魔法少女の相談役始めました   作:チョコーン

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最終話突入!
この一ヶ月で必ず終わらせてやりますよククク……


ウィッチ ザ ヘイト1

 生まれてこの方自分が嫌い。 

誰にも理解されたくない、誰にも慰められてほしくない。

馬鹿なことばかり考えて生きてみた。

 

けれどホントは、誰かに解って欲しかっただけ。

 

生まれてこの方普通が嫌い。

寝て起きて喋って食べてまた寝ての繰り返し。何も変わらない。何も起こらない。ツマンナイの繰り返し。

 

それでもキミは、楽しそうだった。

 

生まれてこの方他人(家族)が嫌い。

何をしても罵られる。何をしても褒められる。全部が全部、雑音に聞こえる。

 

それでもキミだけは、大好きだった。

 

生まれてこの方一人が嫌い。

どんなに頑張っても皆消えていく。最後はいつも自分一人。

 

だから貴方だけはそばにいてほしい。

 

 

 

生まれてこの方私は――――――。

 

 

 


 

 あれから二日が経った。昨日の時点で傷も治って動ける状態にはなっていたが、大事を取るようとがめ先輩と奏に念を押されたので、昨日は一日寝たきりだった。

 

……という訳ではなく、流石に午後は外に出た。

学校に行くという訳ではなく、単純にしほ先輩の様子を確認したかったからだ。

 

片腕を失ったと聞いていてもたってもいられなくなったのだ。

外に出ようとした所、奏が普段あまり見ないような悲しい顔をしてたが、何とか説得して出る事に成功した。(因みに僕同様、奏も今日は休む事になった)

 

……正直、奏の本音を聞けたのはとても嬉しかった。それと同時にその本音に気付けなかった自分が嫌になった。

 

コテージに行く際に学校前を通る為、出来る限り知り合いに会わないように移動しているが、まぁそこまで知り合いは少ないから、そこまで忍ばなくてもよかったなと思ってると。

 

「――――歩君」

 

声をかけられ振り向くと、そこには理代がいた。

 

「……えっと、どこに行くの? もう動いても大丈夫なの?」

 

「あっえっとな……実はしほ先輩の様子が気になって「歩〜!!」」

 

……また聞き覚えのある声がした。振り向くとそこには「あ゛ゆ゛む゛〜〜!!」と言うダミ声と共に僕にダイブするメル子がいグボァ。

 

「〜〜〜!! もうっ!ホントじんぱい゛じだんだがら!! 無事でよがっだ!!」

 

「わっ分かった分かったからメル子首締まる首締まってる首締りかけてる!!」

 

無事で良かったじゃねぇよお前のせいで無事じゃ無くなりかけてるわ。

 

「おい落ち着けってメル子! このままじゃホントに死ぬぞ!」

 

「あっ! コイツ爪立ててるぞ! 思いっきり肩に食い込んでる!」

 

ふざけんなよオイ、ここ最近のシリアスムード台無しじゃねぇか。まさかたった数行で終了するとは思わなかったわ。

あと早くその爪を抜け! あっいややっぱ抜かないで今抜いたら肩から吹き出しちゃうから。何がとは言わないけど。

 

 

 

「ひぐっ……! えぐっ……!」

 

「やっと収まったか……で、お前もう外歩いて平気なのかよ」

 

「まっまぁな、この通りもうピンピンしてるから、しほ先輩のお見舞いにでも行こうかなーって……」

 

「まったく……全然変わらないな歩は」

 

「変わらないって何だよ、ここ一ヶ月ちょいで僕の人間像は結構変わってると思うぞ」

 

「そういう事じゃなくてだな……」  

 

と、火出達と話していると、理代が僕の手を握った。

 

「……しほ先輩のお見舞い行くんでしょ? 私も行くよ」

 

「え? でも……」

 

僕の手を握る理代の手は、僕を離す気なんか無いとばかりに強くなっていく。 

握る力が強すぎたのか、段々痛くなってくる。

 

「私、昨日しほ先輩に追い返されちゃったの。「もう此処には来ないで」って……まるで昔のしほ先輩みたいだったの」

 

だから、もう一度話し合いたい。理代は俯きながらそう言った。

……参ったな、相当気に病んでるみたいだ。

理代が言うには昔の知り合いが組織に加入していたらしいし、それと明日奈達が連れ去られた事を責めてるのか……。

 

「……分かった。一緒に行こう」

 

理代は小さく頷いた。

 

「じゃあ俺らはコイツ慰めてるな」

 

