雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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第96話 プロモーション大(恥)作戦

 バレンタインはほどほどに盛り上がって終わり、3月。期末試験についてそろそろ心配をはじめなければならない頃に、ホームルームで特別授業の話があった。

 

「えー、経営科との特別授業があります」

 

 カリキュラムに関しては色々、先輩方から聞いていたけど、これについては聞いてない。何をやるんだろう?

 実地でどこか小さい事務所でも経営して来いとか?それならインターンで済むだろうし。

 

「経営科主体のヒーロープロデュース実習だ。経営科の生徒とペア、もしくはグループとなりプロモーション映像を撮影する。その上で、普通科生徒による投票で順位を決める」

 

 ヒーロー科が2クラス40人なのに、経営科は3クラス60人。この差はグループで吸収するのかな?

 それにしても順位付けって、また物間君あたりがヒートアップしそう。

 

「先生、ヒーロー科の人数が足らない分はどのようになるのでしょう?」

「全て経営科次第だ。基本的には1人ないし複数の生徒を共同でプロデュースする。プロデュースしたいヒーロー像が折り合わない場合は撮影時間を分け合うことになるな」

 

 何というか、ヒーロー科の生徒はマネキンか単なる素材かな。

 経営科1人につき1分のプロモーション映像枠と作成予算が与えられ、1人に複数のプロデュース担当が付けばそれだけ時間を延ばすこともできるらしい。

 

「あくまで経営科主体の授業だ。どんなヒーローになるかは彼ら次第。プロモーション映像についてはすべて、経営科の言う通りのヒーローを演じろと言うことだ。ペア及びグループは既に経営科で決まっている。これから顔合わせだ。行くぞ」

 

 相澤先生に言われて、経営科に向かう。

 

「プロモだって!カッコかわいく撮ってほしー!ダンスとかさー」

「イイね~!」

 

 話しながら、軽やかなステップを踏んでいる。

 文化祭でもかなり盛り上がっていたからね。三奈ちゃんとしてはそういう魅せ方が好みだろう。

 

「あ~、でも、撮るぞ、ってなるのはなんか照れる~」

「ウチも……苦手」

 

 お茶子ちゃんはリューキュウ事務所で割と露出があるけど、いざ構えての撮影となると違うのはなんとなくわかる。思わず構えるよね。

 

 

 経営科との顔合わせ、それぞれのプロデュース担当との顔合わせとなった。キャラの濃い爆豪君や百ちゃんのプロデュース希望は流石に人数が多い。アレコレ同時に話しかけられて早速キレてるけど、大丈夫かな?

 

「えっと、よろしくお願いします。上鳴茉芭(まつは)です」

「こちらこそよろしくお願いします。経営科の八瀬(やせ)小路(こうじ)です」

「私は、藤野アヤ、よろしくね」

 

 なんと2人も担当が居た。これ、ちゃんと話がまとまっているといいなぁ

 痩せ型で背が高い男子が八瀬君で、藤野さんは私よりは背が高い。どちらも当然だけど、鍛えている風はない。

 

「それにしても私に2人もつくとは」

「いやいや、体育祭では派手に活躍したし、最近も一部で話題だよ?」

「そうそう、あの轟焦凍を落とした女って」

「う゛」

 

 別に話題になるために告白したわけじゃないけど、学生にとって恋バナは男女問わず興味あるのは仕方ないか。

 

「時間もないし、早速本題。上鳴さんにやってもらいたのはこれ」

「僕らの趣味が多分に含まれることは否定しないけど、君の新しい魅力を開拓できると思うんだ!」

 

 そう言って手渡されたのは、絵コンテと衣装のデザイン画……えっと、コレ……着るの?逃げていい?

