こちらはまだ終わりません。
―――数時間前、歩君達に伝えた通り、私は朝早くから明日奈の家を訪ねてみることにした。
明日奈の母親とは面識があった為、見舞いという形で私は家に入ることにした(何故か焦っていたけど気の所為かしら?)。
彼女の部屋に入ると、可愛らしい年相応のベッドに寝巻き姿でベッドに背中をもたれている明日奈を発見した。
「明日奈、こんな時間にごめんなさいね。調子はどう?」
「えっと……まぁ、まだすこーしボヤけてはいますね。それはそうとななしー先輩、ホントに凄い時間に来ましたね……まだ朝早いですよ?」
「あら、急いで早く来てしまったわ」
流石に午前5時は早すぎたかもしれないわ、母親も戸惑っていたし、明日奈が起きていてくれてよかったわ。
「いや早すぎですって……、で、どうかしたんですか?学校なら、私今日は療養をとれって親に言われたからいけませんよ?」
「いや、それは別に関係ないわ。私が伝えたいのは、私達がこれから行く事件に貴女も協力してくれるかどうかについてよ」
「―――事件?協力?何かまたあったんですか?」
「かくがくしかじかよ」
「……それで通じると思ってます?まぁ、何となく分かりましたよ。私の次はみっくんとゆーゆんかぁ……あゆむんも理代ちゃんも大変だなぁ」
「連日よ、大変どころか労基に訴えられても良い程だわ」
その場合訴える対象はキャロットになるのかしら?でもあれはぬいぐるみみたいなモノだから対応しているかどうかは分からないわね……。
「いやそこまではいきませんって……そうですね、友達の為です、私も、力不足かもしれませんけど、喜んで協力させてもらいます」
「―――!、そう、よかっ「ですが」」
「あゆむん達には……私は行くのを断ったって伝えて下さい」
「えっ……!?そっそれはどうして?」
「……考えたんです。もしゆーゆんかみっくんのどちらが……もしくは両方が偽者だったらこの考えはあんまり役に立たないんですが……」
「その二人って昔から仲がいいんですよね?もしかしたら私達を二人がかりで欺いているかも知れません」
―――そうだ、そうだった。あの時私が二人にあった時、遊がそんな事を言っていた。
二人共私達を欺いている。あり得る事だ。
あの二人はお互いがお互いの事を信頼しきっているし、それにあの二人の固有魔法なら……。
「そうです。みっくんの固有魔法も、ゆーゆんの固有魔法も、私のアレなら感知できないんですよ、だから私は離れた所から着いていきます」
「―――分かったわ、気を付けてね」
「あはっ☆大丈夫です!安心して下さい!」
と、明日奈は指でピースをしながら、キメ顔をでそう言った。
「何かそのネタどっかで聞いたことがあります」
「……そう?私は知らないけど」
「あっいやこっちの話です」
◆□◇○▼◇
「助けに来たよ!あゆむん!皆!」
―――透き通るような声、良くわからない結び方をしている金髪、巨大な剣、人前に出せそうにない衣装。着地と同時に倒れている僕の背中を押しつぶす足。
そう、僕は知っている。ついこの間、彼女と向き合ったのだから。
『木戸川 明日奈』が、僕らを救いに来たのだ。
「……あゆむん、少し余計な説明が入ってるよ?」
「それ言うんだったら僕の背中から離れて……!」
「あっごめん、……さて、これ以上、ゆーゆんに好き勝手させないよ?なんせ私が来たんだから!」
話を変えるな、背骨からガキって音がしてんだよ。
……いやでも、これ以上そんな事で話を長くしてはいけないな、ここは我慢して二人の会話を聞くとしよう(今回は会話が多いなぁ)。
「―――明日奈?、……あぁ成る程な。お前もソイツに救われたって事か?」
「さぁー?どうだかなー☆」
「惚けんなよ、それで?お前が来てそっちは戦力増強ってか?確かにお前ならアタシらのに対応できるかも知れねーけど」
「今は『絶望化』状態にいる。だから、普段のようにはいかないって言いたいんでしょ?」
私もそれを経験したからねっ☆と、明日奈はゆっくりと室星に近づきながら言った。
