩を上下させるエリオットを見る。

 彼を見ると、可能な限り早くアスラまで帰り着きたいという思いが強くなる。エリオットは、こんなところで剣の腕に一喜一憂すべき人間ではないのだ。

 己だけなら、まだいい。いずれ魔法大学にシルフィエットと進学するとしても、そして当初の家庭教師の契約が六年や七年に延びたとしても、多少の寄り道をしたと思えば済むだけの話だ。流石にパウロやゼニスを心配させ過ぎてしまうとは思うが。

 だがエリオットは違う。彼こそはアスラに名だたる貴族の名門、ボレアス・グレイラットの次男。長男が本家に養子に出された事を鑑みれば、政治的価値はずっと大きい。

 縋れるのなら、藁でも神でも縋るべきなのだろうか。

 だが──

 

(……やっぱ助言はいいや)

 

 嫌なこと思い出した、とでも言うように、粗末なベッドに横になる。

 仰向けで天井の木目を読みながら思い出すのは、夢のときの真っ白な空間である。

 そこではいつも、ルディアはこの少女の矮躯ではなく、生前の醜い肥満体で──この世界にいるルディアが偽物だと、死に際にたまたま拾いあげただけの紛い物だと突きつけられているようで、それが殊更に気に障るのだ。

 にやにやとした雰囲気を醸し出し、言葉で(いら)うように、同時に媚びるように接してくるヒトガミも、鬱陶しく腹立たしい。あの男は──性別があるのかは不明だが、助言を聞いて欲しいように下手に出るくせに、どこか飄々としていて、まるで自分が下だとは思っていない。自分が神であると、圧倒的上位者であるという自負と傲慢さが透けて見えるのだ。

 それに、ヒトガミに会うのを忌避する理由はもう一つあった。

 初めて夢に出てきたときの、全身に隈なく走る微細なノイズ──それが、会うたびに少しずつ大きくなっている。夢から醒めてしまうと、それがどうしたと気にもならないが。だが不意に思い返すと、そのノイズが広がりきったとき、まるで自分が分解されて消えてしまうような、そんな不安を感じるのだ。

 

 やはり、自分で解決すべきだ。

 そしてその手段は……なくもない。

 ルイジェルドを欠いてはアスラに辿り着くのは可能でも、大きく失速するだろう。結果として帰り着くまで遅くなる。なにより、スペルド族の名誉回復が出来なくなるのだ。それは許容できない。

 心情的にも、護衛をするだけしてもらって、魔大陸を出たら別れるなど容認しがたい。

 

「……」

 

 もぞもぞと起き上がり、ベッドの横に立てかけてあった杖を手に取った。

 そして巻き付けてあった布を取払い、全貌を眺める。

 月光を孕んだ透き通るような蒼い魔石。僅かに艶のある、頑丈かつしなやかな柄。一年とはいえルディアにとっては使い慣れた得物だ。夜気に冷えた樫材の柄が、ひんやりと手のひらに心地よい。

 

(売りたくないなあ……)

 

 名残惜しく握りしめ、そっと柄に額を押し当てると、ルディアは手放す覚悟を決めた。

 振り返り、エリオットの背中に謝意を込めた視線を向ける。

 大丈夫だ。エリオットならきっとわかってくれる。

 

「……よし」

 

 立ち上がり、身支度を整える。

 外套を羽織り、最低限の金の入った財布を懐に入れ、布を再び杖に巻きつければそれだけで事足りた。

 

 ルディアの手持ちで──否、『デッドエンド』の所有物の中でもとりわけ高価なものがこの杖である。

 それはルディアの誕生日に、実に一年前にエリオットから贈られたものだ。

 それを、売る。

 裕福なアスラとは違い、物価もなにもかも貧しい魔大陸では、まともな値段などつけられるはずもない。いいように買い叩かれるのがオチだろう。相場の何十分の一で手放す羽目になるのだろうか。

 それでも、渡航のためには致し方ない。

 緑鉱銭二〇〇枚など、アスラなら然程かからず貯められる。BランクやCランクの依頼を受けていれば、一月とかからずに貯められる額。だがその程度の金にすら、今のルディアたちは事欠いているのだ。

 

 きい、と軋むドアの向こうにエリオットの姿を閉じ込めて、ルディアは宿を後にした。

 

 

 

 

 

     ×××

 

 

 

 

 

 窓から入り込んできた潮風にうなじをくすぐられて、エリオットは目を覚ました。

 枕にしていた腕が痺れ、押し当てていた額が赤くなっている。あくびを噛み殺すと、目尻に涙が滲んだ。

 ふと、横に放置されていた羊皮紙が目に入る。

 ルディアと案を出し合った紙にはインクが滲み、いくつもの添削のあとが見て取れる。

 箇条書きの案のほとんどに斜線が引かれ──残ったものは僅かに数個。そのどれもが実行に移すには幾らかの不安が残るのだ。

 やはり、密航しかないだろう。

 案を出し合い、詳細を詰めている間も、二人ともなんとなくは察していたのだ。密輸業者と渡りをつけ、仲介人を見つけるのに多少手こずったとしても、あるいは口止め料を要求されたとしても──かかる金額は緑鉱銭二〇〇枚などよりもずっと安く済む。