 

「さぁ、とりあえず衣装合わせてみて!絶対似合うと思うから!!」

「ごめんね、アヤがこうなっちゃったら、止まらないから……げふっ!」

「五月蠅い。と言うか、こんな機会はもうないからってアンタもハッチャケてるでしょうが」

 

 うん、逆らっても時間の無駄だね。大人しく、試着ブースへ向かうことにした。

 そのあと数日の出来事は、何というかカオスだった。

 先輩方がこの特別授業の事を話さない理由がよく分かった。他のみんなと比べればまだマシな部類だけど、私も話すことはないだろう。

 

 ヒーロー科の面々は何だかんだとインターン活動で居ない日が多い。これは通常の1年では珍しいことだけど、今年は仕方がない。そこで準備期間が例年より多めの2週間取られることになった。

 

 その成果……もとい、恥さらし大会がこれから始まる。

 経営科にとっては、1年間勉強した成果発表の一部も兼ねている。大半が妄想を煮詰めて煮込みすぎて異臭が漂うような代物っぽいけど。

 

 ヒーロー科の面々は全員、黒マントで姿を隠している。

 

「なあ、マジでこれやるのか?」

「思い出したくねぇ……何だあのカオス」

「まさに、プルスケイオス(さらに混沌へ)だった……」

 

 みんなにとっても辛い日々だったらしい。数名、平然としてるけど。

 

「お前らの気持ちはわかる!だがこれも大事な経験だ!諦め……ゴホン、覚悟を決めて舞台に立て!」

「プロになれば理不尽な経験なんていくらでもする。その予行と思え。いいか、人前に立つときには恥は捨てろ。だがヒーローとして、人としてのプライドは持て」

 

 確かにヒーローコスチュームって色々奇抜なの多いし、街中で着て歩くのは誇らしさだけでなく、多少の恥ずかしさはあったけど。いや、その、百ちゃんやパツパツスーツ組ほどでないしても腰回りがね。

 どっちにしても今更逃げられないしなぁ

 

 上映順は何故かヒーロー科の出席番号順。

 1番手の青山君だったけど、いきなりぶっ飛んだ代物だった。

 「病弱ヒーロー・青色吐息」って、確かに個性を使いすぎるとお腹を壊す青山君は確かに病弱というか虚弱と言えなくもない。けど、入院着を着て、血糊を吐き出すヒーローって……

 

 見ている普通科の人たちからは声も出ない。そして次、と思ったら青山君にはもう1人、経営科が憑いていたらしい。もう、ね、付いて、じゃなくて、憑いて、でいいよ。

 

 

「見目もよく、キラキラしてる青山君だからこそ、その裏は黒い。そんな二面性のあるヒーローを表現しました!」

 

 映像を流している間に、舞台袖に引っ込んだ青山君は大急ぎで衣装を着こんでる。プロデュース内容が折り合わないとああなるのか。

 映像では、ブラックのコートに身を包んだ青山君が、何やら怪しげな人間とやり取りをしている。

 

「いいかい?3日後の14時50分だ。そこなら、付近にヒーローはいない」

「へへへ、ダンナ、アンタもヒーローだろう?いいのかい?」

「いいのサ☆僕はね、家族のためならどこまでも穢れよう!あぁ、それでも僕のキラキラは止められないのさ!」

「へいへい。分け前はしっかり用意しますぜ、ダンナ」

 

 そして場面が変わり、銀行強盗をするヴィラン。どうもヒーローサイドの裏切り者と言う設定らしいけど、これが求めるヒーロー像って……と思ったら、一応は罠にかけた設定らしい。

 これって二面性どころか犯罪教唆じゃない。どこがヒーローだと言うのだろう。

 

「ふふ、やはり来たね!ここに居るのはみんな、僕のサイドキック達だよ!」

「だ、騙したな!てめぇ!」

「おや、人聞きの悪い。あの場で戦ったら被害が出るから、君をここに呼んだのさ!僕は腹黒ヒーロー!ヴィラックユーガ!」

 

 あぁ、なるほどそう言う設定にした、と。そして映像は終わって、コート姿の青山君がベストジーニストみたいなポーズを決めていた。

 

「ヴィラックユーガ……闇が深いほどに、光は輝くものさ」

 

 うーん、なんか妙に役に入り込んでいたけど、ああいうの好きなのかな?実は副業に俳優希望とか?ちょっと意外な感じ。

 

 

 続いて登場したのは「ヤンキーヒーロー・ミナ」。うん、意外なぐらいに似合ってる。あれで族車仕様のバイクでもあったら完璧だった。

 