「ほらもう泣くんじゃない。もう十五だろ?」

 

「昨日十六になった……」

 

「誤差だ誤差」

 

……とまぁ、そんなこんなあれやこれやで(もう何も触れないことにしよう)、僕と理代は、しほ先輩の所に行くことにした。

 

 

「……歩」

 

「ん? 何だよ時之」

 

「あんまり一人で抱え込むなよ。……一応、俺らも相談役の一人なんだからさ」

 

「ほうれんそう位はしっかりしておけ、もう枯羅統の時みたいな事はゴメンだ」

 

「―――分かったよ」

 

 

 

 


 

コテージに向かう道中に特に会話は無く、それどころか早足になる理代に追いつくのが精一杯になって喋る気も無くなった。理代としほ先輩は関わりが長い(とは言っても二・三ヶ月程だが)、僕の知らない一面くらい知ってるだろう。

……無論、しほ先輩の方も。正直四月までの彼女と五月頃の魔法少女になった頃の彼女を比べるとえらく変わったものだ。人に意見を言えるようになったのは大きい成長だろう。 

 

前までは僕以外には話しかけても押し切られてばかりで何も言えない事が多かった。そんな僕も遠くからそれを眺めてるだけだったから、触れないことにする。

 

 

それとしほ先輩の件だが、あの人と面と向かって話すのは久しぶりな気がする。

と言うか、ここ最近話そうにもはなせない状況が続いていたから、そうなるのも無理はないだろう。

 

「着いたよ」

 

そうこうしてる内にコテージに着いた。ここに来るのは以外にも二度目なんだよな……。前に来た時は入り口から感じる殺気にビビりまくってたしな。あの頃が懐かしい。

 

「しほ先輩、来ましたよ」

 

理代がインターホンに向かってそう告げる。

……が、返事は返ってこなかった。

 

「あれ……? いつもは直ぐに反応してくるのに、しほせんぱーい!」

 

「何かあったんじゃないか?」

 

 

おかしいなと、首を傾げる理代。その後も何度か呼びかけてみたが反応無し、仕方なくドアに手をかけると、ガチャリと言う音がなった。

この言葉から言う通り、『いない』訳ではない。いる筈なんだ。

 

「何で鍵が……!? しほ先輩!」

 

「あっおい理代! 待てって……」

 

急いでコテージ内に入っていく理代を追いかけたが、案外直ぐに追いついた。と言うにも、理代が途中で足を止めたからだ。

どうしたのかと理代に声を掛けようとすると、リビング内にあるソファに誰かが座っていたのだ。

簡単に言うと、先客がいた。

 

「ふぅ、ようやく着いたんだね。さっきからインターホンの音でうるさかったのなんの」

 

「……なっ何でここにいるんですか」

 

「何でって……ここはしほちゃんの私有地(?)でしょ、つまり私のでもあるの。しほちゃんの大事なモノは私にとっても大事なモノだからね」 

 

「勝手な事言わないでください……!」

 

理代の声が次第に荒くなっていく。ソファに座る女性の方は、そんな理代の様子を見て、次第に笑みを浮かべていった。

……で、この人誰だ。困ったなここに来てホントに知らない人が来ちゃったよ。まだあのアクター(やべぇ女)ってのが来てくれた方がまだ話広げれたぞ。

まさかこの期に及んで謎の女性が来るとは思わなんだ。

 

「んーそういえばそっちの男の子とは初めましてだね。見たところ……アクターや神子が言ってた『相談役』さんかな?」

 

「あっ歩君に近づかないでください!」

 

「へぇ、歩君って言うんだぁ……どうも歩君、私は『文月ミツル』。しほちゃんの大大だーい親友だよ。」

 

文月ミツル、しほ先輩の親友。

その言葉が彼女の口から飛び出した途端、僕の脳はオーバーヒートしかけた。

だって、彼女口からはそんな話一言も――――

 

「しほちゃんと仲良くしてくれてたんだよね? ありがと、しほちゃんあぁ見えてもさびしんぼだからさ、話し相手がいないと直ぐ泣いちゃうんだよ。それがしほちゃんの良いところ! ってそんな話して無かったね〜ごめんごめん!」

 

謎の女性……いや、文月ミツルは、聞いてもいないのにしほ先輩の話をしだし、僕達に近づいた。

それを、理代が手で止めた。

 

 

「……帰ってください」

 

「?」

 

「帰ってくださいって言ってるんです……! 私達を襲ってしほ先輩の腕を切って……そんな事をしでかしておいて、そのまま居させる訳無いじゃないですか!」

 