 なんとなれば、いざミリス大陸に渡ってしまえば最早密輸業者に用はない。利用するだけ利用したら、組織の拠点を壊滅させてしまえばいい。

 美術品や工芸品などろくにない魔大陸と、ミリス大陸をつなぐ密輸組織など、商品は九分九厘が子供の奴隷である。彼らを解放すれば、ルイジェルドの名声回復にもってこいなのではないか。

 考えるほどにこの案が合理的に思えてきて、エリオットは背後のベッドに寝ているのだろうルディアに声をかけ──。

 

「なあルディア、やっぱり密航にするべきじゃ──」

 

 言葉尻を浮かせたまま口をつぐんだ。

 振り返ったエリオットの視界には、無人の部屋が広がるばかりだ。そこに探し求めた彼女の姿はない。

 

「ルディア……?」

 

 かけた声がむなしく虚空に消えていく。

 

「……」

 

 ルイジェルドと共にどこかに出かけたのだろうか。

 いや、それはないだろう。エリオットの意識が飛ぶ直前には既に、ルイジェルドの姿はなかったはずだ。

 そしてルディアには、なるべく外に一人で出歩かないように──主にルイジェルドがだが──言い含めてある。それもこんな夜更けにともなれば尚更だ。

 じわじわと、悪寒のような、悪い予感(・・・・)としか表現のできないなにかがエリオットの背筋を這った。

 粗末なベッドの上のシーツに触れてみれば、まだ仄かに温かい。ついさっきまでは此処にいたのだ。視線を巡らせてみれば、立てかけてあった杖も、新しく買った外套もない。

 厠にでも行ったのだろうか。……杖を持って?

 

 いよいよ膨らみ始めた悪寒にエリオットは立ち上がると、外套と剣帯を引っ掴む。そして慌ただしく宿を飛び出した。

 

 

 

 

 

 この一週間で嗅ぎ慣れた潮風が前髪を揺らし、涼やかな夜気がエリオットを出迎える。

 ルディアは……まだそう遠くには行っていないはずだ。

 駆けながら彼女の行きそうな場所に思いを巡らせる。いいや、考えるまでもない。彼女が足を向けそうな場所には既に見当がついている。

 街にはとうに夜の帳が下りていたが、エリオットは目が良い。目当ての背中はすぐに見つかった。

 

「……ルディア」

 

 僅かに乱れた息を整えながら声をかける。

 すると、ルディアの肩が小さく跳ねた。振り返った彼女の瞳が驚きに瞬く。

 

「え、エリオット?」

「……こんな夜中に、どこに行く気だよ」

 

 問うと、悪戯の現場が見つかった子供のような、きまりの悪い顔でルディアが目を逸らした。

 だがすぐに視線を戻すと、誤魔化すようにへらりと笑う。

 

「散歩です。なんだが目が醒めちゃったので。……エリオットもですか?」

「杖を持ってか?」

 

 ルディアはエリオットの視線から隠すように、杖を後ろ手に持った。

 

「……やだな、護身用ですよ」

「一人で出歩くなって、昼に言われたばかりだろ」

「一週間、宿に篭りっぱなしでしたから。私だって気分転換はしたくなりますよ」

「……」

 

 そうか、と聞き流すことはできない。

 ルディアがなにかを誤魔化そうとしていることは明白だった。煙に巻いて、この場を凌ごうとしている。

 そうしてこの場を切り抜けて、彼女がしようとしていることを、エリオットはなんとはなしに察していた。

 知っていて、それを(ただ)そうととしている。

 だが、それを質して何になるのか?

 

「ルディア、その……」

「ねえ、エリオット」

 

 発する言葉を持たないまま、歯切れ悪く口を開いたエリオットを、ルディアが遮った。

 

「海を見に行きませんか? 浜辺なら、人気(ひとけ)もないはずですし」

「……夜だぞ」

「いいじゃないですか。宿にずっと篭ってたから、今日の昼くらいしかろくに海を見れてないんです」

 

 ちょっと付き合ってくださいよ、と言ったルディアに対して、エリオットは少しの間逡巡し、曖昧に頷いた。

 

 

 

 

 

 夜中に見る海は昼に見るものとはずっとその趣を異にしていた。

 月明かりが照らすばかりの黒々とした海は、月光以外の明かりを吸い込んでいるようで、水平線を闇の向こうに覆い隠してしまっている。

 昼の喧騒に紛れてしまっていた環境音も、閑静な夜に来れば鮮明に聞こえる。人通りの途絶えた浜辺では、ただ遮るものなく吹き抜ける潮風と、打ち寄せる波の音、そして砂浜を踏む二人の足音だけが聞こえる全てだ。

 

「夜の海も案外綺麗なものですね」

「……そうだな」

 