 梅雨ちゃんに2人、お茶子ちゃんに3人、計5人ものプロデュース希望者がついていた。元の知名度を考えれば納得だけど、さらに凄いのはその路線がほぼ一致して、5人分の予算をぶっこんだ、豪華PVになっていた。

 映像は割とありがちだけどアイドル路線。コンビ名が「チャコ&ケロッピ」って、ネーミングが本人のヒーロー名と被らないように、と言う配慮かもしれないけど、ベタもベタ。

 ただライブシーンの演出は文化祭ライブを思い出させるぐらいに気合が入っていた。うん、凄い。互いの個性もダンスに組み込まれてて、普通に売れそうと思える程度に反応もまずまず。

 

 飯田君が「ダンディーヒーロー・テンヤ」。付け髭とバーテンダースタイルが意外に似合うな。コレはコレでありかも。本人の個性は全く活かせないけど。

 

「おつかれー、三奈ちゃん、意外に似合うね」

「そう?他の撮影見たら、まだマシだったしねー」

 

 

 続いての登場は尾白君。「ビジュアル系ヒーロー・MASHIRAO」って、実は方向性としてはアリでは?普通と言われるの気にしてるし。ここまではっちゃけると、誰も普通とは言わないでしょ。

 

 しかし、尾白君もやっぱり複数プロデュース希望者が憑いていたようで、そっちはもっと残酷なレベルで酷かった。

 

 

「えー、尾白君を彩る言葉で一番多いのは普通。そんな普通さを強調する普通のヒーローです」

 

 映像ではまったくの普段着を着て街中を歩く尾白君。尻尾はそのままなのに、街中に自然に溶け込んでいる。確かに一部部位が変わっているぐらいの人は珍しくはないのだけど。

 

「はぁ、誰もこれでパトロール中なんて思ってくれないよな」

 

 映像の中でぼやいているが、あの格好でヒーローだとは誰も思わないから、偽装と言う意味では成功だろう。

 そこにひったくりが現れ、尾白君の方に向かってくるが、すれ違いざまに手刀の一撃でヴィランを倒し、荷物を取り返す。

 

「ご協力感謝……え?ヒーロー?」

 

 駆けつけてきたのは映像で合成されたMASHIRAO、うん、無駄がないけど、先に発表した生徒の顔が引きつってるよ。

 

「どこまでも普通。普通が一番、普通ヒーロー・フツメン!……泣いていいかな?」

 

 ごめん、笑うの堪えるので見てるこっちが泣きそう。

 

「ウププ……笑っちゃ悪いけど……コレは酷い」

「ね。でも、尾白っぽい……ウプププ」

 

 青山君の時もコンセプトが酷すぎたけど、三奈ちゃんのアリかな?程度には似合ってたし、梅雨ちゃんお茶子ちゃんのコンビは出来が良かった。

 そこに三連続でキワモノ。

 反応が微妙だったから、経営科のメンバーの顔がこわばって来た。だんだんと、反応の悪さに「自分たちのヒーロー像がおかしいかも」と言う認識が芽生え始めたらしい。

 さて、次は電気だから、私の出番もすぐか。仕方ない、行くかー

 電気の雷神ヒーロー・デーと言うのは、露骨に権利関係でもめそうで、この場限りだね。本人は割と気に入っていそうだけど。

 

 

「えー、私たちは2人で共同プロデュースしました。メインコンセプトは変身と意外性です、どうぞ」

 

 合成された古都の街並みを背景に、高下駄に振袖と花魁風に髪を結い上げた私が練り歩く姿が映ってる。映像としては意外に過ぎたのか、観客から少し声が上がっている。喜んでいいのかなぁ?これ?