『絶望化』には確かに魔法少女の固有魔法(僕はあまり理解してない)を強化する事がある。
例として明日奈はあの時、自信の『光速化』の固有魔法のデメリットを打ち消していた。
室星と伊予川の固有魔法を僕は知らないが、彼女達の固有魔法も、今は今まで見たことない程の強化がされているのだろう。
「でもやってみないとわからないでしょ?今のゆーゆんを止めるにはそれしかないんだもん」
「……」
室星はゆっくりと鎌を再度地面に降ろす。
彼女の心境を僕は理解出来てはいないが、少しだけ、彼女から殺意のようなモノを感じた。
「フフッ、殺る気満々じゃーん!ななしー先輩、いきましょ!」
「……時間を稼いで成功だったわね、お陰で思いっきり叩き込めれそうだわ」
しほ先輩と、明日奈。二人はお互いに魔具を室星へと構えながら、段々と戦闘態勢に入る。
でも、大丈夫なのだろうか?僕が言うのも何だが、今の室星は今までと比べてかなり強い気がする。
理代と火出がこの場にはいるが、それでも厳しいと思う。
なら僕も戦闘に参加したほうがいいのではないだろうか?
「……明日奈!僕も一緒に「あゆむんはみっくんの所にいって!」」
……みっくん?みっくん……あぁ、伊予川の事か、一瞬だれなのか分からなかった。
そうだ、今回は一人だけじゃないんだ、伊予川だって、今は『絶望化』に陥っている。
急いで先程までいた所に戻らないと、でもここにいる伊予川は……?
「歩君、私達が数秒だけ時間を稼ぐわ、その内に三玖を抱えてこの場から離れなさい」
「しほ先輩……!?でも―――」
「貴方だから頼めるの、私を……いや、私達を救ってくれた貴方だから出来ることよ」
「そうだよ、あゆむんなら出来る。私もななしー先輩も……それに理代ちゃんもそうだよね?」
「……うん、私もそう思うよ。安心して歩君、ここは私達で何とかするから!」
「全力で行ってこいよ歩!……まぁ、私は正直言って足手まといみたいなモノだから遠くで見てるけどな……」
―――僕だから、出来る事。
『相談役』である僕だから、出来る事―――?
そうだ、僕は『相談役』なんだ、でも何て言葉で片付けようとしてはいけない。
それに、彼女達は僕が思っている以上に強いんだ。それを分かっていない僕は馬鹿だ。
「―――そうだな、行ってくるよ」
「フフッ!頑張れあゆむん!」
僕は元気に、ああ、という返事をし、伊予川の下へと駆け寄る。状況を呑み込めていない彼女は、僕が何度も呼びかけをしても反応しなかった。
大切な友人からあんな事を言われたら、誰だって信じたくない筈だ。
僕は彼女を背負い、急いでこの場から離れる。
背後から激しい戦闘が行われているような音が聞こえる。
僕は皆に託されたんだ。僕は必ず伊予川を救って見せる。
◇▼○□◆▼
なんて調子乗りかけていたら、あの場を離れて数分後、
僕は――――。
「……」
「……嘘だろ?」
僕は、彼女に――――、『絶望化』しているもう一人の『伊予川 三玖』に出会ってしまった。
「……クソッ、逃げ場は無しか」
彼女が荒らしたのか、先程までいた扉だらけの場所は面影が無いぐらいに倒壊していた。
……いやでも、どうする?未だに僕の声に伊予川は反応しないし、彼女を背負ってる状態では戦闘は無理だ。
ここで終わるのか…?
と、僕が観念しようとすると、目の前にいる彼女は、僕に何もせず、ただそこに立ち止まっているばかりであった。
「……なっ何なんだ…?」
「……目さん」
「―――ッ!?しゃっ喋っ……」
「篠目……さん、篠目さ……ん」
目の前にいるもう一人の伊予川は、何度も僕の名前を呼ぶ。
まるで、なにかを伝えたいかのように、僕の名を呼ぶ。
「みつけ……た。篠目さ……ん?」
「―――いっ伊予川……いや、これじゃ区別がつかなくなるな……、病み川!何か伝えたいのか!?」
「ヤミ……?カワ……?、あ……え……だ……さ……で……す」
おい今ダサいって言ったろオイ。点で誤魔化せると思うなよ?
