幻想夢幻郷   作:紅羽戒翔

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幻想夢幻郷 第一章 第三話 「巻き戻し」

        霊夢が死んでいた。

うつ伏せになって、横たわっていた。

あまりの出来事にしばらくの間棒立ちしていた。

10秒程経って、ようやく何が起こったのかを理解した。

「霊夢..?おい!霊夢!おい!」

俺はすぐさま霊夢に駆け寄り、抱き抱える。

傷は腑から胸にまで裂けていた。

出血も酷く、当たりが血で埋め尽くされている。

体はまだ暖かかった。恐らく、俺が戻ってくる少し前にやられたのだろう。

「なぁおい...霊夢..起きてくれよ....」

震えた声で霊夢の体を揺さぶるが、何も起こらない。

霊夢が死んだ事を頭では理解できても、俺の心がそれを拒絶する。

霊夢はまだ死んでいない。あんな捻くれた態度をとる奴が、こんなにあっさりと死ぬはずがない。

どうせ目を覚ましてから、また文句を言ってくれるはずだ。

そんなくだらない理想に縋り続けても、霊夢が死んだという事実を、現実を、少しづつ、ゆっくりと理解していく。

霊夢は死んだ。それ以上もそれ以外でもない

頭の中が真っ白になる。嫌だ。理解したく無い。こんなふざけた現実を、理解したく無い

ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、頼む。起きろ、起きてくれ、起きてくれよ、またか。またなのか。

またダメなのか。また俺は失うのか。俺は2度も同じ過ちを犯すのか。

もう俺は、何も失いたく無いんだ........

 

 

 

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「あれ?」

目を開けるといつもの布団の中にいた。

どうゆう事だ?まさか、全部夢だったって事か?

だとしたら最悪の夢だな。

「あぁそうだ。飯作んないと」

俺は夢の中でやった事と同じ事を繰り返してやろうと思った。

飯を作り、霊夢を起こし、ニトリのラボに行く。

だけど、あんな事があったんだ。同じ行動を繰り返したら、夢と同じ出来事が起こるんじゃないか?

だから、今日は家にいよう。

もしかしたら、夢の中で霊夢を殺した奴が来るかもしれない。

正夢じゃなきゃいいけど。

 

------

 

 

俺は霊夢の部屋の中に入り、いつまで経ってもぐっすり眠っている霊夢を起こす。

「霊夢くーん、起きましょうねぇー」

そうして霊夢の頭を引っ叩く。

「痛った!何すんのよアンタ!」

「起きないお寝坊さんを起こしただけ」

「何よ!まだ一時じゃない!」

夢と同じ会話だ。

霊夢の様子もいつも通りだし、しっかり生きてる。

だけど、不安だ。今日の行動は全て、夢の中でやったものと同じだから。

もしもの時のために、俺は家にいよう。

霊夢が飯を食い終わって、イライラしながら部屋に戻っていった。

あいつ、普段部屋の中で何してんだろ。

ちょっと気になるな...おっとダメだ、女子の部屋を覗くのは犯罪だ。

心優しき正義マンである俺が、犯罪なんて起こすわけがない。

とりあえず、暇だし掃き掃除でもしてるか。

 

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そして夕方になった。

「掃き掃除を何時間続けていたんだか。もう夕方かよ。」

たしか、霊夢が殺されたのはこの時間帯のはず、家の中に入っておこう

家の中に入ったが、特に変わった様子はない。掃き掃除をする前とおんなじだ。

霊夢は部屋で寛いでいるんだろう。

待てよ、もしかしたら部屋の中で殺されてる可能性もある。

だとしたらまずい。

早く確認しないと。

急いで霊夢の部屋に走り、襖を素早く開ける。

何と、そこには下着姿の霊夢がいた。

え?どゆこと

開けるタイミング間違えちゃった?

霊夢は俺の顔を見るや否や、顔面を真っ赤にして叫ぶ。

「アンタ何勝手に入ってきてんのよ!?」

「あー悪い悪い、タイミング間違えたわ」

「入るならノックくらいしなさいよ!?」

「へいへ、ごめんちゃー」

怒る霊夢を適当にあしらって部屋の襖を閉める。

何であいつ着替えてたんだ。

いや、そんな事より今の状況を整理しよう。

霊夢は殺されてなかった。

夢と同じ時間帯になっても。

俺が家にいたからか?

だとしたら、何で俺が家にいると襲撃して来ないんだ。

俺がいると都合が悪いってことか。

考えても全然分からない。

恐らく、今日霊夢を殺しそびれたという事は、また霊夢を殺しにくるはず。

その前に俺が襲撃犯をとっ捕まえてやる。

何としてでも。

 

次は失わないように、守ってみせる。

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