 これのために日舞の練習までやらされたから、苦労の甲斐はあったと思おう。実際、映像のかなりの部分を舞踊に費やしてるのはやりすぎだと思う。

 焦凍が映像ガン見してるなぁ、これ、そのうち直にやることになりそう。

 

「へいへいへい、俺のことを憶えているかよ、茉芭(まつは)太夫さんよぉ~」

「あら、社長はんやあらしまへんか。随分とみすぼらしうなって」

「うるせぇ!俺ぁな、全部なくなっちまったんだ、なぁ、太夫ぅ、俺と一緒に、死んでくれよぉっ!!」

 

 薄汚れた浮浪者風のヴィランと言うか、色違いの相澤先生にエンディングと荼毘を足したようなヴィランがいかにも酔ってますと言う風に近づいてくる。

 サイドキック役ってことになってる禿(かむろ)が身構えるが、浮浪者は構わず個性を使って炎の攻撃をする。重い衣装を着た私が避けられるはずもなく、炎に包まれた。

 

「あぁ、茉芭姉さん!」

「ひゃひゃひゃ!俺を袖にした罰だ!俺はこの街全てを支配して――――」

 

 言葉の続きは白刃によってさえぎられる。

 

「あきませんなぁ、そないやから、社長はもてませんのや」

「お、おま、その姿、俺の会社から、密輸の証拠を根こそぎした――――」

 

 ただでさえ似非京都弁を聞かれるのは恥ずかしいのに、さらに映像の私と同じ姿を見られるのはちょっとキツイ……けど、これも課題。仕方ない。

 

 このタイミングで、黒マントを放り投げ、そこに出てくるのは花魁姿。で、観客の視線を集めた瞬間、この衣装のまま、コスチューム内に仕込まれたバッテリーを使って浮かび上がって、空中でひらりとひと回転ついでに衣装を脱ぎ捨てる。

 打ち合わせの通り、なんかポンポンと小鼓の音に合わせて回転する。何というか、時代劇のお約束を一人でやってる気分。

 わざわざ八瀬君とアヤさんが黒子風の姿になって小鼓を打っているのはやりすぎだと思う。そして現れる忍者風装束。

 

「くノ一ヒーロー・マツハ。醜きモノに慈悲はなし」

 

 着地した瞬間、映像と同じ色々間違ってる忍者風ヒーローの姿があった。

 髪は長めのエクステが足されたツーテール。コレ、子供っぽく見えるから嫌いなのに。

 コスは袖なしかつ超ミニスカと言うより裾がないレベルの着物。何故か口元には障子君の様なマスクに、ヒーローらしさ?なのか赤いマフラー。足はむき出しではなく、草履に太ももまでのタイツ。絶対領域がどうとか、熱く語られたけど理解したくない。

 腕も上腕から先は着物よりやや色が薄い袖を別パーツで。

 総じて露出は少ないのだけど、脇とか、太ももとか、微妙に見えそうで見えない感じの長さに調整されてて、実は凄い恥ずかしい。

 

 

 ある意味、私のコスチュームのデザイナーと同レベルのHENTAIがあの二人だった。多分これ、アヤさんがなりたかったヒーロー像なんだろう。

 花魁云々は八瀬君の趣味みたいだけど。

 

 だいぶ感覚がマヒしてきた普通科生徒からは「アリと言えばアリ」とほどほどの拍手をもらって、舞台下に。

 

「うーん、いまいち反応悪かったね。やっぱりもうちょっと露出、いや、花魁設定が非現実すぎたかな」

「アンタの趣味じゃない。キャストオフするならあれぐらいギャップがって」

「OLから変身じゃ普通でしょ。やるなら八変化だけど、時間も予算も限られたし、アヤだってノリノリだったじゃないか」

 

 楽しく喧嘩しててください。馬に蹴られたくないから、突っ込みは入れません。

 

 

 続く切島君は「漁師ヒーロー・一本釣り太郎」……似合うけどネーミングセンスぅ、実は切島君のセルフプロデュースじゃないよね?爆豪君に爆発三太郎とか名付けてたし。

 口田君の力技ラッパーヒーロー・コージは……うん、流石に本人とのギャップが。

 

 

 障子君も複数のプロデュースで路線違いになったらしい。

 最初のヒーロー像が「一人人形劇歌劇団ヒーロー・障子座」と言うもの。複数の人形を操ってヴィランを倒すというのは、障子君の個性「複製腕」を活かしていると言えなくもない。直接殴ったほうが間違いなく強いけど。

 

「えー、障子座の演出につなげる形でもよかったのですが、重視するポイントの違いがあり、別にしました。テーマは個性が繋ぐ未来です」

 

 子供たちに囲まれているのは変わらないが、対ヴィランとの戦闘では障子君本来のスタイルで戦っている。そして、ヴィランを撃退して、助けられた子供たちに囲まれる……なるほど。

 

「守るその手は離さない!握手ヒーロー・シェイクハンズ!」

 

 確かに複製腕を使えば、何人とでも同時に手をつなげるね。こういうのは思いつかなかったな。けどこれ、ヒーロープロデュースと言うより、公共広告っぽくない?

