魔法少女の相談役始めました   作:チョコーン

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ネバーランドが遂に歴代話数トップになりました。
まさかここまで長くなるとはね……。


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 物心ついた時から、内気な自分と明るい兄を比べて、何時も枕に顔を埋めていた。

仕方ないさ、あんなの身近にいたら、誰だって嫌になるよ。元から人と話せない私にとっては最悪な存在なんだから。

 

「ふーん、でも、歩は中学の頃友達は理代だけだって、言ってたけど、何かあったの?」

 

「……まぁ、少しトラブルにあって」

 

けれどそれは五年生の夏までの事、兄は学校でとある事をやらかして、一人孤立するようになってしまった。学校にも行かなくなって、毎日毎日、夏休みなんて顔も会わせてない。

 

「トラブル? 何の?」

 

「クラスの女の子が大切に作った作品を目茶苦茶にしたっていきました。……ホントかどうかは分かりませんが」

 

「そんな事があったんだ……でも良く中学校に行けるようになったわね。ほら、中学校って殆ど顔見知りばかりでしょ? 流石に気まずかったんじゃ……?」

 

「それが……、その辺りは私にも分からないんです」

 

意図して兄と同じ学年に会うのは避けてた。兄が家に連れてきた時に私と顔見知りになった人は沢山いる。

私にも石が投げられないように警戒しながら通っていたから、その事を聞き出そうとは思わなかった。

 

結果的に理代さんと知り合えて兄の中学時代は円満で終われたけど、私はどうだろう。

友達はいる。でも、話を聞く限り進路は違うみたい。

初めて気が合う友達ができたけど、四月からまたひとりぼっち。兄は沢山いるのに、私はゼロ。

 

だから、魔法少女になれて私は嬉しかった。最初は怖かったけど、みんなに会えて、何だか気が楽になってきた。

 

……ただ、どうにも気がかりな事が増えたのも事実。

兄が5月のある日を境に、1週間帰ってこなかった。

最初は不安でいっぱいだった。母も父もいなくなって、終いには兄までいなくなれば―――、そんな考えで、頭がいっぱいだった。

 

「……なるほど、良くわかったわ」

 

「ひどい妹ですよね、あんな事考えでおきながら、いざ話そうとすると愚痴しか言わないだなんて……」

 

「奏って、私に似てるのね」

 

「……え?」

 

「私も同じ、一人が嫌だったの。嫌で嫌で現実から逃げたくなった時に、魔法少女になった。それで、にぼしととがめに会えた」

 

「奏だって、魔法少女になってから理代達に会えたんでしょ? だから私達似てるなーって」

 

「……」

 

似てる、確かに似てるかも。

でも、私から見ると、五十鈴先輩も憧れの存在。理代さん達と同じ。

なんとなくで魔法少女になった私には、遠すぎる存在なんだ。

 

「―――奏は何で魔法少女になったの?」

 

「え、なっ何でって――――」

 

「歩に全く同じ事言われたのよ。それで、思い返してみたら、何で私って魔法少女になったんだろーって気持ちも、若干だけど晴れてきたの」

 

「……私は」

 

 

兄が横切る、それが何を意味しているのか、私ならよくわかる筈だ。

『兄と向き合いたい』。確か、そんな願いだった。

願いを伝えた時、キャロットは『ふむ、中々面白い願いだね』と、言っていた。

思い返せば、あの時から兄を『相談役』にしようと考えていたんじゃないだろうか。それを私の願いとして叶えるように。

 

―――兄と向き合えるように。

 

 

「魔法少女になってからは楽しい事も悲しい事もあったわよ。……でも、それは私達が選んだ道、元々私達は願いが叶えば良いだけだったの」

 

「でもね、私魔法少女になれて良かった。本当は、願うだけじゃ叶わないモノが欲しかっただと思うの。……それに、キャロットも言ってたでしょ?」

 

 

 

――――後悔しないね?

