あれから何時間……いや、そんなには経っていない、多分30分位だ。正確には分からないけれど、その位だろう。
聞きに聞きまくって五十鈴の居場所を探し、ようやく見つけ出すことに成功した。
居場所は、何ともまぁ静かな鉄塔だった。
……いや、ここって東地区の鉄塔じゃん。何時の間にやら西地区から出てたとは……。
「……何よ、どうして追ってきたの?」
「心配だからに決まってるだろ……、にぼしも反省してるみたいだし、もう戻っても良いんじゃねーか?」
「―――そう」
「そうって……」
「ほっといてよ、どうせお節介しに来ただけでしょ?」
「……」
不味いな、今までで一番話しづらいぞ……。こういう時はどうすれば良いんだっけ……?ええい思いつきでも良いから会話を広げよう。『相談役』だって事を忘れてはいけない。
「どうせ口が悪いとかめんどくさいとか考えてるんでしょ? 知ってるわよそんな事」
「思ってね―よ。……ただ探しに来ただけだ」
あー何だろこの感じ。誰かに似てるんだよなぁ、この対応のしにくい感じ……。
……僕じゃん。
正確には、理代と会う前の僕だな。この面倒くささは。
道理で似てると思ってたよ。
「にぼしには後で謝るから、アンタは先に帰ってなさい。道ぐらい把握してるんだから」
「それでも心配なんだよ。二人共あそこで待ってるだろうけど、西地区は魔法少女にとって危険なんだろ?一人で歩いてたら何されるか分からないし……」
「……」
「……念の為聞くけどさ、帰らない理由、それとかはないよ……な?」
「……」
五十鈴の顔が一瞬くしゃりとした。と言うか、涙ぐんでいた。
あぁ……なるほどね?後先構わず走ってたせいで、その事を考えて無かったのか……。一応ここは東地区だろうけど、ここからあの公園まで行くと何されるか分からないからな……。
「……」
五十鈴は涙ぐみながら膝に顔を埋めた。
「――そうよ。その通り、帰れないの。私ね、一度西地区に迷い込んだ時に、そこの魔法少女に襲われたの。その時はとがめに救われたけど、ほんの少しでも遅かったら、私……」
五十鈴の顔から涙が溢れ出す。その時の事を鮮明に思い出しているのだろう。
そんな彼女を見て、僕は今同情を向けるような顔をしているのだろう。
それしか出来ない。と言う訳では無いのだろう。実際見えていないし、本当はそんな顔してないのかも知れない。
ただ、やっぱり感じてしまう。
正確には違う、でも、似てると感じてしまうんだ。
両親がいなくなって、奏と二人きりになり、友達もおらず窓をただ見続けるだけのあの日の事を。
現実から逃避しようとしていたあの日を。
理代と会えなかったら、どうしていたのか分からなかったあの日を。
……こんな事を長々語る必要はないか。僕の過去話なんて誰も興味無いだろう。
でも、このままじゃいけないよなと、僕は五十鈴の隣に座った。
「……五十鈴はさ、何で魔法少女になったんだ?」
「……え? とっ唐突ね」
「少し気になってな」
「……変わりたかったのよ」
「変わりたかった?」
「うん。 ……私、昔から人に迷惑掛けてばかりで、学校でもいじめられてばかりだったの。 ……それで、こんな私じゃ無くて、別の誰かになれたなら、変われるかなって思ったの」
「それで私、最近噂になってる例の電話ボックスに行ってみたの。 ……で、キャロットに会って魔法少女になったワケ」
「……そうか」
「―――ま、なってみて変わったと思うところは一度も無かったけどね。 ……強いて言えば、人付き合いが上手くなった程度。魔法少女になる前にしてた一人称とか言葉遣いは頑張って直したの。 ……まぁ、激昂しちゃうと戻っちゃうんだけどね」
にぼしととがめに会えなかったら、もっと酷くなってかも知れないわね。と、五十鈴は笑いながら言った。
こうやって話を聞いてみると、皆、魔法少女になるまで色々な事があったんだなと再認識した。
だから何だって思われるかもしれないけど、こうやって五十鈴の話を聞いてみて、僕はまたそう思っただけだ。繰り返し申し訳ない。
勿論僕はアイツがやってる事が正しいかどうかと聞かれたら否定するが、こうやって救われた娘もいるとなると、必要な事だったのかも知れない(いや、人死が出てる時点で必要も糞もねぇわ)。
もしかしたら、にぼしやとがめ先輩も、五十鈴に会えて救われたのかも知れないしな。
「……そ。そう言ってくれるとありがたいわ」
あれ、声に出てた? ……まぁ良いか、笑ってくれてるし。
「何かごめんね、こんな私に付き合ってくれて。何だかスッキリしちゃった。何か飲み物でも買って来よっか?」
「え? いや、別に良いよ。何だか悪いし」
「いーのいーの。御礼よ御礼」
五十鈴は立ち上がり、近くの自販機へと向かった。
……まぁ、本人がそう言っているなら、有り難く受け取るか。
……にしても、この鉄塔、本当に古びたな。
側面見たら落書きだらけじゃねぇか。
『マジヤバ☆』とか、『〇〇サンジョ☆』とか描いてあるし(〇〇の部分は擦れ過ぎて分からなかった)。
流石にこう言うのには動いてくれ神代町長……。
「良く見たら貼り紙もあるな……『神代町鍛冶屋オープン! 西地区○×番地に集まれ』? 『会員募集中!ヒメと仙華の特別講義』……? 何だこれ、こんなの今まで貼ってあったっけ?」
こんな分かりにくい位置に貼り紙を貼るなよ……。それより、ヒメと仙華……? 誰だろう?何か聞いたことあるような……。
「……てか、五十鈴遅くないか?」
不安になってきたな……、とりあえず見に行ってみるか。
……あれ、何だろう、この状況。同じようなのをつい最近見た気がする。
奏が見つからない、奏を最後に見たのはこの鉄塔、西地区は危険、鍛冶屋、ヒメ、仙華……。
……仙華?
