雷速少女のヒーローアカデミア   作:K鶏

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第31話 期末試験(1)

 昼前の座学と言うのは疲れと空腹がセットになって早く終われと皆が思う。

 その分、静かに集中して進むのは良いことなんだけど。

 

「よし、授業はここまで。期末試験まで残り1週間だが、お前らちゃんと勉強してるだろうな。当然知っているだろうが、テストは筆記だけでなく演習もある。頭と体を同時に鍛えておけ、以上だ」

 

「「まったく勉強してない!!」」

「体育祭やら職場体験でまったく勉強してねー」

 

 あっけらかんと笑う三奈ちゃんはクラス最下位らしいけど、それでいいのかなぁ?

 電気は中間は確か16位だったはず。雄英入学後に一人暮らしを始めて、ずいぶんと一人暮らしを楽しんでいるようだ。そろそろ入学前の貯金(よしゅう)も尽きるだろうから、強くイキロ。

 

「確かに行事が重なったが……」

「期末は演習試験もあるのが辛ぇところだよな」

 

 微妙に余裕の峰田はクラス10位。悪くはないよね。点数差がどの程度あるのか知らないけど。

 

「アンタは同族だと思ってたのにー!」

「お前みたいなやつはバカで初めて愛嬌が出るんだろ!どこに需要があるんだよ」

「世界……かな」

 

 そんな世界滅んでしまえ。

 

「が、頑張ろうよ!上鳴君!芦戸さん!やっぱりみんなで林間合宿行きたいし!」

「ちゃんと授業受けてれば赤点はねえだろ。てか双子でも頭の出来は全然違うんだな」

「言葉には気を付けろぉぉぉ、マッハは昔っから勉強できるんだよぉ」

 

「そこはかけた時間(コスト)と効率。電気はここのところ遊び過ぎみたいだから、ずっと補習漬けでもいいかもねー。言っとくけど、今回は助けてあげないからねー、ベー、だ」

 

「しょ、しょんなぁ~~~」

 

 地頭はそんなに悪いわけではないのに、地味な努力を重ねる部分では甘やかされてた影響が出やすいのが電気の悪いところ。申し訳ないけど、そこまで面倒見ていられない。

 

「お二人とも、座学なら私、お役に立てるかもしれません」

「「ヤオモモー!!」」

「……演習のほうはからっきしでしょうけど」

 

 あ、落ち込んだ。一佳に聞く限り、職場体験で大分揉まれたみたいだけど、この間の勇学園との演習は爆豪君と藤見(ばくごう)君に振り回されて状況グダグダだったからなぁ

 何かきっかけがあればいいんだけど。

 

 

 お昼は久しぶりと言うわけでもないけど、お茶子ちゃんや緑谷君達と食べることに。多少パターン化されてきたけど、八百万さんや私は食事に行く相手をローテーションで変えている感じ。ヒーロー科は女子少ないからね。変に派閥ができないのは気が楽でいいけど、固定されない程度の気遣いはお互いしている。

 

「演習試験か……内容不透明で怖いね」

「突飛なことはしないと思うがな」

「筆記試験は授業範囲内から出るから、まだ何とかなるけど」

 

 緑谷君も筆記5位と上位組だからね。前回4位で爆豪君に負けているのが地味に悔しいから、ここで上回っておきたい。

 

「まだ、何とかなるんだ……」

「不安なら、一緒に勉強する?八百万さんの勉強会に参加でも面白そうだけど」

「うぅ、お願いできる?」

「あー、私も私も―」

「私も手伝うワ」

「いいよー、じゃあ、週末、ウチで勉強会しようか。お泊りでもいいよ」

 

 そんなわけでお勉強会が決まった。さて、ご飯何にしようか。

 

「それにしても演習試験、何するんだろ」

 

 話が演習試験に戻って、緑谷君のいつもの悪い癖が出そうになった時に明らかに意図的なエルボーが緑谷君に当たった。

 

「あぁ、ごめん。頭が大きいから当たってしまった」

「B組の……物間君!?なにをっ」

 

「君ら、ヒーロー殺しに遭遇したんだってね。体育祭に続いて注目を浴びる要素ばかり増えていくよねA組って。でもそれって期待値とかじゃなくてトラブルを引き付ける的なものだよね。あぁ、怖―――」

