マインドハート。それは、少女達が魔法少女になるために必要になる、小さなハートの結晶。
それに念……もとい、魔力を込める事で、魔法少女としての力を発揮できる。
前に理代にじっくり見せてもらったが、思ったよりも軽く、小さな結晶だった。落としたり無くしたりでもしたら大変な事になるだろうなと、あの場では考えていたが、今の話が本当だとしたら、冗談では済まされない。
僕が軽々しく触れていた物が、人が生きる為に必要な器官だっただなんて。
「……ビデオの視聴を止めるかい?」
「……!」
「何か思う事でもあるのだろう? 暫く休んでからまた再開した方が身の為かもしれないよ。洗脳も、どうやらキミには効かないという事が分かってきたからね」
と、ビデオの再生を止めようとするヒメの手を、僕は遮った。
「……続けろ」
「? ……良いのかい?」
「ここまで来て、止めるなんて出来っかよ」
「そう」
ビデオの内容は変わらずマインドハートについての話を続けている。しかし、どうも何かをはぐらかしている様にも見えてきた。
必要としている情報が一切出てこない。そしてそのままビデオは終了した。
「……これで、終わりか?」
「まあね。……そんな目で見ないでくれないかな。これはあくまで勧誘用のビデオなんだ。詳しい話はその後」
「なんというか……いや、なんも言えねえや」
ただただ羽衣仙華がわめき散らかしていたという事しか印象がない。というか、後に回すとか言っておきながら、結局一度もその話題に移んないのはどうなんだよ。
「まぁその辺りは脳に刷り込む想定で作っていたからね。……あとは、仙華のアドリブ」
「変な人形出してきた時は正気を疑ったよね~」
「何でよもー! ナリキリくんカワイイでしょー!」
横の方で少女達が騒いでいるが、正直あのビデオを見てから頭が少しズキズキとするからあまり大きな声だしてほしくないんだよな……。
「でもさーこれからどうするにゃ? 結局洗脳が聞いてないってなるともう解剖しか――――」
「それは少し待ってほしいかなあ、僕としては彼を君達のおもちゃにされると困るんだよ」
そうそう、僕もそんなの望んでない。ありがとな、キャロット。
……キャロット?
「や♪ 元気そうじゃなくて安心したよ、歩君」
「……お、おま、おまおまおまおま……!」
「おま?」
「お前何でここにいるんだよ!?」
「あぁなんだそれだけ、溜めた割には淡泊だね」
それだけだわ!! てかそれしか言えねぇよ!!
「……キミを呼んだつもりはないけれど」
「呼ばれなくても現れるのが僕だからね」
素知らぬ顔で堂々と居座るキャロットに、X-MASCの連中は揃いも揃って怪訝そうな顔をしている(ゴミを見る目ってこんな感じ何だな……)。
「君達さぁ……流石にこればかりは困るよ、彼は只の一般人。僕等は君達を犯罪者にする為に魔法少女にした訳じゃなんだよ?」
一般人じゃ無くても犯罪だわクソが。……って、一般人?
……あぁそっか薄っすらとだけど昨日そんな会話が聞こえたな。この数日あんなに頑張ったのになぁ。(思い返せば半分位は理代と枯羅統のおかげじゃなっかたかな)
「……一般人ねぇ」
「そんな"Rubbish"を見る目で見ないで欲しいんですケド、そっちもさっきまで“common”って言ってた癖二」
「そういう意味でのじゃ無いと思うけどなー」
あまりにも会話が成り立たないからか、キャロットが僕の方を見て苦笑いをした。
お前の管轄だろお前の、こっちにはお前の言った通り一般人様だぞ。
「……まぁ君が何と言おうとも、こっちは彼の秘密を知った以上解放する事は出来かねないね。寧ろ解放する義理が無い」
「解放するって事はあのおねーさん……紡理代に引き渡せって事でしょ? じゃあ無理だにゃー」
「あらら、こりゃどうしようか」
「どうしようかじゃねぇよ! お前結局何しに来たんだよ!!!」
話が進まないんだよ!! お前の口から本題に移ってくれないと永遠に話が進まないんだよ!!!