「……」
……え?黙っちゃった?ごっゴメン……僕のネーミングセンスが悪いせいで……。
と、僕があまりにも馬鹿らしいモノローグをしていると、病み川は頭を抱え、何かをブツブツと喋っていた。
様子が可笑しいと僕は思い、少し近づいてみた。
「やっ病み川…?大丈夫か…?」
「―――なさい」
「え?」
「―――ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい、産まれてきてごめんなさい、要領悪くてごめんなさい、気遣えなくてごめんなさい、甘えてごめんなさい、兄さんの邪魔をしてごめんなさい、親を敬えられなくてごめんなさい、―――――存在してごめんなさい」
「やっ病み川…!?」
病み川の様子が明らかに可笑しい。
叫び。
嘆き。
哀しみ。
その全てが今の彼女から溢れているようだった。
その声が辺りに響き渡り、反響し始めた。
彼女声が、先程までとは比べきれないほど大きくなっていった。
「……病み川!落ち着け!」
僕は大急ぎで彼女を止めようとする。
だが、病み川の状態は変わらず、彼女の声は僕の鼓膜を突き破るのではと思うぐらい響き渡っていた。
当然その声が、他の誰かに聞こえていないだなんてことは有り得ない。
響き渡る悲鳴に、釣られやってくる者もいる。
――そう、釣られたのである。
この『世界』に必ずいて、この『世界』に必要な存在。
「莠疲怦陜ソ縺」
――『異端』が、ついに僕らの目の前に現れのだ。
しかし。
「こっ…コイツデカすぎないか……!?」
それは、今までの比にならない位のサイズであり、そんな怪物の腕が、僕らを薙ぎ払うかのように振り下ろされた。
●■▲★◆▼
――まったく、何で毎回毎回同じ事を言わなければいけないの?アンタは本当に役立たずね。
ごめんなさい。
―――何故お前は兄さん達のようにできない?あの二人が満点に比べ、お前は平均点しかとれない。
お前はこの家の恥だな。
ごめんなさい。
―――近寄るな。お前を見るだけで嫌気がする。
ごめんなさい。
―――何でお前なんかが僕らの妹なんだよ。要領も体力もないくせに。
ごめんなさい。
――――お前なんか、家族じゃない。
ごめんなさ「謝んなくてもいいよ」……?
「安心しろよ、もし次お前の家族がお前を馬鹿にしたら、アタシがぶん殴ってやるよ!」
――なんで、貴女はそんなに私に寄り添ってくれるの?
「……何でって、決まってんじゃん」
「アタシら二人共、親友だろ?親友を困らせる奴をアタシは許せねーよ」
……そうなんだ、でも、そんなの危ないよ。今度は貴女が父さん達に目を付けられちゃうよ。
「へーきへーき!見ろよこの鎌!ばーちゃんの鎌なんだ〜こっそり取ってきたんだぜ!」
え?だっ大丈夫なの…?
「んーバレる前に戻せば大丈夫だろ。つーかその貴女ってのやめろよなー、もうアタシら親友何だから、三玖」
……だったらさ。
「ん?」
もし貴女……いや、遊ちゃんが私を守ってくれるなら。
「私も、遊ちゃんを守れる人になりたいな」
◆□○◇□◆
「……へ?」
目の前に現れた『異端』が僕らを振り下ろそうとしたその時、僕の目の前には、一つの大きな盾があった。
そして、その盾の周りを囲むかのように、一つのバリアのようなものが僕達を囲んでいた。
……まさか、伊予川が……?