「おにーさんのお陰だよ!私おにーさんに会えて良かったぁ〜!」
「……?」
脳裏に知らない記憶が過ぎる。誰の記憶か僕には皆目検討も付かない。
――ただ、そんな記憶についてを長々と語るのは、また後にした方が良いのかも知れない。
――僕の視界には、まるで先程まで誰かがいた筈の光景が広がっていたのだから。
転がっている缶、そして、不自然に置かれている紙切れ。
そこには、まるで僕を誘い出すかのような文が書かれていた。
『イマジネーションランドにおいで、そこで良いのを見せてあげる』と、可愛らしく、顔文字付きで書かれていた。
僕は急いでとがめ先輩にこの事を報告しようと、直ぐに携帯に手を取った。
―――すると、それよりも先に、着信が掛かってきた。
『―――もしもし、歩君』
電話の相手は、しほ先輩だった。何時もよりも声のトーンが低い、何かあったのだろうか。
「しほ先輩……! 大変なんです!五十鈴が突然姿を消して……それでイマジネーションランドに……「同じよ」……え?」
「―――こっちも、理代を連れてかれたわ」
「……ん?」
「あ!みんなー!おねーさん起きたよ〜!」
「ん、随分と早かったね」
「そんな手荒な真似はしてないからネ、軽くトンヨ、トン」
「こっちも持ってきたよー、あ、おっは〜おねーさん」
……え、ここは……?
「おねーさん丸腰過ぎだよー、もう少し危機感位持っておいた方が良いんじゃない? 確かにアクターちゃんに会ったら恐怖心が色々勝っちゃうけどさっビギュ!?」
「ン〜?神子〜?何か言ったァ〜?」
「な、ななな何も言ってないです……」
「ププッ、神子の軽口は治らないね、……改めましておねーさん、初めまして、私は『羽衣 仙華』こっちは私の大親友のヒメちゃん」
「『薙 姫』ヒメで良いよ……。それにしても珍しく軽い一人称だね、普段はわたくしとか言ってるくせに」
「ん〜何でだろ、普段は気を付けてるのに。わたくしの直感なのかもにゃ☆」
「……」
「え、えっと……」
私を置き去りに段々会話が進んでいく。私の入る余地なんて無く、誰か一人が言葉を発すると、どんどん事が進んでいく。
……この娘達、いや、神子ちゃんだけは知っている。でも、それ以外の三人は……?
見覚えが無い。こんな派手な格好をしてる娘達、街で見かけたら目に付く筈。
と言うより、この見た目は……!
「ねっねぇ!貴女達は何者!?どうして私をこんな所に―――?」
私は、辺りを見下ろした。さっきまで私がいた場所は、夕焼けに照らされ、辺りに人が充満していた。
けれど、今の景色はどうだろうか、これは、本当にさっきまでいた場所と同じなのだろうか。
「違うだろね……、だってここは私達の縄張りだし」
「そーそー、折角見つけた所なんだもん。ゆっくりした方が良いよ?」
「仙華の言う通り、……ゆっくりしなよ」
―――此処は、現実じゃない。
「先ずはゆっくり、お茶でも飲もうよ」
此処は、『裏世界』だ。
何かペースが下がっているような気がしますが、3月中はバンバン出そうと思います。
文字数少なくなるけど許して♡
一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?
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おー……ええやん
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影薄過ぎない?
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ロリコン
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今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
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ヤンデレに×××されろ