「む、あれは私じゃなくてヒメがやったの! ホントあの娘ったら最悪……合理的だとか敵を無力化するためだとか、言っておいて、ホントはただ気に食わなかったからだけでしょ……あーあ、やっぱりゲームや読書ばっかりしてる奴とは合わないったらもう……」

 

「あっアンタが」

 

「ん、どうしたの歩君。そんな疑いの目を向けて」

 

しほ先輩の親友、彼女はそう名乗った。けど、今の理代の怒り具合から、彼女は『X-MASC』の一人だって分かると、どうにも理解できなくなった。

 

しほ先輩の親友なら、どうして彼女の側にいてあげられなかったんだ?

そう彼女に質問すると、

 

「――――なんだ、そんな事?」

 

と、淡々と答えた。

 

「側にね、うん、いてあげたかったよ。でもね、できないの。だってしほちゃんは自分から離れちゃったんだもん。だからこの間まで一日も会えてないの」

 

「……は?」

 

「私ね、小学生の頃にひとりぼっちでいじめられてたしほちゃんの事が気になってね。声をかけてみたの。そしたら次第に好きになっちゃって、私の日常にはしほちゃんが欠かせないものとなったのです」

 

「この気持ちがもっともーっと続くんだと思ってたのになぁ、中学生になったら突然いなくなっちゃっただもん。悲しかったなぁ」

 

「……何で」

 

「私はこの悲しい気持ちをこの五年間ずっと持ち続けながら魔法少女として生きてきたの、しほちゃんの事を神子から聞いたときはどれほど驚いたか分からないでしょ? いや、分からなくて良いよ、だって私の事を一番分かってる筈のしほちゃんだって分からなかったし、私のこの心情は誰にも理解できない無限の―――」

 

「何でそれで! しほ先輩を襲ったんですか!!」

 

理代の声がコテージ内に響き渡る。先程まで渦巻いていた嫌悪感や不気味な雰囲気は、その声で一瞬で掻き消された。

理代はその時思った事を言っただけ、ただそれは目の前にいる彼女や僕にさえもない。しほ先輩の事を思っての言葉。

 

―――彼女が過去(ひとりぼっちの彼女)を知ってるなら、理代は(友である彼女)を知ってる。

 

今を切り捨てた彼女には、到底理解できないだろうと、心の中で僕は思った。

ただ、それは僕にも当てはまる。

 

だって、理代の言った言葉を僕が口に出すことなんて、できる訳ない。

 

「……ふ、ふぅん。それだけ?」

 

「そうですよ、それだけです。だから帰ってください」

 

「やれやれ、仕方ないね。しほちゃんが帰ってくる気配も無いし、君のお怒りも限界を迎えてるみたいだしね」

 

「……今回しほ先輩にやった事、もしそれが不慮の事態であったなら、事情次第では許そうと思ってました」

 

「けど」

 

 

今度またしほ先輩や歩君に手を出すなら、私もそれ相応のけじめをさせてもらいますから

 

理代の気迫はしだいに強くなり、遂に文月ミツルは、後退りし始めた。

 

「……肝に免じておくよ。バイバイ二人共、今度は言葉じゃなくて拳でね」

 

 

まだ粘るかと思っていたが、かなりあっさり彼女は帰っていった。結局何がしたかったのか分からなかったから、彼女について考えるのはやめにしよう。(多分、理代に対する当て付け目的かしほ先輩へ個人的な理由で来たのかもしれない)

 

とは言ったものの、これからどうしようか……空気とんでもなく悪くなっちゃったよ……。仕方ない、ソファにでも座ってしほ先輩を待つか、いずれくるだろいずれ。

 

「……」

 

ふと理代の方を見る。分かりやすく俯いてた。相当頭にきたんだろうな、理代がこうなってるの初めて見た気がする。

とはいえとんでもなく気まずいな……しほ先輩早く来ないかな……。

 

「……理代」

 

でも、ずっと理代をこの状態にしておくのも何かな……。

 

「理代、僕は……「私の所為なのかな」」

 

「……」

 

「全部全部私の所為かな。しほ先輩も明日奈ちゃん達も……私があの時拐われなきゃあんな事にもならなかったのに」

 

「あの時枯羅統さんに止められたけど、あの時私が仕留めておけば今頃皆……みんなを今直ぐにでも救えたかもしれないのに」

 

