「……」
「―――奏ちゃん、やっと見つけた」
「……理代先輩」
町外れの鉄塔。古くからあるこの町のシンボル……だった塔。
私が産まれる前にこの塔より大きい役所がシンボルになったから、今では殆どの人がここの事を覚えていないってお母さんが言ってた。
……幼い頃に三依と一緒に行ったときは、こんなに寂しく感じなかったのに。
「……良くわかりましたね。ここ知名度かなり低いですよ?」
「昔良くここに来てたんだ。妹と一緒にね」
「そうですか……、ねぇ理代先輩、あの兄と中一からの付き合いってホントにホントなんですか?」
「え?……うん、中学生の時に仲良くなったよ」
懐かしいなぁ、あれからもう四年もたったんだ。何だか最近の事に感じる。未だに鮮明に覚えてるよ。
「そうですか……、はぁ、何で教えてくれなかったんだろう?そんなに経ってるなら一度位教えてくれても良かったのに」
「……歩君って、自分の事あまり話さないもんね」
楽しい事があっても伝えてくれない時があるし、悲しい事があっても伝えてくれない。……それで何度も苦労してたの、覚えるから。
嬉しい事悲しい事を伝えてくれないのは私気にしないよ。でも、辛い事があったら辛いってちゃんと伝えてよ。
私には歩君しかいないし、あの時の歩君には私しかいなかったんだから、何かあったら全部伝えてくれても良かったのに。
「どうしたの?」「何かあったの?」って聞いても、「別に何ともない」って笑いながら応える。
……そんな歩君、見てられないよ。
「……理代先輩?」
あんな事があったからか、私一週間も学校に来なかった五月の時にとても心配したんだよ?(一応連絡はしてくれたけど)
……歩君に何かあったら、私はどうすれば……。
「理代せんぱーい?」
「ふぇ!?」
「ふぇ……?何ですかその驚き方?」
しまった……、突然の事で変な叫び声出しちゃった……。
「大丈夫ですか?」
「うっうん平気平気……、あっそう言えば、奏ちゃんは何を相談しようとしてたの?」
「えっ、その話ですか……。一応聞きますけど、お兄ちゃんに言い触らしたりはしませんよね?」
「しないよ。安心して」
「そうですか……、じゃあ話しますね」
――相談しようとしたのは、家族の事だったんです。
私の家は、兄と私の二人しか今はいません。
……え?そんな話初耳ですと?
ホントに自分の事話しませんねあの兄は……。
まぁそれは兎も角、今はとある方が私達の家にお金を振り込んでいるお陰で、私達は暮らせているんです。
……家族は、父が五年前に亡くなって、母も五年前に意識を失った状態なんです。
貧乏って訳ではありませんよ。……だってあの人、一ヶ月に何十万も振り込んで来ますもん。
どっからあの収入きてるんですかね……。
あっ話が逸れてしまいましたね、少し戻します。
ある日から私思ったんです。本当にこのままで良いのかなって……。
だって最近、お兄ちゃんったら入院したりするしで幾ら使ってるんだか……。
……え?あれは私達のせい?そんなに責めないで欲しい?
そうだとしても、もう少し自分を大切にして欲しいです。
何時もはあんなに強く当たってしまいますけど、私にとっては唯一の家族何ですもん。父や母のように、私を置いてって欲しくないです。
……お兄ちゃんのがいなくて寂しかったんじゃなかったって?
そ、そんな訳なっないです!あんなのいなくたって私は……私は。
……ちょっと寂しかったです。
こんな話、兄には言えませんよ。
で、私はこの事を相談しようと思ったんです。
『兄とどう向き合えば良いのか』って。
……まぁ、結局その兄が『相談役』だったんで、言わずに出てっちゃいましたけど。
兄じゃなきゃ喋ってました。
……なーんて、そんな事言っても何も解決しませんよね。
はいそうです。全部言い訳です。
本音を言うと兄に気遣ってほしくなかったんです。
他の人に構ってばっかりで、自分の事放ったらかしなのに、私まで気を遣ったら今度はどうなるか……。
とにかく、私は兄には喋りたくありません。
……誰かがいなくなる事を私が嫌なのは、誰よりも知ってるのに……。
「……とまぁ、こんな感じです。ごめんなさい、長々と喋ってしまって……」
「ううん、大丈夫だよ。気にしてないから」
「そうですか……あっもうこんな時間、そろそろ帰らないと……」
「うん、気を付けてね」
奏ちゃんの話を聞いていたら、何時の間にか夕方になっていた。
歩君は今どうしてるんだろう……?奏ちゃんを探してるのかな?
