――最悪の事態、ただでさえそんな状態だったはずなのに、それが一段階…いや、それ以上の事態だ。
…しほ先輩の今の状態。僕の予想だと、これがキャロットの言っていた絶望か?…だとしたら。
「…やってしまった」
――魔法少女の心を安定させる為の『相談役』、駄目人形はそう言っていた。
…魔法少女の精神の汚染による絶望化。それを僕を止められなかった。
――相談役失格だ。
何かしらの方法はある筈だ。何としても『異端』を倒し、しほ先輩を元の姿に戻す。だから一刻も早く――。
「オイテカナイデ」
―――しほ先輩が手に持つ槍を力強く振るう。すると、僕等の今居る部屋が跡形もなく吹き飛んだ。
当然、僕等も。
「…え?」
「全く、煩いったらありゃしないわ。無事?二人共」
「かっ枯羅統さん…!」
「お前…寝てたんじゃないのかよ」
「今のでまた醒めたわ。…何が起きたの?」
「…しほ先輩が暴走した。それで今、先輩の攻撃で吹き飛ばされたんだ」
「あらそう。じゃあ何とかしないといけないわね」
他人事だなぁ…、もう少し焦ってくれよ。
「落とすわよ」
「心読み取るな心を」
てかお前どういう体制で僕等支えてんだよ。理代の肩掴みながら僕の袖掴んで建物の上にいるの明らかに可笑しいだろ。…いやコイツゴーストだから何でもありだわ。
「で、どうする気?『異端』と彼女。両方鎮めなきゃいけないんじゃないの?」
「あっああ…だよな。とは言ってもどうすれば…」
「…歩君。一つ言いたいんだけどさ…」
「…何だ?」
「あの『異端』。ブラウン管テレビの中を行き来してるんじゃ無いかな…さっき消えた時、一つだけテレビの画面が消えてたの。だからあのテレビを壊せば…」
「――『異端』だけは止められる…理代、枯羅統。そっちは二人に頼めるか?」
「え?でっでもしほ先輩は…?」
「…僕が止める」
こうなったのも多分僕の責任だ。僕がもう少し注意してれば…兎に角、しほ先輩を何としてでも止める。それが今の僕に出来ることだ。
「先ずはどう近づくか…」
「…一応、言っておくわ」
「何だよ」
「何でもかんでも自分のせいにしておけば良いってもんじゃ無いわよ」
「…」
「ほら、行きましょ理代」
理代と枯羅統が先に建物から飛び降りた。…僕も、後に続いて飛び降りた。
枯羅統のいった言葉が頭から離れないまま、僕はしほ先輩がさっきまでいた電気屋の近くまで来た。
「…いた」
…明らかに状態が変化してる。さっきまで無かったはずの禍々しいナニカが彼女から溢れ出している。
彼女の動きも、まるでゾンビかのようにゆっくりと、両手をぶら下げたまま、歩いている。
彼女の歩く方向、恐らく理代達のいる場所か…?ならこっちに惹きつけて進行方向を変えるしかない。
「…しほ先輩」
僕は彼女の近くへ歩みを寄せる。…僕は、二人と違って能力らしい能力なんてない。強いて言えば、枯羅統と出会った時、少しばかり身体能力が上がっただけ。それ以外は皆無だ。
正直無謀。鴨がネギ背負ってるようなもんだ。
それでも僕は―――。
「…しほ先輩!」
「…?ダレ?」
大声で彼女の名を叫ぶと、首を僕の方に向けながら傾げる。どうやら僕を認識出来ていないようだ。
「ア…ヤダ…イヤ…オイテカナイデ…!」
「ッ!?うおお!?」
彼女の持つ槍が僕に向かって振り下ろされた。何とか間一髪で避けれたが、これでは近づきにくい。なにしろ…魔法少女の力はアイツ曰く…。
「イマジナリスヴァレッド」
…戦争兵器10個以上らしい。特にこういう感じの必殺技は…。
「どう見ても超えてるだろぉぉぉぉ!?」
彼女の持つやりの形状が変化し、斧のような見た目になった。それを横に振ると周りの建物が半壊し、その瓦礫が降り注ぐ。
「無理だろコレ!?どう考えたって近づけねーよ!?」
こんなのホントに、止めれるのか!?いやある筈だけれども…これじゃあ…。
「モウ…イヤ…!」
「―――?」
「ナンデミンナワタシヲオイテクノ…?サビシイヨ…イカナイデ…!」
…僕の足が止まる。そうだ、止める方法はある。何で気づかなかったんだろう。
この絶望化は魔法少女の精神汚染によって起こる状態。…なら、彼女達のその汚染を鎮めるには必ず方法がある。
例えば…しほ先輩の場合なら…!
「――逃げてちゃだめだよな」
彼女の方に向かって、僕は全速力で走る。彼女の攻撃は止まらない。それでも、僕は向う。
手足に瓦礫がぶつかり、変色する。まだ平気だ。折れてないなら走れる。
彼女の槍での攻撃を避ける。
その際の瓦礫で頭を打つ。
意識はある。
何度も当たり、避け、当たり、避け。
身体中がボロボロになり、頭、手足は流血。正直不味いかもしれない。
…それでも、僕は。
―――だから、お願い理代ちゃん達魔法少女と違って貴方達はまだ引き返せるはず…!だから…!
僕は、もう引き返せないんだ。
例え血だらけになっても、手足を失っても、全て失ったとしても。
僕は―――歩み続けるんだ。
「―――ようや」
ようやく辿り着いた。そう言おうとした瞬間。
彼女の槍がまた斧に変形し、僕に振りかざされ―――。
そのまま右肩に力強く当たったのだった。
一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?
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おー……ええやん
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影薄過ぎない?
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ロリコン
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今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
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ヤンデレに×××されろ