 

「―――はい」

 

 

 

 

 

「……で、どうする? あのアクターって人、相当ヤバそうだけど……」

 

「五十鈴さんを私に食べさせた人ですよね? 早くしないとお兄ちゃんが……!」

 

『異端』と一体化してからというもの、身体が自由に動かない。今さっき出したのをもう一度出せるかどうかは分からない。

先ずは私達と『異端』を切り離さないと……!

 

「一先ず、とがめ先輩とにぼしが来てくれたのは大きいわね……本当に」

 

「……一つ気になったんですが、あの人達の姿って絶望化を取り込んで使ってるんですよね? 確かあのビデオで言ってました」

 

「……そういえば言ってたわねってまさか!?」

 

「―――試してみます」

 

方法は分からない、でも、出来る人がいるんだ。

それにあの姿、もし本当に絶望化を取り込んで平気に使っているのなら、全ての魔法少女が使うべき技の筈。

 

それを自分達だけで利用して使うなんて、許せない。

 

 

「ふっにゅぅぅぅぅぅ〜!」

 

身体を力ませる。私の場合、絶望化と共に五十鈴先輩と『異端』を取り込んでしまった。

普通の人よりも危険な方法、少しでも間違えれば五十鈴先輩が消えたり、『異端』に全て持ってかれるかもしれない。

 

「平気よ! 私のことなんか気にしないで!」

 

「でっでも……!」

 

「私がそれくらいで消えると思ってるの? こんなのへっちゃら! 寧ろ何時もより元気!」

 

「そっそうなんですか……」

 

原理は良く分からいけど、元気であるなら大丈夫なのかな……?

……でも、これで心置きなく力を全身に込められる。

少し少し私の中に取り込んでいく、纏い、今までの殻を破くように。

 

「わっ!?」

 

突然、無下限に続く『異端』の闇にヒビが入った、もう少し、もう少しなんだ。今度はお兄ちゃんに守られるだけじゃダメ、一緒に、歩いていける様にしたいんだ――――!

 

 

 

 

 

《バリッ!!》

 

 

 


 

 

「……ハ?」

 

 

「おっと、ナイスタイミング!」

 

「奏ちゃん……五十鈴ちゃん!」

 

―――光が視えた、殻を打ち破り外に出ると、そのまま私達は空中に放り出された。

残った殻は倒れ、そのまま倒れたお兄ちゃんを守るかのように包みこんだ。

 

……やっぱり、貴方も私なんだね。本体が消えて崩れだしているけど、そのまま待ってて、貴方は、貴方の大切な人を守ってね。

 

 

「〜〜〜〜!! フザケンなよ!! 何で私達ノを真似デキてんだ!! あれば安易にデキるモンじゃないのに!!」

 

「え……? あ、ホントだ。何か黒いの纏ってる」

 

「かなりイライラしてるわね、そんなに真似されるのが嫌なの?」

 

「チッ……! オイ姉妹!! ナニしてんの! 早く彼奴等を封じ込め――――」

 

 

「……んみゅ!!」

 

「えっちょっ!? キャア!?」

 

「月ちゃん!? 風がってうわぁ!?」

 

「ナイスにぼし! ほら、私達も続くわよ奏!」

 

「はい!」  

 

にぼし先輩があの二人を風で拘束している隙に、私達は出来るだけ、あのドス黒い色の人と距離を詰める。

顔を見ただけで分かる。自分のしたい事が全部滅茶苦茶になってイライラしてる時の顔だ。

 

―――でも、そういう時って大概、攻撃が荒くなって当たらなくなったりする。

 

 

「オラぁ!!」

 

「っ…!! やっぱり早いだけで正確性がない……!」

 

あの時装甲を1部壊したのも効いている気がする。右肩の損傷のせいで上手くバランスも取れていない……これなら!