「……はぁ分かったよ。まあ率直に話しちゃうと、『紫の異端』の発生頻度が増えている事かな」
「……紫が?」
「そう。どうやら以前にも増して活発になってるみたいで、連日のニュースで話題になってる事件も大方彼らの所為だろうね」
「んー……紫は私達も幹部クラスの子達と対処してるけど、確かに増えた気がするにゃー。一人倒すのも面倒なのに困るなぁ」
「そう言わないでよ、実際この東地区で紫クラスに対応出来るのは君達位なんだから」
……『紫の異端』。殆ど覚えていないが、アイツ等は僕達と同じ人間の見た目をしていた。今までだって人型の『異端』は何体かいた。でも、堂々と人間の姿をしてるとは……。
「……西の『女帝』に南の『鬼姫』、北の『三槍』それに中央の『爆皇』と比べたら、ここは戦力としても弱いからね。別に七星しほや照橋とがめが弱いって訳じゃないよ? けど彼女達は人と同じ姿の化け物を見て、刃を向けられるかって話だよ」
「……そんな事「そんな事ありませんよ」」
僕がキャロットの言葉に反論しようとした時、文月ミツルがそれを遮った。
「しほちゃんが弱い? そんな事をありません。しほちゃんが相当実力あるのは私知ってるんですよ? それなのに貴方は遠回しにバカにする様な発言をして何が楽しいのですか? 良いですか? しほちゃんは他の魔法少女と違い年期が違うんですよ。他が一年かそれそれにさえも満たない中6年以上という実歴があるんですよ? そんなに彼女に紫如きが負ける筈がありません。もしなったとしたら周りの魔法少女が邪魔をしたか他の有象無象の『異端』によって体力を消耗させられたからに決まってます。貴方はマスコット何ですよね? それなのに魔法少女の実力を信頼しないのはマスコットとしてどうなんですか? 半分は貴方の匙加減で判断しているだけなのでは? 元々貴方達の事は信頼していませんでしたがそろそろ私も他の皆と同じ様に貴方を見限る準備をした方が良いかもしれませんね。これでも私は耐えた方なんですよ? ですが願ったこととは真反対の事が起きたり、しほちゃんについての事を碌に教えなかったりそれに……」
「あー……始まっちゃった。ミツル先輩のガチギレ敬語タイム」
「こうなった止められないからそっちはそっちで話してくれないかな」
「え嘘ちょっとまって「ま だ 話 は 終 わ っ て ま せ ん よ ?」」
「……良いの?」
「……別に良いよ。私達も同じ事経験したし」
キャロットすげぇ顔してたぞさっき。
「……それで、結局どうする気なんだ?」
「……さあ、どうしたものか」
「お前らが分からなかったらどうすんだよ……!」
「ふむ……私は洗脳、仙華は解剖、神子は特に考えてないし、アクターは恐らくスタジオセット化……どれも碌でも無いね」
「いや神子ので良いだろ……!」
あっさりと決めればいいのに、ヒメは考え込むのを中々辞めず、ただただ何の会話をしているのか分からない状況へと陥ってしまった。
誰か意見を言ってくれないのか、言ってくれれば丸く収まるかもしれないと思っていると。
「……じゃあ第5の選択肢だ『“
「えっ……!? わっ私……?」
ヒメは先程僕が助けを乞いた少女を指名した。
「……い、良いの? 私、役持ちどころかカスですら無いのに……」
「この場にいるんだから別に関係無いよ、さぁ意見を頂戴」
「え、えっと……その……」
自分は関係ないと思っていたのだろうか、影良と呼ばれた少女は口をどもらせながら向けられた問への答えを必死に考えている。
「―――あ、そっそうだ……! 人質にするってのはどう……かな?」
「……人質?」
「うん……だって、こっちも幹部二人を向こうに拘束されてるんだよ? その所為で下の子達の動きを制限されちゃってるし、貴女達の計画遂行に影響を与えるかもしれないよ」
「……計画に、ね」
「うん、でも向こうはちょっとの事じゃ二人を解放してくれないかもしれない。だから彼を人質兼交渉材料にすれば、二人を取り返せるかも知れないし、彼の生殺与奪をこっちが握ってるお陰で彼女達の動きを止められるかも知れないよ?」
彼女のした提案は、要約すると向こうも人質を使ってるんだからこっちも人質を使おうとの事だ。
理には適ってるかも知れないが、これだと僕が家に帰るという選択肢が消滅したという事でもある。
……つまり、結局状況は変わってないどころか、寧ろ拘束期間が延びた。
「……なるほど、まぁ思ってたよりは普通だったけど、他の案よりはマシだね」
「えっえぇ……? 結構練ったのに……」
「何も責めた訳じゃないよ、寧ろ彼を人質に取るのは彼女たちの牽制になるかも知れないしね」
「良かったじゃーん影良! めったに人を褒めないヒメちゃんに褒められるなんて、とっても名誉な事なんだよ?」
「そ、そうなの……?」
……一先ず、僕の扱いは決まった。死ぬよりは監禁される方がマシだろう。
「じゃあ部屋は使って無いのを……あ、後で連れの用意もするから、暫くそこで待ってて。それと……そろそろ説教を終えてくれないかな」
「大体貴方は……って、え?」
まだやってたのかよ。アイツもう寝てんじゃねぇかよ。その状況でよく続けられたな。
「あぁ……もう済んだの? じゃあこの辺りにするかぁ……。いいですか? 次余計な事言ったら説教じゃ済まないですからね?」