「物間、洒落にならん」

 

 ナイスタイミング、一佳。いやはや、さすがB組最大のアレな人材。

 

「ごめんなー、みんな。コイツ、ちょっとココロがアレなんだよ。そいえば、期末の演習試験の話だけどさ、マッハ、なんで話してないのさ」

 

「「「知ってるの!?」」」

 

「例年だと入試の時みたいな対ロボットの演習試験らしいけどね」

「え?本当?上鳴さんも拳藤さんも何で知ってるの?」

「アタシら、先輩たちに知り合いいるから。ちょっとズルだけどね」

「いや、ズルじゃないよ」

 

 そこまで話したところで、物間君が復活する。

 

「拳藤……君はバカなのかい?A組内部で情報を秘匿してるものがいたなら、折角の情報アドバンテージを、今こそ、憎きAぐはっ!」

「憎くはないっつーの。マッハ、お茶子ちゃん、また今度ねー」

 

 再び物間君を気絶させて、話は終わりと引きずっていく。後の説明は投げっぱなしって……まぁ、いいか。

 

「ちなみに、黙っていたのは別に悪気あってのことじゃなくてね……障害物競走のロボインフェルノ、今戦って怖いと思う?」

 

 その問いには全員が首を横に振る。そうだよねぇ、だから言う必要性を感じなかった。 

 

「あんなの別に怖かねぇだろ」

「えー、轟君はバーッて一撃だけど、私はちょっと大変かもー」

「でも大変なだけで倒せないとは思ってないでしょ?少なくとも苦戦すらしない人が多いから、別試験になる可能性の方が高いと思う」

 

 その戦闘能力エスカレートの一因に自分もなっているのが未だ不思議だけど。けどまぁ、ロボインフェルノだったら正直、楽なので予想は外れてほしいけれど。

 

「そうであれば、上鳴さんはどんな内容になると思う?」

「先生方とのハンデマッチが一番ありそうだけど、どーだろ?」

 

 結局は試験当日に体調をピークに持って行くことしかできないんだよね。

 事前準備を万全にして望めるだけ、プロよりマシと思うしかない。

 

 

 そして試験前の週末。約束通りの時間に、久しぶりのお客様を迎えることになった。

「いらっしゃい」

「やっぱり広いねー」

「すごいワ」

「うわぁ、いいなぁ」

 

 リビングに勉強道具を広げて、成績に不安のない梅雨ちゃんと私が講師役。理系科目は私が強く、文系科目は梅雨ちゃんが強いから、しっかり集中してやれば私たちも相応に成績アップが望めると思う。

 

「う~ん、どこで間違えたんやろ?」

「文章問題は半分、国語だからね。”なにを問題にしてるか”をマークしておくと迷わないで済むから、そこに気を付けてみようか」

 

「透ちゃんは文法が出来てるのに単語のミスが多いのがもったいないわね」

「だってー、覚えづらくない?」

「洋画を英語字幕でみるとか、洋楽のカラオケもいいよ。曲をある程度選ぶ必要はあるけど楽しんで勉強になるから」

「それだ!」

 

 残念ながら今からだと間に合わないので、次の試験から頑張って。

 今回は教科書の範囲内で間違った箇所と、中学で習う単語……地味に多いから、教科書の範囲に絞って覚えてもらおう。

 

 小一時間もやると疲れが見えてきてキリのいいところでお昼ご飯。

 自分一人なら手抜きでいいけど、少しは見栄を張りたいし、梅雨ちゃんにもお手伝いをしてもらいサラダとパスタのランチを用意した。

 

「八百万さんたちの勉強会はどうなってるかなぁ?」

「張り切って教えてるでしょ。判っている人にありがちな、なんで分からないのかわからない、ってのも八百万さんなら大丈夫だと思うし」

 

 ミートソースは市販のものをベースに、ほんのり手を加えたけど、手抜きだったかなぁ

 おやつに何か甘いものを用意して、もうひと頑張りしてもらおう。

 

「午後の勉強は梅雨ちゃんに少しお願いしていいかな?」

「ケロ?構わないけど、茉芭ちゃんはどうするのかしら?」

「おやつにケーキを焼こうかと。2人に小テストを受けてもらって、点が良かった方が好きなだけ取り分けるって、どう?」

「「やる!!」」

 

