並び順が変わらないよう、12:01にもう1話予約投稿しています。
さて、試合再開。結構な時間中断したのに観客は帰る様子もないのがすごい。
クラウチングスタートの姿勢をとる飯田君と、普段通りの構えの電気。
「
「お互いコスチュームやサポートアイテムなしだから、身内贔屓を入れても6対4ぐらいで、飯田君が有利だと思う」
「遮蔽物のない環境、放電の逃げ場がない飯田さん不利ではないかと」
電気の攻撃方法は、サポートアイテムがなければ放電と格闘のみ。
開幕放電は1回戦で響香と相打ちという結果になった。
「確かに、当たれば放電で勝てる。けど容量も無限ではないし、殺さないような放電は意外に難しい」
「ケロ?」
「だからお互い1発勝負。一発で意識を奪う攻撃力をどちらが先に当てるか。速度で勝る飯田君のほうが選択肢は多い。一瞬なら空中で感電からも逃げられる」
だから飯田君の勝ち筋は、極端な話、放電を受けても先に電気を行動不能か場外にしてしまえばいい。
『さぁさぁ、待たせたEverybody!2回戦第2試合スタァァァトォ!』
「レシプロ!バァァストォッ!!」
両足のエンジン全開でダッシュした飯田君。両手に電気を集めて受け止めつつ失神を狙う作戦だったのだろうけど、そこは飯田君の想定内。
ダッシュから速度を活かした低めのジャンプをする。
けれど低い。あれは背後に回る跳躍ではない。
「左エンジン!停止!!」
片側のエンジンを止めれば推進膂力のバランスは崩れ、容易にスピンに陥るが、足の角度で回り蹴りの要領で、推進方向へのスピンに変えた。
「右!トルクオーバー!!レシプロバーストォ!」
右足エンジンの推力をさらに上げ、さらに回転を上げた飯田君の超回転回し蹴り。掴むよりガードを選んだ電気の両腕をへし折った挙句に場外にまで一気に吹き飛ばし勝利をつかんだ。
「あんなことできたんだ……凄い」
「飯田ちゃん、すごいわ」
「どういう勝ち方を想像してたの?」
「速度を活かした、力づくでの押し出し。いや、凄いね」
ただ、それなりに無茶ではあったのだろう。過負荷を受けた右足の排気口からは黒煙が上がっている。
エンジンが焼き付かないといいけど。
「お見舞いに行く?」
「やめとく。今は顔見られたくないでしょ」
電気だって男の子。それ以上にヒーローとして、負けた姿は見られたくないと思うだろう。
続く第3試合は、1回戦をそのまま再現したかのような展開で、ダークシャドウが三奈ちゃんを押し出して、常闇君が勝った。強いな。
そして第4試合。爆豪君vs切島君。
硬化で防御を固めながら攻める切島君に、当初は防戦に追い込まれた爆豪君だけど、プレゼントマイク先生にえげつないとまで言われる絨毯爆撃で防御を抜いて勝利。
この間、緑谷君はものすごい勢いでブツブツ言いながらノートに何か書いていた。見てて狂気すら感じて怖いが、夢中なオタは放っておくのが一番だ。何にせよ、楽しそうで何より。ただ横にいるお茶子ちゃんの顔が引きつってるので、趣味はほどほどにしようね?
そして3回戦。第1戦は轟君と飯田君。
機動力特化の飯田君は2回戦よりは慎重な入りで通常のエンジンだが、1回戦同様、レシプロバーストで威力を上げた蹴りで意識を刈り取れなかったのが痛い。
排気口を塞がれて出力が落ちたところを氷漬けにされていた。
いや、ほんと、アレとそこそこいい勝負できたってのは、嘘みたい。
第2試合、ここまで瞬殺劇で上がってきた常闇君だが、思わぬ欠点があった。ダークシャドウは光に弱いらしく、爆豪君が小さい爆発を繰り返して弱体化。やっぱりこと戦闘面では爆豪君のセンスは凄い。
3位決定戦は行わないからこれがラスト。
『さぁ!いよいよ雄英体育祭もこれがラスト!1年の頂点がここで決まるぅ!いわゆる決・勝・戦!ヒーロー科!轟焦凍!ヒーロー科!爆豪勝己!!』
開幕氷壁でまずは攻める轟君。やや控えめと言いながらも十分過剰威力の氷壁でスタジアムの天井に近いところまで氷漬けにする。
対する爆豪君は連続爆破で氷漬けを防いでそのまま脱出。私の苦労の意味がー、とか思ってしまう。
「強ぇぇ個性に頼りきりで、攻め方が大雑把だぁ!」
直前でフェイントをかけて左側へ。そこから投げ飛ばすけれど、場外狙いには与えるダメージが少なすぎた。微妙に勝負を焦っている?
