雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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SEKKYO回です。オリ主が偉そうに語るのが嫌な人はブラウザバックを。
また、ストーリ上も読まなくてもほぼ影響ありません。


第15話 体育祭(4)

『昼休憩を挟んで午後の部だぜ!じゃあな!』

 

 さて、生き残った喜びに浸ってるのは程々にして、面白くもないお節介をしに行くとしよう。

 

「マッハー、お昼行くー?」

「先に騎馬戦の後始末して、今日はゼリーで済ませる。種目次第では食べないほうがいいかもだし」

「う゛、そ、それは確かに」

 

 何でもありになるか、何かしらの制限がつくかはわからない。けど確実に戦闘になるから、大観衆の前でリバースはしたくない。

 

「話は聞きたいからウチも行くよ。2人は?」

「僕は遠慮しておく」

「私もパスー、お腹すいたよー」

「そっか。じゃあ、午後も頑張ろうね」

 

 口田君、透ちゃんと別れて、轟君を探すが、見当たらない。

 選手出口に騎馬をやった電気と飯田君、八百万さんに聞いたら、緑谷君を追いかけてどこかへ消えたらしい。私の件は「任せる」の一言だったそうな。

 それでどうするか聞いたが、彼らはついてくるという。

 後は尾白君とBクラスの人たちだけど、ややこしくなりそうだし後でいいか。

 

「ドウシタ。選手ハ休憩ノ時間ダゾ」

「エクトプラズム先生。騎馬戦に出てた普通科、心操君に話がありまして」

「話?……少シ待テ」

 

 無線を使ってどこかへ連絡を入れている。クラス席か救護室と思っていたが探す手間が省けてありがたい。

 

「救護室ニ居ルナ。大人数ダガ、今、必要ナ話カ?」

 

「競技中に彼らに十分な説明なしに協力を仰ぎました。できればきちんと事情を説明したいです」

「……ワカッタ。私ガ立チ会オウ。付イテ来タマエ」

 

 そう言って分身を一人作り出す。この分身が案内してくれるらしい。便利な個性だなぁ

 

 

 心操君はリカバリーガールの治療で体は回復済み。人数が多いので全員敗退して空室となったC組控室を使わせてもらった。

 

「それで、話ってなんだ?」

「まずは自己紹介しておく。A組、上鳴茉芭(まつは)

「C組、心操人使だ。それで?A組のエリートさんがC組の俺に何の用?しかもこんな大人数で」

 

 皮肉交じりの時点で、負けはしたが負けを認めてないというか、事故のようなものと思っていそう。

 

「大人数なのは同じ説明を何度もしたくないからと、証人。彼らは口を出さないから安心して。

 それにエクトプラズム先生にも立ち会ってもらっているし。

 ……用件はいくつか聞きたいことがあったんだけど……まず、なんで負けたかわかってる?」

 

「スタート直後に雷で撃たれた。アンタとアンタの双子の兄貴がなんかしたらしいな」

 

「じゃ、なんで狙われたかわかる?」

 

 

「……俺が普通科だから。弱いところから狙うのは定石だろう?」

 

 あぁ、やっぱりそこで思考が止まっているか。

 仕方ないといえば仕方ないけど。

 

「30点。それは理由の半分にもならない。それに、自分が弱いとか思ってもいないでしょ?」

「……どういう意味だよ」

 

 どうと言われても、別にそこに他意はないのだけど。ただの挑発だったね、本題じゃないから流そう。

 

「言葉の通りで別に意味はないよ。単に私がそう思ってるだけの話。時間も惜しいから本題に入るね。ねぇ、お世辞にも格闘戦に強いと言えない青山君はともかく、なんで格闘に強い尾白君がいたのに騎手にしなかったの?」

 

「それは……」

「できないよね?相手を洗脳してたんだし。相手の区別もついてなかったんじゃない?」

 

 驚愕に顔色が変わる。見抜かれていないと思っていたのだろう。

 

「なんで……」

「判ったかって?A組というよりヒーロー科に宣戦布告までしておきながら、A組2人、B組1人と組んで打ち合わせもせず(・・・・・・・・)、挙句に騎手になるような人、警戒しないはずないでしょ?最大限の警戒をもって、速攻で潰すに決まってるじゃない」

 

 内心では「ね、ヴィランさん?」と付け加えたい気持ちもあるが、先生にいてもらっているし流石に自重。それに、叩き潰したいわけではない。ただ、コイツが今のままヒーロー科に来るのは許容できない。