 甘い匂いで集中が途切れるかもしれないけど、これも試練と頑張ってください。

 少し焦がしてしまったが、焼きたてガトーショコラにアイスクリームのコンボは皆に好評だった。

 夕飯はお好み焼きにした。本場出身というわけではないが、やはり近いせいなのかお茶子ちゃんが焼いたものは仕上がりが違って実に美味しかった。

 

 そして週明け、3日間の筆記試験。

 個人的にはまずまず。自己採点では多少のミスはあったけど、順位はともかく成績は落とさずに済んだと思う。

 

 

「では、演習試験を始めていく。もちろん、この試験でも赤点はある。林間合宿行きたきゃ、みっともないミスはするなよ?諸君なら事前に情報を仕入れて薄々何をするかわかっていると思うが」

 

「入試みてぇなロボ無双だろ!?」

「花火―!カレー!!肝試し――!!」

 

 目の前の先生方を見てそう言い切れる電気の気楽さがうらやましい。そして三奈ちゃん、それはちょーっと舐めすぎだと思うな。

 そう思ったら、相澤先生の捕縛布の中から校長先生の声が。

 

「ところが残念。諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのサ」

「「校長先生!?」」

 

 はい。先生方との対人戦ですね。判りたくないですけど、1対1ですか?チーム戦でしょうか?

 対人戦の可能性は知っていたはずなのに、ありえないと思っていたらしい電気と三奈ちゃんは真っ白になっているけど。

 

「君たちにはこれから2人1組でここに居る教師1人と戦闘を行ってもらうのサ!」

 

 考えうる最悪をついて来たなぁ、このあたりはさすが雄英。まだちょっと舐めてたかも。

 

「なお、組み合わせはすでに決定済み。動きの傾向や成績、親密度。もろもろを踏まえて独断で組ませてもらった。それじゃ、発表していくぞ」

 

第1戦 電気&切島君    vs セメントス先生

第2戦 梅雨ちゃん&常闇君 vs エクトプラズム先生

第3戦 飯田君&尾白君   vs パワーローダー先生

第4戦 八百万さん&轟君  vs 相澤先生

第5戦 お茶子ちゃん&青山君vs 13号先生

第6戦 三奈ちゃん&私   vs 根津校長先生

第7戦 口田君&響香    vs プレゼントマイク先生

第8戦 透ちゃん&障子君  vs スナイプ先生

第9戦 瀬呂君&峰田    vs ミッドナイト先生

第10戦 爆豪君&緑谷君   vs オールマイト先生

 

 

「試験は制限時間30分。君たちの目的はこのハンドカフスを教師にかけるか、どちらか一方がステージから脱出することサ」

 

 先生方はハンデとして体重の半分のウエイトを装着。それでも勝ち筋は薄いと思われての設定。ここから勝ちを拾うのは並大抵ではないのだろう。

 けど、柄でもないかもしれないが、正直、根津校長(きょうてき)との戦いにワクワクする自分を感じていた。

 




期末試験、砂藤ポジのままだとちょっとつまらないので、組み合わせを変えました。
原作の継戦能力不安組は、切島&砂藤組のほか、上鳴電気、青山、(合宿前)麗日と評価してます。
砂藤不在なので、切島とだれを組ませるかをまず考えました。火力不足を突き付ける意味で対セメントスは悪くないのですが、そもそもオリ主がセメントス相手に正面突破を選ぶ未来が見えないので却下。
属性的にセメントスと相性が悪く、切島との相性も悪くなさそうな電気を組ませています。

次に、芦戸の相方が空いたので、そこに誰をあてがうか。継戦能力不安組の残り、青山&麗日コンビは麗日の補習落ちを防ぐためには崩しがたい。実際、このどちらかが芦戸と組んでも自動でクリアできませんし。

と言うわけで、最初の戦闘訓練で芦戸&青山組が遊び気分でいる隙をついて勝ってるので、そこが直っていないままの芦戸と組ませました。勇学園との演習でも、お菓子持ち込んでましたしねw
特大ブーメランがオリ主に帰ってきました。

なお、中間試験の結果については、オリ主を4位、電気を16位(オリ主補正。ただし学力補正は中間で打ち止め)とした以外は原作の通りの並びになります。
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