「そっそのまさか……でっです…!」
「伊予川……!?お前、もう大丈夫なのか……?」
「なっなんとか……!でも、このままじゃこのバリアが破られるのも時間の問題です…!」
再度僕が周囲を見渡すと、伊予川が張ったバリアに段々とヒビが出来ていた。
確かにこのままではこのバリアが破られて、あの『異端』の攻撃をモロに当てられてしまう。
というかあの『異端』、さっきの薙ぎ払いと共に、肩部辺りから放出されるエネルギー弾を連発してくるせいで、薙ぎ払いを防げてもエネルギー弾で耐久力を減らされてしまう。
それに病み川の悲鳴も徐々に耐久を減らしている。
次薙ぎ払いがくれば僕らはもう……。
「とぉぉりゃぁぁぁ!」
「!?」
絶体絶命のピンチの状況で、僕の耳には一つの気合の入った声が聞こえてきた。
そして、その声と共に上空から一本のリボンが現れ、『異端』の手を縛った。
それに続くようにか、突然目の前にカメラが現れ、そのカメラがフラッシュ音を鳴らすと、『異端』の動きが静止した。
「火憐ちゃん!止めれた!止めれたよ!」
「ホント!?やっぱり動きを止めるカメラだったんだ!」
「うん…!でも、何時まで持つか……」
「大丈夫ネ!ウチらがその間にコイツをボコればいいだけの話ネ!」
「そんな上手く行くかな…?」
「だから大丈夫ネ!ウチと宇津木ならあんなの倒せるネ!」
「へ!?わっ私も!?」
……何だか先程までとは違い、緊張感が無さそうな会話が続いている。
それは置いておいて、気付けば僕の周りには四人の少女が立っていた。一人はリボンで『異端』の手を拘束し、もう一人はカメラで『異端』を固定していた。
突然の助っ人に僕は驚いていたが、僕はその少女を知っている。
何故なら僕はその少女達と数分前まで共に行動していたんだから――――。
「助けに来ましたよ!篠目さん!」
「だっ大丈夫ですか…?あれ?伊予川さん…二人いる?」
「かっ鏑木さん…?周防さん…?無事だったの…?」
「うん!無事だよ!それに他の皆も!」
火憐がそう言うと、次々と上空から人が降りてきた。
―――そして、その内一人は僕の知る儚き見た目の霊。
「そんなふざけた紹介いらないから、真面目に枯羅統であったって言いなさいよ」
「えっと…この御方が例の『相談役』さんですか?」
「あら、予想より何だか頼り無さそうな……」
「髪、白い」
「それは今関係ないだろ!……じゃなくて、まさか枯羅統、お前……?」
「アンタの予想通りよ、さっきその二人と出会ってね、丁度私も残りの五人を見つけてきた所でコイツを見つけてね、色々教えて今から初陣って所よ」
「うっ初陣!?」
「かっ枯羅統さん!?そんなの聞いてませんわよ!?」
「言ってないもの、兎に角全員でアイツを叩きのめすわよ」
「こっからは総力戦、貴方達の実力、よく見せてみなさい」
オマケ
桃園 月華(16)
鈴蘭女学園高等部1年生。
若干他の面子より背が高く、胸もデカい。
中等部に妹さんがいるとか。
鏑木 火憐(15)
鈴蘭女学園中等部3年生。
本文を書いている時にこの娘について書くと、何故かマギレコの梨花っぺが作者の頭を過る。
水樹とは中2の頃からの大親友。
周防 水樹(14)
同じく3年生。
逆にこっちはれんちゃんが頭を過る(何で?)自分に自身が無く暗い性格だけど、火憐ちゃんと一緒だと明るい。
趣味は写真撮影。
林原 宇津木(15)
同じく3年生。
ドジで良く大事になることがあるが、中等部組では一番頭が良かったりする。
明日とは中等部の頃からお世話になっているから、一番仲が良い。
遠藤 亜金奈(16)
高等部1年生。
高飛車なお嬢様だが、友達に対しては熱心に接する。
村雨 野土香(15)
中等部3年生。
実は父親が中国人で、彼女はそのハーフ。
因みに父の仕事は秘密。
カンフーが得意。
湯桜 明日(16)
高等部1年生。
不思議ちゃんで、時々謎の行動をする。
無口だが、宇津木とは仲が良い。
一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?
-
おー……ええやん
-
影薄過ぎない?
-
ロリコン
-
今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
-
ヤンデレに×××されろ