『左側をわざわざ掴んだり、爆破のタイミングと言い、戦うたびにセンスが光ってくな。アイツは』
『ほうほう』
『轟も動きはいいんだが、攻撃が単調だ。これまで苦戦らしい苦戦と言ったら上鳴戦ぐらいだからな。経験不足が出てる』
「テメェ!ふざけてんのか!俺が欲しいのは完膚なきまでの1位なんだよ!舐めプのクソ野郎に勝っても意味ねぇんだよ!!俺は、デクよりも、あのチビよりも先に行くんだよ!」
あーあ、笑えてないじゃない。あんなシケた顔してたら、勝てるもんも勝てないよ。
考えるって言ったけど、考えすぎだよ。だから、爆豪君が荒れる。相手に見られていないって、かなりクルからその怒りはいくらかは想像つく。
さぁて、どうしようかなぁ
なんか、ぜーったい、変な誤解されそうなんだけど。
でも、アレだけやってコレとか、ふざけるなと思うし、仕方ない。納得できるかこんなの。
「なんだその顔は!轟焦凍!ヒーローになるなら……笑え!」
あぁ、何を言ってるんだっていう目線が痛い。
すいません、全部、エンデヴァーとオールマイトが悪いってことにしておいてください。
「はっ、そうだよな。
ちょっと待って違う。それはオールマイトの言葉だって。
あぁぁ、でも火がついてる。そんでもって、エンデヴァーがまたエキサイトしてるよ。もー逃げたい。
「やっと火ぃついたか半分野郎!テメエの全力、俺が食い破ってやらぁ!」
「こうも何度も発破かけられたら、俺も、引けねぇんだ!」
『おいおいおい、イレイザーヘッド!これまたヤヴァイんじゃないのぉ!?』
『止めるのは俺じゃねぇ、だが止められるもんでもないだろ』
と言うか、ここで止めたら各所から大ブーイングでしょうし。
名称不明の空気爆発技と回転まで加えた爆豪君の必殺技ハウザーインパクトが激突。勝敗は何とも締まらないが両者、場外。
流石にここから再試合とはならず、異例の両者優勝となった。
『それはこれで雄英体育祭1年の全競技が終了。表彰式に移ります!』
上空の花火にスモークと「ヒーローはまたエンターテイナーでもある」と公言するオールマイトのセリフを体現したような演出とともにグラウンド地下からせりあがってきた表彰台。
『3位は飯田君と常闇君だったんだけど、飯田君はちょっとご家庭の事情で早退しちゃったので、ご了承くださいな』
そう言ってマスコミに向けてポーズをとるミッドナイト先生。
何かあったのだろうけど、ミッドナイト先生、そろそろそのあざとい仕草は……いえナンデモナイデス。美魔女ってイイデスヨネ。何で気付くんですか、ホントにもう。
『さぁ気を取り直して、メダル授与はもちろんこの人!』
『HAHAHAHA!』
スタジアムの上から現れるオールマイト先生。今年の雄英における最大の目玉と言ったら、オールマイト先生しかいない。
『わぁたしぃが~『我らがヒーロー!オールマイトぉ!!』メダルを持って来たぁ!』
あー、うん。リハーサル不足と言うか、なんというべきか。
盛り上がった空気が一瞬で白けましたよ、ええ。どーするの、これ。
表彰台の3人、ものすごく気まずそうにしてる。
「常闇少年、3位おめでとう。強いなぁ、君は」
「勿体ないお言葉」
「ただ相性差を覆すには、今みたいに個性に頼りっきりじゃダメだ。もっと地力を鍛えなさい。取れる択が増すだろう」
「……御意」
軽いハグと共に軽めのアドバイス。
そして同時優勝ということで、まずは轟君に優勝メダルが与えられた。
「おめでとう。轟少年。スッキリしたイイ顔になったな」
「上鳴に何度も焚きつけられて、俺がなりたかったもの……貴方みたいなヒーローになりたい、と思ったことを思い出しました。ただ、俺だけが吹っ切っても意味がない。まだ清算しないといけないものが沢山あると思いました」
「深くは聞くまいよ。君ならきっと清算して、笑顔で前に進めるさ」
「はい」
「そして同じく1位の爆豪少年!開会式での伏線回収、見事だったぜ!」
「るっせ。そこのキザヤローに勝ちきれなかったら、負けと変わんねぇ」
とは言っても、不満でキレ散らかしてないだけマシな気がするね。
変に焚きつけたけど、少なくとも全力の轟君と戦ったから、不満であっても納得するしかないって感じかな。
「HAHAHA、どこまでも上を、理想を追求する姿勢は素晴らしいね、爆豪少年。才能だけじゃない。努力だけじゃない。君の理想はこのさらに先だろう?今回に不満があるなら、まだ行けるだろ?」
「……あぁ、俺はアンタをも超えるヒーローになるんだ」
「その意気だ。まぁ、君はもうちょっと落ち着いて周りを見てもいい気がするぜ」
「……ウス」
おや意外に素直。引き分けというのも存外悪くなかったのかもしれない。
『さぁ!今回の勝者は彼らでした!しかし皆さん、この場にいる誰にもこの場に立つチャンスはあった!競い!高めあい!さらに先へと昇っていくその姿!次代のヒーローは着実にその芽を伸ばしている!てな感じで最後に一言!皆さんご唱和ください!!』
「「「「プルス『おつかれさまでした!』ウルトラ!!!」」」」
うわぁ
オールマイト先生、それはないわー
「あぁ、いや、みんな疲れたろうな、っておもって」
あの巨体が小さくなって指先ツンツンしてるのは、妙にかわいいけどさ。もうちょっと空気読みましょう?
色々端折ったりしていますが、体育祭のリザルトはほんのり変更して両者優勝に。
やるつもりは余りなかったのですが、オリ主が発破かけました。緑谷の役目かな?と思いましたが、本作では対戦をしていないので、そこまで通じ合うものがないかな、と。