とりあえず奏ちゃんの話は聞けたし、後は二人の仲をどうすれば良くする事ができるかを考えないと……。
鉄塔を出ると、先程まで見ていた景色とは違う世界が広がっている。
……発展するのは良いことだけど、私はあまりそうは感じないかな。
普段歩君と通る道も、何時かは全部無くなっちゃうのかな。
……いやだな。
「―――あ」
最近はあまり『異端』は見ない。
けど、そのレベルにも満たない『残滓』という個体も存在する。
弱いけど残しておくと大災害に繋がるってキャロットが言ってた。
「……誰も見てないよね」
取り敢えず処理しておこう、そして今日はもう寝よう。
私は路地に向かって走った。
「……紡さん?」
「え?」
突然誰かに話しかけられた。
後ろを振り返ると、声を掛けた主は、私のよく知っている人物だった。
「久し振り、電車以来だね」
「あっ……!」
彼女は、あの時、私にあの電話ボックスの場所を教えてくれた娘だ。
どうしてここに?
学校は今日ない筈だし、さっきまでここは誰もいなかったのに……?
「……その様子だと魔法少女になれたみたいだね、順調?」
「う、うん。仲間も沢山できたし、順調だよ」
「そう……良かった」
「……」
な、何だろう……?若干気まずい……、そう言えば私、彼女の名前まだ聞いてなかったな……。
「あっあの!貴女の名前「でも」……?」
「今は順調かも知れない。けれど、そんな順調も、沢山の仲間も、何もかも、一度のミスで全部壊れかも知れない」
「え……?」
「だから、気を付けた方が良いかもね。この残滓みたいに、小さい事が大きな事にだってなる事があるんだから」
「わっ分かった……」
「じゃ、気を付けてね。最近物騒だから」
「う、うん。じゃあね!」
挨拶を交わすと、彼女は私が通ってきた道の方へと進んでいった。
――あ、名前聞くの忘れてた……。
「……お兄ちゃんに何て言おうかな」
……私こと篠目奏は、今お悩み中。
折角理代先輩に今の気持ちを伝えれたのに……、何でまだモヤモヤが無くならないんだろう。
「そっこのおじょ〜さーん」
「……え?」
俯きながら歩いていると、後ろから声を掛けられた。
慌てて振り返ると、二人の少女がいた。
「どもども〜初めまして〜!私、『御園 神子』!こっちは私の大親友の『吉崎アクター』ちゃん!名前くらいは聞いた事あるでしょ?」
「そんなの昔の話でしョ、私らより年下のがあの頃のを知ってる訳ないシ」
クリーム色の髪をした人と隣の金髪の人が、私を気にせず話を進める。
……あれ?隣の人なんだか…。
「そう?……まぁとにかく、さっきキミの事探してたおねーさんに会ったけどちゃんと出会えた?」
「え?あっ……はい」
「おぉ〜それは良かった良かった〜!」
……隣の金髪の人、何だか違和感を感じる。
まるで私が魔法少女になった時に感じたモノみたい…。
「あっそうだそうだ!おねーさんが探してたって事はさ!貴女も魔法少女なんでしょ?」
「え?あっはいそうですけど……?」
「なら着いてきて!良いモノ見せてあげる!」
「わっちょっ!?」
すると彼女は私の手を掴み、何処かへ連れてこうとする。
……もう、これから家に帰ろうと思ったのに……。
「と〜っても良いのをね……♡」
一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?
-
おー……ええやん
-
影薄過ぎない?
-
ロリコン
-
今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
-
ヤンデレに×××されろ