理代はひっそりと、ゆっくりと、自分を責め続けた。次第に涙が出始め、声も……出なくなっていった。

……馬鹿野郎、なんでお前はこんな時まで見てるだけなんだよ。決めただろ、魔法少女の『相談役』になるって、言ったじゃないか。

 

―――人は誰しも困難にぶつかる事がある。

 

ただそこで傍観してるだけで、助けを求める声を聞こえないふりしてるだけじゃ、何にもなれないって、

 

―――でもいつかはそれを乗り越えられる。人はそれで一人前になれるんだ。

 

誰かに言われた訳じゃなく、自分から歩みだしたこの道を、

 

―――けれど、そうそう越えれるもんじゃないよ。一度陥った絶望を治すのはかなり難しいからね。

 

あの日、(枯羅統)を自分で握った日を、

 

―――相談役はただの肩書だけの存在じゃない。これだけは理解しなよ。

 

 

 

「手を差し伸べるってのは時に希望にもなるからね」

 

 

正直あの時は何言ってんだコイツ位にしか思わなかったけど、今になってはっきり分かった気がする。

まぁ、一先ず感謝するよ嘘吐き人形(キャロット)

 

「……理代!」

 

「―――?」

 

「えっと、その……さっき理代の言ったこと、僕は違うと思う」

 

「え?」

 

「理代の所為なんかじゃない、悪いのは彼奴等だ。それに、それを言うなら僕だって、着いて早々に別の所に飛ばされてたからな」

 

「でっでも……!」

 

「でもも何でもねーよ、理代は理代にしか出来ないことをやりきったんだ。負けたっていいさ、生きてりゃ必ずチャンスはあるんだからさ」

 

「それでも、私の所為で皆が連れ去られたんだよ……!? だから」

 

「だったら取り返せばいいだろ」

 

「……え?」

 

「助けたいんだろ? 理代も」

 

「……」

 

「安心しろ、理代が皆を助けるなら、僕もお前を助けてやるよ」

 

「――歩君」

 

「言ったろ? 何かあったら必ず助けてやるって」

 

「だから、今は思いっ切り泣いとけ」

 

「……!」

 

いつ頃だっただろうか、この言葉を理代に掛けたのは。なんか懐かしい気分になった。

そう思い出にふけていると、理代の目から涙が溢れだしていた。

今まで我慢した分が一気に来たのだろう。……と言うか、理代が泣いたところ見るの初めてだな。

 

「ほら」

 

でも、見るのはこれで最後にしたいな。 

 

「……歩君」

 

「大丈夫だって。今はとことん泣いて良いんだからさ」

 

「歩君……! 私……! わたし……!」

 

「大丈夫だ。僕らならやれる。皆を助けようぜ」

 

「うん……!!」

 


 

「……」

 

――何でそれで! しほ先輩を襲ったんですか!!

 

「……ふん」

 

だから何さ、貴女には関係ないもん。

これは私個人の問題なんだから、貴女は干渉してこないでよ。

しほちゃんの事先輩って呼んで……あぁもう思い出すだけでイライラしてきた……!

肝心のしほちゃんとは会えないし今日は最悪……もう帰って不貞寝しよ。

 

「あれー? ミツル先輩じゃーん!」

 

「……ん、神子にアクター?」

 

「珍しいね〜先輩がこんなとこ彷徨ってるなんて、らしくないじゃーん!」

 

『普段あれだけ東はごちゃごちゃして嫌いとか言ってるのに』

『やっぱ口だけなの?』

 

「……そーゆーのじゃ無いっての」

 

参ったなぁ、一番目に面倒くさいのと四番目に面倒くさいのが来た。

上手いこと言って帰るってのも良いけど、この娘ら、冗談を冗談で返してくるから苦手、やっぱ私と合うのはしほちゃんだけだ。

 

「用がないならもう行くよ。今すっごくイライラしてんだから」

 

「あー待ってよぉ〜行く前に伝えたい事があるんだってー」

 

「……何?」

 

『ヒメと仙華が例の娘達をどうするか決めたって』

『で、多数決でこの間の娘達に襲わせるで決定』

 

「そそっ! で、その為の作戦会議を今からしないかって」

 

「……ふぅん、面白いね。丁度私もその娘達にイライラしてた所だからさ」

 

「わぁお意外」

 

『本性漏れ漏れね』

 

「仕方ないじゃん、これが私なんだから」

 

貴女がその気ならこっちもその気でいくから。

最後に勝つのはこっち(x-masc)なんだから。

一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?

  • おー……ええやん
  • 影薄過ぎない?
  • ロリコン
  • 今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
  • ヤンデレに×××されろ
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