ぼっち・ざ・りある   作:ライム酒

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ぼっち・ざ・らじお

 

「う、ウェイウェーイ!うウェルカーム!……あ、みっ、皆さん。こん、こんにちは……こんばんは?おはようございます……あ、おはこんばんにちは!、はいかがでしょうか。うへへへへ」

「いや良くないよ!ぼっちちゃんぜんぜん進まないから、もう勝手に始めちゃうよ!」

「まあまあ、いいじゃないですか、にじか先輩。皆さーんおはこんばんにちはー、結束バンドのギターボーカル、喜多きたです!気軽にきたちゃんって呼んでください!」

「おはこんばんにちは、ベースの山田です」

「山田リョウね!もう、2人とも初回ぐらいちゃんと自己紹介しようよ。はー……おはこんばんにちは!ドラムの伊地知にじかです。私生活では花の女学生やってまーす!じゃあ次ぼっちちゃんだけど、どう、自己紹介できそう?」

「あ、自己紹介……えっと」

「がんばって、ひとりちゃん!」

「ファイトぼっち」

「あ、え……」

「ぼっちちゃーん、ふつーの自己紹介でいいからね?」

「ぼぼぼ、ぼっちです!今度CD出します!買ってください!お願いします!」

「ちがーう!ぼっちちゃんそれ次の台本!」

「あーあ、ぼっちやっちまったな」

「がんばったわね!ひとりちゃん」

「え、あ、すみません……どうしたら、」

「とりあえず担当の楽器と名前とあと趣味とかを、ね」

「は、はい。……後藤ひとりです。ギター弾いてます。あ、あとえーと、す、スイカの種を飛ばすのが得意です。今からやりま――」

「っはい!皆さん、よろしくお願いします。えー、さっきぼっちちゃんが先に紹介しちゃったけど、私たち4人でドラム・ベース・ギター・ギタボの4ピースバンド、結束バンドを組んでまして、なんと今度の12月28日にメジャーデビューのCDを出します!全14曲となってますので、ほんといい曲なので、皆さんぜひ聞いてみてください!」

「強引にまとめたな」

「横いれないの。それと、はい、きたちゃん」

「はい。さらにですね、私たちのデビューに合わせて、なんとっ!私たちの結成秘話をアニメ化しちゃいます!わーぱちぱちぱち」

「ぱちぱちぱち!」「ぱちぱち」「ぱ、ぱちぱちぱち」

「初回放送はなんと来月の10月9日です!おたのしみに!」

「来月……流行ったらどうしよう……うへへへ、ツイッターで1万リツイートされちゃったり、CDも売れちゃって……お、オリコンチャートにのって、も、もももしかしたらビルボードなんかにも……そしたら高校中退、武道館ライブ、全国ドームツアー、大歓声絶叫……そのまま世界ツアーなんかも……うへへへへ、盛り上がってるかーい、アリーナ……おまえがにんげんこくほー……」

