「つ、続いてのお便りはきし天Ⅳさんからいただきました」
『パチパチパチパチ』
「『虹夏ちゃんごめんなさい。もう作りません』」
「えっ何が?」
「これ、動画が添付されてる」
「動画ですか?なんでしょう」
「とりあえず見てみよう!」
「あ、はい」
──────
ここは昔ながらの東京の雰囲気が残る、文化的地区『下北』。
壁画が描かれた狭い通りに、古着やレコードを扱うスタイリッシュな店が並ぶ。
アートショーやバンドのライブを楽しめるクラフトカフェやビールパブ、独創的なペストリーや野菜カレーを味わえるベーカリーやビストロも楽しめる。
そんな『下北』の新たな商業的中心地、ミカン下北に1匹の伊地知ニジカが現れた。
「ぬ゛〜゛ん゛」
「ぬ゛〜゛ん゛」
「ぼっちちゃ〜ん」っんが
──────
「待って」
「ぐふ」
「山田、笑うな」
「あ、あの」
「うん、大丈夫だよ。ぼっちちゃん。これが全ての元凶って言うジャンルだよね?知ってる知ってる」
「えーと、よく見るとかわいいですね。この伊地知ニジカちゃん」
「はー、変なフォローいいから。まあでも、こうやってみんなから認知されていくってのも今の時代しょうがないのかなー」
「にじかちゃんすごいですね」
「うん。ごめんね止めちゃって。続きみようか」
──────
「ぼっちちゃ〜ん」っんが
「ぬ゛〜゛ん゛」
「ぬ゛〜゛ん゛」
「ぬ゛〜゛ん゛」
1匹しかいないと思われた伊地知ニジカは、謎の悲鳴に反応し、急速に個体数を増やす。
人通りの多かったミカン下北の通りは、気がつくと伊地知ニジカで溢れてしまう。
「ぬ゛〜゛ん゛」
「ぬ゛ぬ゛〜゛ん゛」
「ぬ゛う゛う゛ん゛」
縦横無尽に駆け回る伊地知ニジカ。
このままミカン下北は、伊地知ニジカによって占領されてしまうのか、と思われたその時、通り奥から喜多郁代が顔を出す。
瞬間、
──────
「えっ私!?」
「あっはっはっ、きたちゃんも登場しちゃったよ」
「今回は被害が自分だけじゃないから喜んでる」
「よ、よかったですね」
「ぼっちもニジカに名前呼ばれてたね」
「は、はい。うへへへ」
「ぼっちちゃん、あれでも嬉しいんだ……」
「じゃ、じゃあ続き再生します」
──────
瞬間、全ての伊地知ニジカは一斉に反応する。
『ぅわぁっ、逃げたキ゛タ゛ー゛!』ぅぅぅひっひぃいい
喜多郁代に迫る伊地知ニジカ。
ミカン下北に大量増殖していた伊地知ニジカが全て集まってくる。
こうして、伊地知ニジカに囲まれた喜多郁代によって、ミカン下北は救われたのだった。
──────
「なるほど、なるほど?」
「こういうのは考えるんじゃない、感じるんだ」
「お、音楽と一緒ですね」
「いや何も感じないよ。ぼっちちゃんもリョウに感化されないで」
「でも、こういうものが作られるほど私たちも人気になったってことですよね!」
「それは……そうだね。うーん、うん。きし天Ⅳさん、ありがとうございましたー」