 吹き付ける風がエリオットとルディアの髪を揺らした。陽のない夜に来るには、海は少しばかり肌寒い。

 だがルディアは襟を引き上げて首を竦めただけで、さほど気にした様子はなかった。

 

「今日が満月で良かったです。新月だったら真っ暗でしたから」

 

 努めて普段通りの語調を続けているが、ルディアの声色はどこかよそよそしく、表情は優れない。

 それが時間稼ぎなのは明白だった。だが、それもすぐに終わる。

 散策の歩調が少しずつ遅くなり、どちらからともなく砂浜に腰を下ろす。

 ぼんやりと波が打ち寄せる海を眺めながら、ルディアがぽつりと呟いた。

 

「……色々、考えてみたんです」

「……うん」

「でも、お金が絡むとやっぱり難しくて。ここまで結構順調に来てたんですけどね」

 

 そう言って、ルディアは困ったように笑った。

 

「……売るつもりなのか?」

 

 質すと、ルディアはばつの悪そうな顔をして、視線を逸らす。やがて観念したかのように首肯した。

 

「……はい」

 

 どうして、と聞くことはしなかった。

 聞くまでもなく、渡航費用のためだろう。

 その杖は、ルディアの誕生日にエリオットが贈ったものだ。それを売ろうというのだから、きっとルディアには後ろめたい気持ちがあるのだろう。

 だが、それについてエリオットに責めるつもりはない。だのに、胸がざわついて仕方がなかった。

 

「密航じゃ、だめだったのか……?」

 

 質して何になるのかと、自問した。その答えはわかっているはずだ。ただ、己が嫌なだけなのだ。

 杖を売られることが嫌なわけではなかった。彼女が売ると、そう決断したのならエリオットに否やはない。

 

「一緒に考えたじゃないか。全部だめだったのかよ」

「はい。だめでした」

 

 ルディアは顔を伏せながらも、しかしきっぱりと言い切った。

 

「正攻法でお金を稼ぐのは時間がかかりすぎます。迷宮に潜るのは論外。密航も、密輸人に頼るのもルイジェルドさんの言うところの悪です」

「……だから、売るのか」

「……それが、一番スマートな方法ですから」

 

 それが最も容易に金を稼げる方法だと、ルディアは断じた。緑鉱銭二〇〇枚などという法外な額を、たかだか魔道具一つを手放すだけで賄えるというのなら、確かに最も容易な手段だと言える。

 法を犯すことが問題だと言うのなら、それがルイジェルドとの間に亀裂をもたらすというのなら、こちらが一定の対価を払うと言うのは、それはそれで合理的だ。

 

「……なんで」

「……」

「なんで、相談してくれなかったんだ」

 

 とどのつまり、エリオットの言いたいことはその一言に尽きた。今までルディアはパーティの和を重んじていた。今回の選択もそれを意識してのものだと理解できる。

 だが、その独断専行こそがパーティ内に亀裂をもたらすものではないのか?

 もし明日、緑鉱銭二〇〇枚が収まった巾着袋を見て、仮にルイジェルドが己のためにしてくれたことだと納得したとして──ルディアとエリオットの間に、蟠りが残らないとでも思ったのだろうか。

 反して、ルディアは杖を売ることを咎められると思っていたのだろう、驚いたように目を見開いた。

 

「……ごめんなさい」

「俺は、そんなに頼りないのか……?」

「ち、違います。ただ、その……杖を売るのが、後ろめたかっただけで」

 

 砂浜を潮風が渺々と吹き抜ける。

 ルディアがもし、エリオットをまだ頼りないと、背を預けるに足らないと思っているのなら、それはエリオットにも非があった。

 あるいは昼に、エリオットがルディアに遅れを取らなければ、また彼女も自分に相談してくれたのではないか。そうと想像をきたせば、決してエリオットは彼女を責められない。

 その上でなおも反論するのなら、それはもはや子供の駄々だ。感情に任せ意見を押し通そうとしているだけだ。

 

「ルディア」

「……はい」

 

 それがひどくみっともないことのように感じて、エリオットは我を押し殺した。

 今の自分に出来ることは、彼女の背中を押してやることだけだ。

 

「杖を、売りに行こう」

「……えっ?」

「売って、その金で渡ろう」

 

 ルディアは信じられないものを見るような目をこちらに向けて──おそるおそる、つぶやいた。

 

「いいんですか……? でも、これはエリオットがくれたもので、」

「いいよ。ルイジェルドには明日一緒に怒られよう」

 

 ルイジェルドは怒るだろうか。気分を害するだろうか。

 自分の行動が正しいものなのかはわからない。

 だが、ルディアが我慢して杖を手放すか、ルイジェルドが主義を曲げるかのどちらかしか選択肢がなかったとして、ルディアが前者を選んだとしたら、エリオットにできることはせめてそれを邪魔しないことぐらいなのではなかろうか。

 

「……すみません。ありがとう、エリオット」

「ああ」

 

 





ルディア
 現実との落差がヤバすぎてヒトガミに会いたくない。

エリオット
 杖は売ってもいいから相談して。

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