 

 

 響香はある意味で路線が近かった。女スパイのキョンキョン。うん、照れてる姿が可愛い。チャイナも良く似合ってる。

 瀬呂君も尾白君と同じ普通枠と言うか、路線的にはサー・ナイトアイと同じサラリーマンの風体でのヒーロー。

 常闇君のダークシャドウ13世って、違和感が行方不明なんですけどー?

 

 

「次、轟じゃん。どんな風になるんだろ?やっぱあれ?マボロキ君路線?」

「どうなんだろ。でもちょっと楽しみ」

 

 マボロキ君路線だった。やっぱり世間的に見ても顔はいいらしい。棒読みの演技は仕方ないとして、「鉄仮面ヒーロー・プリンスショート」ってのは見惚れるより笑うけど。

 

「どーよ?惚れた?」

「うーん……普段のほうが良いかな。顔は見たいじゃない」

 

 思いもつかない演出ではあったけど、別にコレ、焦凍でなくてもいい路線だしね。

 

「ふ~ん。ゴチソーサマ、あ~、こういうキュン♪ってのがもっと欲しい~」

 

 それはいい加減自家生産を考えてくださいな。

 透ちゃんの「着ぐるみヒーロー・リビングドール」と言うのも、個性ガン無視の演出で、本人は割と楽しんでるからまだマシ、と思うぐらい。

 

 

 この特別授業、最大の被害者になったのが爆豪君だった。

 憑いたプロデューサーは最多の4人。その全員が方向性で全く意見の一致を見なかったらしい。その分、映像も十分な撮影時間が取れなかったのか、やや演出は荒い印象。

 

 1人目の「ヴィランヒーロー・Back&Go☆」は体育祭での本人への印象に加えて、テンプレ的な不良イメージを乗せたという感じだった。

 そして2人目。

 

「キレたら大噴火する!そんな力強さを求めました!」

 

 大爆発ならいつでもしてるけど。今度は緑谷君みたいな大きなリュックを背負って登山を行う爆豪君。

 意外と様になっている。経験者かな?

 今回の映像で現れたヴィランは密猟者設定らしい。

 そして普段と違い、地面に手を当てて「死ねぇ!」とここは普段通りの叫びが響くと、ヴィランの足元から爆発が起き、そのまま溶岩が流れ出る……ってコラ

 

「登山ヒーロー・活火山……山ぁ舐めてんのか、クソが」

 

 ある意味、イメージを活かしてると言えなくも……ない、かも。うん、酷い。

 3人目は何というか迷走したコンセプトとパロディが正面衝突コンニチハして、相互に殴り合った結果と言うか。

 

「ヒーロー殺しステインから、昨今の異能解放論の再勃興、そうした世評を受けてヒーローには反省が必要だというコンセプトです!」

 

 どうも思想的には原理主義系なのか。そんなこと言うと就職先の事務所が無くなりそうだけど。少なくとも私なら採用しない。

 古い動画でたまに発掘される反省を促すダンスを踊らされている爆豪君。コスチュームにステインを思わせる意匠が入っているあたりも酷い。踊りながらヴィランを倒したり、「反省しやがれ!」と叫びながら爆殺したりと、カオス過ぎる。ネタはわかるけど、ワカリタクナーイ

 

「反省を促すヒーロー・爆帝(バクティ―)・エリン……殺っちまうぞ、ニセモン共……ざけてんのかったく」

 

 観客はドン引きでどう反応していいかわからないという感じで、お通夜状態。

 最後の4人目も当然のように酷かった。

 

 

「爆豪君の個性は爆破!芸術は爆発!!と言う言葉もあります!すべてを爆破!そんなヒーローを目指しました!!」

 

 それはそのまま素の爆豪君では?