「ん? あーうんそうだね」
「一切守る気ないだろお前……」
「守る義理もないしね。あ、そうそう。どうやらここに監禁される様だけど、折角ならこれプレゼントするよ」
と、キャロットは僕に見覚えのあるグローブを手渡した。
「あ……! お前これどこで――」
「ちょっとここに来る前に寄り道して来たんだ。キミの妹ちゃん。相当取り乱してたよ」
「ッ……! 奏……」
「悲しいだろうけど今は我慢してね。きっと囚われのお姫様を救ってくれる勇者達が迎えに来てくれるから」
「……誰がお姫様だ」
「ははっ……じゃあそろそろ帰るよ。一応言っとくけど、枯羅統は相談所に置いたままだからね。何かあったら飛んでくるだろうからそこは安心してね」
と言ってから、キャロットはぬいぐるみの姿になり、いつも通り姿を消した。
……枯羅統、助けに来てくれるかな。
「さて……そろそろ私等も予定の時間だ。キミは部屋に連れてくからそこで待っててね?」
「あ、あぁ……」
「そう時間は掛からないからさーちょっと下の階級の子達との集会を開くだけだから!」
「……平日なのに?」
「みんな普通の生活より救済を求めるノ、アンタもすぐに分かるっテ」
「そういう事……影良、お願い」
「あ、うん……!」
こうして、僕のX-MASC監禁生活が始まった。いるだけで頭が痛くなる空間だが、なんとかしてここから出ないと。
……それと、コイツ等がやろうとしてる事も暴いてやる。ここにいる以上、僕に必要なのは情報収集だ。
……とりあえず、今はこれを言って締めるか。
ただの一般人篠目歩。魔法少女による監禁生活始めました……?
(何か虚空に向かって喋ってる……)
――その日の夜
「……吐きなさい。貴女達のアジトはどこにあるの」
「ヒッ……! おっ教えない……言ったら私が――きゅっ!?」
「……早く話さないとその首を――「しほ先輩」……理代」
「もう、やめてください。その子……苦しんでます」
「ッ……! でもコイツ等から場所を聞き出さないと、歩君が……!」
「……それでも、その子を苦しめるのは違うと思います」
「忘れたの理代……! 奏ちゃんは彼を連れてかれた所為で家に引きこもってしまったのよ!? 明日奈達も助ける為に聞き込みをしているけど、元はと言えばコイツ等が攫ったのだから、無理矢理にでも聞き出すしか無いじゃない!!」
「……けど、私は」
「……貴女だって今朝から様子が変よ。平気な振りをしているのは分かるけど――」
「どうしてそんなに虚ろな目でいるの?」
おまけ X-MASCの階級について
X-MASCは花札のこいこいから来ています。
上から順に 五光、四光、役持ち、タネ、タン、カスとなっており、
カスが前話で登場した仮面を付けられた魔法少女で、タンは洗脳されず自ら入った魔法少女、タネはその中でもリーダー格(係長辺り)になっています。
役持ちは一部の魔法少女に与えられる幹部クラスの階級で、花見、月見、猪鹿蝶、赤、青の5つがあり、花見は月華、月見は月玖美、ミツルは猪鹿蝶となっています。
……何気に月華ちゃんは魔法少女になって数日でそこまで上り詰めたバケモンです。
尚、三光、雨四光は現在存在しない。
四光はX-MASC内でも屈指の実力者である4名を一纏めにしたモノ。
仙華が統括官、ヒメが参謀兼『人工異端管理官』、神子が『技術け X-MASCの階級について
X-MASCは花札のこいこいから来ています。
上から順に 五光、四光、役持ち、タネ、タン、カスとなっています。
カスが前話で登場した仮面を付けられた魔法少女で、タンは洗脳されず自ら入った魔法少女、タネはその中でもリーダー格(係長辺り)になっています。
役持ちは一部の魔法少女に与えられる幹部クラスの階級で、花見、月見、猪鹿蝶、赤、青の5つがあり、花見は月華、月見は月玖美、ミツルは猪鹿蝶となっています。
何気に月華ちゃんは魔法少女になって数日でそこまで上り詰めたバケモンです。
尚、三光、雨四光は現在存在しない。
四光はX-MASC内でも屈指の実力者である4名を一纏めにしたモノ。
仙華が統括官、ヒメが参謀、神子が『開発官』、アクターが『人工異端管理官』となっています。
そして最後に統率者である五光がいますがそれはまた後程。
Q 女の子にカスはどうなんですか?
A 仕方ないじゃないですか実際に用語であるんですから。
一章最終話間近ですがここまでで歩君にどんな印象を感じました?
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おー……ええやん
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影薄過ぎない?
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ロリコン
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今からでも理代ちゃんに主役の座よこせ
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ヤンデレに×××されろ