 

 

「いける……っテ、思ってんノ?」

 

「えっ……!?」

 

―――突然、私の腹部からとてつもない痛みが走った。

衝撃で瞑ってしまった目を無理矢理開くと、なんと彼女は絶望化を解いていたのだ。

 

 

「コレは私等が独自で生み出したモンなノ。だから発現の仕方だって知ってるし、勿論解除方法も知ってル。ほら、仕方なーく苦戦シーンを演じて上げたんだから、そろそろ終わら―――」

 

「せないわよぉ!!」

 

 

五十鈴先輩がドス黒い人を蹴り飛ばした。

 

「これ以上好き勝手させないわ! 歩と奏、それに理代に迷惑掛けた分、きっちり返してやるわ!!」

 

「はァ? わけわかんないんですケド、主演の顔蹴り飛ばしといて何様?」

 

「五十鈴様よ!!」

 

「そういう意味じゃないんだってノ!! もうさっさと失せ――」

 

「――――ないよっっ!!」

 

「ふゆっ!!」

 

「――――! にぼし、とがめ先輩……!」

 

「……五十鈴、無事? 怪我しなかったか?」

 

「……大丈夫です、迷惑かけてすいません。……助けてくれてあっ……ありがとう」

 

「いいっていいって! さっそろそろお開きにさせよーぜ! 3人揃えば何とやらって言うしね!」

 

「五十鈴ちゃん、……頑張ろ!」

 

「――――うん」

 

五十鈴先輩の顔に笑みが浮かんだ。……私もちょっと笑ってる。

絶対に勝てないかもしれない。そうさっきまで考えていたけど、三人の背を見ていると、そんな事無いんじゃないかって思えてきた。

 

……うん、もう大丈夫。逆転の切札ならある。

彼女の固有魔法は良くわかってないけど、私のなら良く分かってる。

 

「―――クソが、クソが、クソが、クソが! クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソが!!!! もうどうでもいイ! 全員ブチ殺してやル!!」

 

「わっちょっ! キレすぎて理性失ってんじゃない!?」

 

「なっなっ何か光ってるよ!」

 

「これはまず―――「大丈夫です!!」」

 

 

―――これなら、『跳ね返す』事が出来ますから。

 

 

「ぶっ飛ベッッッ!!」

 

「そっちこそ!!」

 

私の固有魔法は『反射』。文字通り、どんな物でも跳ね返す事が出来る……筈。

 

でも、『絶望化』のおかげか、あの人が撃ってきたエネルギー弾位なら、跳ね返せる気がする。

 

「はっ? 何デ……!?」

 

「いっけぇぇー!」

 

 

 

 

 

 

 

「……ッテ、思ったの?」

 

「えっ……!? 弾が……!」

 

空中で弾けた……!? 一体どうなってるの!? ……あの人の固有魔法、さっきからわけわかんないんだけど!!

 

 

「今のは危なかったネ……あと少しでお開きになる所だったけど、そんな隠し玉持ってるんなら、まだまだ楽しめそうな感ジ」

 

「『反射』ってのかナ? それで強化されて跳ね返せた感じなら……、次のはもっと特大のをあげル」

 

「――――!」

 

「ン? どうしたのボォーっとしテ? 怖じ気ついちゃっタ? まぁ仕方ないよネ、こんな格上と戦って勝てそうだったのに、聞いてないんだもんネ、可哀想可哀想、今楽にしてあげル」

 

「奏逃げろ! あれはさっきのよりデカい!」

 

「あいつさっきからキャラ変わり過ぎでしょ!? わけわかんない!」

 

「にっ逃げないと!」

 

「――――」

 

ううん。大丈夫だよ皆、何とかなる。

だって―――――

 

 

「今だよ。お兄ちゃん」

 

 

「ハ? 急に何を―――!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 篠目奏。僕にとって唯一無二の妹。非の打ち所がないと周りに言われがちで、学校でも有名だった。

 

ただ、そんな彼女にも非はあった。思い悩むと一人で勝手に行動してしまうというのが、それだ。

 

「……だって迷惑かけたくないし、本音ぶち撒けたらどう思われるか分からないし……」

 

度々僕にぶつけてくる不満や怒りも、それで出てしまったのかもしれない。あの日から気持ちの整理が出来てないのは知ってたんだ。

それに気付けなかった僕が悪い。

 

「そんな事ないし……! 寧ろ私の方が―――」

 

でも今日、ようやく奏と本音で喋れそうな気がする。

ただ何となく、それだけだ。

 

 