 

「ソウイウ事カ……上鳴茉芭。コレハ我々教師陣ノ落チ度ダロウ。後ハワタシカラ話ソウ」

 

「いえ、私の行動の結果ですし、私が説明したいです……ただ、正直冷静ではない自覚はあります。言い過ぎ、やりすぎと思ったら、殴ってでも止めてください」

 

「……イイダロウ」

 

 エクトプラズム先生の申し出は本当にありがたい。もしかしたら審判のミッドナイト先生は気づいていたかもしれない。その上で是としたなら、私のほうが性質が悪い。

 もっとも、エクトプラズム先生が私の言いたいことを察してくれているので、大きく間違ったわけではない、と言うのがほんの少し、気を楽にしてくれる。

 どちらにしても、ルールとして禁止されていない行為とは言え、勝手にそれを否定して潰したのは事実。要は私刑(リンチ)をやったのだから、出来れば自分でケリはつけたい。

 そしてエクトプラズム先生が私の主張するナニカに同意したのを見て、自分が何かを間違えていることに気が付いたようだ。

 

「どういう事だ?……俺は、何を、間違えたっていうんだ……」

 

「はぁ……重症だね。要は敵と味方をはき違えてたんだけど……ねぇ、ヒーロー科への転入が当面の目標だったよね。ヒーローって誰と戦うのが仕事?」

 

「ヴィランだ。そんなのは常識だろ」

 

 ここまで言われて判らないのは、本当に重症に思える。雄英の受験システムが彼をここまで歪ませたのか、元からなのかはわからないが、やりきれない気分だ。

 

「心操君にとって、あの場にいた人間は全員が()に見えていた?」

 

「当然だろう。体育祭で最後に勝ち上がるのは1人だ」

 

「だから一方的に利用すればいい、洗脳して駒にしてしまえってことだよね」

 

「それの何が悪い」

 

「悪いに決まってる。私には、あの場の全員はヒーローで、ヒーロー同士のチームアップの場に見えた」

 

 心操君が息をのんだのがわかる。やっと判ったのだろうか。

 

「あ……俺、は……」

 

「チームアップの場で、味方のはずのヒーローを洗脳?駒扱い?あり得ないでしょ。心操君がヒーロー科を目指すというなら、私たちはヒーローを目指す学生で、体育祭も授業の一部でプロへのアピールの場。一挙手一投足、プロとしての適性を見られる場。ヒーロー志願者がヒーローらしく振舞うなら、どうするべきだったか、もう言わなくてもいいよね?私に心操君がどう見えていたか、言ったほうがいい?」

 

「や、やめ、ち、ちが、ちがう……お、おれは、だって……」

 

「ソノクライニシテオケ」

 

 エクトプラズム先生からストップが入ったところで、控室には頭を抱えて号泣する心操君の声だけが響いていた。

 このまま放置も出来ないし、あと一つだけ言いたいことはある。

 10分ぐらい待つと、やっと落ち着いたのか、心操君は話を聞く姿勢を見せた。

 

「……すまなかった」

「それはあの3人に言ってあげて」

「わかってる……」

 

 まだ沈み込んでいるから素直に謝れるかは微妙だけど。

 

「で、もう一つ言っておくと」

「……まだあるのか」

 

 げんなりとした様子の心操君。安心していい。落としたら後は上げるだけだから。正直、これこそ洗脳の手口そのもので、個性が洗脳の人間を洗脳するって、どんなブラックジョークだと思わなくもない。と言うか、無理にでも笑いにしないとやってらんないよ、こんなの。

 

「アピールの機会を奪っておいて言う事ではないけど、正直、かなりヒーロー向けの強力な個性だと思う」

「え?」

 

 なんでこう、爆豪君と言い、心操君と言い、褒められ慣れてないんだろう。

 

「具体的な条件は知らないけど―――」

「洗脳するつもりで声をかけて、相手が応じたら、だ」

 

「い……やまぁ、うん、実演含めて情報ありがと。それ、ホントに強力だね。ノーダメージでヴィランを拘束できる、と言うのは対人、都市内戦闘ではメリットしか見当たらない。相棒(サイドキック)として欲しがる事務所は多いと思う。あの場でも「対人戦限定で相手を無力化する個性がある」って売り込めば話を聞く人も多かったと思う」

 