「あーあ壊れちゃった」

「しばらく溶けてそうですね。とりあえず続けますか」

「他はグッズもたくさん出す。缶バッジ、レザーバッジ、クリアファイル。あとぼっちの生足タペストリーもおすすめ」

「言いかた!いや、確かにすごいけど」

「白くて綺麗ですよね。私ももうたくさん予約しちゃいました」

「きたちゃん?」

「にじか先輩は予約してないんですか?」

「えー、告知も終わりましたので、改めましてちゃんとラジオの方を始めたいと思います」

「流した」

「流しましたね」

「はいはい、この配信は私たちのギターヒーローであるぼっちちゃんこと後藤ひとりちゃんがメインパーソナリティを務めます、その名も!ぼっち・ざ・らじお!、です」

「結束バンドの最新情報をひとりちゃんが頑張ってお届けするとともに、頑張ってるひとりちゃんをやさしく見守るラジオ番組となっています」

「あれ?そんな番組だったっけ?」

「あと、メールお便りも待ってる。ぼっちが無事最後まで読み終えることができたお便りには番組特製ステッカーをあげたりするかも」

「私欲しいです!」

「えっ?リョウいつの間にそんなの作ったの?」

「今の時代、数千円で簡単に作れたりする」

「数千円って、リョウ普段数百円も持ってないじゃん」

「失礼な。ライブの後には少しぐらいある」

「え、あの……」

「あ、ぼっちちゃん復活した」

「は、はい、すみません。……あ、あの、りょうさん、それ私から借りたやつじゃ」

「え、」

「はいっ!えー、ラジオが終わりましたらちゃんと返させますので!この話しゅうりょー」

「あ、はい」

「じゃあ、ぼっちちゃんも復活したし進行をお任せしようかな」

「む、むむむ無理です。心の準備が、あの、」

「ひとりちゃん、とりあえずこのお便りを読んでみるところから始めてみませんか」

「え、えーと、あ、1号2号さんからです」

『わーパチパチパチパチ!』

「え、えと『メジャーデビューに先立ってラジオ開始おめでとうございます』」

「ありがとうございます!」

「『メジャーデビューの話だけじゃなく、メンバー皆さんのいろいろなお話が聞けることを楽しみにしてますね』」

「いろいろな話かー。結構脱線ばかりしてるような気がするけど、むしろちゃんと告知の方できてたかな?」

「所詮アニメの出来次第。ラジオがいくら面白くても聞きに来る人は少ない」

「ぶっちゃけすぎ!」

「面白いラジオもたくさんあるのにもったいないですよねー」

「そもそもこんな誰が喋ってるのかわかりにくいラジオをここまで聞いてる人なんてほんの僅か。10分切りでみんないなくなってる」

「あーやめやめ。メタ的な話題はカットで。ぼっちちゃん、続きお願い」「作中でメタ発言したのはにじか先輩の方では……」

「あ、はい。『アニメも始まれば、これからどんどん新規ファンが増えていくと思うと嬉しいのですが、私たちだけが知ってる秘密のバンドだったのにーと複雑な気持ちです』」

「う、うん?」

「『動画サイトの人気の曲を聞いただけの人がファンですとか名乗って、今までゼロ距離で観れてたみんなからこれからファンの一人二人としか数えられなくなって、新規ファンからも古参ファンは老害なんだかんだって言われて――」

「ぼっちちゃんストップ!ストップ!」

「2号さん!1号さん!聞こえてますかー?お便りありがとうございまーす!」

「順調に拗らせファンになってる」

「ということで、えーと、『頑張りすぎないようにしてくださいね。応援してます』とのことでした。1号2号さんありがとうございました」

「お、お便りありがとうございます。えへへ。……あっにじかちゃん、そのお便りいただいてもいいですか」

「まさかお便り側が最後まで読ませないとは思わなかった」

「こういうパターンもあるんですね」

「はー。こほん、それでは皆さんからのふつうのお便り、ふつおたをお待ちしていまーす。続いては」

「じゃあひとりちゃん、いくよ、せーの。続いてのコーナーはー」

「よ、『ようきゃ・ざ・らじお』のコーナーぁ……」

「このコーナーはぼっちに陽キャの心得である『わかるわかるおんなじ気持ちさ』を練習してもらうため、リスナーからの陽キャなお便り、略して陽オタをぼっちが読んで共感するコーナーです」

「陽オタって」

「そもそも陽オタなリスナーなんてツチノコ並のレアだから、自然消滅する可能性のあるコーナーです」

「山田ぁ!やっぱり自分の提案したコーナー無くすためにこんな企画出したな!」

「にじか先輩、もしもの時は私がお便りを届けるので大丈夫です!」

「う、うん。でもそれお便りコーナーじゃなくてもいいのでは?」

「じゃあぼっち、まずこれ」

「あ、はい。アルトさんからのお便りです」

「ぱちぱちぱち!」

「『人狼ゲームって簡単に盛り上がるんだけど、早く退場した時に場を持たせるのが辛いんだよねー』、だそうです。あ、人狼ゲームやったことないから……どんなゲームかよく知らないです。すみません」

「あれ?ぼっちちゃん、人狼ゲーム知らないの?オンラインだけど、ちょっと前にアモングアスって流行ったよね」

「にじか先輩、あれってアマンガスって読むんじゃないんですか?」

「読み方には諸説ある」

「へーそうなんですね。そういえばあのキャラってひとりちゃんにちょっと似てますよね」

「あー、なんとなくわかるかも。モンスター化した時はあんな感じかな」

「えーそっちですか?私は溶けちゃった時のひとりちゃんに似てるかなって思いましたけど。デフォルメされててかわいいですよね」

「確かにね。あー、それで話を戻しちゃうけど、ぼっちちゃんはどれくらいルール知ってる?」

「あ、ルールですか。……あれですよね、人狼が村人を襲ってその後吊し上げられちゃう」

「そうそう!それでね、確かに、えーと、アルトさんだっけ?アルトさんの言ってることもわかるなー。あれって最初に襲われちゃった人って何すればいいんだろうね」

「スマホいじる」

「いや、そうなんだけどさ。でも触っちゃうと他の人を盛り下げちゃうじゃん。あっ、そういえば、きたちゃんはどうしてる?」

「私ですか?えーと、私って何故かあんまり最初に襲われたことないっていうか、そういうの経験したことがないんですよね」

「へー、そうなんだ。ふしぎだね」

「いや、それはきっと、ぼっち」

「は、はい。これが隠れた、ヒエラルキー……きたさんを最初に落としちゃいけないっていう見えない同調圧力」

「えっ!そうなの?」

「いやいや、違うから。まったく2人はすぐ暗いこと考える」

「いえ、きっとそうです。……これで、もも、もし、私なんかが最初にきたさんを襲ったりしたら、周りから『こいつなんも分かってねーな』とか言われて……次からは……」

「ぼっちちゃーん、戻ってきてー。だめだ、しばらく帰ってこないや」

「ですねー」

「うーん、次どうしよっか」

「もう終わりでいいんじゃない。疲れた」

「リョウ一言二言しかしゃべってないでしょ」

「でも、用意した企画は全部終わった」

「あっ、ほんとですね。にじか先輩どうします?」

「うーん、じゃあエンディングにしよっか」

「はーい、わかりました!それではエンディングのお時間です」

「いやー初回放送、皆さんいかがでしたでしょうか。これからもね、私たち結束バンドの最新情報と、日常風景をお届けできたらなと思います」

「あとラジオの感想とお便りもお待ちしていますので、ぜひですね、ぼっち真ん中に線ラジオ@温泉.agまでお願いします!」

「ということで、本日のぼっちざらじおはこれにて終了。お届けしたのは結束バンドのドラムにじかと」

「ギターボーカルきたと」

「ベースの山田」

『それと私たちのヒーロー、後藤ひとりちゃんでしたー』

「またねー」

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