……さてさて、これにて今回の騒動は幕引き。

と、言いたいんだけど、先にしほ先輩達と合流しないとだよな。

 

「そうだね、……お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「その、今までごめん。キツい事ばっか言ってさ」

 

「僕も同じだよ、ごめん。」

 

「……何か私等って似てるね」

 

「そりゃあ兄妹だしな、似てるところはあるよ」

 

「まぁ違うところも多いけどね」

 

皆違って皆良い。でも、補えるところは皆で補っていこう、そう僕は考えてる。

……だから、これからは、兄妹で足りないところは、互いに補おう。

 

「―――うん………あのねお兄ちゃん」

 

 

奏の顔が赤くなり、深く呼吸をする。そして、改めて顔を上げ、目が惹かれるような可愛らしい顔で、こう伝えた。

 

 

「大好――「やってくれたネ」」

 

「「!?」」

 

 

……嘘だろ? 終わりそうな雰囲気だったじゃん……、まだ動けんのかよアイツ……!?

 

「久しぶりに悔しいと思ったヨ。ナルホド、どうやらアンタ等も凡人じゃ無いみたいネ、見直してあげル」

 

「……もうボロボロだろ? これ以上戦うなんて―――」

 

「ううン戦わなイ、お墨付きをあげるって言いたかっただけなんですケド、こっちもそっちももう魔力が尽きてるって事が分からないワケ?」

 

先程まで荒れに荒れていたアクターだったが、それが嘘の様に、今は余裕そうに僕らを見つめる。

彼女の凡人天才理論は良く分からないが、つまりは目を付けるって事なのだろうか。

 

「まぁ私の仕事はもう終わったかラ、もう帰って良いヨ。何なら全部予定調和だったシ」

 

アクターの話が続く度に、奏が僕の袖を掴む。

五十鈴達も、狙いをズラさず、アクターが何かしようなら、直ぐにでも始末する気でいるのだろう。

 

 

―――そうでもしないと、コイツは何をしでかすか分からない。

 

「ねぇ早く帰ってヨ、私もやりたい事があるんだかラ」

 

「……言われなくても帰ってやるよ」 

 

「あっソ、じゃあバイバイ」

 

……僕は痛む体を無理矢理起こし、アクターから離れようとする。

早くしよう、気味が悪い。

奏も既に限界だ、それにまだしほ先輩達が戦ってるかもしれない。

とにかく今は―――――

 

 

「まぁ、帰ってもいいケド、最後に私のやりたい事に協力してヨネ、安心しテ? 直ぐに終わるから」

 

「……何だ?」

 

「私以外と芸術派なんだよネ、主演映画でも最後のオチがしっかりしてないと納得いかないノ、だから最後にこれだけはやらせテ」

 

「誰が協力してやると思ってんのよ! そんなのこっちから願い下げだわ!」

 

「何するか分かんない以上は無理だな、もうアタシ等はアンタがどういうヤツかってのが分かってんだから」

 

「ふにゅ……!」 

 

 

第一印象は大事、……実際アクターは会って直ぐ凡人扱いしてきたしな……。

 

「……フフ、まぁ良いヨ。了承なんていらなイ、こっからは完全アドリブ。正直生かすとか生かさないとか面倒くさいシ、どうせアイツ等は神子達だけで済むカラ、私は私なりに好きな事をやればいイ、組織に入ったのもそれが理由だからネ。だから私に勝利した記念に勝者に相応しいエンディングを見せてあげル」

 

 

「は? ………!?」

 

おい、まさかそういう事じゃないだろうな? 意地汚いってレベルじゃねぇぞ!?  

とにかく早く逃げないと全員無事じゃ済まない。最悪死ぬ! 

チクショウ! ホントに気が狂ってるとは思わなかった。

多分間に合わない、だから何としても、奏でだけは無事に―――!

 

 

 

「エンドロールへ、ご招待」

 

 

()()()() 

 




爆発オチなんてサイテー!

一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?

  • おー……ええやん
  • 影薄過ぎない?
  • ロリコン
  • 今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
  • ヤンデレに×××されろ
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