 映像の中ではひたすらに爆破を繰り返す爆豪君の姿。コスチュームは絵の具で汚れたツナギになっている。時間ギリギリまで爆破が続くと、爆煙の中から倒れたヴィラン?と、爆破で制作したらしいオールマイト像。

 

「ボンバーヒーロー・爆王……馬鹿にしてんのか、おい」

 

「爆殺卿よりはいいネーミングだと思うの」

「だねー、殺すとかないしねー」

「かっちゃんの爆破で作ったオールマイト像!欲しい!!」

「やらねー!砕いたわクソが!」

 

 緑谷君……確かにレアだけどね……毎日お師匠さん見てるのにまだ足らないのか、君は。いっそフルフォルムを改良して、オールマイトフォームでも開発しなさい。

 ……口にしたら絶対にやる。絶対に言わないようにしよう。「僕がオールマイトだ」とか言い出したら困る。

 

 

 そう思ってたんだけど、時すでに遅しだった。

 緑谷君の「国民の孫ヒーロー・デクちゃん」と言うのは、割と童顔だから、わからなくもない。倒し方がえげつないけど。

 ただ2人目ぇ……

 

「緑谷君はオールマイトに似たパワー系!エンデヴァーが新たな象徴として立ってますが、オールマイト時代を懐かしむ人も多い。そんなニーズに応える懐古ヒーローです!」

 

 映像の中では明らかに分厚く衣装で盛ったとわかるオールマイト風のコスチュームを着て、髪を金髪に染めて戦う緑谷君の姿。

 緑谷君がデトロイト・スマッシュを放った瞬間、映像の中で一瞬、オールマイトの姿が映りこむ。

 

「かつての象徴を追い求めるヒーロー!フェイクマイト!私が、来た!!」

 

 その一瞬、緑谷君の姿がオールマイトと寸分たがわぬ……多分、サーでも連れてこないと真偽の判断がつかない姿に変わり、観客がざわめく。本当にフルフォルムの無駄遣いしてたよ……何やってるの、この限界オタク。

 

「ど、どうかな?似てた?急造だったけど、オールマイト・フォーム、思ったより力が出て、驚いた」

 

 嬉しそうなのはわかるんだけど、その質問は私じゃなくお茶子ちゃんに向けなさい。

 そう思ったら、お茶子ちゃんから食い気味に反応があった。

 

「す、すごかったね!デク君!なんかそっくりで!!でも、デク君はデク君なのが、いいな」

 

 だよね。で、顔真っ赤だけど、お茶子ちゃん?

 弄るのはやめとくとして、現実的な話はしておこう。

 

「……実戦投入は本人承諾の上でお好きにどうぞ。エンデヴァー事務所はクビになる覚悟がいると思うけど」

「……それは、困る。うん、封印する。自分一人で楽しむよ」

 

 それでもやるんだ。自主トレの一部だから好きにすればいいとは思うけど。

 エンデヴァーにばれないようにねー

 峰田の「チャイルドヒーロー・チャッピー」は、うん、アリかな?そもそも倒し方がモラルハザード以前に人格がモラルブレイクしてることに目をつぶらないといけないけど。

 

 

 さて、A組ラストは百ちゃんだ。百ちゃんは3人のプロデュース希望が憑いたけど、映像は2枠となった。

 流石に美人でスタイルもよいから、現実的に売り出しやすい……と思ったら、これも割とえぐかった。

 

 お色気路線の「博徒ヒーロー・彼岸花の百」は、うん、一応個性も活かしてるけど、どう見てもヒーローじゃないよねぇ

 任侠ヒーロー・フォースカインドとかいるから、路線としてはアリなのかな?