「確カニ、ソノ通リダ」

 

 私の意見に同意してくれているエクトプラズム先生。手の内さらして売り込むのに勇気がいるのは事実だけどね。実際、私はそういう値踏みをやってた爆轟君には売り込まず組みやすいメンバーで組んだから、何を偉そうに言ってんだ、となりそうだけど。

 

「例えば、4人組む前に話しかけられてたら、私は即採用してたと思う」

「うわ、マッハ、酷っ!まぁ、確かにウチでもそうするけどさ」

 

 重い話は終わったとみて、響香が口をはさんできたけど、実際、そう思うよねぇ

 

「そうでなかったとしても、ほかの手ごろなチームとの繋ぎををやって、同盟組んでたかも。味方にしたらこれほど頼もしい相手はいないし」

「……なるほど。俺、本当に何も見えてなかったんだな」

 

 とりあえず重い話は終わったので、みんなの評価も聞いてみると、概ね好意的なものばかりだ。

 

「人気商売の側面が大きい現代ヒーローでは評価されづらいが、それでも素晴らしい個性だな!上鳴さんが警戒したのがわかる!」

「いや実際、ネタが割れると脆いけど、初見殺し過ぎてエグイ」

「問題は洗脳の条件が知れ渡った時の対策ですね。サポートアイテムで補うことも考えるべきでしょう」

「なんつーか、派手さはないけど玄人受けしそうだよな!」

 

 実際、人気が出るかは微妙だよね。オールマイトとかエンデヴァーとか、派手なほうが一般受けしやすいし。あまり人のこと言えないけど。

 

「正直、電源がないと、ほとんど何もできない弱個性の私からしたら、羨ましいったらないわ」

「確かにマッハの個性は外に出す出力弱いよな」

 

 そうなんだよねぇ、運良く生き残れたけど、最終種目が不安だわ。ギブミー、バッテリー。申請してみたけど、却下されたし、ちまちま静電気で頑張ろう。

 自分のことはさておいて、他にお叱りがあるとしても、エクトプラズム先生にお任せしてしまおう。

 

「とまぁ、そんなわけで、私の話は終わり。時間とらせてしまってごめんなさい。先生もありがとうございました」

「ウム、気ニスルナ」

 

 話は終わりと、席を立つと心操君が私を呼び止めた。

 

「な、なぁ、なんで、わざわざ、ここまで……俺なんかのために」

 

 ドロドロと醜い本音を言ってしまえばただ自分の罪悪感を減らしたいだけ。でもまぁ、これでもヒーロー科の学生で、ヒーローの卵。ヒーローらしく答えるなら、言うべきは一つだろう。

 

「ヒーローってのは余計なお節介が本分、でしょ?待ってるから、這い上がって来なさい」

 

 この時の私は、憧れたあの人(ヒーロー)のように笑えていたと思いたい。

 

 

 

 余談だが、この思わぬ長話に付き合ったせいで、峰田と電気が組んで、A組女子を嵌めようとしていた企みを潰せたらしい。

 時計見て焦って自爆した電気が悪い。峰田共々、しばらく白い目で見られるがいい。

 





言いたいことはおおむね本文に書けたかな。あー、スッキリした。
チーム決めで洗脳を行ったことについて、私はアウトと判断しました。リアルタイムで視聴していないので、原作の雑誌掲載時や放映当時の評価は知りませんけど。
これについては異論反論あると思います。ただ休憩中だったデステゴロやMt.レディが体育祭を「ヒーロー社会での生存競争を模したもの」や騎馬戦を「商売敵でも手を組む事案」と語っているのを考慮してほしいかな?と言う感じです。

本当にただ、チームを組む場で初手洗脳、って(私的には)反則を繰り出し、そこをどこからも咎められもしていないし、反省もない様子が納得できなかっただけです。なので一度徹底的に叩いてから、ヒーロー科に来てもらう流れを捏造しました。

個性「洗脳」って、存在を知れば積極的に動くかはともかく、機会があればAFOも欲しがるレベルと思ってます。入手後は新たに欲しい個性の持ち主の無力化が超イージーモードになりますし。
うっかり会話もできないラスボスって、作品的にはどうかと思うけどもw
ともあれ、実質会話の通じない、ギガントマキアや脳無(ニアハイエンド以下)にはどうしようもなく無力ですけど、イレイザーヘッドが見込んで鍛えるだけのスペックは間違いなくありますよね。
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