 残る2人は共同演出で、ヴィジュアル路線と言う意味では王道だった。

 

「八百万さんと言えば、その洗練された佇まい!そんな彼女にピッタリなヒーローだと思います!」

 

 映像では合成にしては豪華かつリアルなお屋敷での舞踏会。そこに映るドレス姿の百ちゃん。

 

「アレ、ヤオモモんち……てか、ヤオママじゃん、あれ」

「……てことは、外出許可とって家で撮影したのか……全面協力してる」

 

 舞踏会の中に紛れ込んでいたヴィランを見抜き、手にした扇で軽くはたくと崩れ落ちるのはご都合主義かな。

 

「ノーブルヒーロー・プリンセス百ですわ。一曲、お相手いかがですか?」

 

 うーん、本人の魅力は出てるから、悪くはないけど、本人の個性は―?ってなるからやっぱりモヤるなぁ

 

 

 

 ここからがB組。B組で複数のプロデュース希望がついていたのは、鎌切君、砂藤君、宍田(ししだ)君、小大さんが2人、凡戸君。この数の差はほんのりと物間君が悔しがってるけど、恥をさらす機会が少ない分、ホッとしてるっぽい。

 

 鎌切君は「理容師ヒーロー・バーバーカッター」と言うものに加えて、「ヴォーパルヒーロー・スラッシュ」とか言う、ミルコリスペクトっぽいコスチュームを着させられて、ヴィランを切り倒していた。

 首狩り兎と言うのは、コンセプト的には悪くないね。ミルコとかなり被るけど。

 

 

 黒色君と宍田君の「芸人ヒーローズ・ケモクロ」と言うのは置いとくとして、もう一つはコンセプトがかなり失礼な代物だった。

 

「見た目は最強!実際は最弱!それでもヒーローはやれるということを表現しました」

 

 しないでいいから。口八丁手八丁でヴィランを丸め込んで被害を押さえるというのはある意味凄いけど「見せかけヒーロー・ビースト君」ってネーミングがもう。

 

 

 砂藤君は「スナックヒーロー・リキママ」と言う、何とも微妙なスナックのママをコンセプトにしたヒーロー?を演じたのち、そのイメージをさらに繋げたヒーロー像だという。

 

「夜の迷えるヴィランを救うのがリキママなら、昼は子供たちを守るヒーローに姿が変わる!そんなイメージです!」

 

 つまりあえて別枠にして尺を稼いだと。リキママに続いて、調理器具で武装したヒーローの姿が。

 

「クッキングヒーロー・リキパパ!子供たちの健康を!俺が守る!!」

 

 うん、料理も得意だと言うし、アリと言えばあり。リキママと合わせると、24時間戦う羽目になるけど。

 

 

 小大さんは一佳を除くB組女子を総ざらいした「野菜少女戦隊プリユアシックス」の他、「サイレンスヒーロー・ワンフレーズ」とか言う、ある意味本人らしいヒーローを演じていた。

 なにしろ、「ん」で会話が終わるからね。通じるのが凄いけど。

 

 凡戸君は「ママヒーロー・ビックラブマザー」と言う、砂藤君の「スナックヒーロー・リキママ」とやや被った印象のヒーローに加えて、「虚無僧ヒーロー・ジゾウ」と見た目のイメージなんだろうけど、やっぱり個性ガン無視の姿を披露していた。

 それにしても、物間君に神主、ねぇ?「神主ヒーロー・ネギネギ」ってネーミングはともかく、仕えるのは邪神かな?

 

 最後、「ゾンビヒーロー・ロメロ」とか言う、響香にはアウトオブアウトなヒーローの映像上映中に、照明が落ちるという大事故につながりかねないハプニングが起きた。

 幸い、鱗君が対応してくれて事故なく終わった。

 そしてなんとも微妙な映像揃いだったプロデュースの投票結果。

 

「経営科によるヒーロープロデュース、第1位はゾンビヒーロー・ロメロです」

 

 投票の結果は、お披露目中に落下するライトから皆を守った鱗君だった。

 

「投票理由はゾンビがどうこうではなく、さっき助けてくれたから、と言うものが圧倒的でした。つまり、ヒーローは外見やイメージよりも行動が大事ということだ」

 

 この授業の後、先輩方に聞いたけど、これを伏せておくのはある意味で伝統らしい。

 いくら求められるままに演じただけとは言え、痛々しいヒーロー像が多すぎて、ヒーロー科の生徒は知られたくない。

 元が痛々しいコスチュームとヒーロー名だった人は、この機会にデザインを見直したり改名したりしているとか。

 そして経営科の生徒は自らの黒歴史を具現化したような代物であるため、当然、知られたくない。こうして、当事者が永遠に口をつぐむ黒歴史が形成され、仲間を増やそうとこの授業が廃止される日は来ない。

 うん、知ってたら心の準備もするし、経営科に何としてでも伝手を作ってどうにかしてた。

 

 先輩方、と言うか、イレイザーヘッドやそれこそオールマイトがどんなコスプレをやったか見たかったけど、当人以外閲覧禁止の制限がかかっていた。残念。

 

 まぁ、なんだ。「ぼくの考えた格好いいヒーロー」って言うのと、ヒーロー飽和社会でどうあっても発生するキャラかぶりや没個性化を防いで、オンリーワンの輝きを演出したいのはわかる。

 けど、モノには限度がある。それを痛感させてくれた授業だった。




完結後の番外編にするつもりだったのですが、なんとなく決戦前にもうワンクッションいれたくて本編に組み入れました。
1万字越えで普段なら2分割するのですが、今回はひとまとめにしています。

吹出不在の分は当然、オリ主に行くわけですが、プロデューサーは別人としておきます。お笑いやってたから、オリ主を選ぶ理由がないので。

その上で、雄英白書では特に言及されなかったクラス数の違いから、20枠を増やして、乱数20個を作って、それぞれの扱いを決めました。
ついでにプロモーションの時間もヒーロー側基準での1人1分ではなく、経営科基準にしています。雄英白書での趣旨からしてそっちの方が効くw

乱数の指定では一番人気は八百万だったのですが、ネタが溢れた爆豪のために八百万から1枠貰い、以下の様になりました。カッコ内は増分です。雄英白書の分と別に、これだけ枠が増えてます。
爆豪(+3)、八百万(+2)、麗日(+2)、小大(+2)
以下+1:青山、蛙吹、尾白、オリ主、障子、緑谷、鎌切、砂藤、塩崎、宍田、凡戸
このうち、アイドル路線の蛙吹、麗日、塩崎、小大のもう1枠は別ヒーロー考えるのが面倒になって時間枠を増やしたことにw

オリ主については、極道路線は八百万と被るし、レディースも芦戸がいるということで、あれこれ考えて忍者にw

増やした経営科の黒歴史一覧
腹黒ヒーロー・ヴィラックユーガ(青山。もちろん原作がネタ)
普通ヒーロー・フツメン(尾白。すまん)
くノ一ヒーロー・マツハ(オリ主。轟?見惚れてたかも?)
握手ヒーロー・シェイクハンズ(障子。たくさん繋いでください)
登山ヒーロー・活火山(爆豪・キレたら爆発。普段通りな気も)
反省を促すヒーロー・爆帝(バクティ―)・エリン(爆豪。結論。かっちゃんは弄りやすい!)
ボンバーヒーロー・爆王(爆豪・名前は実は採用しようか悩んだモノ)
レプリカヒーロー・フェイクマイト(緑谷。やらずじまいとなったネタ)
ノーブルヒーロー・プリンセス百(八百万。ヤオママは喜んだ)
ヴォーパルヒーロー・スラッシュ(鎌切。ウサギは被り物。怖)
芸人ヒーローズ・ケモクロ(吹出不在による改名のみ)
見せかけヒーロー・ビースト君(宍田。これもすまん)
クッキングヒーロー・リキパパ(砂藤。クッキングパ……ナンデモナイデス)
サイレンスヒーロー・ワンフレーズ(小大。喋れ)
虚無僧ヒーロー・ジゾウ(凡戸。見た目から)


オリキャラ
■八瀬小路(やせ こうじ)
経営科1年K組。オリ主のプロデューサー1号。
花魁風コスチュームはコイツの趣味。
外見イメージはビルドダイバーズのナナセ・コウイチ。
個性「痩身」
痩せているとその分、知性が増す。

■藤野アヤ(ふじの あや)
経営科1年K組。オリ主のプロデューサー2号。
ネタ元は同じくビルドダイバーズのアヤメ(フジサワ・アヤ)。
忍者コスはこっちの趣味。
個性「可愛いは正義」
可愛いものを愛でると身体能力が増す。
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